ボランティアの継続/ソーシャルビジネス

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復興計画の動向

2015年

4月

06日

蒲生干潟の自然再生及び当地の歴史遺産の活用と共存する真の復興を求める要望書 【北蒲生のまちづくりを考える会・蒲生を守る会 】

150406蒲生干潟要望書 (1).pdf
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2012年

3月

15日

宮城県「震災と過疎-石巻・雄勝町の今(上)ベッドタウン/住居の移転、抵抗薄く/経済拠点、町内になし」

震災と過疎-石巻・雄勝町の今(上)ベッドタウン/住居の移転、抵抗薄く/経済拠点、町内になし

がれきが積まれた自宅跡を前に、たたずむ藤本さん
がれきが積まれた自宅跡を前に、たたずむ藤本さん

河北新報120315】硯(すずり)や法印神楽で知られる石巻市雄勝町地区。東日本大震災をきっかけに、過疎化が急激に進む。人口は震災前と比べ7割減の1300人となり、多くの住民が古里に戻るかどうか決めかねている。海辺の町は、再びにぎわいを取り戻せるのか。過疎の背景と、進まぬ復興の現状を探った。(石巻総局・土屋聡史)

 「本当にいい町だったんだよ。いざ離れるとなると、つらいね」。雄勝町地区の中心部。がれきの仮置き場となった自宅跡で、藤本忠夫さん(52)はつぶやいた。

 自然豊かで伝統芸能も盛ん。生まれ育ったこの地区が大好きだった。父親は旧雄勝町長。自身も1995年、35歳の若さで町議になった。地域の魅力を発信し、交流人口を増やそうと必死だった。

 あの日-昨年3月11日、津波が古里をのみ込んだ。全家屋の9割が被災した。藤本さんが経営していた運送会社の社屋と自宅も波にさらわれた。

 1週間後、石巻市内陸部に家を借りた。実質的な本社だった石巻工業港近くの営業所までの通勤時間は、1時間から20分弱に縮まった。家族は通院や買い物が便利になった今の生活に慣れつつある。

 近く市内の別の場所に本社を移し、内陸部に家を建てる。地域づくりを引っ張った立場として、やりきれなさも込み上げる。「でも、便利さ

には勝てない」

 市雄勝総合支所は昨年10~11月、被災した地区の約1200世帯を対象に住まいに関する意向調査(回収率63%)を行った。「雄勝に住みたい」と答えたのは344世帯で回答者の46%。被災世帯全体でみると3割以下にとどまった。

 地元に残る住民が少ないのは、その多くが震災前から地区外の職場や高校に通勤、通学し、地区が「ベッドタウン」になっていた事情が背景にあるとみる関係者が多い。

 2010年の統計では、地区の就業者数は町に大型事業所がないサービス業や小売業、製造業が半数を占める。長い間、基幹産業とされていた漁業の倍近い。

 国が1999年に実施した消費購買動向調査をみても、消費者吸引率はわずか3.9%。旧石巻市での買い物が9割を超え、経済活動の軸足は地区外に移っていた。

 平地が少なく地区内に建てられた仮設住宅は161戸。多くの被災者は地区外の仮設住宅や借り上げ住宅に住む。若者や働き盛りの年代を中心に、生活拠点を地区外に移すことへの抵抗感はさらに薄れた。

 地区の老舗が一つ消えた。創業120年のマルタカ製菓。店は津波で流された。5代目の佐藤成利さん(44)は昨年7月、千葉県八街市に家族7人で転居、親類の支援を得て同県内に菓子店2店を開いた。

 「千葉に根を張る。ここには、作った菓子をおいしいと言ってくれるお客さんがいる」

 店の様子を通じ地域経済の移り変わりを肌で感じた。地区を潤したカツオ漁の船員は沖に出る際、決まって大量のかりんとうを買い込んだ。

 遠洋漁業の衰退が始まる1970年代末から、客は減りだした。店を継いだ90年以降も売り上げは低迷し続け、廃業を何度も考えた。雄勝を出ようとする自分の背中を震災が最後に押した。

 「見知らぬ土地での開業より、地元にとどまる方が不安だった。古里への愛情だけでは食べていけない」

 60年代に1万人を超えていた地区の人口は震災直前、4300人に減った。震災後の人口は実際には1000人を切ったとみる住民もいる。未曽有の震災は、過去にない速度で地区の過疎を推し進めようとしている。

[旧雄勝町]1941年の町制施行で、雄勝町となった。2005年に石巻市、河北、河南、桃生、牡鹿、北上5町と対等合併。雄勝硯(すずり)は震災前、日本一の生産量を誇った。「雄勝法印神楽」は国の重要無形民俗文化財。ユズリハなど暖地性植物が生い茂る八景島は国の天然記念物に指定されている。

2012年

3月

10日

宮城県「住宅再建3割見通せず 復興遅れに焦燥感 被災者アンケート」

住宅再建3割見通せず 復興遅れに焦燥感 被災者アンケート

東日本大震災から1年を迎えるのを前に、河北新報社は東北大などと共同で、津波で大きな被害を受けた宮城県沿岸12市町の被災者を対象にアンケートを実施した。自宅再建や移転先として、被災前の自治体を希望する被災者は50.9%で、「見通しを立てられない」との回答が31.4%に上った。生活再生の不透明さは精神面にも影響、「落ち着かない」など心の不調の自覚症状を訴える人は9割に達した。

 住宅再建が見通せない理由には、資金不足と集団移転、公営住宅建設を中心とする復興計画が進まない状況を挙げる割合が高かった。再出発を期しても生活基盤の収入と住まいの将来像が不安定で、焦燥感を招いている実態が明らかになった。

 「見通しを立てられない」との回答は、最も高い南三陸町で54.1%に上り、最も少ない山元町でも20.0%あった。

 理由(複数回答)としては「自己資金が足りない」が50.3%と最高で、「復興計画の詳細が分からない」が41.0%、「高齢で新しい自宅を建てることに悩んでいる」が25.6%と続いた。震災前後の収入の変化を聞いた設問では、減ったとの回答が5割を超えており、資金調達の難しさも自宅再建の妨げとな

 

っている。

自宅再建や移転予定の設問に対し、「同じ市町内の安全な場所」は35.2%。市町別では気仙沼市が51.0%で最も高く、次いで七ケ浜町50.8%、岩沼市46.0%。「震災前の居住地に戻りたい」は15.7%だった。

 「市町外に移転したい」は5.4%で、山元町(14.0%)、女川町(12.0%)、南三陸町(11.9%)で高かった。

 最近1カ月の心の状態も聞いた。不調の自覚症状が「あった」とする回答は、「気分が沈む」「気持ちが落ち着かない」「寂しい気持ちになる」が7割を超えた。焦りや無気力などの症状を含めたメンタルに関する6項目の設問のうち、いずれか一つ以上の不調を訴えた被災者は、全体の88.9%に達した。

 復興のさまざまな課題について不安度を尋ねたところ、「大変不安」「不安」の合計は、「住まいの再建・移転」が79.3%で最も高かった。「被災した土地の今後」は77.0%、「まちの復興」は75.4%。割合が高かった上位三つはいずれも、住居に関わる不安だった。

 調査の方法 共同実施したのはほかに科学技術振興機構(東京)、サーベイリサーチセンター(同)。2月15~26日、気仙沼、石巻、東松島、多賀城、仙台、名取、岩沼の7市と、南三陸、女川、七ケ浜、亘理、山元の5町で実施した。仮設住宅に住む被災者を対象に聞き取り、配布回収で1097人から回答を得た。男女比は男性39.5%、女性59.1%。年齢層は20から30代16.0%、40代13.5%、50代15.8%、60代26.3%、70歳以上26.3%。

2012年

3月

06日

宮城県「東日本大震災1年:宮城県の現状(その2) 難航する高台移転」

東日本大震災1年:宮城県の現状(その2) 難航する高台移転

津波で壊滅的な被害を受けた女川町の中心部。横倒しのままになっている建物も残る=2月21日、近藤綾加撮影
津波で壊滅的な被害を受けた女川町の中心部。横倒しのままになっている建物も残る=2月21日、近藤綾加撮影

◆県

 

 ◇都市計画担当職員の確保が課題

 

 県は、津波被害を受けた沿岸15市町を「原形復旧はほぼ不可能」と位置づけ、20年度までの10年間で都市、産業の構造を抜本的に見直す復興基本方針の素案を打ち出した。これに基づき昨年10月、県震災復興計画を策定。海に近い住宅地の高台移転を進め、沿岸の産業エリアに通勤する「高台移転・職住分離」を柱に据えた。水産業は被災した全142漁港の集約再編を掲げたほか、規制緩和で漁業に民間企業の参入を促す「水産業復興特区」構想を盛り込んだ。

 

 

養殖したワカメの漁をする県漁協矢本支所の漁師=東松島市で2月21日
養殖したワカメの漁をする県漁協矢本支所の漁師=東松島市で2月21日

ただ、計画通りには進んでいない。県は当初、集落を大規模に集約する形で高台移転を進めようとしたが、半島部の漁師らが「内陸では生活できない」と主張。地区ごとの移転が主流になり、移転対象地区数は当初の約3倍となる約170地区に増えた。

 

 水産業復興特区を巡っては、県漁業協同組合が「民間企業は経営が駄目になれば撤退し、海が荒れる」と反発。村井嘉浩知事は構想は撤回しなかったものの「13年度以降に導入する」と譲歩した。

 

 課題は高台移転などを進める都市計画担当職員の不足だ。特に県内第2の都市、石巻市では住民との合意形成が進んでいない。県南部では福島第1原発事故による放射能汚染の問題も浮上。風評被害や健康被害を懸念する声が高まっており、汚染された廃棄物の処理基準の設定や損害賠償の範囲を福島県並みにするよう国に要望している。【宇多川はるか】

 

 ◆気仙沼市

 

 ◇魚市場、再起の象徴に

 

 魚を仕分ける男性の背から湯気が上り、天井に仲買人の声が響く。気仙沼市魚市場。活気が戻りつつあることに、気仙沼漁協の菅野真参事(58)は「魚市場なくして、気仙沼の復興は始まらない。これからが勝負です」と力を込めた。

 

 漁船3566隻の約8割が被災し、事業所も水産関連業を中心に約8割の3314カ所が被害を受けた。魚市場周辺は最大1・1メートル地盤沈下した。水産業を市の基幹産業と位置づける菅原茂市長は「魚市場を復興のシンボルとしたい」と復旧に力を注いできた。

 

 昨年6月の魚市場再開までに敷地の一部をかさ上げし、東北電力や県にも協力を要請。カツオ船入港とともに開場させた。同10月に策定した復興計画は18年度までの本復旧を掲げ、12年度当初予算案にも整備費3億4100万円を計上する。気仙沼漁協の菅野参事は言う。「復興とともに企業が戻り、雇用も戻る。人も戻るだろう」

 

 水産業が復興へ歩み始めた一方で、人口流出は止まらない。1月末現在の人口は前年同月比4247人減の7万56人。被災者の住居確保が難航したことも一因とみられる。山が海に迫る地形で住宅建設の適地が少なく、岩手県一関市にも仮設住宅を建設した。市として当初建てたのは計3451戸。だが、利便性などから被災者の要望に合致しなかったため、昨年12月には53戸新設した。

 

 仮設住宅には人口の11%に当たる約8200人が暮らす。被害が大きかった地区などが対象の集団移転計画は昨年10月に説明会を始め、住民に合意形成を委ねている段階だ。

 

 今年2月に今後の住まいに関して意向調査したところ、回答した6122世帯のうち588世帯が「市で新たに造成した土地」と答えた。復興計画は集団移転の完了時期を15年度としており、移転先の用地確保などが、人口減に歯止めをかけるための課題といえそうだ。【平川哲也】

 

 ◆南三陸町

 

 ◇「ついの住み家を早く」

 

 「住居も仕事も先が見えない」。隣接する登米市南方町にある仮設住宅(約350世帯)の自治会長を務める宮川安正さん(73)は、不安を口にした。

 

 平地が少ないため、仮設住宅の建設地探しには苦労した。町民約1万5000人のうち約4700人が町内の仮設住宅で暮らし、1000人余りは町外の仮設住宅で町の復興を待ち望んでいる。

 

 昨年12月26日に復興計画を策定。さらに2月の臨時議会で、16年度までに最大1000戸の災害公営住宅を整備する方針を打ち出した。一方、壊滅的な被害を受けた全29集落の高台移転を進める予定だが、ほとんどの地域で候補地を検討している最中。安定した生活拠点を望む住民の思いは強まるばかりだ。佐藤仁町長は「ついの住み家を早く作れるようにしたい」と話す。

 

 基幹産業の漁業は、23ある漁港全てが被災した。船舶約2000隻のうち無事だったのは1割ほどだが、支援を受けて震災前の3割程度まで回復。昨年10月には仮設魚市場も設置され、11年度の売上高は前年比7割程度は確保できる見通しという。

 

 商工業では、12月の「伊里前福幸商店街」に続き、「志津川復興名店街」が2月下旬にオープンした。だが、町の担当者は「当面は家族経営でやっていくのが精いっぱいではないか。雇用の回復までは難しいだろう」との見方を示す。

 

 多数の町職員が犠牲になり、鉄骨の骨組みだけが残る元防災対策庁舎。震災の悲劇を伝える象徴的な存在となり、ツアーバスも訪れるようになった。ガイドを務める鴻巣修治さん(66)は「1年という節目をすぎて人が来なくなることを懸念している。足が遠のくことは風化の始まり。防災を語り継いでいかなければならない」と訴える。【坂本太郎】

 

 ◆石巻市

 

 ◇事業所の販路、震災前の6割

 

 ご当地グルメとして知られるようになった「石巻焼きそば」。JR石巻駅前にはのぼり旗が立てられ、PRに躍起だが、盛り上がりは今ひとつ。郊外店に客を奪われていたところに震災が追い打ちをかけ、「シャッター商店街」になっているからだ。

 

 20年度までの震災復興基本計画によると、合併した旧7市町ごとに土地利用計画を策定する。市街地では、土地区画整理事業や再開発事業を進める。被災した市立病院は中心部へ移転し再建。津波が押し寄せた旧北上川河口部では、堤防も整備する。旧町の沿岸部の集落は高台への集団移転を図る。

 

 石巻港の臨海工業地帯では日本製紙石巻工場などが操業を再開したが、操業している事業所の販路は震災前の6~7割にとどまる。大小44の漁港と、隣接する水産加工工場の再建には液状化や地盤沈下の対策が必要だ。雄勝(おがつ)地区では、伝統工芸品「雄勝硯(すずり)」の後継者不足がさらに深刻になった。

 

 震災前に16万2822人(11年2月末)だった人口は、15万2775人(1月末)と1万人以上減少。市外への避難者も相当数いるとみられる。亀山紘市長は「インフラ整備はめどが立った。人口減少の対策については、早く住環境を整え、商店を再開し人を呼び戻すしかない」と話す。

 

 被災者の境遇は深刻だ。仮設住宅の水道管の凍結対策は後手に回った。修復した自宅などに住む在宅被災者の要望は拾い上げることすらできておらず、ボランティアと連携して調査している最中だ。自宅近くの仮設住宅で支援活動をする藤井美恵さん(52)は「市は道路や堤防の計画ばかり説明するが、いつまで仮設に住めばいいのか、みな不安に思っている。復興の実感がない」と話す。

 

 旧町役場などだった雄勝と北上の両総合支所は壊滅し、本庁舎も浸水した。被災者支援などが遅れ、旧市町ごとの連携に課題を残した。復興基本計画では「情報伝達や支援物資の連携で、本庁・総合支所間の連携が不十分な状況だった」と総括している。【熊谷豪、鈴木健太】

 

 ◆女川町

 

 ◇雇用求め920人流出

 

津波で壊滅的な被害を受けた女川町の中心部。横倒しのままになっている建物も残る=2月21日、近藤綾加撮影

 

 県漁協女川町支所などによると、漁を再開した組合員は約2割。ホタテやホヤの養殖を再開した木村義秋さん(59)は今夏の出荷を目指すが、福島第1原発事故もあって不安は尽きない。「船やいけすを失い、マイナスからのスタート。やりたくてもできない漁師も多い。一番怖いのは、(福島と同じ東北地方ということによる)風評被害だ」と語る。

 

 漁業とともに水産加工業も厳しい状態だ。約60社のうち営業を再開したのは約3割。港湾部の被害が大きい女川を離れ、石巻に移転する業者もいる。住民も雇用や住居を求め、1月末までに約920人が町外へ流出した。

 

 港に面した町の中心部には、積み上げられたがれきの山が約1キロにわたって連なり、総量は約44万トン(推定)に上る。町は「東京都の協力も得て、12年度中に処理を終えたい」としている。

 

 町は昨年9月、高台への集団移転を柱とする復興計画を策定。地盤かさ上げと盛り土により、震災と同程度の津波に襲われても浸水が3メートル以下となるような宅地を造成する方針で、18年度までの計画完了を目指す。

 

 須田善明町長は「中心部に行政などのコア(核)機能を設け、将来に残せるコンパクトな街を作りたい」と説明。「住民から基本的な方向性の同意は得られた」と話すが、土地の買い取り価格など不透明な部分は多く、住民の不安は消えていない。町は「震災の記憶を伝えたい」として、港湾部にメモリアル公園を整備する方針も示しているが、反対意見も根強い。【佐野格】

 

 ◆東松島市

 

 ◇ノリ養殖再開目指す

 

養殖したワカメの漁をする県漁協矢本支所の漁師=東松島市で2月21日

 

 11年から10年間の復興計画を昨年12月に策定。前半の5年を「復旧・復興期」と位置づけて集団移転やインフラ整備を進め、後半の「発展期」で魅力あるまちづくりを目指す。

 

 国から環境未来都市に選定されたことを足掛かりに、被害が甚大な野蒜(のびる)地区や大曲浜地区で公園や防災緑地を整備するほか、太陽光など再生可能エネルギーの施設を誘致。これにより新たな雇用を生み出し、15年後には市内の消費電力全てを自然エネルギーで賄うという。

 

 仮設住宅は1753戸建設されたが、現在も約50世帯が入居待ちをしている。集団移転計画も進むが、住民は不安な日々を送っている。グリーンタウンやもと(大塩緑ケ丘)の仮設住宅で暮らす主婦、三浦美枝子さん(37)は「また津波があるかと思うと、家のあった場所には戻れない。土地の買い上げもどうなるか不明で、動きようがない」と嘆く。

 

 市は、津波被害を受けた野蒜小学校など市内の小学校4校を2校に、中学校2校を1校に統廃合することを検討している。また、不通が続くJR仙石線について阿部秀保市長は「人口流出の要因になっている。一日も早い復旧を」と訴える。

 

 冠水した農地の5割は今年度中に除塩作業を終える見通し。漁業は、一部で特産のノリの養殖施設が被災したためワカメに切り替えていたが、今秋にはノリ養殖の再開を目指す。県漁協矢本支所の三浦正信委員長(58)は「ノリを製品として販売して、初めて復興したといえる」と力を込めた。【宗岡敬介】

 

 ◆松島町

 

 ◇団体観光客が激減

 

 日本三景の一つ「松島」で知られる国際的な観光の町。津波は湾内の島々にぶつかって威力が弱まり、犠牲者は2人にとどまった。だが、昨年の観光客数は前年に比べ130万人以上減の約220万人と大きな打撃を受けている。

 

 町産業観光課によると、修学旅行など団体客の落ち込みが著しいという。観光物産店を経営する相沢慶太郎さん(31)は「外国人客が訪れず、土産品の売り上げは昨年の10分の1ほど」と嘆く。

 

 町の復興には、観光業の立て直しが急務。被災したJR仙石線の復旧も課題だ。大橋健男町長は「松島を訪れる人を増やすことで、『東北の顔』として(東北全体の)復興にも貢献したい」と話す。【宗岡敬介】

 

 ◆塩釜市

 

 ◇街並み再生へ結束

 

 海に近いJR本塩釜駅そばの「海岸通商店街」。約40店舗のうち再開したのは10店足らずで、更地が目立つ。同商店街の店舗が加盟する商店会は再開発に向け、「まちづくり復興推進協議会」を設立した。会長に就任した眼鏡店経営の鈴木成久さん(47)は「結束の気持ちが強い今こそ、塩釜らしい街並みを再生したい」と言う。

 

 建物の解体申請が市全体で約2000棟と被害は大きかったが、復旧・復興の取り組みは他の沿岸自治体よりも比較的早かった。魚市場は震災1カ月で再開にこぎつけ、他の被災漁港の「受け皿」も担う。災害公営住宅の建設にもいち早く着手。復興特区制度の開始を受け、「観光特区」を独自に申請した。

 

 11年の観光客数は前年比35%減の150万人となったが、水族館などの誘致で巻き返しを図る。佐藤昭市長は「市民の目に見える形で復興の成果を示したい。使える制度はできる限り活用する」と強い意欲をにじませた。

2012年

3月

06日

宮城県「東日本大震災1年:宮城県の現状(その1) 都市部で復興特需」

東日本大震災1年:宮城県の現状(その1) 都市部の復興特需

津波が襲った仙台市若林区荒浜の海水浴場には犠牲者を悼む慰霊塔が建立されている=2月18日午後2時7分、瀬尾忠義撮影
津波が襲った仙台市若林区荒浜の海水浴場には犠牲者を悼む慰霊塔が建立されている=2月18日午後2時7分、瀬尾忠義撮影

毎日新聞120306】東日本大震災の被災地で最多の約9500人の死者を出し、今なお1700人余りが行方不明の宮城県。リアス式海岸の北部は点在する集落が津波に襲われ、南部の平野部は広範囲で浸水した。震災からまもなく1年、農業は徐々に復旧し、仙台市では復興特需も起きている。一方で、壊滅的な被害を受けた石巻市などでは、がれき処理も十分に進まず、復興の動きは鈍い。沿岸部の各自治体の今を追った。

 

 ◆利府町

 

 ◇住宅地拡大へ

 

 JR東北線が通るほか三陸道や東北道も利用できるなど交通の便がよく、仙台市のベッドタウンとして発展してきた。町が昨年12月に策定した震災復興計画の柱は「都市構造の再構築」。他の自治体と比べて被害が少なかったことから、土地区画整理事業を進めて住宅地や道路網を拡大する。鈴木勝雄町長は「転入者を受け入れるなどして、復興をけん引する」と力を込める。

 

 津波に襲われたものの、震災から20日余りで営業再開にこぎ着けた沿岸部のホテル「浦嶋荘」は、他の被災地へ向かうボランティアや応援の自治体職員が1日平均15人宿泊。こうした客に弁当を振る舞うなど、町と歩調を合わせて支援に回る。【竹田直人】

 

 ◆七ケ浜町

 

 ◇被災者面談2度実施

 

 最優先課題に掲げた住宅対策では、住民の意向を尊重しようと、全被災者への面談調査を2度実施した。その結果、集落のコミュニティーを大事にするため、町内6カ所の高台に計400戸超の集団移転を行うとともに、災害公営住宅200戸を建設する方針を決めた。集会所や公民館も整備して地域のつながりを守ろうと、住民と協議している。

 

 中核漁港だった吉田浜・花渕浜地区では、漁業、水産加工業、商業を兼ね備えた「6次産業」の拠点にする構想も進む。東北初の海水浴場として明治時代に整備された菖蒲田(しょうぶた)浜は、町民やボランティアの尽力で徐々に美しい白浜を取り戻しており、今夏の再開を目指す。

 

 三方を海に囲まれた半島に位置する。面積は東北最小、人口約2万人の小さな町は懸命に復興に向けて歩んでいる。渡辺善夫町長自身も津波で自宅を失ったが、「海と共生していかなければ我が町の存在意義はない」と話す。【渡辺豊】

 

 ◆多賀城市

 

 ◇「現地再建」計画

 

 ソニーをはじめとする企業が立地する。宮内地区はその象徴だが、空き地にはがれきの山が点在し被害の大きさを物語る。

 

 同市は海に面していないにもかかわらず、仙台塩釜港の内湾などから入り込んだ最大4・6メートルの津波が街を襲い、市域の約3分の1が浸水。死者・行方不明者は180人以上に上った。市内6カ所の仮設住宅で349世帯約700人が暮らし、市外で約770世帯が避難生活を送る。

 

 昨年12月には今後10年間の震災復興計画を策定した。高台などへの集団移転は行わず、地盤かさ上げによる「現地再建」と「多重防御」を掲げる。国立の研究拠点「地震・津波ミュージアム」構想も盛り込んだ。

 

 補正予算の編成は8回に及び、総額計238億円に上る復旧・復興事業を実施。工業などの主要産業は約5割が復帰した。菊地健次郎市長は災害時の非常食の製造などを念頭に「『減災』に関連した工場を誘致したい」と意欲を見せる。【影山哲也】

 

 ◆仙台市

 

 ◇県内外から9000人流入

 

 「具体的な移転に向け、市との話し合いを進めてはどうか」。2月24日、若林区の仮設住宅の集会所。186人が犠牲になった同区荒浜からの集団移転を目指す会社員、前之浜博さん(45)が集まった約20人に提案した。

 

 

 荒浜を含む沿岸部1213ヘクタールは昨年12月、「対策を講じても新たな津波被害を完全には防げない」として、集団移転の対象となる「災害危険区域」に指定された。対象は約2000世帯。反発も予想されたが、昨年11月発表の意識調査によると、区域内の計86%が「移転したい」「移転はやむを得ない」と判断していた。2月発表の調査では90%が「土地を売却したい」と答え、移転支持派は想定以上に増えている。荒浜にとどまることを望む住民の間には、「『区域指定で居住権を侵害された』として、市を相手取って行政訴訟を起こすべきだ」との声もくすぶるが、「事を荒立てても地域から理解されない」と自制を求める意見もあり揺れ動いている。

 

 内陸部の宅地でも地滑りなど4031件の被害があり、復旧が大きな課題だ。市は昨年11月、復旧工事費のうち100万円を超す金額の9割を助成すると発表。それでもめどが立たない3地区では、一部住民に集団移転を勧める方針だ。

 

 農林水産業の被害は734億円。被災した水田約1600ヘクタールは昨年末までに、ほぼがれき撤去が終わった。

 

 市全体でみると、津波被害を受けた県内外から9000人超が流入し、昨年11月には市制施行後初めて105万人を突破した。復興事業を見込む企業も競って進出している。オフィスの空室率は、昨年2月の20%から同12月には15%に改善。大型小売店の昨年10~12月の販売額は前年同期比9・6%増えた。

 

 阪神大震災で神戸市の経済が低迷したのとは対照的に、「復興バブル」と言われるほどのにぎわいだ。奥山恵美子市長は「復興需要はいつか途絶える。危機感を先取りし、産業を育てていきたい」と話している。【平元英治】

 

 ◆名取市

 

 ◇工業団地に5社進出

 

 住民の1割を超す667人が死亡し、壊滅した沿岸部の閖上(ゆりあげ)地区。行き交う大型トラックや重機の騒音が響く。一望できる小高い丘の日和山にのぼると、大量のがれきは撤去され、延々と続く更地が見えた。

 

 昨年10月に復興計画を策定。閖上地区については区画整理事業で再建することを盛り込んだ。約2100世帯が対象となり、同12月には住民ら15人による「閖上復興まちづくり推進協議会」が発足。月2回程度のペースで話し合いを重ね、早ければ年度内にも公営住宅の建設地など今後の土地利用について結論を出す予定だ。

 

 同様に壊滅的な被害を受けた下増田地区では、約170世帯を対象に防災集団移転事業を進める。今回と同規模の津波が発生した場合は危険だと判断されたほか、集団移転を求める地元住民の声にも後押しされて復興計画に加えられた。

 

 佐々木一十郎(いそお)市長は「今回の被害を教訓に、どんな災害が来ても命が守れるような町を作りたい」と意欲を見せる。

 

 産業も活気を取り戻しつつある。閖上漁港は昨年10月に漁が再開され、高級貝「アカガイ」が出荷された。今春には仮設の魚市場を再建する。さらに、内陸部にある愛島(めでしま)西部工業団地は震災の被害を免れたため企業からの問い合わせが相次ぎ、沿岸部で被災した企業も含め新たに5社が進出した。【須藤唯哉】

 

 ◆岩沼市

 

 ◇海岸沿いに避難用「丘」整備

 

 17年度までの7年間にわたる復興計画を昨年8月に策定した。被災した沿岸6地区の集団移転先を内陸部に造成する計画だ。ただ、被害が一部で済んだ蒲崎、新浜の両地区には、補修して住み続けている家が点在する。市は「将来にわたって安全な場所に集団移転を」と促すが、住民には土地への愛着や移転先で家を新築すると二重ローンを抱えることへの不安があるようだ。

 

 集団移転は住民の総意が要件。総意でなければ被災した土地は買い上げされないため、移転を希望する住民もやきもきしながら推移を見守っている。計画ではこのほか、防潮堤や江戸時代からの運河「貞山(ていざん)堀」、幹線市道をかさ上げする「三重の防御」で新たな津波被害を防ぐ。海岸沿いには、避難用に野球場大の「千年希望の丘」を整備する。

 

 農地は2年以内の除塩完了を目指すが、地盤沈下の影響もあって見通しは不確定だ。井口経明市長は「市に地盤沈下対策の経験や知識はない。国土保全は国の責任だ」と国主導での対策を求める。

 

 塩分が多い土地で育つ、糖度の高いトマトの栽培も始まった。大勢の従業員が解雇された沿岸部の工業団地では、操業再開で雇用も戻りつつあるという。【熊谷豪】

 

 ◆亘理町

 

 ◇イチゴ栽培を集約化

 

 昨年12月に策定した復興計画の基本は、既存の市街地や施設の活用だ。他の学校の空き教室を借りている町立の3校は、現地での再開を目指す。学校は津波発生時の避難所としても位置付け、非常用電源や備蓄倉庫などの整備も進める。

 

 一方、防潮堤を整備しても、今回と同様の津波が起きた場合に2メートル以上の浸水が想定される地域は、集団移転の対象となる「移転促進区域」に定めた。対象は約500世帯に上るが、斎藤邦男町長は「住居については、家族の中でさえ考え方が異なるほどの大きな問題」と、集団移転の難しさを説明する。

 

 県内一の収穫量を誇る特産のイチゴは、約270軒の農家の約9割が被災。今後は栽培の集約化により、再建を図る。具体的には、計76ヘクタールの大規模な農地を町内3カ所に造成。栽培方法として、塩害の被害を受けた土地でもビニールハウスを建設できる「高設栽培」を導入する方針だ。約120軒が参加する意思を示している。【成田有佳】

 

 ◆山元町

 

 ◇新駅軸に町づくり

 

 町内を走る大動脈のJR常磐線は今も不通で、坂元、山下両駅は駅舎も壊れたまま。町は昨年12月に策定した復興計画で常磐線を内陸に移し、新駅を軸に市街地を形成する方針を打ち出した。ただ、住民の反応は複雑だ。山下駅前で小売店と簡易郵便局を構える橋元伸一さん(51)は「ここで直す方が早く復旧するはず。移設するには時間がかかって町民の気持ちが離れてしまい、人が住まない町になる」と話す。

 

 町は今後の津波被害を防ぐため、沿岸部で▽建築禁止▽宅地のかさ上げ0・5メートル以上▽同1・5メートル以上--の3区域を設定した。集団移転を想定しているのは7地区1400戸。斎藤俊夫町長は「震災という窮地を乗り越え、新たな町づくりを進めたい」と話す。

 

 人口(1月末)は震災前(昨年2月末)に比べ14%減の1万4393人。ただ、町を離れても広報誌の郵送を希望する人が約3000人いる。町への愛着を持つ転出者を再び戻す政策が求められている。

2012年

3月

04日

岩手県「釜石市復興計画、全地区と合意 まちづくり本格化へ」

釜石市復興計画、全地区と合意 まちづくり本格化へ

岩手日報120305】釜石市と、東日本大震災の津波で大きな被害を受けた同市両石(りょういし)地区の住民は4日、集団移転を柱とする復興まちづくり計画に合意した。これで市は、被災した市内全21地区と合意。各地区の「青写真」が全てまとまり、震災から1年となる「3月11日」を前に、新たなまちづくりのスタートラインに立った。

 市役所で懇談会を開き、地区住民約80人が参加。集落の95%に当たる235戸が被災した同地区の復興計画について、市は海からの距離が200メートル以上の一帯に、盛り土で標高18メートルとなる住宅団地を整備して移転先とする計画を提示した。

 参加者から「東日本大震災クラスの津波で団地が浸水する恐れはないのか」と質問があり、市は「シミュレーションでは浸水しない」と回答。住民から合意を得た。

 今後は移転先で一戸建てを再建する人、公営住宅入居を希望する人の数を把握する意向調査を行い、並行して地権者との用地交渉などを進める。

2012年

3月

02日

岩手県「山田町が集団移転に着手 440戸対象の織笠地区で」

山田町が集団移転に着手 440戸対象の織笠地区で

【写真=地質を調査するボーリングマシンを一緒に動かす沼崎喜一町長(左)と小川忠男理事長】
【写真=地質を調査するボーリングマシンを一緒に動かす沼崎喜一町長(左)と小川忠男理事長】

岩手日報120303山田町が独立行政法人都市再生機構(UR)と協力して行う織笠地区の防災集団移転促進事業が2日、同町織笠の町有地で始まった。県によると、同移転促進事業の現場着手は県内で初めて。

 スタートしたのは、約440戸が移転対象の織笠地区の高台移転候補地の土質調査。先月15日に町がURに業務委託しており、3月末までに織笠小と山田中の間の候補地約13ヘクタールのうち5カ所で、移転先として適切かどうかを調べる。国の復興交付金事業の第1回申請可能額には調査費として約600万円が盛り込まれた。

 今後は住民の意向調査結果や地権者との交渉を行い、土地造成工事などに入る。2014年度内の一部住宅建設、17年度の事業完了を目指している。総事業費は概算で約87億円。

2012年

2月

15日

宮城県仙台市 「仙台・丘陵部被災宅地 松森陣ヶ原は集団移転 市方針」

仙台・丘陵部被災宅地 松森陣ヶ原は集団移転 市方針

河北新報120216】東日本大震災で地盤崩落や擁壁倒壊などが多発した仙台市丘陵部の宅地復旧をめぐり、市は15日までに、甚大な被害が生じた3地区のうち、泉区松森陣ケ原は集団移転、青葉区折立5丁目は公共事業による現地再建を進める方針を固めた。太白区緑ケ丘4丁目は、集団移転を視野に入れて検討している。丘陵部の宅地被害で集団移転が実施されれば初めてのケースとなる。

 陣ケ原地区(被災宅地11カ所)について、市宅地保全審議会の技術専門委員会は対策工法の基本方針で「地盤の将来的な安定性の確保は困難。集団移転などが、より適切な対処方法」との意見を付けており、住民の多くが移転を希望している状況も考慮した。国の防災集団移転促進事業の適用に向け、調整を進める。

 技術専門委は、折立地区(46カ所)も集団移転を含めた対策に言及しているが、市は1978年の宮城県沖地震でほとんど被害がなかった点や住民の意向も踏まえ、地滑り対策工事で宅地の安定化が図れると判断した。

 国の造成宅地滑動崩落緊急対策事業を利用して10月にも着工し、来年9月に工事を終えるスケジュールを想定している。

 緑ケ丘地区(117カ所)は、高い地下水位と緩い地盤の影響で、対策工法を施しても今回の震災クラスに耐え得る強度を確保するのは困難との見方が強まっている。

 市は、宅地審の見解や地盤調査結果などを基に、町内会や被災者グループを窓口にした会合を重ねながら、被災宅地の復旧策を練ってきた。今月中、下旬には3地区の建物・土地所有者ら約200人を対象に、今後の住まいの希望などについて意向調査を実施。今月末までに回答を取りまとめ、早ければ3月上旬に最終方針を決める。

2012年

2月

07日

千葉県 「津波・液状化対策強化を追加 千葉県震災復旧・復興指針」

津波・液状化対策強化を追加 千葉県震災復旧・震災指針

千葉日報120208】千葉県の災害復旧・復興本部は7日、今後の施策展開の方向性をまとめた「県震災復旧・復興指針」を策定した。被災市町村の意見や県地域防災計画の見直し方針などを踏まえ、9月に示した指針原案を見直し、津波や液状化対策の強化などを追加した。

 

 指針には、津波の浸水状況や「液状化しやすさマップ」の作成を追加したほか、災害に強い石油コンビナートの構築などについて加筆修正した。

2012年

2月

07日

宮城県 「復興投資額5年間で1.6兆円」

復興投資額5年間で1.6兆円

河北新報120208】「宮城県は7日、東日本大震災に伴う公共土木施設の復旧や新たなまちづくりなどで、2015年度までの5年間に必要な投資額が約1兆6000億円に上る見通しを明らかにした。県が同日までにまとめた県社会資本再生・復興計画緊急アクションプランで示した。

 県は20年度までの10年間の必要投資額を2兆6000億円と見込んでおり、約62%を前半の5年間に集中させる。年平均額は3000億円を超える規模となり、平時の予算額(約1000億円)の3倍以上となる。

 1兆6000億円の主な内訳は災害復旧事業が6380億円、津波減災施設の建設など復興関連事業が8670億円、港湾や土地区画整理など特別会計事業が470億円、インフラの維持管理、長寿命化などが460億円。

 本年度の公共土木施設の関連予算額は、震災に伴う補正を経て約3000億円に上った。9日発表する新年度当初予算案では、投資的経費を約4600億円計上。13年度には災害復旧事業がピークを迎え、予算額はさらに膨らむ見通し。

 アクションプランは、復興に向けた主要プロジェクトごとに3カ年と5カ年の目標を掲げた。まちづくりでは、防災集団移転を市町と連携して15年度までに完了させる方針を打ち出した。

 港湾関係では統合を目指す仙台塩釜、石巻、松島3港、気仙沼港などの復旧完了時期を13年度に設定。津波で崩壊した女川湾口防波堤は、15年度までに再整備を終える。

 復興道路に位置付けられている三陸自動車道では、利府中インターチェンジ(IC)-松島北IC間の4車線化完了を13年度までの目標とした。

 アクションプランは各市町村との調整を経て、3月上旬に決定される。

2012年

2月

06日

宮城県仙台市 「災害公営住宅800戸増 中心部・丘陵部に一戸建ても」

災害公営住宅800戸増 中心部・丘陵部に一戸建ても

河北新報120206】仙台市が、東日本大震災の被災者向けに整備する復興公営住宅(災害公営住宅)の供給目標戸数を当初より800戸増やし、2800戸とする方針を固めたことが5日、分かった。被災者の希望に応じ、一戸建てタイプも採用するほか、交通の利便性が高い市中心部、丘陵部の被災宅地の近隣で建設を進める。

 市は2013年度までを第1段階と位置付け、集合住宅の642戸を供給。第2段階の14年度はまず、一戸建ても含む1092戸を整備する。残りの1066戸は、12年度当初に実施する入居意向調査で各地区の希望状況を把握し、第2段階の計画戸数に上積みする。公募で買い取る民間物件数も設定する。

 建設場所は青葉区を中心に7地区増え、17地区となる。仮設住宅入居者や沿岸部の被災者への意向調査を参考に、上原市営住宅(青葉区愛子中央)の隣接地(予定30戸)、同区の通町(150戸)や霊屋下(40戸)などでも整備する。

 被災宅地の住民から、住宅再建の経済的負担の重さを訴える声が上がっていることを考慮して、青葉区折立地区に近い同区落合(163戸)、太白区緑ケ丘地区の近隣の同区芦の口(26戸)も加えた。仮設住宅となっている青葉区角五郎のNTT東日本社宅(48戸)は、14年度に土地と建物を買い取り、復興住宅にする方向で調整している。

 一戸建てタイプの戸数や建設地は未定。集団移転先への整備を基本に、被災者の意向も踏まえて決める。家賃は同規模の集合住宅より高くなる見通しで、年度内に家賃算定の方針をまとめる。

 復興住宅の募集方法や応募資格は、青葉区の北六番丁地区(12戸)が完成する12年度末より半年程度前に決める。

 復興住宅の整備事業費は約620億円で、復興交付金などを財源に見込んでいる。

2012年

2月

04日

宮城県仙台市 「「100万人の復興元年に」仙台市長施政方針」

「100万人の復興元年に」仙台市長施政方針

河北新報120204】奥山恵美子仙台市長が、市議会2月定例会で表明する2012年度施政方針の概要が固まった。「100万人の復興元年」と位置付け、「新たなふるさとづくり」「未来へつなぐ安全なまちづくり」「東北の元気づくり」を柱に2年目を迎える震災復興計画を加速させる。100億円規模の予算で「仙台経済ステップアッププラン」を展開。中国からの貸与が決まったジャイアントパンダの受け入れ準備に入る。

 新たなふるさとづくりは被災者の生活再建が主題。津波被害が出た沿岸部の集団移転、地滑りや地盤沈下が多発した丘陵部の宅地復旧を推進。被災者の生活設計相談や就労支援といったソフト面にも目配りする。

 安全なまちづくりでは、指定避難所に備蓄物資を増強し太陽光発電装置を配備する。地域防災リーダーの養成、防災教育の充実で仙台モデルの構築を目指す。津波防御の要となる県道塩釜亘理線のかさ上げ費用約10億円を当初予算に盛り込み、緊急輸送道路の整備も検討する。

 東北の元気づくりでは、大型経済施策で復興のけん引を図る。中心商店街対策として東北の観光と物産を集約する「東北復興交流パーク」を開設し、アーケードの一部の掛け替えに乗りだす。JR仙台駅東西自由通路の拡幅工事と併せ、駅周辺の装いを新たにする。

 復興特区制度の活用で、次世代エネルギー産業の誘致、農地の大規模化と6次産業化に力を入れる。「地域ビジネスマッチングセンター」(仮称)による地元企業の販路拡大にも取り組む。

 パンダは「東北の子どもに夢を与える復興のシンボル」とし、八木山動物公園(太白区)の再整備計画を見直す。復興事業で財政需要が膨らむため、現行の「行財政改革プラン2010」より踏み込んだ対策を吟味する。

2012年

2月

01日

岩手県 「国に復興特区申請 県」

国に復興特区申請 県

【写真】復興特区、復興交付金の申請書を井上事務局長(左)に提出する上野副知事
【写真】復興特区、復興交付金の申請書を井上事務局長(左)に提出する上野副知事

岩手日日120201】県は31日、東日本大震災からの復興に向け、「保健・医療・福祉」に関する復興特区の申請を国に対して行った。県全域に関する地域医療確保事業など3事業を盛り込んでいる。さらに、沿岸12市町村と共同で総額5464億円規模の復興交付金事業計画も提出。交付金に関しては今後4週間程度で交付可能額が通知される見込みで、通知を受け次第具体的事業に着手できるよう準備を進める。

 二つの申請については、同日開かれた県復興本部員会議で報告された上で、復興局長の上野善晴副知事らが盛岡市にある政府の復興対策本部現地対策本部を訪れ、井上明事務局長に申請書を手渡した。

 

 このうち、復興特区に関して県は「保健・医療・福祉」「まちづくり」「産業再生」「再生可能エネルギー」の4分野について申請を検討してきたが、準備が整った保健関係について先行して申請した。具体的には県全域を対象とした地域医療確保事業と、沿岸12市町村対象の薬局等整備事業、訪問リハビリテーション整備推進事業を掲げた。このうち地域医療確保では、医師不足に対応するため、医療機関に対する医療従事者の配置基準の特例を求めている。

 

 今後、他の分野についても準備が整い次第申請していく方針で、このうち産業再生は2月上旬の提出を予定。保健関係の認定までの期間は未定だが、県では早めの認定を求めていく。

 

 交付金に関しては、第1次分は同日が締め切りで、著しい被害を受けた地域の円滑、迅速な復興のために実施する必要がある事業について提出(2011~15年度)。県事業実施分は1410億円、市町村事業実施分は4053億円となった。主な県事業は、災害復興公営住宅の整備が755億円と半数以上を占め、道路整備が430億円、農用地区画整理が150億円と続く。市町村実施分は防災集団移転促進事業(高台移転)などが盛り込まれた。

 

 交付金事業計画については、このほかにも提出を検討した自治体があったといい、次回の提出期限とされる3月に向けてさらに検討を行う。

 

 上野副知事は「県としてそれぞれの市町村が早期の復興が図れるよう全面的に支援するが、復興特区と復興交付金は支援に向けて重要なツール。今後も国に一生懸命働き掛けて早期の実現を図っていく」と語っている。

県が国に計画申請 「医療特区」創設と復興交付金

【写真=井上明事務局長に復興推進計画を提出する上野善晴副知事(右)】
【写真=井上明事務局長に復興推進計画を提出する上野善晴副知事(右)】

岩手日報120201】県は31日、国の復興特区法に基づき、病院の医師や看護師の配置基準の緩和などを盛り込んだ「保健・医療・福祉特区」の創設を求める復興推進計画と、沿岸12市町村で総額5464億円に上るハード事業について手厚い補助を求める復興交付金事業計画の申請を国に行った。本県第1弾の申請で、国の審査を経て、年度内に特区認定と交付可能額の通知が行われる見通しだ。

 上野善晴副知事と12市町村の関係者が盛岡市の政府復興対策本部岩手現地対策本部を訪問。井上明事務局長に両計画書を手渡した。

 「医療特区」は2016年度までの間、県内全域の医療機関を対象に、前年度の患者数などに基づく医師や看護師の配置基準について通常の90%の緩和などを認め、深刻な医師不足の中で医療機関が柔軟に対応できる。介護施設でも同様の緩和措置が受けられる。

2012年

1月

31日

宮地県仙台市 「どうなる地域再建-仙台・集団移転をめぐって(上)荒浜の選択/生活見据え住民三様」

どうなる地域再建-仙台・集団移転をめぐって(上)荒浜の選択/生活見据え住民三様

河北新報120131】東日本大震災で津波被害を受けた沿岸部1214ヘクタールが災害危険区域に指定され、最大2000世帯が移転を迫られる仙台市。まちづくりの組織が結成され、集団移転に向けた準備が進む一方、移転先が決まらない地域や現地残留を望む住民もいる。地域の再建はどうなるのか。地元の動きを追った。(報道部・亀山貴裕、佐々木絵里香)

<自分たちの手で>

 「移転して良かったと思える街を自分たちの手でつくっていきたい」

 仙台市若林区のサンピア仙台で29日開かれた「荒浜移転まちづくり協議会」の設立総会。200世帯余りが参加し、仙台東部道路西側の荒井地区への集団移転を目指す新団体の代表に就いた末永薫さん(44)は総会後、決意を語った。

 市内で最初にまちづくり協議会ができた同区荒浜地区(約750世帯)は、住宅の大半を占める県道塩釜亘理線の東側一帯が危険区域。歴史ある集落だが、犠牲者186人という状況に住民の多くは移転の意志を固める。

 海が好きで約20年前に移住した末永さんもその一人。昨年6月、住民の生活再建を考える「荒浜復興まちづくり実行委員会」に入り、「移転分科会」ができるとメンバーの中心の一人になった。

 「避難所生活で、役所はこちらが動かないと何もしないと分かった。多くの住民が関わる形で移転を進めたい」と語る。

<「線引き再考を」>

 ただ、荒浜でも移転費用への不安や愛着の強さから、現地再建を望む住民もいる。もう一つの分科会「現地再建分科会」の住民だ。

 分科会長の二瓶寿浩さん(44)は、震災直前に建てた2世帯住宅を津波で失い、ローンだけが残った。「勝手に線引きして住民は移れ、というやり方は理解できない。津波の危険は分かるが、現行の支援制度では移転は困難だ」と二瓶さん。現地再建を可能にする線引きの見直しを求める。

 ただ、市は否定的だ。今月16日の分科会の会合に出席した市幹部は「荒浜は予想される津波の浸水深が2メートル超。安全を守る責任から、市として危険区域の再検討はしない」と要望をはねつけた。

 それでも、「盛り土で高台を造る選択肢もあるはず」と現地派の気持ちは収まらない。「危険区域指定は居住権の侵害だ」と行政訴訟もやむなしとの声さえ上がる。

 一方、農家を中心に「第三の道」を模索する動きも。当初、移転候補地になかった石場地区の農地への宅地造成で集団移転先の確保を目指す。住所は荒浜だが、盛り土する県道の西側にある。

 代表格の佐藤長良さん(75)は「農地に近い仙台東部道路の東側でなければ農業が続けられない。荒井では地価も高過ぎる」と説明する。

 佐藤さんら有志は既に地権者の理解を得て作った計画図を市に提出。実施中の住民意向調査で移転検討地区にも挙げた市の幹部も「前向きに捉えている」とし、移転実現の可能性が出てきた。

 震災さえなければ、迫られなかった住民の選択。今、荒浜の住宅跡地に黄色い旗とメッセージが書かれた看板が立つ。

 「荒浜の再生を心から願う。移転を希望するものも、住み続けることを希望するものもふるさと荒浜が大好きです」

2012年

1月

31日

宮城県仙台市 「災害危険区域指定取り消しを 仙台の住民、質問状提出へ」

災害危険区域指定取り消しを 仙台の住民、質問状提出へ

河北新報120131】東日本大震災で津波被害を受け、移転を前提とした「災害危険区域」に住宅地の大半が指定された仙台市若林区の荒浜地区で、現地再建を望む住民有志が31日までに、区域指定の判断などについて市に対し、公開質問状を出すことを決めた。今後の対応によっては、行政訴訟も視野に入れる。

 住民有志は、市が新築や増改築を禁止する区域指定について「憲法が保障する居住権の侵害に当たる。住民の生命を守る方法は移転以外にもある」と主張。質問状では区域指定などについて見直す余地があるかどうかなど、市の考えをただす。

 質問状は2月中に提出予定。回答次第では、住民の一部が区域指定の取り消しを求めて仙台地裁に行政訴訟を起こす方向で検討を進めている。

 質問状を提出する住民の一人、無職高梨哲彦さん(65)は「災害危険区域の指定解除を再三求めてきたが、市は全く聞く耳を持たない。市側の対応を見極めたい」と話している。

 これに対し、奥山恵美子市長は31日の定例会見で「でき得る防災の手だてを講じた上でも居住環境としては厳しいと判断し、危険区域を指定した。趣旨を理解してもらうよう話し合いを重ねていきたい」と述べた。

2012年

1月

30日

宮城県女川町 「女川再生へ独自の復興計画」

女川再生へ独自の復興計画

三陸河北新報120131】女川町の企業、団体などで組織する女川復興連絡協議会(高橋正典会長、30団体加盟)は30日、町と町議会に、独自にまとめた女川町復興計画を提出した。町が策定した復興計画を基に、商工業者が連携しながら復興を目指す法人「町づくり事業組合(仮称)」の設立や、冷凍冷蔵事業の共同事業化などを提案している。今後、実施時期などを明示した工程表作成などに取りかかる。

 復興計画は町民アンケート、専門家の助言などを参考にし、民間ができる復興への提言としてまとめた。「100年後も人々が住み残る、住み戻る、住み来る町」を理念に掲げ、産業面の復興を主眼に、生活再建などを提案している。

 商工業については、壊滅した中心街区(モール)について町が土地を買い上げるか収用し、モールの運営を「町づくり事業組合」が行う公設民営化を提案。飲食店など各種商店主、旅館などは事業組合から店舗、施設を借りて営業する。

 3~5年後の本格復興時、行政の支援がないと事業再開の資金調達が経営の障害となることから公設民営化とした。

 基幹産業の水産業は当面、漁業再開と魚市場を中心とした流通・加工の着実な再開を目指す。個々の企業にとって負担が大きくなる冷凍・冷蔵庫や、汚水処理プラントは共同、あるいは広域下水道などで進める。

 消費者ニーズに沿った食材の開発、食品の安全・安心をさらに高める情報公開を進めながら、女川ブランドの再確立も目指していく。

 観光面については観光協会を発展的に解散し、水産と商工が連携した観光産業の育成、インターネットショップ管理運営など、観光を一元的に管理するマリンステーション女川観光局事業組合(仮称)に改組する。

 高橋会長は「住居の高台移転はイメージできるが、産業再生の具体案は描けていない。町民が力を合わせ、産業を軸とした町の再生を進めていきたい」と話した。須田善明町長は「官民の協力で復興の歩みを強めたい」との考えを示した。

2012年

1月

30日

岩手県釜石市 「高台移転、来月にも着手 補正予算で前倒し」

高台移転、来月にも着手 補正予算で前倒し

河北新報120131】東日本大震災で被災した岩手県釜石市は30日、高台への集団移転事業について、早ければ2月中にも着手することを明らかにした。市は同日、高台移転で既に住民合意を得ている同市唐丹町花露辺地区の集団移転事業に関する調査や一部実施計画策定費2560万円を含む約2億2700万円の2011年度一般会計補正予算案を市議会臨時会に提出、可決された。

 高台移転事業は、国が実質全額負担する復興交付金事業の対象。被災自治体の交付金計画の国への申請は31日に行うが、交付額決定は2月になる見込み。このため市は「スピード感が必要」と、市の一般財源で前倒しし、年度内の早い時期に着手する方針を決めた。市によると、高台移転を予算化したのは、県内の被災市町村で第1号という。

 花露辺地区は68世帯のうち25世帯が津波で全半壊。うち12世帯が昨年12月、地区内での高台移転に合意した。

 補正予算で市は2月にも、移転事業の一環として新設する道路の測量、地質調査、補償調査を開始。高台に建設する公営住宅は、13年度までの完成を目指す。

2012年

1月

30日

宮城県 「復興交付金要求2000億円超 宮城県と22市町、第1弾分」

復興交付金要求2000億円超 宮城県と22市町、第1弾分

河北新報120131】宮城県と県内22市町が政府に第1弾として配分要求する「復興交付金」の総額が2000億円を超えることが30日、分かった。交付金の使途を示した事業計画を31日、政府の復興対策本部の宮城現地本部に提出し、年度内の交付決定を目指す。

 復興交付金は、被災自治体の防災集団移転や災害公営住宅整備、造成宅地滑動崩落緊急対策(地滑り対策)など40の基幹事業の実施費用に充てられるほか、関連する「効果促進事業」にも事業費相当額が交付される。

 県と22市町は基幹と効果促進を合わせ、500以上の事業実施を計画した。効果促進事業は検討作業が間に合わなかった自治体が多く、第1弾の事業計画では数十億円程度にとどまっている。

 2000億円超の要求額のうち、県事業は400億円前後。津波被害を後世に伝えるため、浸水した場所や高さを示す表示板を設置する「3.11伝承・減災プロジェクト」事業などに活用する。

 政府は復興交付金として2011年度第3次補正予算で1兆9000億円、12年度当初予算案で3600億円を確保した。事業計画の提出は31日でいったん締め切り、早ければ3月にも交付決定する。

2012年

1月

28日

茨城県北茨城市 「市の復興計画原案、大筋で了承 北茨城で住民説明スタート」

市の復興計画原案、大筋で了承 北茨城で住民説明スタート

【写真説明】北茨城市が開いた震災復興計画原案の住民説明会=同市大津町の大津公民館
【写真説明】北茨城市が開いた震災復興計画原案の住民説明会=同市大津町の大津公民館

茨城新聞120129】東日本大震災の津波で大きな被害を受けた北茨城市は28日、復興計画原案に対する住民説明会を始めた。初日は大津地区を対象に実施され、豊田稔市長は「どんなまちにしていくか、国と話をするための合意だけはしてほしい」と述べ、参加者は大筋で計画原案を了承した。29日には平潟、磯原両地区で実施する。

同市大津町の大津公民館で開かれたこの日の説明会には100人を超す住民らが参加。市は復興計画原案の基本的な考え方と、大津地区のまちづくり方針を説明した。

豊田市長は、高台への集合住宅建設や避難に利用できる道路整備などについて説明しつつ、大津地区は解体家屋が点在している現状を踏まえ、津波浸水区域全体を住宅の移転促進区域にするのは難しいとの考えを示した。

一方で、高台への集団移転に絡み、国が震災後に下落した地価に基づき購入するとしている土地の買い上げについて、豊田市長は「(震災前後の地価の差額は)市が将来のため市税を投入したい」との考えも示し、集団移転への理解を求めた。

豊田市長は国の2012年度3次補正予算に盛り込まれた震災復興交付金の申請期限が迫っていることから、計画原案への合意形成を図る必要性を強調。「異論もあろうが、ハードルを飛び越えてほしい」と訴えた。

参加者からは「現在地に残る住民のための土地利用計画を示してほしい」「津波を和らげるための植林を進めるべき」「やっとリフォームして住めるようになった。移転は考えられない」といった意見が出された。

計画原案は、現在実施中のパブリックコメントの意見も踏まえた上で、震災復興計画策定委員会が提言書を添えて来月10日に、豊田市長に答申する予定だ。

復興計画案説明会 おおむね理解示す

読売新聞120129】東日本大震災で大きな被害を受けた北茨城市は28日、同市大津町の大津町公民館で、策定中の震災復興計画案の説明会を開いた。計画案に盛り込まれた集団移転について、一部から「コミュニティー形成が不安」などの声も上がったが、出席者120人はおおむね理解を示した。市は平潟、磯原地区でも説明会を開き、住民の意見を計画に反映させる。

 

 豊田稔市長は「今後10年、20年の街づくりのため、忌憚(きたん)のない意見をお願いしたい」とあいさつ。高台に公営住宅を建設し、住民を集団移転させる計画についてメリットやデメリットを説明し、土地の買い上げは国の買い上げ価格の不足分を市が補償すると強調し、理解を求めた。出席者からは「移転は考えたくない」「今の土地に残る人のことも考えてほしい」などの要望が出た。

 

 計画案には、出席者の多くが拍手で賛同した。

2012年

1月

24日

宮城県仙台市 「次世代型都市「スマートシティ」 仙台・荒井東で事業構想」

次世代型都市「スマートシティ」 仙台・荒井東で事業構想

スマートシティー構想の本格的な検討が始まる仙台市若林区荒井東地区
スマートシティー構想の本格的な検討が始まる仙台市若林区荒井東地区

河北新報120124】日立製作所とNTTグループ4社は、東日本大震災の津波被災地の移転候補先になっている仙台市若林区荒井東地区で、環境負荷の小さい次世代型都市「スマートシティー」の実現に向けた検討を本格的に始める。地元の推進団体と連携し、2015年度開業予定の市地下鉄東西線の荒井駅(仮称)南側の区画整理事業用地内に、メガソーラー(大規模太陽光発電所)を設け、公的施設などに電気を供給する構想。地下鉄開業時をめどに実現したい考えだ。

 グループ4社はエネルギー事業などを手掛けるNTTファシリティーズ、NTT東日本、NTTドコモ、持ち株会社のNTT(いずれも東京)。

 

地元の推進団体は荒井東土地区画整理組合の関係者らでつくる「アライグリーンシティ構想委員会」で、元東北大大学院教授の建築家大村虔一氏が委員長を務める。仙台市や東北大も協力するほか、地元企業などにも参加を呼び掛ける。

 構想はメガソーラーのほか、ガスエンジンなどによるコージェネレーション(熱電併給)施設を整備し、電気や熱を地区内で賄うようにする。木質バイオマスの導入も検討する。総事業費は数百億円規模の見通しという。

 荒井東地区の区画整理事業は約34ヘクタールに1600戸の住宅が建つ計画。土地区画整理組合は病院などの誘致を目指しており、発電した電気を供給する。現行法では供給が認められていない一般家庭に供給する方策も探る。

 組合は震災前から大村氏の助言を受け、スマートシティーの可能性を検討。震災後、市沿岸部の津波被災地の移転候補先にもなり、災害に強いまちづくりを目指す構想が一気に具体化した。昨年秋には構想委員会を設立。呼び掛けに応じた日立、NTTグループと実現可能性の下交渉を重ねた。

 日立は「参加企業の得意分野を生かし、復興に貢献したい」と説明。NTTファシリティーズも「より良いまちづくりを進めたい」と言う。各社は今月25日、構想委員会と本格的な協議に入る。

 大村氏は「3月をめどに実現に向けた協力体制を構築したい。(メガソーラーなど)インフラ完成後の運営に、住民が参加する仕組みも検討していく」と話す。

 太陽光など再生可能エネルギーを活用するスマートシティー構想は、被災地などで検討が相次いでいる。宮城県内では三井物産などが東松島市で、トヨタ自動車グループが大衡村での実現を目指している。

2012年

1月

20日

福島県新地町 「被災宅地の買い取り価格、公示価格の8割超 新地町、集団移転で説明」

被災宅地の買い取り価格、公示価格の8割超 新地町、集団移転で説明」

毎日新聞120121】震災による津波被害で住民の集団移転を計画している新地町は、被災した宅地の買い取り価格を公示地価の8割超とすることを決め、20日開いた説明会で住民に伝えた。週明けから世帯ごとに相談会を開き、個別に算出した価格を示す。

 

 買い取り価格は、阪神大震災の事例などからはじき出し、復興による地価上昇も加味した。宅地は公示価格の80~84%、1平方メートル当たり約6500円~1万4000円になるという。農地は常磐自動車建設工事の買収価格の8割超とした。

 

 対象は、建築基準法に基づき昨年末に災害危険区域として指定した沿岸部の約380世帯。財源は国の防災集団移転促進事業の補助金などを充てる。

 

 計画では、大戸浜地区など高台4カ所を造成し、住宅団地を整備。今年中に用地買収と造成を始め、15年までに全世帯の住宅再建を目指す。住民は新たな住宅を取得するための借入金利子の支援などを受ける。

 

 町によると、岩手、宮城、福島の被災3県の自治体で、買い取り価格を示したのは初めて。担当者は「具体的な数字を示すことで、復興に向けた動きを着実にしたい」という。

 

 説明会は、3カ所で開催。町役場では住民80人余が出席し、自宅周辺の価格に質問が集中した。

2012年

1月

19日

福島県新地町 「宅地買い取り額決定 集団移転で新地町」

宅地買い取り額決定 集団移転で新地町

福島民友120120】東日本大震災による津波の被災住民の集団移転を計画する新地町は19日までに、移転対象となる宅地の買い取り額を公示地価の8割超とすることを決めた。1平方メートル当たり約6500~1万4000円となる見通し。1993(平成5)年の北海道南西沖地震や95年の阪神・淡路大震災の事例を基に、復興後の道路整備などによる地価の回復を上乗せして算出した。同町によると、高台移転などを計画する津波の被災自治体で買い取り価格を算出したのは岩手、宮城両県を含めて初めて。
 県内では、同町のほか、いわき、相馬、南相馬、広野4市町が津波被災地住民の集団移転を計画しているが、国や県は買い取り額の算定基準を示していない。新地町は、被災者の住宅再建資金となる買い取り額が決まらないことで、生活再建に向けた動きが鈍化しているとみて、他市町に先行して独自に買い取り額を算定。19日に算定方法などを町議会に説明、20日に住民説明会を開き、買い取り額を提示する。

2012年

1月

19日

岩手県山田町 「復興事業の一部を都市再生機構に委託」

河北新報120119】岩手県山田町は、町復興計画の高台移転事業の一部を都市再生機構(UR、横浜市)に業務委託した。復興事業を外部委託するのは被災した岩手、宮城、福島3県の自治体で初めて。
 町は昨年12月に策定した復興計画で沿岸部を7地区に分け、津波の被害を受けた地域の高台移転を盛り込んだ。土木工事の専門職員が3人しかいないため、切り土造成して住民を高台移転させる織笠地区の地質調査などを、URへ業務委託することにした。両者は17日に事業推進の覚書を締結した。
 町は、他の地区でも計画の進行状況に合わせてURに委託する。
 URは、昨年4月中旬から職員2人を山田町に派遣し、復興計画の策定を支援していた。

2012年

1月

17日

岩手県 「復興いわて三陸-漁業アンケートから(1)経営基盤/再編より復旧最優先

復興いわて三陸-漁業アンケートから(1)経営基盤/再編より復旧最優先

震災で経営難が表面化した大槌町漁協の仮事務所=16日、岩手県大槌町吉里吉里
震災で経営難が表面化した大槌町漁協の仮事務所=16日、岩手県大槌町吉里吉里

河北新報120117】東日本大震災の津波により、岩手の三陸沿岸では多くの漁船や養殖施設、魚市場などが流失し、漁業を基本とする沿岸地域の生活基盤は深く傷ついた。その再生には、水産物の水揚げ高の回復はもちろん、加工場などの再建や漁協の体質強化といった戦略的な取り組みが欠かせない。震災から10カ月。全漁協を対象に実施したアンケートを基に、岩手の水産業の復興に向けた課題を探る。(5回続き)

 

<11億円債務超過>
 岩手県には24もの漁協がある。その一つ、東日本大震災の津波で壊滅的被害を受けた大槌町漁協が13日、約11億円の債務

超過に陥り、現組合を「清算」し新組合で事業継続する方針を決めた。
 「年に約1億円ずつ借金を返してきた。東日本大震災で計画通りにいかなくなった」。漁協幹部は悔しさをにじませた。
 同漁協は約10年前から累積債務を抱え、2010年度から10年間の経営改善計画に着手したばかりだった。だが、震災で漁協事務所や魚市場などが流され、財務内容はさらに悪化。県や県漁連、メーンバンクの県信用漁協連合会は「返済の見込みはない」と判断し、組合の再出発を求めた。
 「選択の余地はなかった。これ以上、今の組合に融資してもどうにもならない状態だった」と県信漁連の幹部。債務を帳消しにし、事業を引き継ぐ新組合が国や県の復興事業の受け皿として再生する道筋を思い描く。

<震災で収入激減>
 県漁連は経営基盤強化を目指し、00年度から38あった漁協の段階的な合併に取り組んできた。だが、地域事情や漁協間の財務格差もあり、09年に24漁協になって以降、変化はない。
 再編が遅れる中で、震災が各漁協を襲った。河北新報社が行ったアンケートでは、10年度決算で、24漁協のうち、被害の少ない戸類家(洋野町)を除く23漁協で計約75億円の特別損失を計上。利益や内部留保で処理できず、次年度に繰り越した漁協もある。
 被害の大きい南部の漁協職員は「過去に累積赤字を苦労して黒字化したことはあったが、今回は収入が激減した。施設も復旧しなければならず、苦しい」と明かす。
 各漁協は本年度、経営効率化や不採算部門の解消を目指す今後10年間の事業計画を策定。大槌町漁協を除く23漁協は「漁協経営が成り立つ見通し」(県信漁連)とされる。

<補助制度充実へ>
 岩手では、秋サケに代表される定置網などの沿岸漁業とワカメやコンブ、カキ、ホタテといった養殖業の生産額(加工含む)が全体の8割を占め、経営は個人主体の小規模が中心。定置網や養殖棚、荷さばき場、製氷施設の整備など、漁協が水産業の振興に一定の役割を果たしてきた。
 多くの漁業関係者が将来的な漁協合併の必要性を認めながら「復旧が先」との空気が支配的だ。県は復興計画で「漁協を核とした水産業の再生」を掲げ、共同利用の船や養殖施設を一括整備する漁協に対し、国や市町村とともに独自の高率補助制度をつくるなど、漁協の手厚い保護を目指す。
 「担い手不足など構造的な問題はあるが、まずは震災前に戻すのが大切」と県団体指導課の大友宏司総括課長。「合併といった『器づくり』に時間をかける場合ではない」と話す。

2012年

1月

17日

宮城県 「被災土地価格の算定 宮城県も一括委託 沿岸15市町調査」

河北新報120118】宮城県は17日、東日本大震災で被災した沿岸部の土地の標準的な価格について、宮城県不動産鑑定士協会に評価を一括して委託し、算定する方針を決めた。評価期間は3月末までを予定。結果は復興事業の用地取得などに役立てる。
 県用地課によると、調査地点は、県の災害復旧事業や復興事業で用地取得が予定されている沿岸15市町から約100カ所を選定する。宅地や農地が中心になる見通し。
 被災した土地の一括評価は、復興事業に必要な土地の迅速な確保のため、適正価格を統一的な基準で定めるのが狙い。被災による影響を見極めるためには、不動産鑑定士による専門的な評価が必要と判断した。
 県は近く、県不動産鑑定士協会と契約を結ぶ。県に提出される不動産鑑定評価書は、県内の被災市町や鉄道、電力などの公共、公益事業者らでつくる「土地価格の情報連絡会議」で共有する。結果は公表しない方針。
 県用地課は「土地評価を一括して委託することで、公平性が確保される」と話している。
 不動産鑑定士協会による一括評価は、岩手県が16日、沿岸12市町の60カ所程度を対象に実施することを発表。東北地方整備局は土地価格に関する情報連絡部会を昨年12月に新設し、両県など関係機関による情報共有の方針を確認している。

2012年

1月

16日

岩手県 「被災土地を一括鑑定 県、適正地価を算定へ」

被災土地を一括鑑定 県、適正地価を算定へ

岩手日報120117】東日本大震災の被災地再開発や高台移転に伴う宅地買い取りに向け県は今月から、沿岸12市町村で土地の一括鑑定評価を行う。統一基準で適正な地価を算定し、自治体などが浸水した宅地や農地を買い取る際の基準にしてもらう。岩手、宮城、福島の被災3県で初の取り組みで、県不動産鑑定士協会に評価を委託し、3月末までに価格を算定する予定。沿岸では不動産価格の下落や投機による高騰が懸念されており、生活再建資金に悩む被災者の不安を緩和する考えだ。

 達増知事が16日の定例記者会見で示した。県土整備企画室によると、県不動産鑑定士協会に委託し宅地を中心に農地、高台移転予定地など各市町村5カ所程度、計約60カ所を調査。鑑定士のチームが、統一基準に基づき都市機能の喪失や危険度による減価要因、再開発に伴う上昇要因などを調べ評価書をまとめる。

 評価結果は各市町村とJRやNTTなど公益事業者で構成する土地価格の情報連絡会議で共有。被災者には各市町村を通じて通知する見通し。評価額は、県や市町村などが復興事業用地を買い取る際の基準となるほか、民間取引でも準用が見込まれる。

2012年

1月

13日

茨城県北茨城市 「固定資産税免税延長も 北茨城市復興計画で提言案」

固定資産税で免税案も 北茨城市復興計画で提言案

【写真説明】集合住宅建設や固定資産税減免の延長など提言をまとめた市震災復興計画策定委=北茨城市役所
【写真説明】集合住宅建設や固定資産税減免の延長など提言をまとめた市震災復興計画策定委=北茨城市役所

茨城新聞120114】北茨城市の震災復興計画策定委員会は13日、東日本大震災の避難者向け集合住宅の建設や、住宅が全半壊した市民を対象とした固定資産税の減免措置延長などを盛り込んだ復興計画の提言案をまとめた。今月末に住民説明会を開き、パブリックコメント(意見公募)を実施し、市民の意見を反映させた上で、来月10日に豊田稔市長に答申する。

集合住宅は、来年3月で入居期限が切れる雇用促進住宅などの避難者が対象。退去後の受け皿として、早期着工を要望する。建設場所や戸数などについては、住民への聞き取り調査を実施した上で決めるよう求める。

また、住宅が全半壊した被災者の固定資産税の減免措置について、本年度末までだった期限を一定期間延長するよう要請する方針。全壊家屋が続出した平潟、大津、磯原地区の被災者の税負担を軽減する。

ほかに市が2013年度の完成を目指す、新市立総合病院の防災対策の充実、防波堤や避難経路の整備などを盛り込んだ。雇用創出や観光振興策として道の駅や温泉施設を新設する計画も提案。

提言案は今月20日、市のホームページや市内の新聞折り込みチラシなどで公表される。28、29両日には平潟、大津町公民館、市庁舎内で住民説明会を開き、パブリックコメントを行う。

策定委は来月3日に、市民の意見を反映した提言をまとめ、同月10日に豊田市長に答申する。

2012年

1月

13日

宮城県 「震災復興費9千億円 宮城県新年度予算 「生活再建優先」」

震災復興費9千億円 宮城県新年度予算 「生活再建優先」

河北新報120114】宮城県議会は13日、予算特別委員会を開き、2012年度当初予算の編成方針を審議した。県は一般会計に計上する震災復興費に関し、閣議決定された政府の12年度当初予算案を踏まえると、9000億円程度になるとの見通しを明らかにした。
 村井嘉浩知事は12年度政策財政運営の基本方針を説明し、主要7政策のうち「被災者の生活再建と生活環境の確保」に最優先で取り組むと表明。「通常事業は復興効果を補完、増進するものだけ予算化する」と語った。
 今野純一総務部長は予算編成状況を報告。復興特別交付税など国の財政支援が決定し、一般会計の総額は昨年10月時点の見込み通り、11年度当初の2倍の1兆7000億円前後に達すると話した。県税は300億円減収となる見通し。
 質疑では、県総合計画「宮城の将来ビジョン」(07~16年度)に掲げる数値目標「県内総生産10兆円達成」に関し、議員が「震災後も10兆円に挑戦する姿勢は民意に合致しない。膨大な復興予算で達成しても誰も喜ばない」と見直しを迫った。
 村井知事は「08年秋のリーマン・ショックと大震災で、16年度の10兆円達成は厳しくなったが、富県宮城の推進は県政運営の基本理念であり、曲げずに進める」と目標を堅持する考えを示した。
 当初予算フレームによると、復興費のうち県震災復興計画を実現する事業費は422億円。復興費を除く通常ベースの予算規模は7968億円で、08年度以来、4年ぶりに7000億円台となる見込みで、実質は緊縮型予算になるとみられる。県議会の当初予算編成方針の審議はことしが3回目の試行実施となった。

2012年

1月

10日

福島県 「原町にエコ団地造成へ 県と南相馬市、被災者用200戸 24年度整備」

原町にエコ団地造成へ 県と南相馬市、被災者用200戸 24年度整備

福島民報120110】東日本大震災と東京電力福島第一原発事故を受け、県と南相馬市は平成24年度から、市内中心部に再生可能エネルギーを活用した県内初の「スマートコミュニティー」のモデル団地を造成する。原町区内の3カ所に合わせて約6ヘクタールの用地を確保し、津波などで家屋を失った住民に早ければ25年度中には計200戸分を提供する。団地内では太陽光や風力発電により各戸に電力を供給する予定で今後、国内で建設が加速するとみられるエコタウンの先進的な事例とする。

2012年

1月

10日

宮城県 「宅地復旧策、内陸は手薄 補助要件限定的、測量遅れ」

宅地復旧策、内陸は手薄 補助要件限定的、測量遅れ

仙台市が開催した宅地復旧説明会。参加者から不満が相次いだ=昨年12月17日、泉区役所
仙台市が開催した宅地復旧説明会。参加者から不満が相次いだ=昨年12月17日、泉区役所

河北新報120110】東日本大震災で地盤沈下や地割れが起きた造成宅地の復旧について、今なお多くの住民が悩みを抱える。国は「公共事業」として補助金を出す仕組みを新設し、独自策を展開する市町村もあるが、救済されない宅地も少なくないとみられる。支援の拡充に加え、きめ細かく相談に応じる態勢が求められている。
 宮城県富谷町とちの木。会社員佐藤さくらさん(58)の自宅は、西側の斜面下にある公園に向かって傾く。床にペンを置くと、ひとりでに転がっていく。
 「気持ち悪くなる。もう住めない」と佐藤さん。昨年3月に自宅を離れ、現在は家族3人で仙台市泉区のアパートで暮らす。
 調査の結果、宅地が約10センチ沈み、建物基礎部分の鉄筋に亀裂が入っている可能性があるという。
 国の補助事業は「被災家屋が5戸以上」など要件が限定されている。佐藤さん方の周辺に大きな被害は見当たらず、対象から漏れる恐れがある。だが、補修をすべて自前で手掛けると、支出は1000万円近くになるという。
 富谷町は、独自の住宅修繕支援金制度を創設したが、助成額は最大10万円にとどまる。「新たな支援策は現段階はない」と同町。「新たなローンを抱えるのは厳しい」と佐藤さんは頭を抱える。
 仙台市泉区加茂の女性(77)宅は、宅地斜面が崩れ家屋が傾く。宅地や建物の修繕費は2000万円近く掛かると見込まれる。
 女性宅には避難勧告も出ている。女性は「他に行く所がない。不安で仕方ない」と漏らす。
 女性宅周辺は、国の公共事業の「候補地」として仙台市が測量に入る予定だが、「国から測量の手続きが示されない。工事着手がいつになるか分からない」(市開発調整課)と見通しが立たない。
 仙台市は、津波被害を除く被災宅地約4000カ所の8割が国の事業対象になると見積もる。残り2割について、助成額上限1000万円の独自の支援対策を講じる。斜面の擁壁の復旧工事が中心で、家屋下の地盤補強や建物のジャッキアップなどは対象とならない。
 そのため先月17日に泉区役所で開かれた住民説明会では「不十分な救済策だ」と、不満の声が相次いだ。
 市の担当者は「助成制度を拡充するには財源が足らない。津波被災地の復旧だけでも支出は膨大だ。金融機関の無利子の融資制度なども活用してほしい」と話す。
 県の対応は市町村任せだ。「市町村には、復興事業に使える基金や交付金が、国や県からなされている。状況に応じた支援策を促したい」(県建築住宅課)。
 被災宅地の調査を行っているNPO法人リビングコンサルジェ(泉区)の江頭昌広代表理事は「宅地の支援策をまったく知らない被災者も多い。行政はきめ細かい情報発信が必要だ。県内どこでも同じように救済される仕組みも整えるべきだ」と指摘している。

2012年

1月

10日

宮城県東松島市 「集団移転跡地買い取り価格 震災前の3~20%減」

集団移転跡地買い取り価格 震災前の3~20%減

河北新報120111】宮城県東松島市は10日、東日本大震災で被害が大きかった市内7地区で進める集団移転の跡地買い取り価格について、震災前から約3~20%の減価を見込んでいることを明らかにした。再生可能エネルギーの発電所を誘致する市の構想で跡地活用に一定のめどが立ったことから、減価率が小幅に抑えられたとみられる。
 集団移転対象者にとって、土地の買い取り価格は最大の関心事の一つ。30~40%の減価を想定する仙台市などと比べ東松島市の減価率は小さく、集団移転を進めるほかの自治体の事業進行に影響を与える可能性もある。
 国の防災集団移転促進事業を活用した場合、市は買い取り価格を1平方メートル当たり6730円~2万500円と見込んだ。価格は、市の委託する不動産鑑定士が今月1日付で「目安」として算定。実際の買い取り価格は、契約時に正式決定する。
 同市は昨年12月、政府の環境未来都市に選ばれ、野蒜地区などへのメガソーラー(大規模太陽光発電所)など再生可能エネルギー施設の誘致に弾みがついた。他の浸水地域も公園用地などとして活用される見通しで、将来価値が織り込まれたとみられる。
 市の試算では、約260平方メートルの土地を持っていた住民が、集団移転に参加し同じ面積の宅地を借りて130平方メートルの自宅を再建した場合、生活再建支援金や市の利子補給などを活用すれば自己負担額は1000万円程度になる見込みという。
 市は10日、集団移転に関する地区別の住民説明会を開始した。2月下旬には集団移転対象地区の住民の個別面談を実施。住民アンケートなども踏まえ、年度内に移転戸数など具体的な事業計画を作成する。

2012年

1月

01日

岩手県 「県が4復興特区創設へ 産業再生を柱に国に申請」

県が4復興特区創設へ 産業再生を柱に国に申請

岩手日報120101】県は東日本大震災からの復興に向けて、新規立地企業の法人税が5年間免除となる「産業再生特区」を柱に、県内に四つの復興特区を創設する方向で検討に入った。特区の活用を希望する市町村と共同で復興推進計画を作成し、今月末にも国に申請する方針だ。国の特区制度は復興の起爆剤として注目されており、規制緩和や優遇税制などを通じ、企業誘致促進や地場産業振興に期待が高まる。

 県が創設を目指すのは「産業再生」のほか「再生可能エネルギー利用促進」「保健・医療・福祉」「復興まちづくり」の三つ。県は10の「岩手復興特区」の創設を掲げているが、重点4分野に再編し、先行して申請する。

 特に期待するのが産業再生。特区が認められれば新たに進出した企業の法人税が5年間免除されるほか、企業が被災者を雇用した場合に給与の10%を法人税額から控除される特例もある。さらに、設備投資費や研究開発費についても特別償却や税額控除などの有利な措置が受けられる。

 県は、特区の対象となる産業集積地域を沿岸12市町村に加え、北上川流域などの内陸自治体にも広げる考え。可能な限り広い範囲が認定されるよう国と調整を行う方針だ。

 被災地の復興に向けては産業再生による雇用の創出が鍵を握る。特区で県が想定するのは水産業や波及効果が大きい自動車関連などものづくり企業の振興で、有利な税制などをてこに企業誘致を積極的に展開する方針だ。

 また、再生可能エネルギー特区は小水力発電導入の手続きの簡素化、保健・医療・福祉特区は医療従事者の配置基準の緩和などを想定。優遇税制などを生かした新たな関連産業の誘致も目指す。復興まちづくり特区は都市計画の用途制限の緩和や手続きの簡素化などの特例が受けられる。

 ほかに「教育振興特区」と「国際科学技術研究特区」の二つも検討中。ただ、これらは国が想定する特例措置に入っていないため、特区として追加できるよう国と地方の協議会で提案する考えだ。

 県は昨年末、復興特区制度に関する事務を専門に担う部局横断の「復興特区プロジェクト・チーム」を設置、年明けから本格的な作業に着手する。今月上旬まで、内陸部を含めた全市町村に対して特区活用の意向調査を実施し、下旬から始まる申請に必要な復興推進計画を希望自治体と共同作成する方針だ。

 

 

 

 

2011年

12月

22日

宮城県 「5年間で公営1万2000戸 コミュニティ維持念頭に 県復興住宅計画」

5年間で公営1万2000戸 コミュニティ維持念頭に 県復興住宅計画

毎日新聞111223】県は22日、東日本大震災で住居を失った被災者が入居する復興住宅を巡り、20年度までの10年間の整備方針をまとめた「県復興住宅計画」を発表した。7万2000戸の整備が必要と試算し、15年度までに災害公営住宅を約1万2000戸整備する計画を明記。コミュニティーの維持を念頭に置いた集合住宅や、県産材を活用した木造住宅の整備を促進する方針も盛り込んだ。

 災害公営住宅については、12年度300戸▽13年度3100戸▽14年度4500戸▽15年度4100戸--で、5年間で計1万2000戸を整備する計画。市町から委託を受けて県が建設を支援するのは5000戸と想定している。

 震災前から少子高齢化が進んでいた沿岸部では震災でさらに人口流出が進むことが懸念されることから、集落維持の取り組みも明記。集合住宅などで高齢者らが共同生活を送る「コレクティブハウジング」や、集会所など多世代が暮らせる空間の整備を推進する方針も示した。

 それでも人口減少が進むと見込み、計画では将来的に復興住宅を福祉施設や民宿などに転用することも検討するとしている。入居者やNPOへの譲渡も視野に入れるという。【宇多川はるか】

2011年

12月

20日

宮城県石巻市 「中心街復興へ「街なか協」」

中心街復興へ「街なか協」

三陸河北新報111222】石巻中心市街地の復興に向け、新しいまちづくりを官民で目指す「コンパクトシティいしのまき・街なか創生協議会」(通称・街なか協議会)が20日発会した。持続可能な最先端モデルとなる石巻らしい景観・歴史・文化の薫るまちづくりを推進。まちづくりの提言などを通して新しい中心市街地の在り方を探り、今後懸念される人口減少、少子高齢化に対応していく。

 石巻商工会議所であった発会式には、中心市街地の復興整備に関与する地権者、大学教授や都市計画家の学識経験者、市、会議所、街づくりまんぼうの担当者ら約60人が出席した。会長には浅野亨・石巻商工会議所会頭が就き、事務局を街づくりまんぼう内に置いた。

 冒頭、発起人代表の西条允敏・街づくりまんぼう社長が「復興のまちづくりに向けて多くの人から賛同を得るアイデアを提案し、実行していきたい。皆さんの智恵を借りながら取り組みたい」とあいさつした。

 協議会の企画調整会議の中に、街並み、事業推進、ライフスタイルブランド化の3部会を組織。街並みは「石巻らしいデザイン」、事業推進は「街づくり事業手法の検討」、ブランド化部会は「地域の誇りを産業に」をテーマに取り組む。

 この中でもブランド化部会は「石巻の暮らしや地場産品の中から石巻らしさについて協議、発掘、磨き上げでクールなものとして全国、全世界へ発信する」(事務局)という役割も担う。

 浅野会長は「住んでいる人が本気にならないと、まちは絶対に良くならない。きょうは本気を示すスタートだ」と意欲を示した。

2011年

12月

13日

岩手県大槌町 「大槌町が復興計画最終案 防潮堤、3地区は現況高」

大槌町が復興計画最終案 防潮堤、3地区は現況高

岩手日報111214】大槌町は13日の町再生創造会議で、東日本大震災復興基本計画の最終案を示した。町内10地区から提案された復興計画案を全面的に受け入れ、小枕、赤浜地区の防潮堤の高さは県の方針(14・5メートル)と異なる現況6・4メートル、浪板地区も県方針(12・8メートル)に対して同4・5メートルのまま復旧。中心市街地は、盛り土など安全性を高めながら震災前と同じ町方地区とした。出席した委員から反論はなく、年内の基本計画策定に向けて大詰めを迎えた。

 小枕、赤浜地区は防潮堤の高さが6・4メートル、浪板地区は4・5メートル。大型防潮堤建設を目指す県方針とは異なり、地域復興協議会の意見通り高台移転による防災を基本とした。

 被災した中心市街地は県方針と同じ14・5メートルの防潮堤を建設し、山側に住宅や商店街を集約。防潮堤や河川堤防沿いを公園、緑地にして景観に配慮する。

 役場庁舎などの公共施設は、現在の役場仮庁舎付近に整備。小中一貫校は中心部北側にある大槌高付近に建設し、地域一帯を文教拠点とした。

 他地域では各地区の状況と防潮堤の高さに応じて、桜木町、花輪田、沢山、大ケ口地域は現位置での再建、小枕、伸松(のべまつ)、安渡(あんど)、吉里吉里地域は高台移転や盛り土した住宅地を形成する。

2011年

12月

11日

千葉県香取市 「液状化被害の住宅など 香取市が復興計画」

液状化被害住宅など 香取市が復興計画

東京新聞111211】香取市は、東日本大震災で受けた建物・液状化被害などからの完全復旧と再生を目指し、取り組むべき施策などをまとめた市災害復興計画を策定した。

 計画期間は二〇一一年度から七年間とし、一三年度までを「復旧・復興期」として都市基盤の再建に全力を注ぎ、その後を「新たな展開期」と位置付けている。

 復興に向けて緊急、優先的に取り組む重点課題として、被災者の生活再建、液状化被害を受けた建物の補修や再建築のための早急な調査などを挙げた。対応する事業として、住宅再建支援、高齢者や障害者の見守りなど三十八項目を示した。

 例えば液状化被害を受けた住宅再建では、修復方法などに関し市独自に調査を進め、相談を受け付ける。耐震改修を促進する助成も盛り込んだ。

 計画の推進、事業の実施にあたっては、国や県、市民、各種団体との連携を強化するとともに、庁内でも各部・課の連携を充実させて全庁的な実施体制を構築するとした。

 市内では震災により、約五千六百棟の建物が被害を受け、東京ドーム約七百五十個分相当の約三千五百ヘクタールで液状化現象が起きた。道路や河川、農業設備など公共施設の概算被害額は約二百億円。

2011年

12月

08日

宮城県 「宮城、60拠点漁港に集約 「水産業集積」整備を優先」

宮城、60拠点漁港に集約 「水産業集積」整備を優先

宮城県内漁港の再編方針
宮城県内漁港の再編方針

河北新報111209】宮城県は8日、東日本大震災で被害を受けた県内の142漁港について、拠点漁港60港と拠点以外の漁港に再編する方針を決めた。2013年度までに加工場や海産物の処理場を拠点港に集約する一方、それ以外の港は必要最小限の復旧に限定する。

<関連施設と一体>
 県内142漁港の再編方針は表の通り。気仙沼、志津川、石巻、女川、塩釜の県営主要5港は「水産業集積拠点漁港」に位置付け、他漁港より優先して整備。魚市場など流通施設や水産加工施設を漁港内に一体化させる。
 「沿岸拠点漁港」の55港は、被災市町の意見を反映させ、県営漁港と市町営漁港の一部を選んだ。沿岸漁業の生産性と効率性を高めるため、地域の拠点機能を持たせる。漁港ごとにあった加工場やカキ処理場などを集約。流通・直販機能を備え、6次産業化を視野に入れた整備を行う。
 拠点化以外の港は市町営の82港。港内のがれきを撤去し、防波堤や臨港道路、船をつなぐための岸壁を必要最小限で復旧させる。原則として新たな加工施設などは整備しないが、魚市場に陸送する水産物の水揚げは従来通り行う。

<機能分担目指す>
 本格的な復旧工事は、拠点港を最優先に実施する。年明けにも、主要5漁港と離島の沿岸拠点漁港の工事に着手。その後、他の沿岸拠点漁港を復旧させる。県は13年度までに復旧工事を終え、施設の集約化など新たな基盤整備に取り掛かる。
 拠点以外の漁港は、12年度以降、5年かけて順次復旧させる。
 今回の再編方針について、県は8日、県漁協の組合員らに説明した。
 漁港の復興をめぐり、村井嘉浩知事は震災直後の4月、「漁港を3分の1から5分の1に集約する」と表明。県の復興計画にも集約方針を盛り込んでおり、機能を漁港間で分担させて、拠点港に集中投資する姿勢を打ち出している。

<「限られた財源」>
 県は従来の漁港漁場整備長期計画に代わり、計画期間10年の地区計画を漁港ごとに策定し、来年3月までに水産庁に提出する。
 県農林水産部は「住民にとって地域の漁港は重要。県経済再生にも沿岸水産業復興は不可欠で、小さな港も基本的な機能は復活させる。限られた財源を投入し、水産県宮城の復活を目指したい」としている。

2011年

11月

30日

千葉県 「復興へ・・・芽吹く新産業 浦安再興・液状化との闘い(下)」

復興へ・・・芽吹く新産業 浦安復興・液状化との闘い(下)

研究者や市内企業を交えた復興の議論が始まった(24日、浦安市民プラザWave101)
研究者や市内企業を交えた復興の議論が始まった(24日、浦安市民プラザWave101)

日本経済新聞電子版111130

「危機を好機に」官民が知恵

 

「液状化被害でダウンした浦安のブランドイメージをどう回復させるか」。24日、新浦安駅前のビルで開かれた市の復興計画検討委員会の初会合。市関係者、学識者に加え、市内企業の代表者らも集まり意見を出した。

 

 市内のホテル関係者は「震災時はホテルも入浴など住民向けサービスに取り組んだ。災害時の企業の協力のあり方を計画に織り込んでほしい」と発言。会合に出席したオリエンタルランド幹部は「様々な意見を参考に企業として支援を考えたい」と話した。


空き家を民宿に

 東日本大震災からまもなく9カ月。液状化被害で沈滞ムードだった企業の中から新事業や協働の芽が生まれている。


 「ぜひ仕事のやり方を見直してください」。鉄鋼製品の加工・流通基地、浦安鉄鋼団地協同組合の会館に講師の声が響く。震災を機にスタートした事業継続計画(BCP)作りを支援する講習の一コマだ。約270の事業所を抱え、日本最大といわれる鉄鋼団地では全体の約8割が液状化被害に見舞われた。


 組合は被災を機に3つのプロジェクトチームを発足。勉強会などを通じて地震をはじめとする災害に備えるBCP作りを後押しする。復旧は進んではいるが、組合の清水範子理事長は「まだ工場の建て直しや廃業を検討しているところもあり、本格復旧はこれから」と話す。


 地域の中からも震災を機に新たな動きが出てきた。臨海部に近い入船地区では特定非営利活動法人(NPO法人)「好浦会」と明治大学による空き家活用の取り組みが始まった。家主の協力で東北などの被災者に使ってもらう民宿事業だ。


 料金は原則2泊3日で大人2000円。東北の被災地で告知し利用者を募る。岩手県釜石市在住の60代女性は夫や首都圏に住む孫と宿泊。「気分転換になった」と喜ぶ。入船地区は高齢化が進み空き家は今後増える見通し。好浦会代表の水野勝之明大教授は「人を呼び込み地域活性化につなげたい」と話す。


住民参加の映画

 人口減に直面している浦安市。震災の影響で2013年度までの3年で約100億円の減収を見込む。定住者呼び戻しに加え交流人口をいかに増やすかもカギだ。観光では東京ディズニーリゾートのある舞浜地区以外への誘客策の重みが増している。


 浦安商工会議所などは浦安を映画の街として売り込む下地作りを進める。第1弾が家族の絆をテーマに来年1月全国公開予定の映画「カルテット!」。震災以降も市内各所でロケを継続。エキストラも住民に協力してもらい完成にこぎ着けた。


 12月には市内の商業施設で先行公開し、映画にちなむコンサートも開く予定。商議所はロケ地を巡るツアー実施に向けた地図作りにも着手した。「観光などの柱になるように育てたい」と柳内光子会頭は力を込める。


 「企業や住民を交えた『オール浦安』の復興体制がようやくできてきた」(松崎秀樹浦安市長)。液状化のピンチをチャンスに変える知恵が官民双方に求められている。

2011年

11月

30日

仙台市復興計画決定

読売新聞111201】仙台市の震災復興計画が30日、市議会本会議で可決、成立した。津波被害を受けた沿岸地域からの集団移転を進めるとともに、地滑り被害が発生した丘陵部の宅地復旧など、防災、安全や生活基盤の再建に主眼を置いた。計画期間は2011~15年度の5年間。計画実施による総事業費は1兆500億円を見込む。市は今後、計画に盛り込まれた事業を具体化する実施計画を年度内に策定する。

 「100万人の復興プロジェクト」と題した復興計画には、地震や津波防災、住宅再建、農業の再生、エネルギー供給源の多様化などのプロジェクトを掲げた。

 津波被害を受けた市東部の沿岸地域については、海岸に高さ7・2メートルの防潮堤を整備。さらに、海岸に沿って伸びる県道塩釜亘理線などを6メートルかさ上げし、「第2の防波堤」としての役割を持たせる。その上で、県道より海側を中心とする地域を災害危険区域に指定。住宅の建設を禁止して、区域内の約2000世帯の集団移転を進める。

 集団移転では、独自の支援策も盛り込んだ。市有地に住宅を建設する場合、30~40年間、1000万円を限度に借地料を免除。移転対象地区以外から移転する場合にも、再建資金の借り入れ利子に対し、最長10年間助成金を支給する。

 地滑り被害を受けた宅地の復旧にも独自の支援を行う。国の補助対象外となった800世帯の宅地復旧に、工事費用のうち100万円を超える費用の9割を助成する。

 このほか、津波被害を受けた農地は、集約化や大規模化を推し進め、生産から販売までを農家自らが担う「6次産業化」を促進する。

 また、宮城野区の南蒲生浄化センターでは、東北大や筑波大とともに、藻類から炭化水素を取り出す実証実験に取り組み、生物を使って石油を生み出す夢のプロジェクトに乗り出す。大規模太陽光発電の誘致も推進。多様なエネルギー源の確保を目指すエコモデルタウン事業に取り組む。

 復興計画の決定を受け、奥山恵美子市長は「これから集団移転や宅地復旧の具体的な作業に移っていく。市民と二人三脚で、スピード感を持って取り組みたい」と述べた。

2011年

11月

29日

千葉県 「戸建て被害8000世帯 浦安再興・液状化との闘い(上)」

戸建て被害8000世帯 浦安再興・液状化との闘い(上)

液状化被害で傾いた家を補修する工事(千葉県浦安市)
液状化被害で傾いた家を補修する工事(千葉県浦安市)

日本経済新聞電子版111129

修復追いつかず「1年待ち」

 

 不動産業界がこぞって注目する東京都江東区の超高層マンション(地上52階建て、600戸)の第1期分譲が12月に始まる。東日本大震災後、初めて販売される湾岸の超高層物件。販売元の野村不動産は当初の5月を延期し、液状化対策や防災設備の拡充に取り組んだ。

 

マンション堅調

 モデルルームを見学した共働きの30代夫婦は「不安解消とはいかないが、利便性には代え難い」。坪(3.3平方メートル)単価約240万円で中心価格帯は5000万円台。震災前の周辺相場と比べた割安感もあり、モデルルームに約3000組が訪れた。「のど元過ぎれば……」との見方もあろうが、売り手の懸念はもっぱら雲行きの怪しい景気にあるようだ。


 湾岸物件の人気回復の兆しは浦安市のマンション事情からも読み取れる。地場の不動産会社、明和地所(浦安市)の今泉太爾社長によると、仲介取引の落ち込みは昨年の1割ほど。売却も「定年を機に古里へ戻るから」といった震災と関係のない理由がほとんどだ。マンションで目立った液状化被害が起きていないことが堅調な取引を支える。価格の下落幅は震災前の1割。その半分は景気の低迷要因との分析だ。


 だがマンションの堅調と裏腹に8000世帯以上の被害を出した戸建ての事情はよくない。相場はじわじわと下げ、景気要因を加えて2割落ち込んだ。傾いた家の暮らしで本人や家族に目まいや頭痛の変調が現れ、市外にマンションやアパートを借りる人が後を絶たない。分譲主の大手不動産会社に損害賠償を求める集団訴訟の動きもある。


 先例のない戸建て被害で住宅会社にすら正確な情報がなかった。一時は「修復にかかる費用は500万円以上」との話が一人歩き。だが工法によれば国や県、市の支援金で賄える「300万円程度」で修復できると分かって、二の足を踏んでいた人が修復に動く例が急増している。


若者目立つ転出

 明和地所では扱い件数の4割が倍額を払い、液状化対策効果が高い工法を選ぶ。どこの業者も注文をさばきれず「予約は1年待ち」との声もある。住宅街の工事現場では関西方面のナンバーを付けた応援業者のトラックも見かける。


 人口16万人の浦安市は臨海部を埋め立て、市域を拡大してきた。4~10月の人口は微減だが、7カ月連続で転出者が転入者を上回る「市政初の事態」(総務課)。20~30歳の傾向が顕著だ。「3年間」を掲げた市の復興計画の行方次第では成長路線の歩みを自ら止めかねない。


 地元の明海大を加えた産官学の街づくりが来春にも臨海部の新町地区で動き出す。分譲計画の見直しを迫られていた住宅会社が垣根を越えて協力。手持ちの用地を地盤改良し、太陽光発電などを整備する。松崎秀樹市長は「災害に強い街を目指す」と話す。


                    ◇

 

 調査委の中間報告を受けて、次の焦点は液状化対策などに移る。復興のつち音が聞こえ始めた町の姿、住民の表情を紹介する。

2011年

11月

23日

宮城県石巻市 「工学院大学の東日本震災支援「東北の美しい「村」再生プロジェクト」―復興住宅がまもなく竣工、11月23日に入村式」

工学院大学の東日本震災支援「美しい「村」再生プロジェクト」―復興住宅がまもなく竣工、11月23日に入村式

大学プレスセンター111110】工学院大学が東日本大震災支援として行なってきた、宮城県石巻市の恒久的復興住宅の完成が近づき、入村式が行われることとなった。11月23日(水)には、入村される被災者の皆様および関係者を招き、式典と住宅の内覧会を行う。

 

 工学院大学では工科系大学ならではのノウハウを活かし、東日本大震災の復興へのさまざまな取組みを実施。東日本大震災支援事業・工学院大学学園創立125周年記念事業の一つとして、「恒久復興住宅プロジェクト(K-engine Project)」を建築学部の後藤教授の主導のもと、鋭意進めてきた。

 このプロジェクトは、「仮設住宅と常設復興住宅のバランスのよい供給こそが被災者の生活再建と地域復興に必要」との信念のもと、被災地における応急的仮設住宅に替わる『恒久的復興住宅の建設』を主旨として発足した。大学が、被災地支援で復興住宅そのものの提供を行うことは他に例を見ないことで、自治体や業界関係者からも注目を集めている。

 これまで集中豪雨や台風上陸など、作業を妨げる困難も多々あったが、多くの方々からの支援と協力を得て、このたび被災者の方々の入居が可能となる状況にたどり着いた。

 11月23日(祝・水)には、現地にて入村式が執り行われる。当日は、後藤教授をはじめ入居予定の皆様、関係者が列席し、恒久復興住宅の内覧会も予定している。
 三陸の海を望む美しい景観の高台から、「村」再生の第2章が始まる。

◆石巻市北上町白浜復興住宅入村式 式典概要
【日時】
 2011年11月23日(水・祝)13時30分~15時00分  
 ※前日午後・当日午前中に現地にて取材を承ります
【場所】
 宮城県石巻市北上町大字十三浜字下山15-2
 ※宮城県石巻市北上町大字十三浜字下山45付近(カーナビ活用の場合)
【式典参加者】
 復興住宅の住居者(約20名)、土地所有者(熊谷産業株式会社)、工事会社(株式会社芽ぐみ等)、施主(学校法人工学院大学 理事長・学長)、CSR協力者、寄付金提供者、設計関係者、自治体関係者 など

2011年

11月

23日

宮城県石巻市 「復興住宅が一部完成 工学院大など石巻で建設」

復興住宅が一部完成 工学院大など石巻で建設

完成した復興住宅の室内を眺める入居予定者ら=23日、石巻市北上町十三浜
完成した復興住宅の室内を眺める入居予定者ら=23日、石巻市北上町十三浜

111124河北新報】東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県石巻市北上町十三浜に工学院大(東京)が地元企業グループなどと連携して建設した被災者用の復興住宅が一部完成し、引き渡し式が23日、現地で行われた。
 主に十三浜の白浜地区の住民が暮らす予定で、コミュニティーを保ちながら、集落再生を目指す。
 復興住宅の建設は、地元企業が無償貸与した高台の別荘予定地に、いずれも木造の平屋(43平方メートル)と2階建て(63平方メートル)の個人用計10棟、2階建ての高齢者らの共同利用住宅1棟(109平方メートル)を計画。事業費1億7000万円は大学が集めた寄付金を充てた。
 4棟が完成し、残り7棟も年内をめどに完成させる。個人用10棟は全て入居が決まり、白浜地区などの約40人が暮らす予定。賃貸料は平屋が月額2万円、2階建てが2万7000円となっている。
 23日は復興住宅の鍵の引き渡し式があった。家族5人で入居する漁業佐々木克弥さん(54)は「自宅近くに住めるのはうれしい。親戚の家を転々としながら暮らしていたので、心身ともに安心できる」と語った。
 復興住宅整備の責任者で、工学院大建築学部の後藤治教授(建築学)は「ここで集落の再生を手助けし、三陸の小さな漁村は小さな単位で立ち直れることを証明したい」と話した。

2011年

11月

10日

焦点/復興見据え新制限移行/宮城県の建築制限きょう解除

被災市街地復興推進地域に指定された石巻市の門脇町、南浜町地区=9日
被災市街地復興推進地域に指定された石巻市の門脇町、南浜町地区=9日

河北新報111110】東日本大震災の津波被害を受けた気仙沼市や名取市など、宮城県内の6市町の市街地を対象にした建築制限が10日、解除される。制限は被災地の乱開発を防ぐため、最大約1850ヘクタールにかけられた。対象となった自治体は解除後、街区の早期形成や危険地域への住宅建設禁止を盛り込んだ各市町の復興計画に基づき、新たな制限を継続させる方針だ。

◎5市町、推進地域選択/山元町は危険区域指定へ

<最大8ヵ月>
 県が建築基準法84条に基づく制限をかけたのは気仙沼市、東松島市、名取市、南三陸町、女川町、山元町。仮設の建築物や県が許可した建物以外、全ての建築行為を禁止した。人口が多く建築主事を置く石巻市は市の権限で制限をかけることができるため、区域を市独自で指定した。
 制限期間は災害発生日から最大2カ月だったが、震災後に特例法が制定され、最大8カ月まで延長可能になった。6市町のうち東松島市は10月31日に全面解除、5市町が11月10日まで延長した。

<石巻市先行>
 ただ石巻市は半島部の一部(94ヘクタール)で延長したものの、9月11日には市内3地区計約449ヘクタールの建築制限を解除。翌12日、解除地域を国の被災市街地復興特別措置法に基づく「被災市街地復興推進地域」に指定した。
 復興推進地域では2階建て以下、敷地面積300平方メートル未満でしか建物を建てられない。しかも区画整理などを見据え「容易に移転が可能なこと」という条件が付く。制限期間は2年間で、石巻市の場合、2013年3月11日までとなる。
 震災半年での地域指定は、国の事業の具体的な内容も財源も分からない段階での早いタイミング。石巻市は「街づくりを前向きに進める姿勢を早期に市民に示すとともに、政府に事業の具体化や財源確保を促す狙いがあった」(基盤整備課)と話す。
 復興特別措置法は阪神大震災を受け、1995年に制定された。神戸市などは石巻市と同様、建築制限から復興推進地域の指定に移行し、幹線道路や公園の位置などを決め、街区形成を進めた。
 東松島市も11月1日に復興推進地域を指定。山元町を除く4市町も同様の措置を取る。

<39条を適用>
 198ヘクタールが建築制限を受けた山元町は、解除後の11日から建築基準法39条に基づく町の「災害危険区域条例」によって、町の3分の1に当たる約1900ヘクタールを危険区域に指定し、住宅の建築を禁止する。危険区域は集団移転の対象地域だ。
 建築基準法の84条と39条はそもそも目的が異なる。84条は被災後の街づくりが目的であるのに対し、39条は住民の安全確保が主眼。岩手県は宮城県と異なり、39条による制限をかけている。
 山元町は39条による制限を活用する理由について「39条だと制限期間に限りがない。街づくりと同時並行で、危険区域への住宅建設を防ぐ必要があった」(震災復興推進課)と説明する。
 建築制限をかけていなかった仙台市も、山元町と同様に39条に基づく条例で建築制限する方向で調整している。

◎石巻・東松島、自宅再建急ぐ動き/被災者「くつろぎの場早く」/自治体「復興事業で移転要請も」

 先行して被災市街地復興推進地域に指定された石巻市や東松島市の一部地域では、住宅の新築や改築を計画する動きが出始めている。今後固まる街づくり事業の内容によっては、移転などを求められるリスクもあるが、さまざまな理由で再建を急ぐ被災者がいる。

 東松島市では11月1日付で、野蒜、大曲両地区の一部計163ヘクタールが復興推進地域に移行。津波で市内の自宅が全壊した男性(76)は、自分が所有する野蒜地区の畑を造成し、自宅を新築しようと決めた。
 震災前は妻(71)と長女(48)夫婦、孫2人との6人暮らしだったが、全員で入居できる住まいは見つからず、現在は市内のアパートで妻と2人暮らし。家族はばらばらだ。
 「移転を求められる不安はある。それでも一日も早く家を建て、家族6人のくつろぎの場所にしたい」と言う。
 既に2世帯住宅を建てる契約を工務店と結んだ。資金は自宅被害で出た共済金などを充てる。
 復興推進地域での建物の新築、改築などには、建築許可が必要で市町村を通じて申請する。
 東松島市は、申請を受け付ける際に「復興事業に支障がないかどうか判断し、支障が出る可能性があれば、相談させてもらう」(復興都市計画課)と言う。
 9月12日付で449ヘクタールを復興推進地域に指定した石巻市では9日現在、地域内での建築許可申請が5件あり、うち2件が許可された。
 市は「市民から申請の相談があれば、将来、道路などにかかって移転をお願いすることもあり得ると説明している」(基盤整備課)という。

2011年

10月

26日

岩手県 「被災者支援金の申請期間延長を 住宅再建めど立たず」

被災者支援金の申請期間延長を 住宅再建めど立たず

岩手日報111030】東日本大震災で甚大な被害を受けた陸前高田市など沿岸部で、被災者生活再建支援金(加算支援金)の申請期間の延長を求める声が上がっている。規定では災害発生から3年1カ月以内だが、住宅再建のめどは立たず、延長しなければ支援が受けられない。「住宅再建に7年以上かかる」と訴える被災者もおり、柔軟な対応が求められている。

 被災者生活再建支援金は、住宅被害の程度で支給される基礎支援金最高100万円と、住宅再建時に支給される加算支援金最高200万円。陸前高田市の申請状況は26日現在、基礎支援金の3485件に対し、加算支援金は227件と約15分の1にとどまる。

 同市では、防潮堤整備や浸水地域のかさ上げにより、住宅再建まで5年程度かかる地域も想定されている。震災復興計画素案の地区説明会でも延長を求める声が出ている。

 市内の仮設住宅で暮らす男性(74)は、被災した自宅のある同市気仙町でかさ上げが計画され、整備に5年程度かかる見通し。「5年で造成が終わっても、市内で一斉に家を建てるのだから業者も手が回らないだろう。最低でも7~10年に延長してもらわなければ大変だ」と訴える。

 多くの被災者が自宅再建の資金繰りに悩み、支援金が頼みの綱。市民生部の菅野直人部長は「復興に合わせて制度を見直してもらえるように県へ要望したい」と語る。

 ほかの地域の被災者も願いは切実だ。釜石市箱崎町の自宅が流された会社員の男性(65)は「再び家を建てたい気持ちはあるが、37カ月なんてとても間に合わない。高台移転となれば、まず5年はかかるだろう。われわれにとって200万円はとても大きい額なのに」と延長を切望する。

 大船渡市大船渡町の永沢仮設団地で暮らすパート従業員の女性(52)は津波で自宅が全壊。「行政には復興に向けた対応のスピードを上げてほしい。浸水した土地の利用方法が見えてこないと、次への動きが取りづらい」と注文を付ける。

 被災者生活再建支援法は、都道府県の判断で申請期間は延長できるとし、2000年の東京都の三宅島噴火では延長された。県復興局生活再建課の小野寺正徳再建資金担当課長は「状況に応じて延長が可能なので、国と協議したい」と語る。

 

【写真=今もがれきの山が広がる陸前高田市気仙町。住宅再建の見通しは立たず、住民から生活再建支援金の申請期間延長を求める声が上がる】

2011年

10月

21日

岩手県 「防潮堤「高ければ良いのか?」各地で議論」

防潮堤「高ければよいのか?」各地で議論

県がかさ上げする方針を決めた宮古市田老地区の防潮堤=9日、本社ヘリから、河合博司撮影
県がかさ上げする方針を決めた宮古市田老地区の防潮堤=9日、本社ヘリから、河合博司撮影

朝日新聞111021】県が14地区に整備する防潮堤の高さを20日に発表し、三陸沿岸の防潮堤の高さが出そろった。防潮堤は本当に高い方が良いのか――。防災とまちづくりの両立を目指すなか、各地で議論が広がっている。

    ◇

■「命を守るのは、防潮堤か?避難か?」宮古

 「これ以上、海が見えない三陸海岸にしてほしくない」。宮古市が7日に開いた復興計画の説明会。宮古商工会議所副会頭の寺崎勉・宮古ヤクルト販売社長(57)がかさ上げ反対の声を上げた。

 同社の社員は震災時、同市田老地区の国道で津波にさらわれた。高さ10メートルの防潮堤の陸側を並行して走る国道からは海がまったく見えず、犠牲になった。

 田老地区でも賛否が分かれる。商店経営の田中和七(わ・しち)さん(57)は「壊れない防潮堤なら賛成だ」。戦前に着工した陸側の防潮堤も「先祖が造ったまま残し、メモリアル的に使いたい」と話す。一方、海側の防潮堤だけに守られていた地区で家を流された主婦(59)は「防潮堤に何十億円もかけるより高台造成にお金を回してほしい。市も非居住区域にすると発表しているのにおかしい」。

 観光面への影響も懸念が出ている。中心商店街の自営業男性は「被災者のことを考えると言いにくいが、やみくもに高くすると弊害は大きい」と話す。

    ◇

■「すり鉢に暮らすのか」大槌

 大槌町でも住民が悩んでいる。住民主体で復興計画づくりを進める町の地域復興協議会。町では自宅付近から逃げずに亡くなった人が多く、男性が「堤防は何メートルでいいというものはない。安心感が避難につながらなかった」と話すと、別の男性も「防潮堤が視界をさえぎった」と主張した。

 一方、防潮堤を14・5メートルにすれば浸水がなくなると想定される地区の男性(39)は「子の将来や70歳代の両親を考えて移転しようか悩んでいたが、もうしばらく考えてみたい」。

 住民からは「すり鉢に入って生活するような圧迫感がある。百年に1回の災害に耐えるといっても、そもそもコンクリートは何年持つのか」との声もある。復興のイメージに「海の見える、つい散歩したくなる街」と掲げた碇川豊町長は「悩ましい問題だが、住民の知恵を待ちたい」と話す。

    ◇

■「観光地にふさわしい?」陸前高田

 市街地が壊滅した陸前高田市。市の復興計画案では名勝・高田松原と市街地を遮るように防潮堤が整備される。

 「これほどの防潮堤は観光地にふさわしいだろうか」。18日の市民説明会では防潮堤の高さや位置を疑問視する声も上がった。市側は「市街地を守るには一定の高さが必要。景観にも配慮する」と防潮堤の斜面への植樹を検討するとした。

 計画では、防潮堤の斜面は50メートル近く市街地にせり出す。漁師から「海岸へ行き来する際、防潮堤をどうやって通るのか」との質問も。市は津波の際に開閉作業が必要な門扉を原則として設けない方針だ。「斜面を車両でも上り下りできるようにしたい」

2011年

10月

18日

宮城県 「予期せぬ流れ、意外な大差 水産特区撤回請願不採択」

予期せぬ流れ、意外な大差 水産特区撤回請願不採択

記名投票で実施された「水産業復興特区」構想の撤回を求める請願の採決=18日、県議会
記名投票で実施された「水産業復興特区」構想の撤回を求める請願の採決=18日、県議会

河北新報111019】宮城県議会9月定例会は18日、「水産業復興特区」構想の撤回を求める請願を賛成少数で不採択とした。定数61(欠員1)の6割を占める最大会派「自民党・県民会議」は自主投票で臨み、議長を除く37人が採択6、不採択30、棄権1に割れた。採否は拮抗(きっこう)するとみられたが、結果は大差。議員を不採択へ動かしたのは、外から転がり込んだ意外な大義名分だった。
 自民会派の議論は6日に本格化した。会派総会で沿岸部議員が採択を求めたのに対し、内陸部議員は任期満了に伴う廃案か不採択を主張。双方は真っ向から対立した。
 県議選(11月4日告示、13日投票)を目前に控えた議員心理も交錯した。「漁協の願いを無視すれば沿岸部は選挙を戦えない」「採択は与党会派が村井嘉浩知事にノーを突き付けるのと同じ」
 会派幹部によると、産業経済委員会が採決を先送りした7日時点で、3分の1の議員が採否を決めかねていた。
 空気が一変したのは、3連休後の11日。共産党現職が県議選向けに作成したチラシが、会派議員の目に留まった。
 チラシに記されたのは、活動報告と数人の応援メッセージ。その中に、県漁協幹部が寄せた「親身になって話し合っていただいたのが共産党」という文面があり波紋を広げた。
 県漁協の上部団体の全漁連は自民党の強力な支持団体。漁協幹部の「共産寄り」とも取れる発言に、自民会派は神経をとがらせ、保留としていた議員も硬化した。
 沿岸部議員は12日、巻き返しに出た。知事に気兼ねする議員を取り込もうと、産経委の採決で特区構想を否定しない付帯意見を提案し「撤回請願をマイルドにする」(ベテラン)ことを狙った。実際、14日の産経委は付帯意見を添えた請願が賛成多数で採択された。
 それでも、会派内に芽生えた県漁協への不信感は一掃できず、多くの議員が不採択に回った。採択派は「チラシが大義名分にされてしまった」と悔しがった。
 18日の本会議。会派の2議員が両極に分かれて討論した。採択派の須田善明氏は「県漁協の合意がない以上、いったん撤回すべきだ」と主張。不採択派の安藤俊威氏は「合意を得るために協議を見守るべきだ」と強調した。結論は違えど、目指す方向は同じだった。
 会派の佐々木喜蔵会長は「水産業への思いは一緒だけに、採否の判断は感情面に左右された。合意形成が大事との指摘は会派の総意と言える。知事には重く受け止めてもらいたい」と語った。

◎民主系会派3人が方針に反旗/県議選後勢力維持に不安

 「水産業復興特区」構想の撤回を求める請願をめぐり、民主党系の第2会派「改革みやぎ」(11人)は、「採択」の方針で本会議に臨んだが、3人が不採択に回った。会派幹部は「知事側に懐柔されたとも受け取られかねない」と危機感を募らせ、県議選(11月4日告示、13日投票)後の勢力維持に不安定材料を残した。
 同会派は、本会議前の会派総会で「漁協や漁業者の現場サイドと県の意思疎通が欠けている」と県の姿勢をあらためて批判し、請願を採択する方針を確認した。「記名投票でもあり、それぞれの判断に任せる」(藤原範典会長)として会派拘束は掛けなかった。
 採決では民主党県連幹事長代理の菅原敏秋氏、無所属の袋正氏と菅間進氏の計3人が「特区の基本的な考え方には賛同できる」などと判断し、不採択の意思を示した。
 藤原会長は「それぞれの考えに従ったということだろう」と語る。別の議員は「会派拘束を掛け、会派としての立場を鮮明にすべきだった」と悔やむ。
 会派内には、民主党政権が水産業復興特区の実現に向けた関連法案を次期臨時国会に提出する方針であることを踏まえ、「政権与党の中央と地方で整合性がないのはおかしい」と会派の方針をいぶかる声もあった。
 ベテランの一人は「(民主党と無所属の議員が混在する)会派内のひずみが表面化したということ。県議選後は、これまで通りにはいかないのではないか」と会派流動化の可能性を示唆した。

2011年

10月

14日

宮城県 「水産特区の撤回請願を採択 宮城県議会産経委」

水産特区の撤回請願を採択 宮城県議会産経委

河北新報111015】宮城県議会9月定例会の産業経済委員会は14日、宮城県漁協が提出した県の「水産業復興特区」構想の撤回を求める請願を賛成多数で採択した。村井嘉浩知事が提唱した特区構想に議会が異を唱えた形だが、県政与党の最大会派「自民党・県民会議」内は賛否が割れており、18日に開かれる本会議での採否の行方は流動的だ。自民会派は自主投票で臨む方針。

 請願には「県と県漁協、漁業者で協議し、将来の水産業の在り方について合意形成に努めるよう求める」とする付帯意見が付けられた。
 委員会採決では中山耕一委員長を除く委員9人のうち、自民会派の2人と、いずれも県政野党で民主党系会派「改革みやぎ」の2人、社民党県議団、共産党県会議員団の各1人の計6人が採択に賛成した。反対した3人は全員自民会派だった。
 採決に先立ち、委員会には請願提出者の菊地伸悦県漁協会長が参考人として出席。「漁協が機関決定し、約1万4000人の署名簿も提出した」と述べ、あらためて採択を求める一方、「(復興に向けて)今後もろもろ県と話し合いをしなくてはならない」と県との連携の必要性も強調した。
 委員会終了後、中山委員長は取材に対し「視察や意見聴取を繰り返し、採否の判断材料を共有してきた。県と漁協の対立が解消した中で判断したかった」と話した。
 請願は今年6月に提出され、付託された経済産業委員会は6、7月の2回、「県と漁協の話し合いを見守るべきだ」と継続審査にしてきた。

2011年

9月

30日

宮城県 「JR仙石線東名-野蒜駅周辺 内陸に移設復旧へ」

JR仙石線東名-野蒜駅周辺 内陸に移設復旧へ

【写真】 仙石線や野蒜駅の復興方針を調整した会議
【写真】 仙石線や野蒜駅の復興方針を調整した会議

石巻日日新聞111001】JR仙石線・石巻線復興調整会議が9月30日、仙台第3合同庁舎で開かれ、津波により大きな被害を受けた東松島市の仙石線東名―野蒜駅間について、沿線自治体とJRの担当者が内陸部の丘陵地に線路や駅を移設する復旧方針に合意した。石巻線の不通区間である石巻―浦宿駅間(14・5キロ)は現ルートでの復旧となり、その先の終点女川駅は移設する。ただし、再開の時期や費用は今後の話し合いに持ち越された。
 仙石線のルート変更は、再開の見通しが立っていない高城町駅(松島町)―陸前小野駅(東松島市)の15・9キロのうち、東名―野蒜駅(1・6キロ)とその前後。現況から500メートルほど内陸の丘陵地に線路を引き、東名、野蒜駅を移す。
 同区間は2メートル以上の津波をかぶり、駅舎やレールに著しい被害を受けた。JRは安全確保ができないとの理由で、現ルートでの復旧を考えていない。
 人口流出やまちづくりへの影響を懸念する東松島市は、JRに早期の再開を要望。JR側は国による費用負担を求め、話し合いに折り合いがつかないまま。調整会議では事務局の東北運輸局鉄道局が、両者を仲介する形でルートの変更案を提示し、了承を得た。
 東松島市は野蒜地区で市街地の集団移転を構想しており、現在の市街地の背後にある丘陵地に新市街地を造成する考え。仙石線の変更ルート案は新たなまちづくりの構想に合わせたものになっている。ただし、現ルートでの早期復旧を望む住民もおり、東松島市は調整会議で、JRによる住民への説明や代替交通機関の充実を要望している。
 調整会議では今後、東松島市が12月にまとめる復興計画に間に合うよう具体的なルートを決め、運行再開までのスケジュールを策定する。用地の買収から造成、鉄道設備整備まで、運行の再開には少なくとも3年はかかる見通し。東名―野蒜駅間以外の不通区間は現行ルートのまま復旧させ、駅も生かす。
 一方の石巻線の不通区間は、地盤沈下による冠水被害が出ている万石浦沿いの護岸整備や排水対策を講じた上、浦宿駅まで早期に復旧させる方針。流失した女川駅は、安全な場所への移設を検討していく。

2011年

9月

29日

宮城県 「浸水地域での市街地形成 宮城知事「安全確認」なら許容」

浸水地域での市街地形成 宮城知事「安全確認」なら許容

河北新報110930】村井嘉浩宮城県知事は29日、県議会9月定例会本会議で、被災地の復興まちづくりに関し「津波で浸水した地域であっても、安全性が確認された場合、市街地の形成は許容できる」との考えを示した。
 県震災復興計画案は浸水地域から高台、内陸への移転を基本方針としているが、移転に難色を示す被災者は少なくなく、国の制度改正や財源措置の遅れで、自治体が二の足を踏むケースもある。
 村井知事は高台移転を「譲れない一線」と主張してきたが、防潮堤の強化や道路のかさ上げなどの対策を講じ、津波シミュレーションで安全と判断されれば、居住区として認める方針に転じた。
 小泉保環境生活部長は、女川原発(女川町、石巻市)について「福島第1原発事故を踏まえ、発電所内で発生した事象は幅広く、詳細に把握する必要性が認められた」として、東北電力に建屋内の全事象の報告を求める考えを明らかにした。
 河端章好経済商工観光部長は震災に伴う風評被害対策で、11月に首都圏へ大キャラバン隊を派遣し、食と観光の安全を訴えるほか、プロスポーツチームと連携したPR活動を行う考えを示した。
 また、みやぎ夢大使の俳優中村雅俊さん(女川町出身)の協力を得て、観光地の復興を訴えるメッセージはがきを全国に送る「おはがきプロジェクト」にも乗りだす。
 岡部敦保健福祉部長は被災者が仮設住宅として借り上げた民間賃貸住宅の家賃振り込みを加速させるため、職員をさらに増強し「臨時職員の採用も検討する」と述べた。
 質問したのは小野寺初正(公明党県議団)、本木忠一、佐々木征治(自民党・県民会議)、遊佐美由紀(改革みやぎ)の4氏。

2011年

9月

26日

岩手県 「新防潮堤は最大15.5M 県計画、震災の津波下回る」

新防潮堤は最大15.5M 県計画、震災の津波下回る

岩手日報110927】県は26日、東日本大震災の津波で被害を受けた本県沿岸部のうち、陸前高田市の広田湾や大槌町の大槌湾など10地域の新たな防潮堤の高さを公表した。全地域でこれまでの防潮堤以上となる最大9・7~15・5メートルで整備するが、洋野・久慈北海岸を除いて、今回の震災の津波の高さよりは低い設定となった。県は早いところは年度内に整備に着手、5年程度での再建・復旧を見込む。

 同日公表したのは▽洋野・久慈北海岸(洋野町平内地区、久慈市侍浜地区など)▽野田湾(野田村野田地区など)▽普代海岸(普代村宇留部地区など)▽田野畑海岸(田野畑村島越地区など)▽岩泉海岸(岩泉町小本地区など)▽宮古湾(宮古市宮古港地区など)▽山田湾(山田町山田地区など)▽大槌湾(大槌町大槌地区など)▽越喜来(おきらい)湾(大船渡市越喜来地区など)▽広田湾(陸前高田市高田地区)の10地域。

 再建・復旧する防潮堤の高さはそれぞれ最大で普代海岸が15・5メートル、大槌湾が14・5メートル、広田湾が12・5メートル、宮古湾が10・4メートルなど。洋野・久慈北、普代、田野畑の3海岸は被災前の堤防と同じ高さとし、それ以外の7地域は従来より1・4~8・1メートル高くなる。

 高さの設定に当たっては、1933(昭和8)年の昭和三陸大津波など数十年~百数十年に1度の頻度で発生する規模の津波を対象に設計。実際のデータに波のせり上がりや地盤沈下の影響を加味し、ある程度余裕を持って対応できる高さとした。

 一方、今回の震災による津波を上回る高さの防潮堤はゼロ。県は過去最大クラスの津波に耐える防潮堤の整備は費用などの面から非現実的としており、住民避難を軸とする施策を組み合わせた「多重防災」で対応する。

 ただ、15メートルの防潮堤整備を想定してきた陸前高田市など、一部の市町村では策定中の復興計画の見直しを迫られる可能性もある。

 県は、国や市町村と調整の上、県津波防災技術専門委(委員長・堺茂樹岩手大工学部長)で審議して高さを設定。残る14地域は10月中に公表する。

2011年

9月

19日

宮城県気仙沼市 「浸水程度で居住制限 気仙沼市復興計画案」

浸水程度で居住制限 気仙沼市復興計画案

河北新報110920】宮城県気仙沼市は19日、震災復興会議の第5回会合で復興計画案を示した。復興目標の第一に「津波死ゼロのまちづくり」を掲げ、悲劇を繰り返さないための防災・減災の基本的考え方を提示。沿岸域を計画高5.0~11.8メートルの防潮堤で囲い、数十年から百数十年に1度の津波に対応するとともに、職住分離を基本とする土地利用計画案を明らかにした。
 土地区画整理事業などを導入し面的整備を行う予定の鹿折・南町・魚町、南気仙沼の両地区などのゾーニング案=図=によると、浸水の深さによって居住を制限する低地ゾーンと、盛り土して住居地にするゾーンなどに分ける。
 鹿折地区は水産加工場などを湾に面した南側の低地ゾーンに集積。北側の盛り土ゾーンとの間に約140メートル幅の緩衝緑地帯を設け、防潮堤との二重防護式にした。大規模な津波の際は西の山側に避難する。
 旧来の商店街だった魚町・南町の低地ゾーンは、住居・商業の混在エリアとしたが、地元では景観上の問題などから内湾沿いに防潮堤を巡らすことへの異論もある。沿岸部を親水広場として居住を制限し、背後地をかさ上げし職住を分ける案も併記した。地元住民と協議し調整する。
 魚市場などを含む南気仙沼地区は、臨港地域の低地を産業エリアとし、加工場などを集積する。低層住宅の立地は制限する。南気仙沼駅を含む幸町周辺は盛り土し、住宅、小売店などの居住ゾーンとする。大川左岸の一部はスポーツ施設用地などのエリアとして緩衝帯・緑地とする。
 委員からは「水に漬かる低地で居住を認める場合は、耐浪性の高い建物にするなどの条件を付けるべきだ」「ゾーニングの決定は避難計画も考え詳細な検討が必要」「各地域が独自に考えているプランを計画決定までに検討してほしい」などの意見が出された。
 復興会議は30日の次回会合で計画を決定する見通しだが、詳細なゾーニングは、市が被災市街地復興推進地域の指定をする11月に最終決定されるという。

2011年

9月

16日

宮城県 「自治体復興でコンサル-野村総研、被災地に提案」

自治体復興でコンサル-野村総研、被災地に提案

朝日新聞110916】野村総合研究所(NRI)などのシンクタンクが東日本大震災で被災した自治体へのコンサルティング活動を積極化する。自治体にとって復興計画の策定は震災から本格的に立ち直る第一歩。だが、計画をすべて自力で策定し、実行する余裕がない自治体もある。そこに商機を見いだし、シンクタンクとしてのノウハウ蓄積と、宮城県をはじめとして復興を提言してきたことを生かそうとしている。(戸村智幸)

 

 NRIは4月中旬に震災復興計画の策定を無償支援することで宮城県と合意した。3月15日に立ち上げた「震災復興支援プロジェクト」のメンバーが中心になり、宮城県に数人のコンサルタントを常駐させ、「時代の変化に対応した未来志向の復興計画」(山田澤明監査役)を目指した。

 

 宮城県は農林水産業や製造業など甚大な被害を受けた産業再生に加え、少子高齢化など以前からの課題への対策を打ち出すなど、先進的な地域への再構築に向けた復興計画案を8月26日に公表。目標期間を10年間に設定し、復旧期の3年間、再生期の4年間、発展期の3年間に区切った。震災から復旧するだけでなく、新しい宮城県に生まれ変わる決意を込めている。

 

 NRIは災害対策や老朽化した社会インフラのITを活用した再設計などについて以前から提言しており、そのノウハウを提供。また、震災復興支援プロジェクトチームが4月上旬、産業再生や雇用の確保・創出、防災対策など複数のテーマに分けて提言した内容を生かした。NRIの嶋本正社長は「事務局のまとめ役でいわゆる裏方」とし、復興計画案の公表で一段落ついたと達成感をにじませる。

 

 宮城県の次にNRIが狙いを定めるのは被災した市町村。同社のコンサルタントは自治体を回って聞き取りやアドバイスをしている。嶋本社長は「自治体に予算が付いて復興計画を実行に移そうとするとき、我々がコンサルティングという形で支援できる」とし、有償で復興計画を策定する商機ととらえる。

 

 東日本大震災から半年が過ぎ、自治体は長期的な視野で復興に乗り出そうとしている。市町村の職員や地元企業などその地域に根付いた人材が復興計画の中心にいることはもちろんだが、外部の視点を採り入れることで、その地域特有の課題の解決策が見えることもある。シンクタンクが持つ構想力や知見が自治体の復興計画の実効性を高めると期待される。

2011年

9月

15日

宮城県仙台市 「県道塩釜亘理線の東側など災害危険区域に 仙台市方針」

県道塩釜亘理線の東側など災害危険区域に 仙台市方針

河北新報110916】仙台市は15日、震災で津波被害を受けた東部沿岸地域について、宮城野、若林両区の海岸沿いを南北に走る県道塩釜亘理線の東側を住宅の新築や増改築ができない「災害危険区域」に指定し、集団移転を進める方針を固めた。16日に開催される市の震災復興検討会議で協議する。
 指定区域は、塩釜亘理線の東側全域と、西側のうち今回と同規模の津波が襲来した場合に深さ2メートル以上の浸水が予想される若林区井土、種次の一部の計約1500ヘクタールを想定する。宮城野区の白鳥団地も深さ2~4メートルの浸水が見込まれる地区があり、新築や増改築の際には2階建て以上とするなどの緩やかな建築制限を設ける見通し。
 移転対象は、最大約2400世帯。移転先は、これまで示してきた若林区の荒井(地下鉄東西線駅周辺)と下飯田、宮城野区田子の3地区に加え、地元から要望がある宮城野区岡田地区の塩釜亘理線西側や、若林区荒井の仙台東部道路東側なども候補にする。
 市は沿岸地域の減災に向けて、東北大や米IBMと「津波浸水シミュレーション」を共同開発している。その過程で国と県がそれぞれ整備する堤防に加え、塩釜亘理線を盛り土で6メートルかさ上げし、「二線堤」とすることで内陸部の浸水被害を軽減できることが分かり、検討を進めていた。
 国の防災集団移転促進事業を活用する方針で、現行制度では10戸以上の移転が条件。市が用意した土地を被災者が買ったり、賃借したりして自費で住宅を建てる。建設費借入金の利子補給や、移転費用の補助がある一方、被災地の地価は大幅に下落しており、市は要件緩和や補助増額などの救済策を国に求めている。
 市は24日から宮城野、若林両区沿岸部の28町内会を対象に、まちづくりの検討状況を報告する地元説明会を開き、今後の対応を話し合う。

2011年

9月

13日

福島県 「県復興計画、年内にも」

県復興計画、年内にも

朝日新聞110913】●除染支援など軸/検討委

 「原子力に頼らない社会づくり」を具体化するため、県復興計画検討委員会の初会合が12日、福島市で開かれた。市町村の除染の支援や、子ども・若者の育成、産業集積など主要7政策を軸に話し合い、年内の決定を目指す。

 検討委の会長には知事の指名により、「脱原発」の県復興ビジョンをまとめた鈴木浩・福島大名誉教授(建築学)が就任した。

 鈴木氏は初会合で「経済低迷、政治的混迷、社会的不安のなかで震災、原発事故が起きた。県外への避難もいまだに増えている」と厳しい状況が続いている認識を提示。復興させるには、財源確保の問題や現行の規制で実現が難しそうな政策も積極的に計画に盛り込み、政府と県が設置した「福島復興再生協議会」を通じて、国に強く実現を要求する方針を打ち出した。

 検討委は経済、医療、福祉、教育、自治体、大学などの代表や有識者ら計23人で構成。計画づくりには各市町村の復興計画も参考にするため、いわき市、相馬市、富岡町、矢吹町、飯舘村の5首長が特別委員に選ばれた。

 今後は復興ビジョンに盛られた七つの課題に沿い、3分科会で具体的な政策を話し合う=表。計画の取りまとめまでには一般からの意見募集(パブリックコメント)のほか、県民を交えた「地域懇談会」や経済団体との意見交換会も開かれる。また若者の意見も反映させるため、県は高校生からのアンケート実施も予定している。

 ただ、県が示した日程では、計画決定の12月下旬までに、分科会も全体会合も各2回しか開催されない。このため「2回だけの議論で我々の責任が果たせるのか疑問だ」(星北斗・県医師会常任理事)との意見が挙がった。県は会合の回数を再検討するという。(大月規義)

2011年

9月

11日

被災3県、復興計画急ぐ 震災から半年

河北新報110911】東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城、岩手、福島3県は、復興計画を策定し、生活基盤の再構築、産業の再興などを目指す。県議会9月定例会に計画案を出す宮城、既に計画を策定した岩手両県は津波の再来に備えた減災対策を盛り込んだほか、漁業の拠点を整備する。福島第1原発事故の収束のめどが立たない福島県は年内の策定を見込む。復興ビジョンに「脱原発」を掲げ、自然エネルギーによる産業振興を図る。

◎宮城 漁業拠点集約化へ/宅地移転、堤防強化 9月定例会提出

 宮城県は15日開会の県議会9月定例会に県震災復興計画案を提出する。「壊滅的被害からの復興モデル構築」を基本理念に掲げ、エコタウン形成や漁業拠点の集約再編を明記。津波避難タワーの建設など342の復旧・復興事業を盛り込んだ。
 復興期間は2020年度までの10年間。「復旧期」(3年)「再生期」(4年)「発展期」(3年)に区分し、段階的に復興事業に取り組む。
 まちづくりは、住宅や公共施設の「高台移転」と「職住分離」、沿岸の道路や鉄道を盛り土構造に変え、堤防機能を持たせる「多重防御」の3本柱で津波再来に備える。
 気仙沼市など三陸地域は高台移転と職住分離を基本に据え、港に津波避難ビルを整備する。名取市など仙台湾南部地域は多重防御を図り、住宅地は内陸側へ移転する。石巻・松島地域は高台移転と多重防御を併用する。
 壊滅的被害を受けた水産業復興は142漁港を3分の1程度に集約し、背後地に水産関連産業を集積させて拠点化する。沿岸漁業の漁業権を法人にも与える「水産業復興特区」構想の検討も進め、13年度以降の導入を目指す。
 被災した農地は「水稲団地」「野菜団地」などに集約し、生産の大規模化を図る。地盤沈下などで復旧困難な農地は緩衝地帯「千年希望の杜国営公園」として整備する。
 エコタウン形成では、復興住宅の全戸に太陽光発電設備を設置する。燃料電池や蓄電池を導入した「省エネ住宅」の普及も促し、再生可能エネルギーの比重を高める。
 福島第1原発事故の長期化を予想し、農水産物の放射能検査体制を強化する。東北電力女川原発(女川町、石巻市)周辺の監視態勢や県の原子力災害対応も再構築する。
 大震災の教訓を後世に語り継ぐため、津波災害の記録や研究、学習を行う「震災・津波博物館」を核とした「東日本大震災メモリアルパーク」の整備を国に提言する。
 復興計画を確実に実行するため、財源確保では「災害対策税」創設を求めた。法人税の10年間免除、集団移転の補助率引き上げなど8分野で規制緩和を図る「東日本復興特区」創設も提言した。

◎岩手 生活基盤を再構築/策定済み 三陸鉄道復旧も推進

 岩手県の復興基本計画は、計画案が6月7日に公表され、8月11日の県議会8月臨時会で原案通り可決された。
 2011~18年度の8年間が対象。復興に向けた原則やグランドデザインを示し、個々の事業や工程表は復興実施計画を策定し具体化した。
 基本計画は「安全の確保」「暮らしの再建」「なりわいの再生」を3原則とし、防災のまちづくりや生活・雇用、経済産業など10分野で計273の取り組むべき項目を掲げた。
 まちづくりでは、海岸保全施設とソフト対策を組み合わせた「減災」の考え方に基づき、復興モデルを提示。津波対策の方向性として「おおむね百数十年程度で起こりえる津波の高さを海岸保全施設の整備目標とする」と明記した。
 8年間の計画期間は3期に分け、第1期「基盤復興期間」(3年)、2期「本格復興期間」(3年)、3期「さらなる展開への連結期間」(2年)とし、それぞれの実施計画を策定する。
 このうち第1期の実施計画は8月2日に公表された。それによると、11~13年度で早期に着手する地域づくりや雇用、産業の再生などの事業354項目を列挙。被災した県立学校や特別支援学校など計73校の正常化や三陸鉄道の不通区間の復旧、県が代行するがれき約380万トンの撤去は13年度までに実施する。
 被災者向け公営住宅は16年度、三陸縦貫自動車道の整備は18年度までを見込む。漁業では13年度までに共同利用の漁船6152隻と定置網108基を導入し、水産加工処理施設148カ所などを整備する。

◎福島 年内策定 脱原発探る

 福島県は8月11日の県復旧・復興本部会議で、基本理念に「原子力に依存しない、安全・安心で持続的に発展可能な社会づくり」を据えた県復興ビジョンを決定した。
 「脱原発」の考えの下、再生可能エネルギー産業や放射線医療の研究機関などの拠点を設け、経済的活力と環境とが共生する社会づくりを進めるとしている。基本理念にはほかに「ふくしまを愛し、心を寄せるすべての人々の力を結集した復興」「誇りあるふるさと再生の実現」を掲げた。
 佐藤雄平知事はビジョン決定後、「自然エネルギーを産業に結び付ける計画が今日からスタートする」として実現に意欲を示した。
 復興計画では「原発に代わる雇用の場」(ビジョン)となる新たな産業について、どこまで具体化できるかが焦点になる。福島第1原発事故が収束しない中、インフラ整備などにどう取り組んでいくのかも注目される。
 復興計画の計画期間は、2011~20年度の10年間。近く発足する検討委員会で策定していく。委員は学識経験者や各産業の代表ら20人前後。計画には主要な事業の工程表を盛り込み、地域別でもまとめる。
 委員会は10月末に計画素案をまとめ、最終案を12月に県議会に報告。年内にも最終決定される見込み。決定後も、原発事故の状況に変化があれば計画は見直される。

2011年

9月

10日

建築家、被災地で原点回帰 重鎮も若手も

伊東設計「みんなの家」の模型=伊東事務所提供
伊東設計「みんなの家」の模型=伊東事務所提供

朝日新聞110910】建物を、街を、根こそぎ奪っていった東日本大震災からまもなく半年。建物や街をデザインしてきた建築家たちも、数多く被災地に入り、活動を続けている。かつて建築家からは、あまたの理想都市や未来都市の計画が生まれてきたが、今回はずっと小さく、足元を見据えて活動する姿が目立っている。

■帰心の会 集いの場、まず着手

 伊東豊雄(70)、山本理顕(66)、内藤廣(61)、隈研吾(57)、妹島和世(54)。日本を代表し国際的にも知られた5人の建築家は、震災直後に震災を考え行動する会を結成した。名前の頭文字を並べた「KISYN」にもちなみ、「帰心の会」と命名

隈設計「ガレキミュージアム」の予想図=隈事務所提供
隈設計「ガレキミュージアム」の予想図=隈事務所提供

した。

 ブラジリアやキャンベラといった新首都は建築家が設計し、日本でも丹下健三は広島の復興計画に参画、高度経済成長期には多くの建築家が、未来都市像を描いた。帰心の会のメンバーも内外で大規模建築を手がけているが、伊東は「いま大計画を唱えたら、だから建築家はのんきだと言われる。自分の建築思想をゼロから考え直さないと」と話す。

 「建築の原点は人の集まる場所」と思い定め、「復興には何年もかかるが、まず、すぐにできて被災した人が気楽に集まり安らげる『みんなの家』を造ろう」と考えたという。

地域の模型を前に、住民の声を聞く小嶋一浩(左)=石巻市
地域の模型を前に、住民の声を聞く小嶋一浩(左)=石巻市

 仕事で縁のある熊本県が木材を提供、仙台市内の仮設住宅の敷地の中に、10坪ほどの「家」を建てることに。仮設に暮らす人々から意見を聞き、これまで手がけてきたような透明感のある家ではなく、つつましい木造切り妻を採用。土間には薪ストーブも置く。

 「もう少し建築家らしいデザインをしては、とも言われたが、被災したお年寄りには提案できないし、ここから始めたかった」と伊東。13日に起工式がある。

 

 伊東は、岩手県釜石市の復興計画のアドバイス役も務めている。山本も岩手県で活動。仮設住宅の入り口を向き合うように建てて、人々の交流が生まれるように提案し、実現。妹島は宮城県東松島市の街づくりの手助けをしている。山本と妹島も、「みんなの家」を

現場の状況を住民から聞く貝島桃代(右)=石巻市
現場の状況を住民から聞く貝島桃代(右)=石巻市

計画している。

 

 隈の活動は異色で、募金を基にがれきを樹脂で固めた小建築「ガレキミュージアム」を計画中。がれきを使った作品を展示し、人々が交流できる場を目指す。被災地内での移動も検討している。

 帰心の会以外でも、宮城県女川町で貨物コンテナを活用した2~3階建て仮設住宅が建設中の坂茂(54)ら、著名な建築家たちが被災地で活動している。

 隈とともに5人が集まることを提唱した内藤は「建築家は行政側の人間と見られがちだが、今は行政の側か、住民の側かが厳しく問われる。被災地で建築家が活動するためには、信頼関係を築くことが重要だ」と話している。

■若手・中堅 住民の悩み聞く

 中堅、若手の建築家たちも被災地で動いている。中心となっているのが、全国の建築家による復興支援のためのネットワーク「アーキエイド」。7月には最大の活動として宮城県石巻市の牡鹿半島で「サマーキャンプ」を行った。

 東京芸術大准教授で東北大でも教えるヨコミゾマコト(49)と学生が雄勝半島で実施した調査を先行事例に、全国15大学の学生約100人が教官の建築家らとともに、複雑に入り組む半島の30の浜で現状を調べ、住民の声を聞き、復興への提案をするというものだ。

 例えば横浜国立大教授の小嶋一浩(52)のチームは、集落の模型を作り住民から意見を募った。防潮堤の配置や経済的な不安など専門外の指摘も含まれていたが、小嶋は耳を傾ける。「個人住宅の設計では、家族の愚痴を聞くようなもの。建築家の仕事には元々、悩み相談の側面があるんです」

 アーキエイド実行委員を東北工業大講師の福屋粧子(40)らとともに務める建築計画学の小野田泰明・東北大教授は「土木や都市計画と仕事が分かれ、建築家名で大計画ができる時代ではない。計画に質や文化性を加え、命を吹き込むのが建築家。環境を読み人々と対話する力を使わない手はない」と指摘。筑波大准教授の貝島桃代(42)も現地で「建築家とは、人間のための場所を作る人」と話した。

 調査結果と提案は石巻市に手渡された。星雅俊・同市復興対策室長は「住民の声が反映され、十分に参考になります。事業化が可能か調査をしています」と話す。

 現地で、小嶋は「雨露をしのぐ場所から進化してきた建築が、この状況で何ができるのかを絶対に考えないといけない。逃げたら終わりです」と話した。震災が、建築家たちに原点を見つめ直させている。(編集委員・大西若人)

2011年

9月

01日

宮城県石巻市 「疲弊商店街、津波追い討ち 石巻中心部、再建に踏み出せず」

疲弊商店街、津波追い討ち 石巻中心部、再建踏み出せず

震災後、さらにシャッター通り化が進む中心商店街=石巻市立町
震災後、さらにシャッター通り化が進む中心商店街=石巻市立町

河北新報110901】東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県石巻市の中心商店街に、さらなる空洞化が懸念されている。復興需要で活況を呈す郊外の大型店に対し、中心商店街では既に廃業した店が出ている。震災から6カ月近くたった今も市の具体的な事業計画が見えず、再建に踏み出せない店主は多い。

 「店を閉めるという決断しかなかった」。石巻市中央2丁目で履物店を営んでいた藤沼信夫さん(81)は、市内の仮設住宅で寂しそうな表情を見せた。
 先代から90年以上続いた店は、1階が天井近くまで浸水した。シャッターはひしゃげて壁紙ははがれ落ち、修理用具や商品はすべて水に漬かって使い物にならなくなった。
 藤沼さんに、後継者はいない。「体が動くうちは続けたかった。ほかの商売仲間もつらい立場だと思う。商店街の行く末が心配だ」と話す。
 店舗・駐車場賃貸業「本家秋田屋」が中心商店街で貸し出す約20の物件のうち、震災後、半数以上が退去した。浅野仁一郎社長(60)は「行政の青写真も明確に出ていない。高齢の店主らは、再建を諦めざるを得なかったのだろう」と話す。
 中心商店街は2000年ごろから閉店が目立ち始めた。09年6月に県が実施した調査では、立町や駅前大通りなど8商店会に所属する266店のうち82店が空き店舗だった。
 市商工会議所とタウンマネジメント機関「街づくりまんぼう」などは07年、中心地のにぎわいを取り戻そうと協議会を発足。10年2月には「彩り豊かな食と萬画のまち」を掲げた中心市街地活性化基本計画が、県内で初めて内閣府に認定された。新たな街づくりの胎動が始まった直後に津波が襲い、疲弊する商店街に追い打ちを掛けた。
 一方、中心市街地から約3キロ内陸にある同市蛇田地区は津波の被害が小規模にとどまり、今は震災前以上のにぎわいを見せる。来春には、飲食や美容院などのテナント10店を連ねた複合施設がオープンする予定だ。
 市内の不動産業者は「復興需要で、大型店などは活況だ。車で行動する若い家族層は、確実に蛇田側に買い物行動の軸足を置いている」とみる。
 街づくりまんぼうの西条允敏社長は「中心地は、旧北上川沿いのロケーションなど替え難い魅力がある。市の復興計画とうまく連動して商店の新規参入を促すなどし、何とかにぎわいを取り戻したい」と話している。

2011年

8月

30日

高速道路整備、防災重視で整備 被災地3路線のルート決定

河北新報110831】国土交通省は30日、東日本大震災の復興策としておおむね10年以内の整備を目指す三陸沿岸道路(三陸縦貫、三陸北縦貫、八戸久慈)、東北横断自動車道釜石秋田線の花巻―釜石間、東北中央自動車道の霊山―相馬間の計3路線のルートを決定した。
 三陸沿岸道のルートは住民の避難や救援、支援活動も想定。進行方向を限定し、接続する道路と直線的に結ぶ簡易型インターチェンジ(IC)は、当初計画に宮古市田老の1カ所を追加し、計22カ所とした。
 このうち入り口を下り線、出口を上り線に設定したのは8カ所。10カ所は入り口を上り線、出口を下り線とした。陸前高田市気仙町、宮古市山口、岩手県田野畑村菅窪、同県野田村野田の4カ所は、上下線で乗り降りできる簡易型ICとなる。
 ルートは3路線とも500メートル幅で公表され、前回公表時から大きな変更はなかった。今後、各市町村で策定が進む復興計画との調整を行いながら具体的なルートを定め、早期の事業化を目指す。
 ルート決定について、村井嘉浩宮城県知事は「一日も早い整備が被災地の再生と復興をけん引し、命を守る道として機能することを期待したい」との談話を発表した。菅原茂気仙沼市長は「今後の復興に弾みがつくと期待している。新内閣は第3次補正予算で全線事業化を確実に進めてほしい」とコメントした。

2011年

8月

29日

岩手県陸前高田市 「太陽光発電所を誘致 陸前高田市が復興計画素案」

太陽光発電所を誘致 陸前高田市が復興計画素案

岩手日報110830】陸前高田市の震災復興計画検討委(委員長・中井検裕(のりひろ)東京工業大教授)は29日、市役所仮庁舎で2回目の会合を開き、市が地区ごとの大まかな整備方針を盛り込んだ素案を示した。整備目標として大規模太陽光発電所(メガソーラー)の誘致を掲げた。11月をめどに同計画の策定を目指す。

 同発電所の誘致を図るのは、同市を流れる気仙川河口の東岸付近。再生可能エネルギー関連企業の集積を図る。浜田川周辺では太陽光型植物工場を誘致する。

 高田松原付近では、松林を再生するとともに、東日本大震災の被害を後世に伝える防災メモリアル公園を整備する。

 氷上山麓地区は「健康と教育の森ゾーン」とし、県立高田病院や高田高、保健福祉総合センター(仮称)などの整備を進める。

 戸羽太市長は高田病院や高田高について「今回被災したという反省を踏まえて、高台に造らなければならない」と述べた。

2011年

8月

25日

宮城県石巻市 「山仕事の技で復興推進」

山仕事の技で復興推進

【移動式製材機を使い、流木を材木に加工する「水守の郷・七ケ宿」の海藤理事長(右)ら=石巻市北上町相川】
【移動式製材機を使い、流木を材木に加工する「水守の郷・七ケ宿」の海藤理事長(右)ら=石巻市北上町相川】

三陸河北新報110825】七ケ宿町のNPO法人「水守の郷・七ケ宿」が、得意とする山仕事の技術を生かしたボランティア活動で、石巻市北上町十三浜相川地区の復興に一役買っている。17日には海藤節生理事長(53)ら4人が相川沢川沿いの山林近くに移動式の製材機を搬入し、流木や立ち枯れの木を木材として活用するための「試しびき」を行った。

 相川地区では膨大な量の流木がいまだに放置されたままで、津波による塩害で立ち枯れた杉も多い。

 「住民のみなさんから、生活の復旧に使う木材が足りず、買いに行くのも大変だと聞き、流木を製材して使えば片付けも兼ねて一石二鳥と思った」と海藤理事長。塩水に浸かった木は、家屋の建材としては使えないが、小屋の材料や補強材としては十分だという。

 製材機はレールの間に木を固定し、台車がついたチェーンソーを一定の高さで走らせる。4メートル前後の木まで製材が可能。

 数分で流木を「木材」に変える製材機の実力に、相川で漁業を営む小山清さん(62)は「仮設住宅に棚や物置が必要になってきている。雨の日に洗濯物を干せる物干し場も作りたい」と話し、「今後は製材機の使い方を教わり、みんなで集材と使用のルールを決めて、活用していきたい」と期待を込めた。

 「水守の郷・七ケ宿」は震災直後から、NPO法人日本エコツーリズムセンターが中心となり発足した「RQ市民災害支援センター」(登米市東和町)で支援物資の配送などを行っていた。

 より密着した活動の在り方を模索していた時、相川に住む知人から、がれきを片付けるためにチェーンソーを貸して欲しいと依頼された。

 「チェーンソーの扱いは難しい。いっそ山仕事に慣れている七ケ宿の有志で切ってあげようと思い、3月末に3人で相川に来たのが最初」と振り返る。

 以来、ほぼ毎週数人のチームで相川を訪問。いつ倒れるか分からない危険な立ち木や、住宅の玄関をふさぐ流木などを伐採し、処理した木は炊き出し用の薪にした。

 活動は一軒一軒の片付けや、津波が相川沢川を逆流して残した膨大ながれきの撤去へと広がっていった。ボランティアの窓口にもなって、七ケ宿町に隣接する山形県高畠町や東京の有志など、多くのスタッフを相川地区に案内。時には地区に滞在して汗を流し、晩酌の輪に入りながら、コニュニケーションを深めたという。

 「状況に応じて変わっていく被災地の細かなニーズは、続けて支援することで初めて見えてきた」と海藤理事長。「目指すのは一過性でない支援」と力を込めた。

 製材機を設置するとともに、「水守の郷」メンバーの支援で整地した畑「小指の郷」には七ケ宿特産のソバをまいた。「津波で冠水した土地なので、無事に収穫までたどりつけるかどうか分からない。でも、11月にちゃんと実ったら、七ケ宿のそば打ち名人を連れてきます」と笑顔で抱負を語った。

2011年

8月

24日

宮城県大衡村 「宮城にメガソーラー構想 トヨタ、大衡の工業団地に」

宮城にメガソーラー構想 トヨタ、大衡の工業団地に

河北新報110825】トヨタ自動車が、宮城県内の工業団地で大規模な次世代送電システム「スマートグリッド」の構想を検討していることが24日、関係者への取材で分かった。大規模太陽光発電所(メガソーラー)から近隣の工場などに電気を供給することで、地域の製造業の競争力向上を図るのが狙い。
 近く県や東北大を交えた検討組織を設け、構想の詳細を詰めるとみられる。
 構想は、セントラル自動車などトヨタの関連会社が立地する大衡村の工業団地での実現を念頭に置いている。関連企業のコスト削減を図るだけでなく、二酸化炭素(CO2)の排出量削減、震災など不測の事態でも稼働できる環境づくりを目指し、トヨタ系以外の工場への供給も検討する。地域の住宅にも電力を供給し、大衡村を中心に工場を核とした環境都市づくりの推進を図る考え。
 関係者によると、7月にトヨタ側から県や東北電力に事業構想の説明があった。ニーズの有無や技術的な課題などについては、今後トヨタ側が調査を進めるとみられる。
 トヨタの豊田章男社長は7月、東北の復興支援策として自然エネルギーの活用策を探る考えを表明しており、宮城県内でのスマートグリッド構想がその具体例となる。

2011年

8月

23日

福島県 「申請なしでも滅失登記 全壊、流出の建物を来年度まで」

申請なしでも滅失登記 全壊、流出の建物を来年度まで

福島民報110824】福島地方法務局は、東日本大震災による全壊や流出などが確認できた県内の建物について、申請がなくても滅失登記をする。被災者支援、被災地の速やかな復旧・復興が目的で、今年度と来年度の2年間で行う予定だ。23日までに発表した。
 同法務局によると、建物滅失登記は通常、所有者からの申請を受けてするが、所有者が被災などの理由で手続きできないケースもある。完全に壊れているのに登記したままだと固定資産税が課税される可能性もあることから職権で対応する。
 県内には全壊建物が約1万7千棟あり、今年は県公共嘱託登記土地家屋調査士協会に委託し、今月からいわき、郡山、相馬、南相馬、田村、二本松、本宮、新地、三春、小野、大玉の11市町村で行う。外観の判断や所有者の意思確認、面談調査などをする。所有者には滅失登記したことを通知する。
 問い合わせは福島地方法務局 フリーダイヤル(0120)227746へ。

2011年

8月

22日

宮城県石巻市 「石巻市で震災復興計画素案、図案」

石巻市で震災復興計画素案、図案

三陸河北新報110824】石巻市は、震災復興基本計画素案の骨子をまとめ、22日の市議会東日本大震災対策特別委員会に初めて示した。計画期間は2011年度から復旧期、再生期、発展期を経た20年度までの10年間。「最大の被災都市から世界の復興モデル都市石巻を目指して」をスローガンに、四つの施策大綱や大綱別の施策、地区別の整備方針、重点プロジェクトを盛り込んだ。また、都市基盤復興基本計画図案も同特別委に示した。

 施策大綱1の「みんなで築く災害に強い街づくり」では、避難ビルの整備や防災行政無線のデジタル化への移行、避難路の設定を進める。

 集会所コミュニティー施設の復旧・復興にかかる新補助制度の検討や、旧北上川河口に震災復興のシンボルとなる鎮魂の森公園(メモリアルパーク)を整備する。

 再生可能エネルギーの利用効率を高めるスマートシティーの構築など、モデル的事業の実施と活用地域の拡充も進める。

 大綱2の「市民の不安を解消し、これまでの暮らしを取り戻す」では、復興公営住宅の整備や地元雇用保全策の検討、消防施設等の復旧・再編、納骨堂と遺留品保管施設の整備を盛り込んだ。

 大綱3の「自然への畏敬(いけい)の念を持ち、自然とともに生きる」では、石巻港の復旧整備をはじめ、漁港・魚市場の復旧・復興、各種産業の再建・復興施策を挙げた。

 大綱4の「未来のために伝統・文化を守り、人・新たな産業を育てる」では、給食センターの整備や、被災した子どもへの経済的支援や継続的な心のケアを進める。

 「安心安全再生」「住宅再生復興」など七つの重点プロジェクト項目を設け、高盛土道路整備事業、防災集団移転事業、市街地再開発事業、石巻魚市場整備事業などを列挙している。

 復興の実現に向け、国・県への財源確保の要請や、各部門の実施計画を策定し、事業の執行状況を市民に明らかにする。

 議員からは「基本計画素案の骨子とはいえ、あいまいな点が多い」という指摘があった。市は9月末ごろ、主な事業の実施時期を入れた基本計画素案を策定する。

推進地域指定し事業
建築制限を来月、解除/


 石巻市は、都市基盤復興基本計画図案を22日の市議会東日本大震災対策特別委員会に示した。津波対策として旧市街地に海岸防潮堤(石巻港?石巻漁港?長浜海岸?万石浦)や、河川堤防(旧北上川河口部)を整備。さらに幹線道路(都市計画道路)を高盛土道路に整備し、高台への避難路や避難ビルを確保して「多重防御」を進める。

 9月11日で建築制限が解除される地域は、12日から被災市街地復興推進地域に指定される。その後、地域ごとに土地区画整理や市街地再開発などの事業が行われる。

 同案によると、渡波地区は、長浜海岸防潮堤の機能強化と背後地の盛り土や緑化で津波の減勢を図る。半島部は津波や高潮被害を受けていない安全な高台への集落移転を基本とする。

 釜・大街道地区は、土地区画整理事業を主体に住居・工業地域を配置し、道路・公園等を整備する。

 住吉、中央地区は、旧北上川の河川堤防整備に併せて土地区画整理事業、市街地再開発事業を実施し、街中居住などを進める。

 門脇地区は、日和山丘陵地から裾野にかけて土地区画整理事業等で居住地として整備し、高台への避難路を確保する。

 南浜地区は、シンボル公園、中瀬地区は観光スポットとして整備する。

 不動町~湊地区も土地区画整理事業で住居・工業地域を適正に配置する。

 内海橋架け替えや新橋架設、日和大橋・石巻大橋の4車線化、渡波、井内両地区を結ぶ都市計画道路の新設も推進する。

2011年

8月

22日

応援宣言「宮城から日本再生」 宮城県震災復興会議

河北新報110823】宮城県震災復興会議が22日に発表した「復興応援宣言」には、「宮城から日本の再生を目指す」との理念の下、新産業育成や復興計画の実行組織に関する具体的な提言が盛り込まれた。県は復興計画に準じる提案として実現を目指す方針。
 宣言は目指すべき社会像として(1)世界を先導するエコロジー拠点(2)住み慣れた地域での雇用創出と、絆が根差したコミュニティー(3)幅広い市民や企業などの参加と連帯―を掲げ、3分野の具体的施策を示した。
 新産業育成の分野では、復興対象の全ての住宅と商業施設に太陽光発電設備や燃料電池の設置を提案。交付金の新設による関連産業の集積と雇用創出を求めた。バイオマスなどによる「自然エネルギー移出基地」も目指すとした。
 農水産業の再生では、大規模化などを通した競争力のある生産体制の構築と高付加価値化の必要性を唱えた。
 復興の推進組織の提案では、民間企業の提案と資金の活用を重視。新産業育成や地域企業の経営支援に当たる組織として、官民出資による「宮城県産業発展機構」の設立を求めた。全国から公募した若者が支援業務を担う「復興プロジェクト推進隊」も提案した。
 仙台港や仙台空港など交通インフラの復興・整備には、経済成長が著しいアジア地域の活力を取り込む視点が不可欠と強調。山形県との連携など広域構想の重要性を指摘した。
 宣言について三菱総研理事長の小宮山宏議長は「会議としては異例だが、メッセージ性の強いものを出したかった」と述べた。村井嘉浩知事は「行政計画の枠を超えた貴重な意見だ。県の復興計画と同じ位置付けで、実現に向けて努力していきたい」と話した。

<復興応援宣言で提唱された主なプロジェクト>
◇最先端エコロジー産業の育成と「グリーン産業育成交付金」の創設
◇農水産業の6次産業化推進と復興住宅需要を取り込む林業の育成
◇幅広い人材の参画を促す「地域再生プラットホーム」「復興プロジェクト推進隊」の創設
◇民間企業などの提案を受け入れ、取り組みを支援する「震災復興推進センター」の設置
◇官民の投資と経営支援機能を備えた「宮城県産業発展機構」の設立

2011年

8月

20日

宮城県仙台市 「浸水深い地域は集団移転 東部地域で説明会」

浸水深い地域は集団移転 東部地域で説明会

仙台市が東部沿岸地域の復興策の検討状況を報告したまちづくり説明会=20日午前10時10分ごろ、若林区の六郷中体育館
仙台市が東部沿岸地域の復興策の検討状況を報告したまちづくり説明会=20日午前10時10分ごろ、若林区の六郷中体育館

河北新報110821】仙台市は20日、東日本大震災の津波で大きな被害を受けた東部沿岸地域で、町内会ごとに復興施策の検討状況を報告する「東部地域まちづくり説明会」を始めた。安全性が確保できる浸水の深さを設定し、それを超えた地域について集団移転を進める考えを示した。
 若林区の六郷中体育館で開いた説明会には、藤塚町内会の約150人が参加。市は、津波浸水シミュレーションによる分析状況を解説した。
 今後の土地利用と建築制限の基本的な考え方については「学術的には、浸水の深さが2メートル以下なら安全性が格段に高まるとされる。市内の目安は今後、検討する」と述べるにとどまった。
 市が念頭に置く防災集団移転促進事業の概要や、2013年度に供給を始める災害公営住宅の整備方針も説明。質疑応答では「また住宅を建てれば、前の家の残債と農機具との三重ローンになる」「被災前の価格で土地を買い取ってほしい」といった意見があった。
 宮城野区の宮城野体育館でも同日、港町内会の約90人が参加した説明会があった。住民は「仙台港背後地を代替地としてほしい」などと指摘した。
 市は当初、今月中に建築制限の具体案を住民に示す予定だったが、津波浸水シミュレーションの作成が遅れ、9月中旬以降に先送りした。説明会は31日までに計21町内会を対象に開催する。

2011年

8月

17日

10年後の姿を具体化 宮城県復興計画最終案

河北新報110818】宮城県は17日に決定した県震災復興計画最終案で、被災した沿岸15市町を3地域に分けた広域的な復興イメージを示した。

◎原発対策/不安解消へ測定と検査

 福島第1原発事故による風評被害の払拭(ふっしょく)や県民の不安解消に向け、大気中の放射線量測定、農林水産物の放射性物質検査の体制強化を緊急重点事項として新たに盛り込んだ。
 事業は復旧期に集中させる。測定機器を整備し、県産牛を含む農林畜産物の検査を徹底。食品関連などの輸出品も測定し、輸出産業を支える。
 全壊した女川町の県原子力センター、県原子力防災対策センターの再整備も進め、女川原発周辺での放射能監視機能、災害対応機能を回復、拡充を図る。原子力災害時の迅速な対応を図るため、全庁的な組織体制を構築する。放射線関連の情報発信にも力を入れる。

◎農林業/共同作業に支援金交付

 復旧期を中心に、早期の営農再開を重点的に支援する。被災農家経営再開支援事業(11~15年度)では被災した農地のほか園芸施設、畜舎の復旧に向け、農業者の共同作業に支援金を交付する。
 被災した林業・木材産業の施設再開に向けた支援事業を11年度に実施。合板製造業者や製材所に製造機械などの再整備、修理の経費を補助する。
 再生期から発展期にかけては、先進的な農林業の構築を目指す。国の事業などを活用し、15年度までに農地の面的集約を進める。農業参入推進事業として、民間資本を活用した生産力の向上や地域農業の活性化を図るため、今後10年間で企業の農業参入を促す。

◎水産業/漁港は3分の1に集約

 水産業の拠点の再構築を目指し、県内漁港を3分の1程度に集約する。再編に伴い、県は9月以降、漁業集落の復旧復興計画策定に着手。被災市町を通じ、住民の意向を調べ方向性を探る。
 主な漁港と一部漁場では、がれき撤去を7月中に終え、沿岸漁業や養殖業の再開に道筋を付けた。共同利用する冷凍・冷蔵施設などの整備費を15年度まで補助し、流通加工業の復旧も進める。
 漁業経営改善支援事業では11~20年度、県が漁船や漁具を調達し、漁協や県水産公社を通じてリースする。零細な経営体が多い漁業者に対し、施設の共同利用や作業の協業化を促し、経営の安定化を図る。

◎環境・生活/再生エネでエコタウン

 福島第1原発事故後、エネルギー不安が深刻化している事態を踏まえ、太陽光や小水力、風力などの再生可能エネルギーを積極活用する「エコタウン」の形成を掲げた。
 太陽光、バイオマス発電などを「分散型電源」と位置付けた。原発や火力など既存の電源に頼らない災害時の電力確保と、環境配慮の街づくりの両立を目指す。被災者が再建する住宅や新たに建設する復興住宅の全戸で、太陽光発電設備を整備することを盛り込んだ。
 災害公営住宅建設の円滑化を図るため、用地確保を含めた民間企業からの事業提案を活用。被災者の住宅再建では、県産木材使用への支援も打ち出した。

◎沿岸15市町3分割し対応

 県は17日決定した県復興計画の最終案に、今後10年間で取り組む計341事業を盛り込んだ。2011~13年度を復旧期、14~17年度を再生期、18~20年度を発展期と位置付けた。最終案には「原子力災害への対応」を緊急重点事項に追加。競争力強化に向けた農林水産業の再構築、再生可能エネルギーを活用した先進的な街づくりも重点項目に設定した。

<仙台湾南部地域/交通網活用、物流拠点に>
 大津波を第一線で防ぐ海岸堤防、防災緑地の整備と平行し、高盛り土構造の道路と鉄道で多重的な防御を目指す。産業面では仙台港、仙台空港の広域交通拠点と常磐、三陸自動車道の高速道路網を活用し、高度電子機械産業などの立地と物流拠点の形成を促す。
 平地部の農地は集約し、施設園芸や露地野菜の振興、水田の大規模化、畜産の生産拡大を図る。

<石巻・松島地域/高盛り土で多重に防御>
 大津波対策は、入り江の地域と平地を分ける。高台移転と職住分離に取り組む一方、高台確保が難しい平地では高盛り土構造の道路や鉄道で多重に防御する。
 石巻地域では製紙業、木材加工業など重要産業の再興を図る。漁港は集約し再編。漁業地域を中心に食品加工業、高度電子機械産業の集積を目指す。松島や牡鹿半島では観光振興を加速させる。

<三陸地域/高台移転と職住を分離>
 大津波による再度の被害や地盤沈下による冠水を防ぐため、高台移転と職住分離を推進する。海辺に避難路や避難ビルを確保した上で、漁業地域を中心に産業・観光・公園ゾーンを整備。三陸縦貫自動車道を気仙沼市まで延ばし、沿岸部の高速交通網の完成を急ぐ。
 水産業を中心に産業集積を図り、水産加工品のブランド化を目指す。漁港は集約、再編する。

2011年

8月

17日

宮城県仙台市 「仙台市が「津波浸水シミュレーション」の進行状況を公表」

仙台市が「津波浸水シミュレーション」の進行状況を公表

河北新報110818仙台市は17日、東日本大震災で被災した東部沿岸地域の津波対策を検討するため、東北大や米IBMと共同開発する「津波浸水シミュレーション」の進行状況を公表した。海岸の堤防と盛り土構造の県道による「二線堤」を整備して今回と同規模の津波が襲来した場合、県道より内陸部で浸水被害が大幅に抑えられる半面、仙台港周辺を中心に浸水の範囲や深さが増すことが分かった。
 東北大災害制御研究センターがモデル化したシミュレーションは、浸水状況の再現にほぼ成功。今後起こり得る最大の津波として、震災と同規模の巨大津波が当時より潮位が約1.2メートル高い大潮で押し寄せたとの想定で計算し、浸水マップ=地図(上)=を作製した。
 その上で市が有望視する津波防御策が、大潮時の巨大津波をどの程度防ぐか検証した。海岸に堤防を整備し、県道塩釜亘理線(七北田川―名取川間、約9.2キロ)を現在の位置で6メートルかさ上げした場合、津波の流れが北上し、宮城野区の蒲生、中野両地区などで浸水深が増すほか、仙台港背後地で浸水域が一部広がることが判明した=地図(下)=。
 市はシミュレーション作業を続け、県道の位置や盛り土の高さ、防災林や築山といった防災施設の最適な配置を検討。名取市閖上や多賀城市にも影響が及ぶことから宮城県との連携も図る。
 市震災復興本部は「県道のかさ上げで住宅地の浸水域が広がるのは、想定外だった。シミュレーションは実体験だけでなく、科学的な分析に基づき適正な投資で減災を図る効果があり、住民に説明する上でも重要な手段」と話している。
 市は20日から津波で被災した21町内会を対象に、シミュレーションを含めたまちづくりの検討状況を報告する地元説明会をスタートさせ、9月中に東部沿岸地域の具体的な再建策をまとめる方針。

2011年

8月

17日

宮城県 「高台移転など341事業 県震災復興計画最終案が決定」

高台移転など314事業 県震災復興計画最終案が決定

河北新報110818】宮城県は17日、幹部職員による震災復興本部会議を開き、県震災復興計画の最終案を決定した。2020年度までの10年間を復興期間とし、住宅の高台移転や漁港の集約再編、エコタウン形成など341の復興事業に取り組む。決定を受け、村井嘉浩知事は「重厚な内容になった」と語った。

 最終案は基本理念に「NPOとの連携」「女性の参画推進」「世界に開かれた復興」を追加。福島第1原発事故を踏まえ、農林水産物の放射能検査体制の強化など「原子力災害への対応」を緊急重点事項に明記した。
 高台移転や職住分離の方針は、パブリックコメントで県民の賛否が割れたが、「被災者のコンセンサスは得られた」(村井知事)として最後まで堅持した。ただ、被災地に強要はせず、地域事情を尊重することにした。
 養殖漁業に民間参入を促す「水産業復興特区」構想は、政府の復興基本方針にも創設が明記されたが、県漁協などの反発を考慮し、最終案も検討すべき課題にとどめた。
 「若者の復興活動への参加促進」を新たに盛り込んだほか、復興祈念施設は震災・津波博物館(仮称)を中心とした「東日本大震災メモリアルパーク」(同)として、整備を国に提言していく。
 10年間に取り組む「主な事業」は、2次案の316事業のうち16事業を取りやめ、放射線量測定機器の整備事業など41事業を新たに加えた。
 村井知事は「国の方針を書き連ねた復興計画でなく、提案型なのが宮城県らしさ。財源確保と規制緩和が実現の鍵を握る。『絵に描いた餅』にならぬよう341事業全て実現させる」と述べた。
 最終案は22日の県震災復興会議に示し、一部文言を微修正した後、県議会9月定例会に行政計画議案として提出される。

2011年

8月

17日

福島県相馬市 「相馬市が復興計画素案 沿岸地域に新農業基盤」

相馬市が復興計画素案 沿岸地域に新農業基盤

福島民報110818】相馬市は市復興計画の素案を17日開いた市復興対策会議の席上、示した。ハード事業は、農業生産法人を設立し沿岸地域に新たな農業システム構築を目指す「農業基盤の整備」、津波の被災地に太陽光発電設備の普及などを検討する「再生可能エネルギー生産の整備」、災害公営住宅建設などを進める「住宅の整備」など11項目となっている。

 ハード事業のうち、「防災体制の整備」は沿岸部へのサイレン整備などに取り組む。天皇、皇后両陛下が黙礼をささげられた市内尾浜・原釜地区に被災鎮魂設備を設けることを検討する。

 ソフト事業は、被災住民のデータベース構築を前提とした「仮設住宅での生活支援」、仮設住宅で集団給食を提供することによる「孤独死対策」など7項目。計画期間は平成27年度までの5年間に設定している。今回示した計画素案はバージョン1・1としてまとめ、29日に公表する。各事業の進捗(しんちょく)状況を踏まえて随時、内容を見直す。

2011年

8月

13日

宮城県石巻市 「見えぬ生活再建 在宅避難者、住宅修繕踏み切れず」

見えぬ生活再建 自他買う避難者、住宅修繕踏み切れず

夕暮れ時、懐中電灯の明かりを頼りに家計簿を付ける杉山さん=10日夕、石巻市中央1丁目
夕暮れ時、懐中電灯の明かりを頼りに家計簿を付ける杉山さん=10日夕、石巻市中央1丁目

河北新報110813】1階が津波で被災した自宅の2階などで生活する「在宅避難者」が多い宮城県石巻市では、東日本大震災の発生から5カ月がたった今も、台所や風呂が使えない厳しい環境で暮らす被災者も目立つ。被災規模が大きいことに加え、仮設住宅への入居や、自治体の復興計画づくりが遅れていることなどが背景にある。

<ガスも電気もなく>
 旧石巻市役所に近い中央1丁目の会社員杉山創さん(62)は、1階天井まで水に漬かり、ガスも電気もない自宅で暮らす。夜は懐中電灯で明かりを採り、携帯式ラジオを聞く。食事は、地区の配給所に市から届く弁当やおにぎり、パンだ。
 妻の愛子さん(59)は震災当日、外出先から「渋滞に巻き込まれている」とのメールを送ってきたのを最後に行方不明。「妻を迎える準備をしたい」と6月の百か日に合わせ、近所の避難所から自宅に戻った。
 仮設住宅を申し込んでおり、台所も風呂も改修しないつもりだ。自宅はいずれ取り壊すしかないと考えている。泥を払った仏壇の近くに妻の写真を飾ったが、葬式を出す気にはまだなれない。「仮設住宅が当たるまで今の生活を続ける」と話す。
 店舗兼自宅が立ち並ぶ中央地区では、現地での住宅再建を目指す人も多い。ただ、建築基準法による建築制限が掛かる区域で新築や改築は困難。土地利用の方針を示す復興計画がなかなか見えず、住宅再建にも影響を与えている。
<建築制限が障壁に>
 中央1丁目の菓子製造販売の西條稔さん(70)は、1階が浸水した鉄骨3階の店舗兼自宅の壁がはがれて工事用の足場が組めず、都市ガスを自宅に引き込めない。ガス復旧には改築が必要だが見通しは立たない。西條さんは「建築制限が外れないと前に進めない」と嘆く。
 「復興計画の内容次第では移転を求められる」として、自宅の本格修繕に踏み切れない被災者も少なくない。
 1階が浸水した全壊状態の住宅が広範囲に広がる大街道地区。大街道南3丁目の自宅の一部を、住民向けの食料配給所として提供している会社社長佐々木公男さん(65)は「費用を掛けて直していいものか、多くの住民が迷っている」と明かす。周辺では約180人が食料配給を受け生活する。
 石巻市によると、3食相当分の配食を受けている在宅避難者は約1万人。車がなければ日常の買い物が難しい地域の市民も含まれており、避難生活の解消には時間がかかりそうだ。

2011年

8月

10日

千葉県 「液状化被害4万2500世帯 千葉県、危険度マップ作成へ 震災復興特別委」

液状化被害4万2500世帯 千葉県、危険度マップ作成へ 震災復興特別委

千葉日報110811】東日本大震災による液状化現象で被害を受けた住宅が約4万2500世帯に上っていることが10日、千葉県のまとめで分かった。同日開かれた県議会東日本大震災復旧・復興対策特別委員会で明らかにした。一戸建て住宅は27市町2万700世帯、マンションなど集合住宅は12市町2万1700世帯が被害を受け、7割が浦安市に集中した。県は今後同市や習志野市など県内約20カ所でのボーリング調査などを行い、年度内にも新たな液状化危険度マップを作成する方針。

 県防災危機管理課によると、液状化により家屋が傾くなどの地盤被害を受けた一戸建て住宅は、4月中旬までの調査では16市町約1万2千世帯だったが、6月末時点で27市町2万752世帯に増加した。

 このうち国の被災者生活再建支援法の対象となるのは全壊の267、大規模半壊の3259の計約3500世帯で全体の17%。国の支援対象外となる半壊の4482、一部損壊の1万2744の約1万7200世帯については、住宅を解体した場合や地盤を復旧した世帯に対し、県は最大100万円を支給する独自の支援制度を創設し、78億円の予算を計上している。

2011年

8月

03日

岩手県 「復興の総合拠点運営へ 支援協働体を設立~北上市など」

復興の総合拠点運営へ 支援協働体を設立~北上市など

【写真】きたかみ復興支援協働体の設立総会
【写真】きたかみ復興支援協働体の設立総会

岩手日日110804】北上市などは3日、東日本大震災の復興支援事業に取り組む推進母体となる「きたかみ復興支援協働体」を設立した。9月開所を目指す総合的な支援拠点「きたかみ震災復興ステーション」の設置・運営を柱に、被災地情報の提供や一時帰宅協力など市内に滞在する避難者への支援、被災地支援に訪れる研究者、ボランティアの情報交流など必要な対策に取り組む。

 同協働体のメンバーは、市やいわてNPO-NETサポートをはじめ、いわて連携復興センター、北上雇用対策協議会、市社会福祉協議会、黒沢尻北地区自治振興協議会の6団体。県のモデル事業の補助を受ける「きたかみ震災復興ステーション事業」の一環。沿岸と内陸の結節点となっている同市の地理的特徴を踏まえ、内陸に避難する被災者の支援に取り組む拠点を市内に設置・運営することを柱に事業展開することにしている。

 同日市役所で行われた設立総会には構成団体の代表者をはじめ関係者15人が出席。規約のほか2011年度事業計画と予算を原案通り承認し、正式に協働体を設立。会長には舘邦雄いわてNPO-NETサポート代表理事を選出した。発起人を代表して及川義明市企画部長は「市として災害復興にどのように取り組むかは大きなテーマ。協働体の設立は、当市が復興に向け踏み出した大きな一歩と感じる。北上が元気でなければ沿岸も元気にならないという気持ちで頑張りたい」と意欲を示した。

 復興ステーションは、JR北上駅そばに開設予定で、来月開所を目指して準備を進めている。被災地情報の提供や一時帰宅の際の乗合タクシーの運行、就職支援、居住地域内での地元住民との融和などといった内陸避難者に直接必要な支援を行うだけでなく、ボランティアの移動支援など団体や研究者らによる復興に向けた活動を行う際の支援拠点としての役目も担う。今年度事業費は約1000万円。

 大震災の影響で、北上市内には沿岸からの被災者約580人が暮らしている。

2011年

8月

02日

山形県 「山形県、がれき受け入れへ 線量に独自基準設定」

山形県、がれき受け入れへ 線量に独自基準設定

河北新報110803】東日本大震災で被災した岩手、宮城両県のがれきを受け入れる方針を決めた山形県が、持ち込まれるがれきの放射線量に独自の基準値を設けることが2日分かった。両県のがれきが放射性物質で汚染されているかどうかは不明だが、汚染を心配する住民心理ががれき移動の障害の一因になっているとされており、不安を解消する狙いがある。国の指針が定まらない中、がれきの放射線量の基準値を自治体が設定するのは、全国で初めて。
 山形県は木くずを岩手、宮城から、不燃物や家電を宮城から受け入れる方針。リサイクル、埋め立てなどがれきの種類に応じた処理方法を踏まえ、具体的な基準値を設定する。11日に説明会を開き、市町村や処理業者に数値を示す見通し。
 国は福島県のがれきに関し、放射性物質による汚染の可能性があるとして、県外への持ち出しを禁じている。一方、他県のがれきの持ち出しは制限していない。山形県内では村山市が既にがれきを受け入れており、一部の住民が放射性物質の影響を不安視している。
 福島県のがれきは同県内で処理され、放射性セシウムが1キログラム当たり8000ベクレル以下の焼却灰や不燃物は、埋め立て可能とされている。山形県はこうした国の方針を参考に、基準値を定めるとみられる。県は「前例がないだけに、住民に納得してもらうには、厳しめの基準にせざるを得ないだろう」と話す。
 酒田港リサイクル産業センター(酒田市)は、気仙沼市から酒田港に木くずを受け入れ、秋田県などでリサイクルする計画を策定中。担当者は「県の方針が決まれば、われわれ業者も動きだせる」と注目する。
 7月初めから、気仙沼市の木くずを1日約30トン受け入れている村山市の「やまがたグリーンパワー」によると、木くずの放射線量は1時間当たり0.07~0.15マイクロシーベルトという。同社の鈴木誠社長は「山形で集めた木材とほとんど変わらない。県が定める基準内に収まると思う」と予想する。
 環境省は「がれきは処理方法が自治体ごとに異なるので全国一律の基準が設けられないが、自治体が独自に基準値を定め、それを国が評価するなら可能」と話している。

2011年

8月

02日

石巻市の復興を総合支援 日本IBMと合意文書 新エネルギー活用

【亀山市長と合意文書を取り交わす北城最高顧問(右)=石巻市役所市長室】
【亀山市長と合意文書を取り交わす北城最高顧問(右)=石巻市役所市長室】

三陸河北新報10803】震災で甚大な被害を受けた石巻市の復興に向け、市と日本IBM(本社東京、橋本孝之社長)は2日、新エネルギーを活用した循環型社会の実現を目指し、具体的な計画の検討・作成を日本IBMが総合的に支援することで合意した。日本IBMの北城恪太郎最高顧問(経済同友会終身幹事)が同日、市役所を訪れ、亀山紘市長と合意文書を交わした。

 復興事業のテーマは(1)新エネルギーを活用した中心市街地の活性化(2)バイオマス等を活用した循環型エネルギー社会の構築(3)効率的なエネルギーを活用した次世代水産業の構築-の三つ。

 (1)は、太陽光や風力などの新エネルギーを活用し、次世代送電網「スマートグリッド」の構築により、中心市街地で災害に強いまちづくりを進め、住環境の整備と併せて市民が安心して快適に暮らせるコンパクトシティーの実現を目指す。

 (2)は、地域資源である木質バイオマスや工場の余剰エネルギー、下水汚泥、ガスコジェネシステムなどを統合的に組み合わせ、エネルギーを循環的に供給・利用する無駄のない仕組みを構築する。

 (3)は、震災で大きな被害を受けた基幹産業の水産業を情報通信技術(ICT)を活用して、水産業の6次産業化や設備・工場の共同利用を進め、より効率的なエネルギー活用と高収益のビジネスモデルを目指す。

 今回の総合支援は、米国コンピューター大手IBMが世界100都市で5000万ドル(約40億円)相当の技術やサービスを提供する都市運営支援プログラムの一環。国内では札幌市、仙台市に次いで3例目となる。

 北城最高顧問は「未来志向型の新しいまちづくりを支援する。石巻発の新しい環境都市、省エネ、水産業の6次産業化などの実現に向け、当社の情報技術や事業構想の立案能力を生かす。さらに世界のIBMの知識を集めて石巻の復興に貢献したい。新しいことに挑戦するイノベーションは必要だ」と述べた。

 亀山市長は「石巻の将来を見据え、世界のモデルとなる都市を目指している。IBMの支援によって構想は現実味を帯びる。次世代型の農業・水産業はマーケティング、衛生管理、物流を考えてシステム化することが必要だ。自然エネルギーを取り込み、1次産業と連携したまちづくりも進めたい」と話した。

2011年

8月

02日

岩手県 「復興加速へ354事業 県、実施計画案を公表」

復興加速へ354事業 県、実施計画案を公表

岩手日報110803】県は2日、東日本大震災津波復興計画の具体的事業を盛り込んだ「復興実施計画案(2011~13年度)」を公表した。災害に強いまちづくりとして再生可能エネルギーの導入促進に向けた基金の創設を明記したほか、湾口防波堤や「復興道路」の復旧など354事業を列記。放射性物質関連事業など緊急対策も盛り込んだ。県は今回の実施計画を基に国に予算要望を行う方針で、復興に向けた動きを加速させる。

 実施計画案は復興基本計画案(11~18年度)を具体化した計画で、「安全の確保」「暮らしの再建」「なりわいの再生」の3原則、10分野で構成。公表したのは第1期の3年間で県、国、市町村が予定している354事業をまとめた。主な事業には3年を超えた事業完了の目標年度も示した。

 復興に向けた基盤整備が中心で、再生可能エネルギー導入促進基金(仮称)の創設を明記。16年度までに防災拠点や避難所に指定される公共施設、学校、病院などに太陽光、地熱、バイオマスなどの利用設備を導入する。

2011年

7月

31日

宮城県 「(4)エコタウン/自然エネの活用推進」

(4)エコタウン/自然エネの活用推進

仮設住宅が並ぶ沿岸の被災地。自然エネルギーを活用したエコタウンの形成が模索されている=気仙沼市内
仮設住宅が並ぶ沿岸の被災地。自然エネルギーを活用したエコタウンの形成が模索されている=気仙沼市内

河北新報110731

<東松島から開始>
 電力の地産地消を目指すエコタウンの社会実験が8月中旬、被災地でスタートする。
 舞台は東松島市の仮設住宅周辺で、風力発電用のプロペラと太陽光パネルを導入、蓄電池を装備した発光ダイオード(LED)照明の街灯数基を設置する。
 事業主体は、研究者や中小企業でつくる「持続可能で安心安全な社会をめざす新エネルギー活用推進協議会」。副会長の内海康雄仙台高専副校長は「将来は住宅の電源を賄うことも可能。発電した電力を防災情報の発信に使えば、災害にも強いエコタウンになる」と意気込む。
 福島第1原発事故後、脱原発の機運が高まり、自然エネルギーに追い風が吹く。宮城県震災復興計画2次案に明記されたエコタウン構想では太陽光やバイオマス、地熱の活用を掲げ、環境先進地域づくりを打ち出した。

<地域全体で導入>
 構想のスケールは壮大だ。クリーンエネルギーの発電設備を設け、生み出した電気をスマートグリッド(次世代送電網)で域内に供給する。復興住宅での太陽光発電の全戸整備も明記した。
 「自然エネルギーは次世代のインフラ。地域全体で導入することが重要となる」。東北大大学院環境科学研究科長の田路和幸教授(環境共生機能学)は、エコタウンを時代の必然とみる。
 昨年整備した環境科学研究科の研究棟「エコハウス」で、電力の自給に取り組む。主に太陽光で発電し、リチウムイオン電池に蓄電、LED照明を使う。震災で大学が停電した際も蓄電機能が働き、自活を支えた。
 発電量の不安定さが弱点だが、田路教授は「蓄電池の技術革新を進め、各家庭に配備するような施策が必要だ」と語る。

<企業の参画必要>
 エコタウンに期待されるのは、エネルギーの有効活用だけではない。
 「万単位の太陽光パネルやリチウム電池を10年間継続発注することになれば、工場誘致も可能で、雇用にもつながる」。6月の県震災復興会議で、委員を務める会社会長の神蔵孝之氏は、独自の見解を披露した。環境への投資は経済効果を生むとみる。
 多くの関係者が企業の参画を重視するが、東北の金融機関幹部は「再生可能エネルギーを重視するという県の方針が企業に伝わっていない」と指摘。実現への工程表を示し、投資意欲を刺激すべきだと提案する。
 復興計画は復旧にとどまらず、先進的な地域づくりをうたう。東松島市を皮切りに、石巻市や名取市でも同様の社会実験を目指す。
 「現行法の規制が壁となり、このままでは前に進まない。特区などの環境整備を急ぐべきだ」。協議会の内海副会長は、復興の象徴となるエコタウン具現化に向けて、国の後押しに期待を掛ける。

◇主な事業と実施年度
・新エネルギー設備導入支援事業(2011~15)
・住宅用太陽光発電促進事業(2011~15)
・ソーラーハウス促進事業(2014~20)
・分散型エネルギー設備導入促進事業(2014~20)
・ガスコージェネレーション(熱電供給)・バイオマス利活用推進事業(2014~20)

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2011年

7月

30日

宮城県 「(3)ものづくり/企業流出防ぐ施策を」

(3)ものづくり/企業流出防ぐ施策を

豊田社長(右奥)と会談する手前左から村井宮城県知事、達増拓也岩手県知事=19日、宮城県庁
豊田社長(右奥)と会談する手前左から村井宮城県知事、達増拓也岩手県知事=19日、宮城県庁

河北新報110730

<「大きなお土産」>
 「ものづくりを通し、被災地の方々と一緒に東北の未来をつくりたい」
 仙台市のホテルの記者会見場で今月19日、トヨタ自動車の豊田章男社長が高らかに宣言した。
 豊田社長は「東北復興支援策」と銘打ち、宮城県内でのエンジン工場新設や企業内訓練校開設などのプロジェクトを発表。復興の道を歩み始めた被災地は「大きなお土産」(村井嘉浩宮城県知事)と受け止めた。
 県震災復興計画2次案で、県は「ものづくり産業の早期復興」を産業施策の柱に位置付けた。被災中小企業の復旧支援とともに自動車、電子機械を軸とした産業集積を前面に出す。トヨタの取り組みは、2次案の実現を後押しすると期待が高まる。

<見通し立たない>
 震災から4カ月が過ぎ、製造業の復旧のスピードと復興への意欲は、県の想定を上回っている。県内148社を対象に実施した県の調査によると、津波に見舞われなかった内陸部を中心に64%の企業が、震災前の受注水準を回復した。
 中小企業グループに施設や設備の復旧費用を助成する県などの制度には、65億3000万円の予算枠に対し、製造業を中心に217件1249億9600万円分もの申請があった。
 内陸部を中心に県内製造業の復興への足取りは、力強さを増す。一方で壊滅的な被害を受けた沿岸部は、生産再開の見通しすら立たない企業も多い。大規模な地盤沈下に加え、被災市街地での建築制限も企業活動再開の足かせとなっている。

<スピードが勝負>
 沿岸部のある工場は設備が完全に水没、被害は数十億円規模に上った。同社幹部は「地震や津波の再来の恐れもある中、操業を続ける意味をどう考えるか。(県外に)出るか出ないかの議論になるのも当然だ」と言う。現状認識は厳しい。
 ものづくり産業の復活は、村井知事が掲げる「富県戦略」の大前提となる。「企業は5年も10年も待ってくれない。この半年、1年が勝負だ」とみる県幹部の表情には焦りの色が浮かぶ。
 県は2次案で復旧期とした最初の3年間に、設備の復旧支援や融資制度の充実を盛り込んだ。迅速な施策展開はもちろん、県外移転しかねない被災企業を踏みとどまらせる力強いメッセージ性も、復興計画に欠かせない要素になっている。
 日本政策投資銀行東北支店(仙台市)の深井勝美東北復興支援室長は「(2次案は)平時の延長にすぎない印象がある。未曽有の震災を経験した県だからこそ、今アピールすべきことがあるはずだ」と注文を付ける。
(加藤健太郎)

◇主な事業と実施年度
・中小企業等施設設備復旧支援事業   (2011~13)
・相談助言事業            (2011~13)
・被災中小企業者対策資金利子補給事業 (2011~15)
・中小企業者販路開拓・取引拡大支援事業(2011~15)
・自動車関連産業特別支援事業     (2011~20)

 

2011年

7月

29日

宮城県 「水産業復興へ連携一致 宮城県漁港、知事と会談」

水産業復興へ連携一致 宮城県漁港、知事と会談

県庁を訪れ、村井知事(手前)と水産業振興について意見を交わす菊地会長(左)
県庁を訪れ、村井知事(手前)と水産業振興について意見を交わす菊地会長(左)

河北新報110730】27日に就任した宮城県漁協の菊地伸悦会長は29日、宮城県庁で村井嘉浩知事と会談し、県と連携して水産業復興に当たるとの認識で一致した。村井知事が提起した「水産業復興特区」については、話し合いを継続することを確認した。
 菊地会長は、復興に必要な漁船を約4000隻、共同利用施設、漁具などの調達を合わせた費用が計830億円に上るとの試算を示した。その上で「1万人の漁民の復興に、これまで以上に力を貸してほしい」と全面的な支援を求めた。
 村井知事は「水産業の復興を最優先に考えたい。多くの人が再び水産業に携われるよう、お手伝いをしたい」と、県漁協と連携して復興に取り組む考えを示した。
 佐々木憲雄副会長、阿部力太郎理事長らが同席した。
 会談後、菊地会長は記者団に「漁業者も民間の資金は必要だと思っている」と指摘。企業の安易な撤退に対する警戒感を挙げ「いろいろなルールを作ることで、安心感が出てくればいい」と述べ、特区によらない形での民間資本活用策を引き続き検討する考えを示した。会談での特区をめぐるやりとりについて、村井知事は記者団に「妥協点には至っていない。漁業者も手を組みやすい安心できる形について、話し合いをしていく」と述べた。

2011年

7月

28日

宮城県 「まちづくり(1)住居移転に不透明感」

まちづくり(1)住居移転に不透明感

津波で壊滅的被害を受けた宮城県山元町周辺の沿岸部。復興計画は高台移転や多重防御をまちづくりの基本に据える=4月10日
津波で壊滅的被害を受けた宮城県山元町周辺の沿岸部。復興計画は高台移転や多重防御をまちづくりの基本に据える=4月10日

河北新報110728】宮城県は、東日本大震災からの復興を今後10年間で達成するとした「県震災復興計画」2次案をまとめた。被災地の単なる復旧ではなく、壊滅的被害から抜本的な再構築に向けた復興モデル構築を目指した。震災発生から間もなく5カ月。ようやく見え始めた県土再興ビジョンの要点を、被災地の声とともに整理する。(5回続き)

 宮城県が16日、県大河原合同庁舎で開いた復興計画2次案の県民説明会。山元町から大河原町の公営住宅に避難している会社員高橋知代子さん(48)は、いま一番の気掛かりを県幹部にぶつけた。
 「津波で自宅が被災したが辛うじて建っている。ローンがあるので、このまま住み続けていいものかどうか、知りたい」
 自宅は海岸から1.5キロ離れたJR常磐線の東側にある。業者には「リフォームすれば住める」と言われている。津波の再来は怖いが、慣れ親しんだ土地からは離れたくない。気になるのはまちづくり計画の行方だ。

<生命守る県土へ>
 2次案は「災害に強いまちづくり宮城モデルの構築」を掲げる。津波で壊滅的被害を受けた教訓から、「再来しても県民の生命が守られる県土づくり」(県震災復興・企画部)を基本に据える。
 核となるのは、住宅や公共施設の「高台移転」、職場と住居の場所を離す「職住分離」、道路や鉄道を盛り土構造にして堤防機能を持たせる「多重防御」の3本柱だ。
 平地が少ない気仙沼市などの「三陸地域」「石巻・松島地域」は高台移転と職住分離を進め、平野部の山元町など「仙台湾南部地域」は多重防御を図り、沿岸の住宅地は内陸側へ移転させる。
 村井嘉浩知事は「同規模の地震、津波が真冬の真夜中など最悪の状況で起きるかもしれない。安全な場所への移転は譲れない一線だ」と訴える。

<1兆円超が必要>
 だが、計画の実現には不透明感がつきまとう。
 県は集団移転と土地区画整理で、少なくとも1兆円の財源が必要と試算するが、国庫補助に限度がある現行制度では、被災市町の負担は7割に達し、「工面することは到底不可能」とされる。
 職住分離にも異論が出ている。公共政策に詳しい広井良典千葉大教授は県震災復興会議で「地域コミュニティーを分断する恐れがある。最近のまちづくりは職場と住居を分けない」と指摘した。
 県は「従前のまちづくりを認めたら、災害から何も学んでいないことになる」と方針を堅持する構えだが、政府が21日に決めた復興基本方針の骨子は、高台移転や職住分離を必ずしも強く打ち出してはいない。

<「身動き取れず」>
 高橋さんは、内陸への移転を求められれば、自宅再建をあきらめるつもりでいる。しかし、「まちづくりの方針がはっきりせず、全く身動きが取れない」といら立つ。
 「復興計画は絵に描いた餅になるのか」。県民説明会で出席者の一人が単刀直入に聞いた。三浦秀一副知事は「いま百パーセント実現できるとは正直言えない」と話し、危うさを認めざるを得なかった。(長谷美龍蔵)

◇主な事業と実施年度
・津波避難施設等整備事業   (2013~17)
・地域高規格道路整備事業   (2011~17)
・公共土木施設災害復旧事業  (2011~13)
・被災施設再建支援事業    (2012~17)
・がけ地近接等危険住宅移転事業(2011~15)

2011年

7月

28日

岩手県野田村 「第3堤防より海側は非住居エリア 野田村の復興委」

第3堤防より海側は非住居エリア 野田村の復興委

岩手日報110729】第2回野田村東日本大震災津波復興計画策定委員会(委員長・堺茂樹岩手大工学部長、委員25人)は28日、同村野田の新いわて農協野田支所で開かれた。村は防潮堤の新設や盛り土など三つの堤防を整備し、堤防より海側は非住居エリアにするなど野田地区の方向性を示し、各委員は了承した。

 村は中心部の同地区について3パターンの復興イメージ図を提案したが、三陸鉄道北リアス線と国道45号の位置は変更しない案を優先的に提示した。

 同案では被災した防潮堤を撤去した上で、海岸沿いに防潮堤(第1堤防)を新設。同北リアス線と国道45号を第2堤防とし、内陸側は盛り土と防潮林で第3堤防とする。第2堤防の海側には津波防護壁の整備を検討する。

 第3堤防より海側は非住居エリアとし、公園として活用。高台にある久慈工高周辺を市街化を促進する地域とし、非住居エリアからの移転先の一つと見込む。

 村は1596世帯を対象にしたアンケート結果を報告。津波被害の大きかった南浜、旭町、前田小路地区などは半数以上が「安全な高台等への移転」を望んでいると説明した。

 各委員は方向性を了承した上で、国道のかさ上げや水門の遠隔操作などを求める意見、要望を出した。8月下旬の次回委員会では、復興計画の素案をまとめる。村は9月上旬に住民懇談会を開催する予定だ。

2011年

7月

27日

宮城県漁港の菊池新会長 水産業復興特区構想認めず

河北新報110728】宮城県漁協は27日、2011年度通常総代会を塩釜市の県漁協塩釜総合支所で開き、新会長に菊地伸悦氏(66)=亘理支所運営委員長=を選んだ。養殖漁業権を民間企業に開放する県の水産業復興特区構想について、菊地氏は「特区を使わなくても民間参入は可能だ。スタンスは変わらない」と話し、容認しない姿勢をあらためて示した。
 総代会には約200人が出席し、10年度事業報告や本年度の事業計画など6件を原案通り承認した。東日本大震災で壊滅した種苗生産施設の早期再建を国、県に求める特別決議を採択した。
 総代会後の経営管理委員会で新会長に選出された菊地氏は「組合員のなりわいを守りたいという考えは村井(嘉浩)知事も同じで、大きな違いはない」とも語り、本格復旧に向け県との連携強化が必要との考えも強調した。
 事業報告によると、10年度の総事業取扱高は406億5600万円(計画対比94.5%、前年度比93.3%)を確保したものの、支所・出張所の8割が流失するなどし、17億8800万円の特別損失が発生した。未処理損失金は28億5400万円に膨らみ、自己資本比率は系統自主ルール(10%)を下回る7.3%に落ち込んだ。
 県漁協の新会長が選出されたことについて、村井嘉浩知事は27日の記者会見で「水産業に対する思いは、どなたが会長になっても変わらない。私たちがやろうとしていることを一生懸命説明し、協力を仰いでいく」と述べた。

 

2011年

7月

26日

福島県 「道路寸断福島・相馬地方 交通網整備 復興へ急務」

道路寸断福島・相馬地方 交通網整備 復興へ急務

福島県浜通り地方から福島市などへのアクセス改善が期待されている「阿武隈東道路」=相馬市山上
福島県浜通り地方から福島市などへのアクセス改善が期待されている「阿武隈東道路」=相馬市山上

河北新報110726】東日本大震災で交通網に大きな打撃を受けた福島県相馬地方で、高速道路や国道バイパスの早期整備を求める声が高まっている。福島第1原発事故で国道6号の一部が通れなくなっているほか、JR常磐線の復旧も進まず、震災から4カ月半が経過した今も孤立状態。地元市長らは「復興には交通網整備が不可欠だ」と口をそろえ、北の仙台市や西の福島市に向かうアクセス道路の早期整備を求めている。
 相馬地方を含む福島県浜通りを南北に縦断する国道6号は、津波や地割れの被害に見舞われ、現在も一部で復旧作業が続く。さらに南相馬市原町区より南側は原発事故で警戒区域になり、通行禁止のままだ。

相馬市や原町区から、いわき市や首都圏へのアクセスは、福島市方面への迂回(うかい)が必要。いわき市の食品流通業者は「相馬地方への運搬は時間もコストもかかり、大変な手間だ」とぼやく。
 JR常磐線は津波で駅舎や線路が流された新地駅(福島県新地町)を含め、亘理駅(宮城県亘理町)から南は復旧の見通しが立っていない。南相馬―仙台を往復する代行バスはあるが、利用者からは「本数が少なく使いにくい」との不満も出ている。
 状況打開へ期待が高まるのが常磐道の早期整備。常磐道は今年12月、常磐富岡―相馬インターチェンジ(IC)の開通が予定されていたが、富岡町から南相馬市小高区までは警戒区域に入り、工事はストップしている。 「9割以上完成している」(国土交通省)という原町区から北の工事が5月に再開されたが、資材不足などでなかなか進まない。結局、富岡町から相馬市までの開通時期は未定のままだ。
 南相馬市の桜井勝延市長は「原発事故が収束しないため、富岡町―相馬市の工事は暗礁に乗り上げている状況だが、復興のためにはまず、原町区から北の区間の早期整備が不可欠だ」と前倒しを訴える。
 相馬市と福島市を結ぶ国道115号のバイパス「阿武隈東道路」(10.7キロ)も、5月に工事を再開した。将来は福島―山形―秋田県をつなぐ東北中央道(268キロ)の一部となる。相馬市の立谷秀清市長は「東北中央道は、首都圏と相馬地方を結ぶ重要な幹線道路だ」と期待する。
 バイパスの工事進展率は約50%。東北地方整備局磐城国道事務所の柴田孝助・副所長は「震災で人材や車両の確保が難しい状況だが、5年後の16年度には完成できる見通しだ」と話している。

2011年

7月

24日

宮城県山元町 「山元町が復興方針、高台移転促す JR常磐線内陸迂回案も」

山元町が復興計画、高台移転促す JR常磐線内陸迂回案も

河北新報110724】宮城県山元町は東日本大震災の復興基本方針案を固めた。最大の焦点となるJR常磐線のルート設定は、内陸部に大きく迂回(うかい)する案を盛り込んだ。中心市街地の形成による「コンパクトなまちづくり」を目指し、津波で被災した沿岸住民の高台移転を促す。
 常磐線のルートについては「津波による機能喪失が再び起きないような位置に復旧することを基本とする」とし、国道6号西側に迂回する案を提示した。
 新たなまちづくりと一体的に整備するため、国や県、JRと調整を進める方針を示した。
 新たな土地利用に当たっては「居住地」「産業用地」「防災緑地」などのゾーンを設定した。
 居住地ゾーンは、国道6号西側に公共施設や駅を核とし、商業施設の誘致を図るなどして中心市街地の形成を図る。
 高台には生活や防災、福祉の拠点となる住宅団地を造成し、津波で被災した住民の集団移転を促す。仮設住宅の入居期限も踏まえ、高齢者に配慮した公的住宅の供給も盛り込んだ。
 産業用地ゾーンは2カ所を想定。現在の常磐線と国道6号に囲まれた中央の平野部に水田や畑を集約し、常磐自動車道山元インターチェンジ周辺では企業や施設園芸作物の生産、産直施設などの集積を目指す。避難路となる道路を整備し「職住分離」を図る。
 町が全世帯を対象に行った意向調査の速報結果によると、「鉄道や道路は新しい位置を検討すべきだ」という回答が全体の80.9%に上った。
 望ましいまちづくり(複数回答)は「公共交通機関が利用しやすい便利なまち」が48.8%で最も多く、町は基本方針への反映を目指す。
 町は24日に開く震災復興会議などを経て、7月中に基本方針をまとめ、年内に復興計画を策定する予定。

2011年

7月

22日

岩手県久慈市 「元の場所で街づくり 久慈市が復興計画策定」

元の場所で街づくり 久慈市が復興計画策定

【岩手日報110723】久慈市は22日、県内の沿岸自治体で初めて東日本大震災からの市復興計画を策定した。被災した336世帯の意向調査の結果から震災前と同じ場所での街づくりを基本とし、防潮堤や避難道路、河川堤防の整備などで多重防災型の街を目指す。再生可能エネルギー導入の取り組みなどにも力を入れる。

 策定した市復興計画は10カ年。復旧、復興、飛躍期の3段階とし、5月に策定した市復興ビジョンの「新たな視点による 新たなまちづくり」を目標に据える。生活再建や水産業復興など5プロジェクト、26事業を盛り込んだ。

 住宅などの被災世帯を対象としたアンケート調査では約65%の住民が「震災前と同じところに住む」と答え、「高台へ移転する」の約23%を大きく上回った。市は震災前と同じ場所での街づくりを基本とするが、高台移転の希望世帯が約69%を占めた玉の脇地区や約46%の久喜地区などは住民との意見交換を行い、方向性を探る。

 国の直轄事業で1990年から実施され、昨年度末時点で進行率24%の湾口防波堤の早期完成を国などに強く要望するとともに、河川堤防のかさ上げ、避難道路や緊急避難タワー、水門の整備などで災害に強い街づくりを進める。

2011年

7月

21日

千葉県習志野市 「官民協働で被災住宅復興へ 習志野市が検討会議 年内に提案書」

官民協働で被災住宅復興へ 習志野市が検討会議 年内に提案書

液状化被害を受けた習志野市袖ケ浦地区の住宅地(今年3月、同市提供)。復興計画策定に向け、官民協働の検討会議が設置された
液状化被害を受けた習志野市袖ケ浦地区の住宅地(今年3月、同市提供)。復興計画策定に向け、官民協働の検討会議が設置された

千葉日報110721】大震災で液状化被害などを受けた習志野市は、復興計画策定に向け、町内自治会の代表者や学識経験者ら官民協働でつくる「被災住宅地公民協働型復興検討会議」を立ち上げた。地質調査で液状化の発生原因などを調べ、今後の被害を予測。インフラ整備や個人住宅の再建手法、震災対策案などを検討し、年内に提案書としてまとめる。第1回会議では被害がなかった地域も地質調査の対象とすること、地盤沈下による段差の早期解消などを求める声が上がった。

 液状化が起きたのは香澄、袖ケ浦、秋津地区など国道14号以南の埋め立て地域。下水道管の破損で先月末まで排水を制限した他、今月1日現在で全壊14戸、大規模半壊162戸など計約2千戸の住宅被害を確認している。

 今回の被災を教訓に、同市は「災害に強いまち」を目指す復興計画の策定を決めた。個人財産となる住宅の復興については市民と協働で進めようと、検討会議を設置した。

2011年

7月

21日

福島県相馬市 「相馬市議会が沿岸部の居住制限可決」

相馬市議会が沿岸部の居住制限可決

河北新報110722】福島県相馬市議会は21日の臨時会で、東日本大震災による津波で被害を受けた同市沿岸部の一部地区で住居建築を制限する条例制定案を可決した。
 条例案によると、市は建築基準法39条に基づき、津波で家屋が流失するなどの被害があった同市尾浜、原釜、磯部、新沼の一部を災害危険区域に指定し、住居を建設することや生活することを禁止する。
 商店や宿泊施設などの商業用施設は除外される。適用期間については「国による護岸工事の完了など、安全性が確保されるまで当面の間」と決めた。
 立谷秀清市長は「市として住民の安全を守る責務があり、そのためにある程度の制限が必要となる」と話している。

2011年

7月

19日

岩手県 「住田町の森林作り」

住田町の森林作り

植樹する坂本さん(左)と多田・住田町長
植樹する坂本さん(左)と多田・住田町長

読売新聞110720】住田町の森林作り保全団体と協定結ぶ 音楽家の坂本龍一さんが代表を務める森林保全団体「more trees(モア・トゥリーズ)」(東京)と住田町は19日、中長期的な森林作りを進める協定を結んだ。

 同団体は2007年に設立され、国内外9か所で森林の間伐推進や植林を展開。震災後は地元産材を使って仮設住宅を建てた住田町の取り組みに賛同し、建設費約3億円を援助するため、寄付金を募っている。今後、同町で林業体験ツアーを行い、木の良さを広める。

 坂本さんは「被災地の復興支援と持続可能な森づくりに役立てればいい」と語り、多田欣一町長は「木材を生かした町づくりを全国に向けて発信する第一歩となった」と述べた。同団体は29~31日に東京・六本木ヒルズで、木造仮設住宅の展示や岩手の特産品を販売するイベントを開く。

2011年

7月

16日

宮城県南三陸町 「仮設2商店街計画、南三陸で着々 100店舗再会目指す」

仮設2商店街計画、南三陸で着々 100店舗再開目指す

河北新報110716】東日本大震災で約8割の商工業者が被災した宮城県南三陸町で、二つの仮設商店街計画が進んでいる。南三陸商工会が主導し、中小企業基盤整備機構の制度を活用したプレハブ店舗と、ボランティア組織によるコンテナ店舗を設ける方針だ。商工会は会員らに参加を呼び掛け、飲食店や鮮魚店など計約100店舗の営業再開を目指す。
 中小企業基盤整備機構の制度は、プレハブを建て商工業者に貸し出す。志津川御前下の南三陸消防署西側の私有地5500平方メートルと、歌津枡沢の平成の森の町有地200平方メートルの2カ所に建設することが決まった。
 プレハブは店舗や水産加工場などが共同利用する形式で、面積は店舗が40~50平方メートル、加工場は約100平方メートルを確保する。店舗数を決めた上で9月下旬にも着工、12月の営業開始を予定する。
 ボランティア組織による仮設商店街は、コンテナハウスを店舗とする計画で、「社会貢献共同体ユナイテッド・アース」(神戸市)が提案した。
 一つの店舗が20フィート(約6メートル)コンテナを利用し、最大で30店舗を想定する。プレハブ店舗が建つ南三陸消防署西側に併設する。早ければ9月にも営業を始めることができるという。
 ユナイテッド・アースは「店舗デザインを工夫し、幅広い年齢層が集まる元気な商店街を目指す」と話す。
 商工会は二つの仮設商店街について、15日に町役場で説明会を開き、約100人が参加した。出店料はなく、毎月の共益費などは1万~2万円という。商工会によると、会員約100人が仮設施設での営業再開を望んでいるという。
 同町入谷の飲食店主高橋修さん(52)は「店舗面積が小さく客単価も下がる。利便性を考えて出店を決めたい」と話した。

2011年

7月

13日

岩手県 「14年4月の開通目指す 三鉄、ルート変更せず」

14年4月の開通目指す 三鉄、ルート変更せず

岩手日報110714】東日本大震災で甚大な被害を受けた三陸鉄道(望月正彦社長)が、2014年4月までに全面再開を目指す方針であることが13日、分かった。復旧は運休中の約71キロについて3段階に分けて実施。北リアス線・陸中野田│田野畑が最も早く12年4月の再開を予定する。ルートは変更せず、被災状況に応じて線路のかさ上げなどの防災対策を検討。同社は15日の定時株主総会で復旧方針を説明する。

 同社は、全面再開までの期間を約2年半と設定。10月から順次復旧に着手し、第1次は北リアス線・陸中野田―田野畑で12年4月、第2次は南リアス線・盛―吉浜で13年4月、第3次は北リアス線・小本―田野畑、南リアス線・吉浜―釜石で14年4月にそれぞれ運転再開を目指す。

 ルート変更は基本的に行わず、防災対策工事などで対応する方針。流失した島越駅は従来より高い場所への移転を検討する。損傷が激しい部分は線路のかさ上げやコンクリートによる補強などを行う考えだ。

2011年

7月

13日

宮城県 「復興計画2次案了承 職住分離に反論なく 宮城県会議」

復興計画2次案了承 職住分離に反論なく 宮城県会議

河北新報110714】宮城県震災復興会議の第3回会合が13日、東京都内のホテルで開かれ、316の復興事業を盛り込んだ「県震災復興計画第2次案」を協議した。多くの委員が若者や企業を巻き込む「参加型」の被災地復興のアイデアを披露。職場と住居を分ける沿岸部の「職住分離」は前回異論が噴出したが、2次案でも堅持した県の方針を了承した。
 日本総合研究所理事長の寺島実郎氏は「宮城を復興させるんだという若いエネルギーを吸い寄せる計画でなければならない」と指摘。復興に参画する若者の受け皿として「復興プロジェクト推進隊」結成を提案した。
 千葉大教授の広井良典氏も「若者震災復興支援隊」の創設を国レベルで検討するよう求めた。「ボランティアに期待、依存した復興は望ましくない。月額10万~15万円の給与を支払う大規模な仕組みが必要」と話した。
 「民間の知恵と資金を引き出すことが、県の重要なミッションだ」と語ったのは野村総研常勤監査役の山田沢明氏。「危機に直面し、県の役割は変わった。外部の力をいかに活用するかが県政の方向だ」と強調した。
 イマジニア会長の神蔵孝之氏は計画の実行部隊の必要性を強調。「いろんなアイデアをタイムリーに実現するため、知事直属の機構を設立し、官民のプロ集団を集めておくべきだ」と述べた。
 村井嘉浩知事は「提案された若者の知恵や力を引き出す仕組みは面白いアイデアだ。8月の最終案策定に向け検討していきたい」と話した。
 「職住分離」については前回、複数の委員から「コミュニティーが壊れる」との異論が出た。県は「海まで(車で)すぐの距離に(住居エリアを)想定した。職住分離だが、職住近接でもある」と2次案明記に理解を求めた。
 委員から反論はなく、議長の小宮山宏三菱総研理事長は「沿岸部全てに職住分離を適用することはあり得ず、職場と住居がどうしても遠くなる地域は、最初から分離を考えていない」と述べた。
 県は13日、2次案のパブリックコメント募集を開始。16~18日は5カ所で県民説明会を開く。

2011年

7月

13日

宮城県東松島市 「東松島で社会実験 仮設住宅周辺に「風力+太陽光」発電装置

東松島で社会実験 仮設住宅周辺に「風力+太陽光」発電装置

河北新報110713】東北の研究者や中小企業などが、東日本大震災被災地の街づくりでの新エネルギー活用を目指す一般社団法人を設立した。地元企業が開発した太陽光などの発電装置を使い、社会実験を行う方針で、8月中に宮城県東松島市の仮設住宅周辺に設置する。
 法人名は「持続可能で安心安全な社会をめざす新エネルギー活用推進協議会」で、7日設立。宮城県内を中心に30社・団体が参加し、東北大名誉教授の井口泰孝弘前大監事が会長に、内海康雄仙台高専副校長らが副会長に就いた。東京に本部を、活動拠点として仙台に支部を設けた。
 活用するのは馬渕工業所(仙台市太白区)が開発した「ハイブリッド・スマートデバイス」。高さ6.5メートルの支柱に風力発電用プロペラや太陽光パネル、高性能蓄電池、発光ダイオード照明を取り付け、発電した電力を街灯などに使う。
 社会実験は東松島市のほか、会員企業が今月中に宮城県南三陸町の土木工事現場でも始め、ほかの被災地での利用も働き掛ける。
 新エネルギーを生かす産学官連携の研究開発も視野に入れており、協議会事務局は「新エネルギーの活用を通じ、地域の震災からの復興に役立ちたい」としている。

2011年

7月

10日

宮城県女川町 「復興住宅13年度着工 女川町計画策定委 2次案示す下旬に公聴会」

復興住宅13年度着工 女川町計画策定委 2次案示す下旬に公聴会

三陸河北新報110710】女川町復興計画策定委員会(会長・鈴木浩福島大名誉教授)は9日、女川二小で第4回委員会を開き、中心部の復興住宅建設を2013年度に始める目標を示したほか、離島・半島部の15漁港のうち7港を拠点として優先的に整備する方針を打ち出した。2次案として今月下旬に公聴会を開き、町民に提示。8月に答申案をまとめる。

 町中心部のうち高台に住居・商業および公共施設、魚市場周辺を港湾・水産加工、清水町地区をスポーツ施設、海岸の一部を津波倒壊ビルを含むメモリアルの各ゾーンとする基本的部分は前回案と大きな変化はなかった。

 居住地域は現運動公園、宮ケ崎、鷲神浜、旭が丘に、新たに小乗浜地区を加えた。小乗浜地区は東北大研究施設があったことから海洋研究ゾーンとした。

 離島・半島部は前回と同様に高台への移転集約を提案した。出島は中央部、北浦は指ケ浜背後地と旧女川三小跡地と周辺、五部浦は横浦、塚浜、および飯子浜南西部の高台となっている。

 漁港は、現在20隻以上の船がある港の整備を優先する。拠点候補として尾浦、出島、寺間、指ケ浜、塚浜、飯子浜、横浦を挙げた。

 女川港再生に不可欠な防波堤は13年度までの完成を目指す。住宅建設も13年度から段階的に進める。

 委員からは「住居を移転した場合、漁業権は守れるのか」「被災した土地の評価はどうなるのか」などの質問が出た。事務局は「漁業権に影響が出ない方法を模索する」「国の方針は未確定だが、基本的には津波前の評価額とし、権利を保全したいと考えている」などと答えた。

 公聴会は20~22日、5会場で開く予定。

2011年

7月

09日

福島県 「福島原発「最終処理に数十年」菅首相が見通し」

福島原発「最終処理に数十年」菅首相が見通し

日本経済新聞110709】菅直人首相は9日午後、民主党本部で開いた全国幹事長・選挙責任者会議に出席し、東京電力福島第1原子力発電所の事故について「最終的には数十年単位の処理の時間がかかる見通しになっている」との認識を示した。原子力発電のあり方を巡り「リスクとメリットの考え方を根本から見直さざるを得ないところに来ている」とも強調した。

 全原発を対象に実施するストレステスト(耐性調査)に関する政府の統一見解については「週明けには方向性を示すことになっている」と述べた。

 首相は「エネルギー問題を政局のためにやっているとの報道があるが、私や内閣のすべてのメンバーの気持ちは全くちがう」と強調。退任時期に関しては、原発対応などに「一定のメド」がついた段階で辞任する考えに変わりはないと改めて表明した。

2011年

7月

06日

宮城県、復興計画2次案を決定 今後10年・316事業

河北新報110707】宮城県は6日、幹部職員による震災復興本部会議を開き、県震災復興計画第2次案を正式決定した。2015年度までに災害公営住宅を整備するなど、今後10年間に取り組む316の復興事業を盛り込んだ。村井嘉浩知事は「夢があり、(将来の)可能性を感じてもらえる内容」と語った。(16面に関連記事)
 計画の基本理念として(1)災害に強く安心して暮らせるまちづくり(2)県民一人一人が復興の主体(3)「復旧」にとどまらない抜本的な再構築(4)先進的な地域づくり(5)壊滅的被害からの復興モデル構築―を掲げた。
 まちづくりは住宅や公共施設の「高台移転」、職場と住居を分ける「職住分離」、道路や鉄道に堤防機能を持たせる「多重防御」を打ち出した。復興住宅の全戸に太陽光発電設備を導入し、エコタウンの形成も目指す。
 142漁港は3分の1程度に集約再編し、背後地に流通加工業を集積させる。地盤沈下などで復旧困難な農地は国が買い上げ、緩衝地帯の緑地公園「千年希望の杜グリーンベルト」を整備する。
 養殖漁業の民間参入を促す「水産業復興特区」を含め、八つの分野で大幅な規制緩和を行う「東日本復興特区」創設を求めることも盛り込んだ。県は近く正式に復興特区創設を国に申請する。
 村井知事は「最低限これをやらなければ、宮城県は元気にならないという内容だが、国の支援なしには実現できない」と強調。「10年後に宮城県は飛躍したと言われるよう努力する」と語った。
 県震災復興会議で異論があった「職住分離」を堅持したことは、「被災市町や被災者から要望があり、何とか実現したい強い思いがあった。最後は知事である私の責任で決めた」と説明した。
 県は復興計画を県議会9月定例会に提出する予定。議決後、復旧期としている11~13年度の実施計画を策定する。

◎提案型、制度根拠乏しく

 【解説】宮城県が6日決定した県震災復興計画第2次案は、冒頭で「提案型」計画と銘打った。既存スキームを採り入れた従来の行政計画と違い、制度や財源に裏打ちのない復興事業をあえて盛り込み、国に制度創設を迫る内容だ。被災地の「理想」を形にしたともいえるが、国の対応次第で「絵に描いた餅」となる危険性をはらむ。
 2次案に明記された316復興事業のうち、例えば被災農地の土壌改良費を補助する「被災農地再生支援事業」などは、現時点で国に補助制度はない。農業再生の要になる施策の一つだが、実現には不透明感が漂う。
 国の制度があっても補助率アップや規制緩和が前提の事業も多く、計画全体が根拠に乏しい印象は拭えない。村井嘉浩知事は「国はしっかり受け止めると信じている」と語ったが、確証が得られているわけではない。
 震災発生から間もなく4カ月。国の復興ビジョンはいまだに見えず、被災地が先手を打たざるを得ない現実はある。村井知事も「国を待っていたら復興計画は、いつまでたっても作れない」といら立ちを募らせた。
 2次案は今後、県民説明会の意見なども踏まえ修正されるが、ほぼ最終案に近いとされる。復興計画を具現化するパートナーの国は、政権の不安定さから望ましいありようとはほど遠い。被災者の希望になるよう施策の実現性をどう担保していくか。県にはさらなる知恵と行動が求められそうだ。

2011年

7月

05日

宮城県復興計画2次案固まる「職住分離」を堅持

河北新報110706】宮城県は5日、東日本大震災の復興計画第2次案を固めた。国と被災3県などによる「大震災復興広域機構」設立は断念し、計画案から削除。職場と住居を分ける沿岸部の「職住分離」方針は、県震災復興会議で異論が噴出したが堅持した。養殖漁業の民間参入を促す「水産業復興特区」創設は検討課題にとどめた。
 2次案は6月3日公表の1次原案に県議会、復興会議、市町村長会議などで出た意見を反映し、10年間に取り組む316の復興事業を列挙した。
 1次案に盛り込んだ広域機構の設立は、村井嘉浩知事が政府の復興構想会議で提起。復興庁創設が決まったため「被災3県と市町村の連携」に差し替えた。
 大津波で被災した沿岸部は気仙沼市など「三陸地域」、「石巻・松島地域」、名取市など「仙台湾南部地域」に分け、復興まちづくりのイメージ=図=を明示した。
 三陸、石巻・松島両地域は住宅や公共施設の高台移転、職住分離を基本に据え、港近くに避難ビルを建設する。仙台湾南部地域は防災緑地の整備と併せ、堤防機能を持つ盛り土構造の道路、鉄道で「多重防御」を図る。
 職住分離は県復興会議で複数の委員が「コミュニティーが壊れる」と指摘した。これに対し村井知事は「安全な場所に住むことは譲れない一線」として2次案にも明記した。
 水産業復興特区は復興構想会議の1次提言や水産庁の復興計画にも入った。だが県漁協が反発し、県議会にも批判が多いため1次案と同様「検討すべき課題」に位置付けた。
 復興事業では津波避難ビルの建設費を補助する「津波避難施設等整備事業」、燃料電池や蓄電池を導入した省エネ住宅を新築した際、費用の一部を助成する「分散型エネルギー設備導入促進事業」などを盛り込んだ。
 被災地の絆を強めるため、行政と住民の橋渡し役となる復興支援員の配置、外資系企業の研究開発部門誘致などの施策も打ち出した。
 県は2次案を6日に開く県復興本部会議で正式決定する。13日の県復興会議で説明し、パブリックコメントを開始。16~18日は村井知事ら幹部が出席し、県内5カ所で県民説明会を開く。県民の意見を踏まえ2次案を修正後、県議会9月定例会に議案として提出する。

◎復興計画の主な施策

一、漁港を3分の1程度に集約再編
一、復旧困難な農地の国による買い上げ、緩衝地帯(千年希望の杜グリーンベルト)の設定
一、復興住宅への太陽光発電設備の全戸整備
一、女川原発周辺の放射能等監視体制の再構築
一、「東日本復興特区」創設
一、首都代替機能の東北への整備

 

2011年

6月

29日

宮城県 「復興計画に注文続々 宮城県市町村長会議」

復興計画に注文続々 宮城県市町村会議

県の震災復興計画案に対する注文が相次いだ市町村長会議=29日、仙台市青葉区の県自治会館
県の震災復興計画案に対する注文が相次いだ市町村長会議=29日、仙台市青葉区の県自治会館

河北新報110630】宮城県が29日の県市町村会議で示した震災復興計画の第1次案に対し、県内35市町村の首長らは多様な注文を付けた。沿岸部を中心に被害が大きかった自治体は住宅、学校の高台移転や放射能対策の充実を求めた。被害が少なかった自治体からは「内陸市町村が果たすべき役割も明記すべきだ」との声があった。

<高台移転>
 復興まちづくりの柱として1次案に盛り込んだ集落の高台移転をめぐり、井口経明岩沼市長は移転経費に対する国の補助率が4分の3にとどまることを問題視。必要財源を2兆円以上とはじいた県の試算結果を挙げ「4分の1の市町村負担は耐えられない。財源の保証を国に要求すべきだ」と迫った。
 菅原茂気仙沼市長は「平地への移転でさえ、相当の負担になる。高台となれば倍はかかる」と強調。被災前の生活環境を維持したまま移転できるような配慮も求めた。
 両市長の要望に村井嘉浩知事は「国が全額負担しないと(高台移転は)絵に描いた餅になる。国に、はっきり意思を伝えたい」と同調した。
 丘陵地の深刻な宅地被害への対応を迫られる奥山恵美子仙台市長は「宅地被害は全県的な問題として県の復興計画に書き込む話を知事からいただいた」と話した。

<放射能対策>
 福島第1原発事故を受けた県の対応をめぐり、県南の首長は「情報発信が少ない」などと不満をぶつけた。
 保科郷雄丸森町長は「放射線量は日々変わる。早めの対策が必要だ」と求めた。滝口茂柴田町長は「町民の最大の関心は、子どもたちの安全安心の確保。県の調査は、農水産物など風評被害対策を優先している印象がある」と指摘した。
 会議終了後、保科町長は取材に対し「県は(市町村任せで)当事者意識に欠けている」と述べ、事故発生以降の県の対応の遅さを批判した。滝口町長は「現状の県の情報発信では、安心を担保するまでに至らない」と問題視した。

<内陸の役割>
 沿岸と比べ被害が小さかった内陸部の首長からは、「沿岸重視」の計画内容に不満が漏れた。
 伊藤康志大崎市長は「内陸による支援や連携、けん引の役割がうたわれていない」と主張。「内陸の企業が頑張れば沿岸の雇用の受け皿ができる」と述べ、内陸部の中小企業への支援を求めた。
 交通インフラなどの復興については「全県的なバランスが重要」との主張もあった。
 佐々木功悦美里町長は取材に対し「県内全体の復興を考えるとき、沿岸部と内陸部を結ぶ物流機能の整備が欠かせない。道路や港湾だけでなく、JR石巻線、気仙沼線、陸羽東線などの鉄道を充実させることが災害に強い県土づくりにつながる」と語った。

 

2011年

6月

29日

岩手県釜石市 「用途・構造で建築制限 釜石市が被災土地利用で検討」

用途・構造で建築制限 釜石市が被災土地利用で検討

岩手日報110630】釜石市は29日、被災した地域の将来的な土地利用について、建物の用途や構造による建築制限を検討していることを明らかにした。

 市建設部によると、区画整理などを経た後の復旧後の土地について、津波による浸水の恐れが高い地域は都市計画法に基づく用途地域を見直し、建物の種類を制限する。構造も、鉄骨造りや鉄筋コンクリート造りなどの高強度に限りたい考えだ。

 海に近く、防潮堤を越える津波で確実に浸水する地域について、住宅や木造建築などを規制することで、安全なまちづくりにつなげるのが狙い。

 県が条例制定を促している危険区域での住居の建築制限については、同市は市民に新築や増築の自粛を求めており、この流れを継続する。

 野田武則市長は、この日の会見で「二度と悲劇を繰り返さないために、浸水が想定される区域には住まないまちづくりをしないといけない」と述べた。

 会見では、復興まちづくり基本計画の骨子案に主要プロジェクトとして盛り込んだ、地域完結型エネルギーシステム「スマートグリッド」の導入に向け、8月以降、先進地の北九州市から職員1人が派遣されることも明らかにした。

2011年

6月

26日

原発賠償特別法 明記せず 復興構想会議が提言 事故、国の責任で収束

福島民報110626】政府の東日本大震災復興構想会議(議長・五百旗頭真=いおきべ・まこと=防衛大学校長)は25日、「復興への提言」を決定し、菅直人首相に答申した。福島県が求めてきた、東京電力福島第一原発事故の損害賠償と地域再生に関する特別法制定は明確な形で打ち出されず、原発災害に絞った国と県の協議の場の設置が盛り込まれたのにとどまった。原発事故からの復興については内容の4分の1を割き、国の責任で収束させるよう明記した。県内での再生可能エネルギー関連の産業創出など原発事故からの復興策を示した。

 提言のうち原子力災害に対する本県意見の主な反映状況は【表】の通り。

 損害賠償と地域再生についての特別法は法整備を含め国が責任を持ち取り組むべきという内容となった。県は事故の被災者に対し広く、確実に賠償が行われることを狙い特別法にこだわった。しかし、要求が受け入れられず、設置される見通しとなった国との協議の場で引き続き特別法制定を求めていく。

 さらに、県は全額、国庫負担による復旧・復興の基金造成、復興財源の確保も求めてきた。しかし、基金については県の財政負担に含みを持たせた。交付税は新たな制度の創設に踏み込まず、「増額する」との内容にとどまった。

 提言では、全4章のうち1章が本県と深く関わる原子力災害をテーマとしている。原発事故収束は国が責任を負うべきと明記。被災者や被災自治体への支援、放射線量に関する全国統一の方針・基準の確立、土壌汚染への対応、住民の健康維持施策の推進、復興に向けた取り組みの推進を盛り込んだ。さらに、放射性物質の除染を進め、医療産業や再生可能エネルギー関連産業を本県に集積するよう取り組みを促している。

 復興会議では当初、原発事故について会議の議題から外す方針が示された。しかし、本県が「原発事故の収束が復興の大前提」と強く主張してきた。

 県の野崎洋一企画調整部長は「復興に向けたスタートラインに立った。特別法制定、財政支援は不十分な点があり、引き続き国に要請する」と述べた。

2011年

6月

26日

岩手県陸前高田市 「住民主導で仮設商店街 陸前高田・飲食店主らが計画」

住民主導で仮設商店街 陸前高田・飲食店主らが計画」

岩手日報110626】東日本大震災で中心市街地が壊滅状態となった陸前高田市で、地元飲食業者が中心となり「仮設ミニ商店街」をつくる計画が進められている。市内最大の避難所や市役所仮庁舎に近い立地環境に、多様な業種12~14店舗を集める。行政の対応スピードにもよるが10月開業を視野に入れている。市民が憩う買い物拠点として復興のけん引役を目指す。

 「人が集まる場所をつくらなければ、若者が地元を離れてしまう」。立ち上がったのは飲食店を経営する太田明成さん(44)=高田町、村上安人さん(55)=横田町の仮設住宅、佐々木浩さん(49)=高田町=の3人。太田さんが声を掛けた。

 商店街は同市高田町の住宅街、鳴石団地から数百メートルの場所に設ける計画。市に借り上げてもらうべく用地交渉も済んでおり、約1千万円かけて約2千平方メートルを造成する。約250人が避難生活を送り、校庭には約150戸の仮設住宅がある第一中や、市役所仮庁舎、金融機関からは徒歩圏内だ。

 鮮魚店、包装用品店、理容店などに出店を呼び掛けている。12~14店舗がそれぞれ仮設の建物を持つ構想で駐車場は30~50台。隣接地に大手コンビニエンスストアが出店を検討しており、その用地を含めれば3千平方メートル以上になる。市有地や市が借り上げた用地に建てる場合、原則無料で仮設店舗を貸し出す中小企業基盤整備機構の事業を活用。出店者の負担は造成費の分割分と内装費程度で済むという。

 村上さんが「街がない、仕事がないでは食っていけない。人がいなくなれば店もなくなってしまう」と指摘する通り、3人を突き動かすのは人口流出への懸念だ。

 陸前高田商工会によると698会員の約8割が被災。営業を再開する店も出てきたが、立地はまばら。街の構造上、浸水区域を避ければ条件の悪い地域にしか店を再建できず、経営者は用地確保に苦戦を強いられている。

 佐々木さんは「住みやすい街にして若い人に希望を持たせたい」と決意。太田さんは「何でもそろい、老若男女が楽しめる場所にしたい。10月までの完成が目標」と意気込む。

【写真=仮設ミニ商店街の計画を立てる(左から)村上安人さん、佐々木浩さん、太田明成さん=陸前高田市】

2011年

6月

23日

電線のない街づくり支援ネットワーク 「書籍『電線のない街づくり』 1周年記念セミナー ~防災から考える電線類地中化について~」 を開催

日時:2011年6月23日(木) 19:00~20:30

会場:キャンパスポート大阪 ルームE(大阪市北区梅田1-2-2-400 大阪駅2ビル4階)

主催:NPO電線のない街づくり支援ネットワーク

講師:室崎益輝先生(関西学院大学教授)、高田昇理事長(立命館大学教授)

詳細は【こちら】をご覧下さい。

 

電柱のないまちづくり

電線類地中化の実現方法

 

NPO法人電線のない街づくり支援ネットワーク 編著

A5判・192頁・定価2310円(本体2200円)

ISBN978-4-7615-2487-6

2010-06-30 初版発行

■■内容紹介■■ 

日本のまちの無電柱化が進まない。かつてはコストや技術に課題もあったが、実際以上に困難視されている。そこで、電線地中化の専門家集団である編著者が、いかにコストを削減したか、いかに合意形成を図ったかを商店街、郊外住宅地、伝建地区等の最新事例 を通してやさしく解説。地元団体、自治体、設計・施工関係者必携の書。