宮城県の情報

110423第2回復興構想会議発表資料_宮城県.pdf
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 2月3日

「震災の記録~巨大津波とどう向き合うか~」仙台でシンポジウム【河北新報120117

 2月2日

「創造と連携」仙台でシンポジウム【河北新報120203

 2月1日

「災害復興部」設置 石巻市

河北新報120126】【三陸石巻新聞120126】【読売新聞120126

 1月31日

「福島第1原発事故対策本部会議」第2回【河北新報120201

 1月30日

 4月除染開始 白石など7市町が対象【河北新報120131

 1月29日

「荒浜移転まちづくり協議会」設立 仙台市【河北新報120130

「海やまのあいだに生きる」仙台で東北復興シンポジウム29日開催【河北新報120130

 1月28日

 「東北再生 針路探る」仙台でシンポジウム

河北新報120129-1】【河北新報120129-2】 

 1月24日

 「復興事業局」新設 仙台市【河北新報120124】【毎日新聞120124

 1月21日

 東電説明会 丸森町・筆甫【河北新報120122

 1月17日

 寒さ対策工事、全仮設住宅で完了【河北新報120118

 1月16日

 仙台市 東日本大震災に伴う防災集団移転促進事業の個別相談開始【河北新報120117

 1月11日

 震災記録の共有化必要 研究者ら認識一致 仙台でシンポ【河北新報120112

12月22日

 復興テーマに定期協議へ 仙台市議会と宮城県議会【河北新報111220

12月12日 

 借り上げ仮設 新規受け付け 宮城は28日終了【河北新報111213

12月7日 

 東電・原発事故賠償、あす仙台に避難者対象の相談窓口開設【河北新報111206

「東北再生委員会」第3回【河北新報111208】 

11月26日 

 復旧へ意見交換定例化 宮城県知事らに復興相が提案【河北新報111127】 

11月9日 

 仙台東部沿岸の圃場整備13年度にも着工説明会始まる【河北新報111110

11月7日

 造成平地で3年 高台5年・・・東松島で集団移転の説明会始まる【石巻日日新聞111109

10月20日 

 宮城県・災害対策本部 定例開催終了、復興に軸足【河北新報111021

10月12日 

 石巻復興協働プロジェクト協議会 初会合【河北新報111013

9月20日 

「東北再生委員会」第2回【河北新報110921

9月6日 

「水産特区連絡会議」初会合【河北新報110906

8月22日 

 宮城県復興会議、最終案了承 「応援宣言」知事に提出【河北新報110823

 仮設住宅の日々(名取市仮設住宅ブログ)が開設されています

8月17日 

 県が原子力対策課を設立へ 室を「昇格」【河北新報110818

7月16日

 県震災復興計画案、初の県民説明会【朝日新聞110717

7月14日 

「県震災復興会議」第3回【河北新報110714

7月5日 

 仙台市、「復興会議」設置へ 大学・財界など16人で構成【河北新報110705

6月10日

 東日本大震災 あす3ヶ月 村井宮城県知事に聞く【河北新報110610

6月4日 

「県震災復興会議」第2回【河北新報110604

5月18日

 ~

5月20日

 仮設8月中旬完成 宮城県、必要数7000戸減【河北新報110519

 仮設進捗に地域差 宮城全体60.8%、石巻45%【河北新報110520

 石巻市、仮設用地造成着手 牡鹿半島3地区39戸分【河北新報110520

5月16日

 宮城県営27漁港原則存続 市町管理分絞り集約方針【河北新報110517

 宮城県・被災者の民間借り上げ 5月1日付で仮設扱い【河北新報110517

東日本大震災に係る応急仮設住宅としての民間賃貸住宅の借り上げについて110516】

5月12日

 宮城の被災地建築制限、4ヶ月延長【読売新聞110511

東日本大震災により甚大な被害を受けた市街地における建築制限の特例に関する法律第1及び第2項に基づく被災市街地における建築制限110512-0911】

5月2日

「県震災復興会議」が初会合【河北新聞110502110503110503】 【毎日新聞110503

河北新聞110420】【宮城県震災復興会議の開催について110421】

4月27日  仙台市、契約済み賃貸も応急仮設扱い 補助手続きあす開始【河北新報110426
4月22日

「震災復興本部」が始動【河北新報110423】【産経新聞110423

4月19日

「応急仮設住宅建設事業者」の公募【県知事発表110418

宮城県における応急仮設住宅の提案に係る事前整理受付要領110419-28】

4月11日

 宮城県知事メッセージ【震災から1か月を経過しての知事メッセージ

 宮城県復興基本方針(素案)

4月8日

 宮城県、津波被災地の建築制限へ 気仙沼市など5月11日まで【産経新聞110407

建築基準法第84条第1項に基づく被災市街地における建築制限について110408-11】

建築基準法第84条第1項に基づく被災市街地における建築制限の期間の延長110412-0511】

4月7日  宮城県が「まちづくり計画」づくりを代行 行政機能低下の沿岸部市町をサポート

産経新聞110407

3月13日  建築基準法第85条第1項の規定に基づく区域指定について
3月12日  3.11大震災 連載一覧【河北新報110312~
3月11日  14時46分18秒 東北地方太平洋沖地震 発生

仙台市の情報

●仙台市長 100万市民のみなさまへ
http://www.city.sendai.jp/shicho/message_list.html
http://www.city.sendai.jp/kaiken/index.html

○「仙台市震災復興基本方針」―絆と協働による安心と再生をめざして―
http://www.city.sendai.jp/311jishin/20110420_fukkotorikumi.html

○仙台市の復興計画策定に助力 神戸市が阪神大震災の担当者派遣
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110319/dst11031919300073-n1.htm http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0003920356.shtml

 

 

石巻市(阿部さん)

  石巻市東日本大震災関連情報復興をめざして/震災復興基本計画|震災復興推進本部関係資料

  110427石巻市震災復興基本方針pdf|石巻の都市基盤復興に向けてpdf

牡鹿郡女川町(鈴木さん) 公式ホームページ110509女川町復興計画中間答申(復興方針)pdf

本吉郡南三陸町 馬場中山(集落)

登米市-南三陸町【NHKニュース深読み110507

 

宮城県の動向

14

4月

2012

4月14日(日) 仙台マンション相談・交流会

仙台マンション相談・交流会
 (会場:アエルビル 仙台市青葉区中央)

午後~

主催:日本共産党宮城県議会・市議会

詳細が決まり次第掲載致します。
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15

3月

2012

宮城県「震災と過疎-石巻・雄勝町の今(上)ベッドタウン/住居の移転、抵抗薄く/経済拠点、町内になし」

震災と過疎-石巻・雄勝町の今(上)ベッドタウン/住居の移転、抵抗薄く/経済拠点、町内になし

がれきが積まれた自宅跡を前に、たたずむ藤本さん
がれきが積まれた自宅跡を前に、たたずむ藤本さん

河北新報120315】硯(すずり)や法印神楽で知られる石巻市雄勝町地区。東日本大震災をきっかけに、過疎化が急激に進む。人口は震災前と比べ7割減の1300人となり、多くの住民が古里に戻るかどうか決めかねている。海辺の町は、再びにぎわいを取り戻せるのか。過疎の背景と、進まぬ復興の現状を探った。(石巻総局・土屋聡史)

 「本当にいい町だったんだよ。いざ離れるとなると、つらいね」。雄勝町地区の中心部。がれきの仮置き場となった自宅跡で、藤本忠夫さん(52)はつぶやいた。

 自然豊かで伝統芸能も盛ん。生まれ育ったこの地区が大好きだった。父親は旧雄勝町長。自身も1995年、35歳の若さで町議になった。地域の魅力を発信し、交流人口を増やそうと必死だった。

 あの日-昨年3月11日、津波が古里をのみ込んだ。全家屋の9割が被災した。藤本さんが経営していた運送会社の社屋と自宅も波にさらわれた。

 1週間後、石巻市内陸部に家を借りた。実質的な本社だった石巻工業港近くの営業所までの通勤時間は、1時間から20分弱に縮まった。家族は通院や買い物が便利になった今の生活に慣れつつある。

 近く市内の別の場所に本社を移し、内陸部に家を建てる。地域づくりを引っ張った立場として、やりきれなさも込み上げる。「でも、便利さ

には勝てない」

 市雄勝総合支所は昨年10~11月、被災した地区の約1200世帯を対象に住まいに関する意向調査(回収率63%)を行った。「雄勝に住みたい」と答えたのは344世帯で回答者の46%。被災世帯全体でみると3割以下にとどまった。

 地元に残る住民が少ないのは、その多くが震災前から地区外の職場や高校に通勤、通学し、地区が「ベッドタウン」になっていた事情が背景にあるとみる関係者が多い。

 2010年の統計では、地区の就業者数は町に大型事業所がないサービス業や小売業、製造業が半数を占める。長い間、基幹産業とされていた漁業の倍近い。

 国が1999年に実施した消費購買動向調査をみても、消費者吸引率はわずか3.9%。旧石巻市での買い物が9割を超え、経済活動の軸足は地区外に移っていた。

 平地が少なく地区内に建てられた仮設住宅は161戸。多くの被災者は地区外の仮設住宅や借り上げ住宅に住む。若者や働き盛りの年代を中心に、生活拠点を地区外に移すことへの抵抗感はさらに薄れた。

 地区の老舗が一つ消えた。創業120年のマルタカ製菓。店は津波で流された。5代目の佐藤成利さん(44)は昨年7月、千葉県八街市に家族7人で転居、親類の支援を得て同県内に菓子店2店を開いた。

 「千葉に根を張る。ここには、作った菓子をおいしいと言ってくれるお客さんがいる」

 店の様子を通じ地域経済の移り変わりを肌で感じた。地区を潤したカツオ漁の船員は沖に出る際、決まって大量のかりんとうを買い込んだ。

 遠洋漁業の衰退が始まる1970年代末から、客は減りだした。店を継いだ90年以降も売り上げは低迷し続け、廃業を何度も考えた。雄勝を出ようとする自分の背中を震災が最後に押した。

 「見知らぬ土地での開業より、地元にとどまる方が不安だった。古里への愛情だけでは食べていけない」

 60年代に1万人を超えていた地区の人口は震災直前、4300人に減った。震災後の人口は実際には1000人を切ったとみる住民もいる。未曽有の震災は、過去にない速度で地区の過疎を推し進めようとしている。

[旧雄勝町]1941年の町制施行で、雄勝町となった。2005年に石巻市、河北、河南、桃生、牡鹿、北上5町と対等合併。雄勝硯(すずり)は震災前、日本一の生産量を誇った。「雄勝法印神楽」は国の重要無形民俗文化財。ユズリハなど暖地性植物が生い茂る八景島は国の天然記念物に指定されている。

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13

3月

2012

宮城県「東北電、女川原発で防災訓練「電源喪失」を想定」

東北電、女川原発で防災訓練「電源喪失」を想定

絶縁状態を回復させるため津波をかぶったモーターを洗浄する訓練=東北電力女川原発
絶縁状態を回復させるため津波をかぶったモーターを洗浄する訓練=東北電力女川原発

河北新報120314】東北電力は13日、運転停止中の女川原発(宮城県女川町、石巻市)で、巨大地震と津波を想定した防災訓練を実施した。ことし2月に運用を始めた大容量電源装置など、東京電力福島第1原発事故を受けた緊急安全対策の有効性を検証した。

 訓練には約280人が参加。宮城県沖を震源とするマグニチュード(M)9.0の地震が起きて高さ15メートルの津波が襲来、外部電源を喪失し非常用ディーゼル発電も止まったと想定した。

 原子力技術防災センターでは、原発の中央制御室を再現したシミュレーターで、所員が震災発生時の対応を確認。交流電源を失って照明が落ちた薄暗い室内で大容量電源装置を起動し、冷却機能を回復させるまでの手順を訓練した。

 津波をかぶった海水冷却系モーターを真水で洗浄、乾燥して復旧させる訓練なども行った。

 女川原発の伊保内秋芳原子炉主任技術者は「緊急安全対策でさまざまな装置を付けたが、ソフト面の強化も重要。訓練を通じて安全性の向上に努めていく」と話した。

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10

3月

2012

宮城県「住宅再建3割見通せず 復興遅れに焦燥感 被災者アンケート」

住宅再建3割見通せず 復興遅れに焦燥感 被災者アンケート

東日本大震災から1年を迎えるのを前に、河北新報社は東北大などと共同で、津波で大きな被害を受けた宮城県沿岸12市町の被災者を対象にアンケートを実施した。自宅再建や移転先として、被災前の自治体を希望する被災者は50.9%で、「見通しを立てられない」との回答が31.4%に上った。生活再生の不透明さは精神面にも影響、「落ち着かない」など心の不調の自覚症状を訴える人は9割に達した。

 住宅再建が見通せない理由には、資金不足と集団移転、公営住宅建設を中心とする復興計画が進まない状況を挙げる割合が高かった。再出発を期しても生活基盤の収入と住まいの将来像が不安定で、焦燥感を招いている実態が明らかになった。

 「見通しを立てられない」との回答は、最も高い南三陸町で54.1%に上り、最も少ない山元町でも20.0%あった。

 理由(複数回答)としては「自己資金が足りない」が50.3%と最高で、「復興計画の詳細が分からない」が41.0%、「高齢で新しい自宅を建てることに悩んでいる」が25.6%と続いた。震災前後の収入の変化を聞いた設問では、減ったとの回答が5割を超えており、資金調達の難しさも自宅再建の妨げとな

 

っている。

自宅再建や移転予定の設問に対し、「同じ市町内の安全な場所」は35.2%。市町別では気仙沼市が51.0%で最も高く、次いで七ケ浜町50.8%、岩沼市46.0%。「震災前の居住地に戻りたい」は15.7%だった。

 「市町外に移転したい」は5.4%で、山元町(14.0%)、女川町(12.0%)、南三陸町(11.9%)で高かった。

 最近1カ月の心の状態も聞いた。不調の自覚症状が「あった」とする回答は、「気分が沈む」「気持ちが落ち着かない」「寂しい気持ちになる」が7割を超えた。焦りや無気力などの症状を含めたメンタルに関する6項目の設問のうち、いずれか一つ以上の不調を訴えた被災者は、全体の88.9%に達した。

 復興のさまざまな課題について不安度を尋ねたところ、「大変不安」「不安」の合計は、「住まいの再建・移転」が79.3%で最も高かった。「被災した土地の今後」は77.0%、「まちの復興」は75.4%。割合が高かった上位三つはいずれも、住居に関わる不安だった。

 調査の方法 共同実施したのはほかに科学技術振興機構(東京)、サーベイリサーチセンター(同)。2月15~26日、気仙沼、石巻、東松島、多賀城、仙台、名取、岩沼の7市と、南三陸、女川、七ケ浜、亘理、山元の5町で実施した。仮設住宅に住む被災者を対象に聞き取り、配布回収で1097人から回答を得た。男女比は男性39.5%、女性59.1%。年齢層は20から30代16.0%、40代13.5%、50代15.8%、60代26.3%、70歳以上26.3%。

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10

3月

2012

東日本大震災あす1年 宮城・村井知事に聞く

震災から1年を前に「宮城の復興を成し遂げる」と決意を語る村井知事
震災から1年を前に「宮城の復興を成し遂げる」と決意を語る村井知事

河北新報120310村井嘉浩宮城県知事は河北新報社のインタビューで、県外への搬出が難航する震災がれきの処理の遅れを懸念し、受け入れ反対の動きに不快感を示した。10年後の県土復興に向け、壊滅的被害が出た水産業の再生に力を注ぐ考えを強調した。

 -震災1年を迎える。

 「全力で走ってきたので、あっという間の1年だった。最初の2カ月はきつかったが、指揮官が青い顔をしていたら県民が動揺する。努めて冷静に、元気に振る舞った。震災対応には反省点もあるが、やれる限りやった自負はある。問題解決を先送りせず、気付いたことはすぐに指示した」

 -国の震災対応はどう評価しているか。

 「被災者からすれば、遅かったことは間違いない。ただ、衆参がねじれる中、増税までして復興財源を確保した。これは高く評価したい。主張がぶつかり、関係が険悪になった時もあったが、全ては被災者のため。目指す所は一緒だった」

 -がれき処理が進んでいない。2013年度に完了できるのか。

反対の声残念

 「がれき1800万トンのうち、350万トンは県外搬出することを前提に『あと2年で処理』と言っている。現在、県外搬出が決まったのはわずか9%、32万トンだ。県内処理を増やす努力はするが、県外搬出が計画通りに進まなければ完了目標は延ばさざるを得ない」

 -受け入れ反対の動きをどう見ているか。

 「県外搬出する宮城のがれきの放射能は問題ない低いレベルだ。同じ日本人が困っているとき、誤った認識に基づき反対を叫ぶことが、正しい姿のようにとらえられる風潮は残念で寂しい。がれきを山積みにしておくと自然発火の恐れがあるし、腐敗もする。何より、災害の象徴であるがれきが減れば、被災者を元気づけることにつながる」

 -福島県に近い県南地域の住民は放射能対策の強化を求めている。

 「丸森町の一部地域は福島県内より放射線量が高い。県境で線を引き、対策や損害賠償に差をつけるのは理屈に合わない。小型線量計の配布や健康調査を求める声もある。県が実施する場合、貴重な税金を投じる明確な理由が必要だが、専門家の意見は『不要』だった。福島との格差解消は必要だが、それを国ではなく、県がやれという要求に応じることは難しい」

 -高台や内陸への集団移転が進んでいない。

 「合意形成に時間がかかっているが、これから徐々に進んでいくと思う。県の方針は復興計画に示した。高台移転、集団移転ありきだ。市町村の自主性に任せる形でなく、県が法的な強制力を持って、移転事業を進められる態勢なら良かった」

 -沿岸漁業の漁業権を法人にも与える「水産業復興特区」導入に向けた準備状況はどうか。

 「いくつかの浜で企業と漁業者のマッチングを進めている。水面下で慎重に。株式会社化できれば、まずは漁協の組合員となり、事業を始めてもらう。漁業権が更新される来年9月に特区を導入する。県漁協とはその間、よく話し合いたい。『知事がそこまで言うなら仕方ない』と思ってもらえる形にしたい」

 -東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)の再稼働はどう考える。

一緒に知恵を

 「安全評価(ストレステスト)、福島第1原発事故の検証を国の責任で十分行うことが肝心だ。その結果を待ち、周辺自治体と判断する。県独自の安全基準を設ける必要はないが、安全性が担保されない限り、首を縦に振れない」

 「ヒステリックに『原発は駄目だ』と決めつけることには、慎重であるべきだ。地球温暖化を考えれば火力発電が正しいわけがなく、再生可能エネルギーだけで日本の経済力を支えるのも無理だ。原発か、脱原発か、国の政策が定まらないうちは、再稼働を選択肢から外すことはできない」

 -県地域防災計画をどう見直す方針か。

 「今回、あれだけ大きな揺れにもかかわらず、地震の犠牲者は少なかった。県の地震対策はほぼ万全だったが、津波の備えは不十分だった。今回と同じ最大級の津波を想定し、徹底的に防災計画を見直す。今まで考えたこともなかった燃料不足、市町村の行政機能喪失が起きた場合の支援態勢も確立したい」

 -復興庁に注文は。

 「半歩、被災自治体に寄るべきだと思うが、現状は完全に国の役所だ。被災地がやりたい事をどう国に認めさせるか、一緒に知恵を出す組織であってほしい。復興庁に査定官は必要ない」

 -政治家として今後の復興に向けた決意は。

 「こういうときに知事だったことで、天命を感じる。宮城の復興を成し遂げることは、人生最大の仕事ととらえている。この先、どんな立場になったとしても、終生、復興を応援する」

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06

3月

2012

宮城県「東日本大震災1年:宮城県の現状(その2) 難航する高台移転」

東日本大震災1年:宮城県の現状(その2) 難航する高台移転

津波で壊滅的な被害を受けた女川町の中心部。横倒しのままになっている建物も残る=2月21日、近藤綾加撮影
津波で壊滅的な被害を受けた女川町の中心部。横倒しのままになっている建物も残る=2月21日、近藤綾加撮影

◆県

 

 ◇都市計画担当職員の確保が課題

 

 県は、津波被害を受けた沿岸15市町を「原形復旧はほぼ不可能」と位置づけ、20年度までの10年間で都市、産業の構造を抜本的に見直す復興基本方針の素案を打ち出した。これに基づき昨年10月、県震災復興計画を策定。海に近い住宅地の高台移転を進め、沿岸の産業エリアに通勤する「高台移転・職住分離」を柱に据えた。水産業は被災した全142漁港の集約再編を掲げたほか、規制緩和で漁業に民間企業の参入を促す「水産業復興特区」構想を盛り込んだ。

 

 

養殖したワカメの漁をする県漁協矢本支所の漁師=東松島市で2月21日
養殖したワカメの漁をする県漁協矢本支所の漁師=東松島市で2月21日

ただ、計画通りには進んでいない。県は当初、集落を大規模に集約する形で高台移転を進めようとしたが、半島部の漁師らが「内陸では生活できない」と主張。地区ごとの移転が主流になり、移転対象地区数は当初の約3倍となる約170地区に増えた。

 

 水産業復興特区を巡っては、県漁業協同組合が「民間企業は経営が駄目になれば撤退し、海が荒れる」と反発。村井嘉浩知事は構想は撤回しなかったものの「13年度以降に導入する」と譲歩した。

 

 課題は高台移転などを進める都市計画担当職員の不足だ。特に県内第2の都市、石巻市では住民との合意形成が進んでいない。県南部では福島第1原発事故による放射能汚染の問題も浮上。風評被害や健康被害を懸念する声が高まっており、汚染された廃棄物の処理基準の設定や損害賠償の範囲を福島県並みにするよう国に要望している。【宇多川はるか】

 

 ◆気仙沼市

 

 ◇魚市場、再起の象徴に

 

 魚を仕分ける男性の背から湯気が上り、天井に仲買人の声が響く。気仙沼市魚市場。活気が戻りつつあることに、気仙沼漁協の菅野真参事(58)は「魚市場なくして、気仙沼の復興は始まらない。これからが勝負です」と力を込めた。

 

 漁船3566隻の約8割が被災し、事業所も水産関連業を中心に約8割の3314カ所が被害を受けた。魚市場周辺は最大1・1メートル地盤沈下した。水産業を市の基幹産業と位置づける菅原茂市長は「魚市場を復興のシンボルとしたい」と復旧に力を注いできた。

 

 昨年6月の魚市場再開までに敷地の一部をかさ上げし、東北電力や県にも協力を要請。カツオ船入港とともに開場させた。同10月に策定した復興計画は18年度までの本復旧を掲げ、12年度当初予算案にも整備費3億4100万円を計上する。気仙沼漁協の菅野参事は言う。「復興とともに企業が戻り、雇用も戻る。人も戻るだろう」

 

 水産業が復興へ歩み始めた一方で、人口流出は止まらない。1月末現在の人口は前年同月比4247人減の7万56人。被災者の住居確保が難航したことも一因とみられる。山が海に迫る地形で住宅建設の適地が少なく、岩手県一関市にも仮設住宅を建設した。市として当初建てたのは計3451戸。だが、利便性などから被災者の要望に合致しなかったため、昨年12月には53戸新設した。

 

 仮設住宅には人口の11%に当たる約8200人が暮らす。被害が大きかった地区などが対象の集団移転計画は昨年10月に説明会を始め、住民に合意形成を委ねている段階だ。

 

 今年2月に今後の住まいに関して意向調査したところ、回答した6122世帯のうち588世帯が「市で新たに造成した土地」と答えた。復興計画は集団移転の完了時期を15年度としており、移転先の用地確保などが、人口減に歯止めをかけるための課題といえそうだ。【平川哲也】

 

 ◆南三陸町

 

 ◇「ついの住み家を早く」

 

 「住居も仕事も先が見えない」。隣接する登米市南方町にある仮設住宅(約350世帯)の自治会長を務める宮川安正さん(73)は、不安を口にした。

 

 平地が少ないため、仮設住宅の建設地探しには苦労した。町民約1万5000人のうち約4700人が町内の仮設住宅で暮らし、1000人余りは町外の仮設住宅で町の復興を待ち望んでいる。

 

 昨年12月26日に復興計画を策定。さらに2月の臨時議会で、16年度までに最大1000戸の災害公営住宅を整備する方針を打ち出した。一方、壊滅的な被害を受けた全29集落の高台移転を進める予定だが、ほとんどの地域で候補地を検討している最中。安定した生活拠点を望む住民の思いは強まるばかりだ。佐藤仁町長は「ついの住み家を早く作れるようにしたい」と話す。

 

 基幹産業の漁業は、23ある漁港全てが被災した。船舶約2000隻のうち無事だったのは1割ほどだが、支援を受けて震災前の3割程度まで回復。昨年10月には仮設魚市場も設置され、11年度の売上高は前年比7割程度は確保できる見通しという。

 

 商工業では、12月の「伊里前福幸商店街」に続き、「志津川復興名店街」が2月下旬にオープンした。だが、町の担当者は「当面は家族経営でやっていくのが精いっぱいではないか。雇用の回復までは難しいだろう」との見方を示す。

 

 多数の町職員が犠牲になり、鉄骨の骨組みだけが残る元防災対策庁舎。震災の悲劇を伝える象徴的な存在となり、ツアーバスも訪れるようになった。ガイドを務める鴻巣修治さん(66)は「1年という節目をすぎて人が来なくなることを懸念している。足が遠のくことは風化の始まり。防災を語り継いでいかなければならない」と訴える。【坂本太郎】

 

 ◆石巻市

 

 ◇事業所の販路、震災前の6割

 

 ご当地グルメとして知られるようになった「石巻焼きそば」。JR石巻駅前にはのぼり旗が立てられ、PRに躍起だが、盛り上がりは今ひとつ。郊外店に客を奪われていたところに震災が追い打ちをかけ、「シャッター商店街」になっているからだ。

 

 20年度までの震災復興基本計画によると、合併した旧7市町ごとに土地利用計画を策定する。市街地では、土地区画整理事業や再開発事業を進める。被災した市立病院は中心部へ移転し再建。津波が押し寄せた旧北上川河口部では、堤防も整備する。旧町の沿岸部の集落は高台への集団移転を図る。

 

 石巻港の臨海工業地帯では日本製紙石巻工場などが操業を再開したが、操業している事業所の販路は震災前の6~7割にとどまる。大小44の漁港と、隣接する水産加工工場の再建には液状化や地盤沈下の対策が必要だ。雄勝(おがつ)地区では、伝統工芸品「雄勝硯(すずり)」の後継者不足がさらに深刻になった。

 

 震災前に16万2822人(11年2月末)だった人口は、15万2775人(1月末)と1万人以上減少。市外への避難者も相当数いるとみられる。亀山紘市長は「インフラ整備はめどが立った。人口減少の対策については、早く住環境を整え、商店を再開し人を呼び戻すしかない」と話す。

 

 被災者の境遇は深刻だ。仮設住宅の水道管の凍結対策は後手に回った。修復した自宅などに住む在宅被災者の要望は拾い上げることすらできておらず、ボランティアと連携して調査している最中だ。自宅近くの仮設住宅で支援活動をする藤井美恵さん(52)は「市は道路や堤防の計画ばかり説明するが、いつまで仮設に住めばいいのか、みな不安に思っている。復興の実感がない」と話す。

 

 旧町役場などだった雄勝と北上の両総合支所は壊滅し、本庁舎も浸水した。被災者支援などが遅れ、旧市町ごとの連携に課題を残した。復興基本計画では「情報伝達や支援物資の連携で、本庁・総合支所間の連携が不十分な状況だった」と総括している。【熊谷豪、鈴木健太】

 

 ◆女川町

 

 ◇雇用求め920人流出

 

津波で壊滅的な被害を受けた女川町の中心部。横倒しのままになっている建物も残る=2月21日、近藤綾加撮影

 

 県漁協女川町支所などによると、漁を再開した組合員は約2割。ホタテやホヤの養殖を再開した木村義秋さん(59)は今夏の出荷を目指すが、福島第1原発事故もあって不安は尽きない。「船やいけすを失い、マイナスからのスタート。やりたくてもできない漁師も多い。一番怖いのは、(福島と同じ東北地方ということによる)風評被害だ」と語る。

 

 漁業とともに水産加工業も厳しい状態だ。約60社のうち営業を再開したのは約3割。港湾部の被害が大きい女川を離れ、石巻に移転する業者もいる。住民も雇用や住居を求め、1月末までに約920人が町外へ流出した。

 

 港に面した町の中心部には、積み上げられたがれきの山が約1キロにわたって連なり、総量は約44万トン(推定)に上る。町は「東京都の協力も得て、12年度中に処理を終えたい」としている。

 

 町は昨年9月、高台への集団移転を柱とする復興計画を策定。地盤かさ上げと盛り土により、震災と同程度の津波に襲われても浸水が3メートル以下となるような宅地を造成する方針で、18年度までの計画完了を目指す。

 

 須田善明町長は「中心部に行政などのコア(核)機能を設け、将来に残せるコンパクトな街を作りたい」と説明。「住民から基本的な方向性の同意は得られた」と話すが、土地の買い取り価格など不透明な部分は多く、住民の不安は消えていない。町は「震災の記憶を伝えたい」として、港湾部にメモリアル公園を整備する方針も示しているが、反対意見も根強い。【佐野格】

 

 ◆東松島市

 

 ◇ノリ養殖再開目指す

 

養殖したワカメの漁をする県漁協矢本支所の漁師=東松島市で2月21日

 

 11年から10年間の復興計画を昨年12月に策定。前半の5年を「復旧・復興期」と位置づけて集団移転やインフラ整備を進め、後半の「発展期」で魅力あるまちづくりを目指す。

 

 国から環境未来都市に選定されたことを足掛かりに、被害が甚大な野蒜(のびる)地区や大曲浜地区で公園や防災緑地を整備するほか、太陽光など再生可能エネルギーの施設を誘致。これにより新たな雇用を生み出し、15年後には市内の消費電力全てを自然エネルギーで賄うという。

 

 仮設住宅は1753戸建設されたが、現在も約50世帯が入居待ちをしている。集団移転計画も進むが、住民は不安な日々を送っている。グリーンタウンやもと(大塩緑ケ丘)の仮設住宅で暮らす主婦、三浦美枝子さん(37)は「また津波があるかと思うと、家のあった場所には戻れない。土地の買い上げもどうなるか不明で、動きようがない」と嘆く。

 

 市は、津波被害を受けた野蒜小学校など市内の小学校4校を2校に、中学校2校を1校に統廃合することを検討している。また、不通が続くJR仙石線について阿部秀保市長は「人口流出の要因になっている。一日も早い復旧を」と訴える。

 

 冠水した農地の5割は今年度中に除塩作業を終える見通し。漁業は、一部で特産のノリの養殖施設が被災したためワカメに切り替えていたが、今秋にはノリ養殖の再開を目指す。県漁協矢本支所の三浦正信委員長(58)は「ノリを製品として販売して、初めて復興したといえる」と力を込めた。【宗岡敬介】

 

 ◆松島町

 

 ◇団体観光客が激減

 

 日本三景の一つ「松島」で知られる国際的な観光の町。津波は湾内の島々にぶつかって威力が弱まり、犠牲者は2人にとどまった。だが、昨年の観光客数は前年に比べ130万人以上減の約220万人と大きな打撃を受けている。

 

 町産業観光課によると、修学旅行など団体客の落ち込みが著しいという。観光物産店を経営する相沢慶太郎さん(31)は「外国人客が訪れず、土産品の売り上げは昨年の10分の1ほど」と嘆く。

 

 町の復興には、観光業の立て直しが急務。被災したJR仙石線の復旧も課題だ。大橋健男町長は「松島を訪れる人を増やすことで、『東北の顔』として(東北全体の)復興にも貢献したい」と話す。【宗岡敬介】

 

 ◆塩釜市

 

 ◇街並み再生へ結束

 

 海に近いJR本塩釜駅そばの「海岸通商店街」。約40店舗のうち再開したのは10店足らずで、更地が目立つ。同商店街の店舗が加盟する商店会は再開発に向け、「まちづくり復興推進協議会」を設立した。会長に就任した眼鏡店経営の鈴木成久さん(47)は「結束の気持ちが強い今こそ、塩釜らしい街並みを再生したい」と言う。

 

 建物の解体申請が市全体で約2000棟と被害は大きかったが、復旧・復興の取り組みは他の沿岸自治体よりも比較的早かった。魚市場は震災1カ月で再開にこぎつけ、他の被災漁港の「受け皿」も担う。災害公営住宅の建設にもいち早く着手。復興特区制度の開始を受け、「観光特区」を独自に申請した。

 

 11年の観光客数は前年比35%減の150万人となったが、水族館などの誘致で巻き返しを図る。佐藤昭市長は「市民の目に見える形で復興の成果を示したい。使える制度はできる限り活用する」と強い意欲をにじませた。

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06

3月

2012

宮城県「東日本大震災1年:宮城県の現状(その1) 都市部で復興特需」

東日本大震災1年:宮城県の現状(その1) 都市部の復興特需

津波が襲った仙台市若林区荒浜の海水浴場には犠牲者を悼む慰霊塔が建立されている=2月18日午後2時7分、瀬尾忠義撮影
津波が襲った仙台市若林区荒浜の海水浴場には犠牲者を悼む慰霊塔が建立されている=2月18日午後2時7分、瀬尾忠義撮影

毎日新聞120306】東日本大震災の被災地で最多の約9500人の死者を出し、今なお1700人余りが行方不明の宮城県。リアス式海岸の北部は点在する集落が津波に襲われ、南部の平野部は広範囲で浸水した。震災からまもなく1年、農業は徐々に復旧し、仙台市では復興特需も起きている。一方で、壊滅的な被害を受けた石巻市などでは、がれき処理も十分に進まず、復興の動きは鈍い。沿岸部の各自治体の今を追った。

 

 ◆利府町

 

 ◇住宅地拡大へ

 

 JR東北線が通るほか三陸道や東北道も利用できるなど交通の便がよく、仙台市のベッドタウンとして発展してきた。町が昨年12月に策定した震災復興計画の柱は「都市構造の再構築」。他の自治体と比べて被害が少なかったことから、土地区画整理事業を進めて住宅地や道路網を拡大する。鈴木勝雄町長は「転入者を受け入れるなどして、復興をけん引する」と力を込める。

 

 津波に襲われたものの、震災から20日余りで営業再開にこぎ着けた沿岸部のホテル「浦嶋荘」は、他の被災地へ向かうボランティアや応援の自治体職員が1日平均15人宿泊。こうした客に弁当を振る舞うなど、町と歩調を合わせて支援に回る。【竹田直人】

 

 ◆七ケ浜町

 

 ◇被災者面談2度実施

 

 最優先課題に掲げた住宅対策では、住民の意向を尊重しようと、全被災者への面談調査を2度実施した。その結果、集落のコミュニティーを大事にするため、町内6カ所の高台に計400戸超の集団移転を行うとともに、災害公営住宅200戸を建設する方針を決めた。集会所や公民館も整備して地域のつながりを守ろうと、住民と協議している。

 

 中核漁港だった吉田浜・花渕浜地区では、漁業、水産加工業、商業を兼ね備えた「6次産業」の拠点にする構想も進む。東北初の海水浴場として明治時代に整備された菖蒲田(しょうぶた)浜は、町民やボランティアの尽力で徐々に美しい白浜を取り戻しており、今夏の再開を目指す。

 

 三方を海に囲まれた半島に位置する。面積は東北最小、人口約2万人の小さな町は懸命に復興に向けて歩んでいる。渡辺善夫町長自身も津波で自宅を失ったが、「海と共生していかなければ我が町の存在意義はない」と話す。【渡辺豊】

 

 ◆多賀城市

 

 ◇「現地再建」計画

 

 ソニーをはじめとする企業が立地する。宮内地区はその象徴だが、空き地にはがれきの山が点在し被害の大きさを物語る。

 

 同市は海に面していないにもかかわらず、仙台塩釜港の内湾などから入り込んだ最大4・6メートルの津波が街を襲い、市域の約3分の1が浸水。死者・行方不明者は180人以上に上った。市内6カ所の仮設住宅で349世帯約700人が暮らし、市外で約770世帯が避難生活を送る。

 

 昨年12月には今後10年間の震災復興計画を策定した。高台などへの集団移転は行わず、地盤かさ上げによる「現地再建」と「多重防御」を掲げる。国立の研究拠点「地震・津波ミュージアム」構想も盛り込んだ。

 

 補正予算の編成は8回に及び、総額計238億円に上る復旧・復興事業を実施。工業などの主要産業は約5割が復帰した。菊地健次郎市長は災害時の非常食の製造などを念頭に「『減災』に関連した工場を誘致したい」と意欲を見せる。【影山哲也】

 

 ◆仙台市

 

 ◇県内外から9000人流入

 

 「具体的な移転に向け、市との話し合いを進めてはどうか」。2月24日、若林区の仮設住宅の集会所。186人が犠牲になった同区荒浜からの集団移転を目指す会社員、前之浜博さん(45)が集まった約20人に提案した。

 

 

 荒浜を含む沿岸部1213ヘクタールは昨年12月、「対策を講じても新たな津波被害を完全には防げない」として、集団移転の対象となる「災害危険区域」に指定された。対象は約2000世帯。反発も予想されたが、昨年11月発表の意識調査によると、区域内の計86%が「移転したい」「移転はやむを得ない」と判断していた。2月発表の調査では90%が「土地を売却したい」と答え、移転支持派は想定以上に増えている。荒浜にとどまることを望む住民の間には、「『区域指定で居住権を侵害された』として、市を相手取って行政訴訟を起こすべきだ」との声もくすぶるが、「事を荒立てても地域から理解されない」と自制を求める意見もあり揺れ動いている。

 

 内陸部の宅地でも地滑りなど4031件の被害があり、復旧が大きな課題だ。市は昨年11月、復旧工事費のうち100万円を超す金額の9割を助成すると発表。それでもめどが立たない3地区では、一部住民に集団移転を勧める方針だ。

 

 農林水産業の被害は734億円。被災した水田約1600ヘクタールは昨年末までに、ほぼがれき撤去が終わった。

 

 市全体でみると、津波被害を受けた県内外から9000人超が流入し、昨年11月には市制施行後初めて105万人を突破した。復興事業を見込む企業も競って進出している。オフィスの空室率は、昨年2月の20%から同12月には15%に改善。大型小売店の昨年10~12月の販売額は前年同期比9・6%増えた。

 

 阪神大震災で神戸市の経済が低迷したのとは対照的に、「復興バブル」と言われるほどのにぎわいだ。奥山恵美子市長は「復興需要はいつか途絶える。危機感を先取りし、産業を育てていきたい」と話している。【平元英治】

 

 ◆名取市

 

 ◇工業団地に5社進出

 

 住民の1割を超す667人が死亡し、壊滅した沿岸部の閖上(ゆりあげ)地区。行き交う大型トラックや重機の騒音が響く。一望できる小高い丘の日和山にのぼると、大量のがれきは撤去され、延々と続く更地が見えた。

 

 昨年10月に復興計画を策定。閖上地区については区画整理事業で再建することを盛り込んだ。約2100世帯が対象となり、同12月には住民ら15人による「閖上復興まちづくり推進協議会」が発足。月2回程度のペースで話し合いを重ね、早ければ年度内にも公営住宅の建設地など今後の土地利用について結論を出す予定だ。

 

 同様に壊滅的な被害を受けた下増田地区では、約170世帯を対象に防災集団移転事業を進める。今回と同規模の津波が発生した場合は危険だと判断されたほか、集団移転を求める地元住民の声にも後押しされて復興計画に加えられた。

 

 佐々木一十郎(いそお)市長は「今回の被害を教訓に、どんな災害が来ても命が守れるような町を作りたい」と意欲を見せる。

 

 産業も活気を取り戻しつつある。閖上漁港は昨年10月に漁が再開され、高級貝「アカガイ」が出荷された。今春には仮設の魚市場を再建する。さらに、内陸部にある愛島(めでしま)西部工業団地は震災の被害を免れたため企業からの問い合わせが相次ぎ、沿岸部で被災した企業も含め新たに5社が進出した。【須藤唯哉】

 

 ◆岩沼市

 

 ◇海岸沿いに避難用「丘」整備

 

 17年度までの7年間にわたる復興計画を昨年8月に策定した。被災した沿岸6地区の集団移転先を内陸部に造成する計画だ。ただ、被害が一部で済んだ蒲崎、新浜の両地区には、補修して住み続けている家が点在する。市は「将来にわたって安全な場所に集団移転を」と促すが、住民には土地への愛着や移転先で家を新築すると二重ローンを抱えることへの不安があるようだ。

 

 集団移転は住民の総意が要件。総意でなければ被災した土地は買い上げされないため、移転を希望する住民もやきもきしながら推移を見守っている。計画ではこのほか、防潮堤や江戸時代からの運河「貞山(ていざん)堀」、幹線市道をかさ上げする「三重の防御」で新たな津波被害を防ぐ。海岸沿いには、避難用に野球場大の「千年希望の丘」を整備する。

 

 農地は2年以内の除塩完了を目指すが、地盤沈下の影響もあって見通しは不確定だ。井口経明市長は「市に地盤沈下対策の経験や知識はない。国土保全は国の責任だ」と国主導での対策を求める。

 

 塩分が多い土地で育つ、糖度の高いトマトの栽培も始まった。大勢の従業員が解雇された沿岸部の工業団地では、操業再開で雇用も戻りつつあるという。【熊谷豪】

 

 ◆亘理町

 

 ◇イチゴ栽培を集約化

 

 昨年12月に策定した復興計画の基本は、既存の市街地や施設の活用だ。他の学校の空き教室を借りている町立の3校は、現地での再開を目指す。学校は津波発生時の避難所としても位置付け、非常用電源や備蓄倉庫などの整備も進める。

 

 一方、防潮堤を整備しても、今回と同様の津波が起きた場合に2メートル以上の浸水が想定される地域は、集団移転の対象となる「移転促進区域」に定めた。対象は約500世帯に上るが、斎藤邦男町長は「住居については、家族の中でさえ考え方が異なるほどの大きな問題」と、集団移転の難しさを説明する。

 

 県内一の収穫量を誇る特産のイチゴは、約270軒の農家の約9割が被災。今後は栽培の集約化により、再建を図る。具体的には、計76ヘクタールの大規模な農地を町内3カ所に造成。栽培方法として、塩害の被害を受けた土地でもビニールハウスを建設できる「高設栽培」を導入する方針だ。約120軒が参加する意思を示している。【成田有佳】

 

 ◆山元町

 

 ◇新駅軸に町づくり

 

 町内を走る大動脈のJR常磐線は今も不通で、坂元、山下両駅は駅舎も壊れたまま。町は昨年12月に策定した復興計画で常磐線を内陸に移し、新駅を軸に市街地を形成する方針を打ち出した。ただ、住民の反応は複雑だ。山下駅前で小売店と簡易郵便局を構える橋元伸一さん(51)は「ここで直す方が早く復旧するはず。移設するには時間がかかって町民の気持ちが離れてしまい、人が住まない町になる」と話す。

 

 町は今後の津波被害を防ぐため、沿岸部で▽建築禁止▽宅地のかさ上げ0・5メートル以上▽同1・5メートル以上--の3区域を設定した。集団移転を想定しているのは7地区1400戸。斎藤俊夫町長は「震災という窮地を乗り越え、新たな町づくりを進めたい」と話す。

 

 人口(1月末)は震災前(昨年2月末)に比べ14%減の1万4393人。ただ、町を離れても広報誌の郵送を希望する人が約3000人いる。町への愛着を持つ転出者を再び戻す政策が求められている。

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15

2月

2012

宮城県仙台市 「仙台・丘陵部被災宅地 松森陣ヶ原は集団移転 市方針」

仙台・丘陵部被災宅地 松森陣ヶ原は集団移転 市方針

河北新報120216】東日本大震災で地盤崩落や擁壁倒壊などが多発した仙台市丘陵部の宅地復旧をめぐり、市は15日までに、甚大な被害が生じた3地区のうち、泉区松森陣ケ原は集団移転、青葉区折立5丁目は公共事業による現地再建を進める方針を固めた。太白区緑ケ丘4丁目は、集団移転を視野に入れて検討している。丘陵部の宅地被害で集団移転が実施されれば初めてのケースとなる。

 陣ケ原地区(被災宅地11カ所)について、市宅地保全審議会の技術専門委員会は対策工法の基本方針で「地盤の将来的な安定性の確保は困難。集団移転などが、より適切な対処方法」との意見を付けており、住民の多くが移転を希望している状況も考慮した。国の防災集団移転促進事業の適用に向け、調整を進める。

 技術専門委は、折立地区(46カ所)も集団移転を含めた対策に言及しているが、市は1978年の宮城県沖地震でほとんど被害がなかった点や住民の意向も踏まえ、地滑り対策工事で宅地の安定化が図れると判断した。

 国の造成宅地滑動崩落緊急対策事業を利用して10月にも着工し、来年9月に工事を終えるスケジュールを想定している。

 緑ケ丘地区(117カ所)は、高い地下水位と緩い地盤の影響で、対策工法を施しても今回の震災クラスに耐え得る強度を確保するのは困難との見方が強まっている。

 市は、宅地審の見解や地盤調査結果などを基に、町内会や被災者グループを窓口にした会合を重ねながら、被災宅地の復旧策を練ってきた。今月中、下旬には3地区の建物・土地所有者ら約200人を対象に、今後の住まいの希望などについて意向調査を実施。今月末までに回答を取りまとめ、早ければ3月上旬に最終方針を決める。

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14

2月

2012

宮城県 「放射性物質「健康に影響なし」 県有識者会議が報告書」

放射性物質「健康に影響なし」 県有識者会議が報告書

河北新報120215】福島第1原発事故で拡散した放射性物質が健康に与える影響を探る宮城県の有識者会議(座長・久道茂県対がん協会長)は14日、「科学的、医学的に健康への悪影響は考えられず、健康調査の必要性はない」とする報告書を公表した。

 丸森町筆甫、耕野両地区で行った甲状腺超音波検査、ホールボディーカウンターによる内部被ばく検査についても「甲状腺がんの心配はなく、食品中の放射性物質も多くの品目で定期的に測定している」と指摘。両検査の継続は不要と判断した。

 報告書は「100ミリシーベルト以下の低線量被ばくの場合、発がんへの影響は他の要因に隠れるほど小さい」とする広島と長崎の原爆被爆者の追跡調査結果を提示。県内で比較的線量が高い福島県境付近の被ばく線量が年間5ミリシーベルト程度であるとして「健康に及ぼす影響はない」と結論づけた。

 健康不安を払拭(ふっしょく)させる対策としては、放射線に関する普及啓発の強化やがん検診の受診勧奨を挙げた。

 報告書は県のホームページ「放射能情報サイトみやぎ」にも掲載した。

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07

2月

2012

宮城県 「復興投資額5年間で1.6兆円」

復興投資額5年間で1.6兆円

河北新報120208】「宮城県は7日、東日本大震災に伴う公共土木施設の復旧や新たなまちづくりなどで、2015年度までの5年間に必要な投資額が約1兆6000億円に上る見通しを明らかにした。県が同日までにまとめた県社会資本再生・復興計画緊急アクションプランで示した。

 県は20年度までの10年間の必要投資額を2兆6000億円と見込んでおり、約62%を前半の5年間に集中させる。年平均額は3000億円を超える規模となり、平時の予算額(約1000億円)の3倍以上となる。

 1兆6000億円の主な内訳は災害復旧事業が6380億円、津波減災施設の建設など復興関連事業が8670億円、港湾や土地区画整理など特別会計事業が470億円、インフラの維持管理、長寿命化などが460億円。

 本年度の公共土木施設の関連予算額は、震災に伴う補正を経て約3000億円に上った。9日発表する新年度当初予算案では、投資的経費を約4600億円計上。13年度には災害復旧事業がピークを迎え、予算額はさらに膨らむ見通し。

 アクションプランは、復興に向けた主要プロジェクトごとに3カ年と5カ年の目標を掲げた。まちづくりでは、防災集団移転を市町と連携して15年度までに完了させる方針を打ち出した。

 港湾関係では統合を目指す仙台塩釜、石巻、松島3港、気仙沼港などの復旧完了時期を13年度に設定。津波で崩壊した女川湾口防波堤は、15年度までに再整備を終える。

 復興道路に位置付けられている三陸自動車道では、利府中インターチェンジ(IC)-松島北IC間の4車線化完了を13年度までの目標とした。

 アクションプランは各市町村との調整を経て、3月上旬に決定される。

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06

2月

2012

宮城県仙台市 「災害公営住宅800戸増 中心部・丘陵部に一戸建ても」

災害公営住宅800戸増 中心部・丘陵部に一戸建ても

河北新報120206】仙台市が、東日本大震災の被災者向けに整備する復興公営住宅(災害公営住宅)の供給目標戸数を当初より800戸増やし、2800戸とする方針を固めたことが5日、分かった。被災者の希望に応じ、一戸建てタイプも採用するほか、交通の利便性が高い市中心部、丘陵部の被災宅地の近隣で建設を進める。

 市は2013年度までを第1段階と位置付け、集合住宅の642戸を供給。第2段階の14年度はまず、一戸建ても含む1092戸を整備する。残りの1066戸は、12年度当初に実施する入居意向調査で各地区の希望状況を把握し、第2段階の計画戸数に上積みする。公募で買い取る民間物件数も設定する。

 建設場所は青葉区を中心に7地区増え、17地区となる。仮設住宅入居者や沿岸部の被災者への意向調査を参考に、上原市営住宅(青葉区愛子中央)の隣接地(予定30戸)、同区の通町(150戸)や霊屋下(40戸)などでも整備する。

 被災宅地の住民から、住宅再建の経済的負担の重さを訴える声が上がっていることを考慮して、青葉区折立地区に近い同区落合(163戸)、太白区緑ケ丘地区の近隣の同区芦の口(26戸)も加えた。仮設住宅となっている青葉区角五郎のNTT東日本社宅(48戸)は、14年度に土地と建物を買い取り、復興住宅にする方向で調整している。

 一戸建てタイプの戸数や建設地は未定。集団移転先への整備を基本に、被災者の意向も踏まえて決める。家賃は同規模の集合住宅より高くなる見通しで、年度内に家賃算定の方針をまとめる。

 復興住宅の募集方法や応募資格は、青葉区の北六番丁地区(12戸)が完成する12年度末より半年程度前に決める。

 復興住宅の整備事業費は約620億円で、復興交付金などを財源に見込んでいる。

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04

2月

2012

宮城県仙台市 「「100万人の復興元年に」仙台市長施政方針」

「100万人の復興元年に」仙台市長施政方針

河北新報120204】奥山恵美子仙台市長が、市議会2月定例会で表明する2012年度施政方針の概要が固まった。「100万人の復興元年」と位置付け、「新たなふるさとづくり」「未来へつなぐ安全なまちづくり」「東北の元気づくり」を柱に2年目を迎える震災復興計画を加速させる。100億円規模の予算で「仙台経済ステップアッププラン」を展開。中国からの貸与が決まったジャイアントパンダの受け入れ準備に入る。

 新たなふるさとづくりは被災者の生活再建が主題。津波被害が出た沿岸部の集団移転、地滑りや地盤沈下が多発した丘陵部の宅地復旧を推進。被災者の生活設計相談や就労支援といったソフト面にも目配りする。

 安全なまちづくりでは、指定避難所に備蓄物資を増強し太陽光発電装置を配備する。地域防災リーダーの養成、防災教育の充実で仙台モデルの構築を目指す。津波防御の要となる県道塩釜亘理線のかさ上げ費用約10億円を当初予算に盛り込み、緊急輸送道路の整備も検討する。

 東北の元気づくりでは、大型経済施策で復興のけん引を図る。中心商店街対策として東北の観光と物産を集約する「東北復興交流パーク」を開設し、アーケードの一部の掛け替えに乗りだす。JR仙台駅東西自由通路の拡幅工事と併せ、駅周辺の装いを新たにする。

 復興特区制度の活用で、次世代エネルギー産業の誘致、農地の大規模化と6次産業化に力を入れる。「地域ビジネスマッチングセンター」(仮称)による地元企業の販路拡大にも取り組む。

 パンダは「東北の子どもに夢を与える復興のシンボル」とし、八木山動物公園(太白区)の再整備計画を見直す。復興事業で財政需要が膨らむため、現行の「行財政改革プラン2010」より踏み込んだ対策を吟味する。

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04

2月

2012

宮城県名取市 「「名取の台所」が再開 被災の22店7事業所 美田園に仮店舗」

「名取の台所」が再開 被災の22店7事業所 美田園に仮店舗

買い物客でにぎわう仮設店舗
買い物客でにぎわう仮設店舗

河北新報120205】東日本大震災で被災した宮城県名取市に仮設店舗「閖上さいかい市場」がオープンし、4日、同市美田園7丁目の現地で式典があった。

 仮設店舗・事務所には同市閖上地区で被災した鮮魚、精肉、かまぼこ、すし、生花、理髪店など22店と7事業所が入居した。

 式典では閖上さいかい市場振興会の伊藤喜光会長が「待ちに待った第一歩が踏み出せた。名取の台所、交流の場として、元気や笑顔を発信していきたい」とあいさつ。関係者らがテープカットしてオープンを祝った。

 会場では閖上太鼓保存会による太鼓演奏が行われて雰囲気を盛り上げ、閖上特産のコダマガイ汁や揚げかまぼこが無料で振る舞われた。各店舗には生鮮食料品などの品物が並び、大勢の買い物客でにぎわった。

 愛称の「さいかい」は「事業の再開」と「お客さまとの再会」の意味を込めて名付けられた。営業は午前10時~午後7時。水曜定休。連絡先は市商工会022(382)3236。

閖上から5キロ移転、仮設商店街開業

開業して大勢の買い物客らでにぎわう「閖上さいかい市場」=宮城県名取市で2012年2月4日午前10時1分
開業して大勢の買い物客らでにぎわう「閖上さいかい市場」=宮城県名取市で2012年2月4日午前10時1分

120204毎日新聞】東日本大震災の津波で壊滅的被害を受けた宮城県名取市閖上(ゆりあげ)地区の商店や事業所が入った仮設商店街「閖上さいかい市場」が立春の4日、開業した。同地区から約5キロ離れた内陸の住宅地で営業。近くには約300戸の仮設住宅もあり、商店街を中心に復興を目指す。

 

 名称には「事業の再開」と「お客様との再会」への願いを込めた。プレハブ一部2階建てに鮮魚店や飲食店、幼稚園など29戸が入っている。この日は特産の揚げかまぼこや小玉貝汁が振る舞われ、大勢の買い物客らでにぎわった。

 

 近くの仮設住宅で暮らす橋浦より子さん(75)はなじみの総菜店を震災後初めて訪れた。「(店主と)『あんたも生きていたんだね』と喜んで再会した。お互い頑張ろうと励まし合いました」と話した。【

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03

2月

2012

宮城県気仙沼市 「気仙沼の食品購入、便利に新しく 仮設にトレーラーハウス」

気仙沼の食品購入、便利に新しく 仮設にトレーラーハウス

手作りの総菜や弁当を買い求める主婦たち
手作りの総菜や弁当を買い求める主婦たち

河北新報120206】宮城県気仙沼市西部の郊外にある五右衛門ケ原野球場仮設住宅(同市下八瀬)に、トレーラーハウスを利用した食料品販売施設が開店した。大根やホウレンソウなどの地場野菜や、手作りの総菜、弁当が並び、仮設住宅に暮らす住民でにぎわった。

 仮設住宅周辺は昨年11月に開店したドラッグストアの仮設店舗が1軒あるだけで、買い物は数キロ離れた市中心部の小売店まで行く必要があった。

 3日のオープン直後に訪れた主婦熊谷美代子さん(75)は「買い物はバスやタクシーを使って遠くのスーパーまで出掛けていた。とても便利で助かる」と話した。

 販売は市中心部で農産物直売所を運営する「みのり会」と、国道284号新月パーキングで軽トラックを使って野菜を売る「にいつき軽トラ市」のメンバーが交代で担当。トレーラーは独立行政法人産業技術総合研究所(茨城県つくば市)などが1月末に設置した。

 営業は月~水、金曜の午前10時~午後2時。休業する木曜と土曜は被災者支援ボランティアらが「お茶飲み会」を開くという。

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02

2月

2012

宮城県気仙沼市 「気仙沼の復興商店街苦戦」

気仙沼の復興商店街苦戦

プレハブ店舗が並ぶ「復興屋台村 気仙沼横丁」(1月31日、気仙沼市で)=三輪洋子撮影
プレハブ店舗が並ぶ「復興屋台村 気仙沼横丁」(1月31日、気仙沼市で)=三輪洋子撮影

気仙沼市で震災後にオープンした仮設商店街が集客に苦戦している。営業を再開した商店のほとんどが、海側に集中しているのに対し、仮設住宅の多くは、津波に備えて山側に建てられているため、手軽に買い物に来られないことが大きな要因となっている。

 

 同市では震災以降、仮設商店街が6か所にオープンした。「気仙沼復興商店街」は昨年末、市中心部に51店舗が入る被災地最大級の仮設商店街として営業を始めた。年末年始にも重なり、当初は多くの人出でにぎわったが、わずか1か月後の1月末の週末には、買い物客の姿は数えられるほどになった。同商店街の村上力男会長(70)は「飲食店はまだボランティアなど市外の客でもっているが、物販店には仮設住宅からわざわざ買いに来ない」とこぼす。

 

 市内で最も早く11月に開業した「復興屋台村 気仙沼横丁」でも、市外の客が6、7割。「ボランティアはどんどん減っているし、やがては工事関係者も離れていく」と、担当者は地元客に売り込む妙案がないか頭をひねる。

 

 ■「車で往復5000円」 仮設住宅の住民の間にも、周辺に商店が少ないことへの不満は強い。

 

 市中心部から徒歩30分以上の高台にある仮設住宅。170戸の住宅に対し、周辺には急坂の下に薬店が1軒あるだけだ。この仮設に住む女性(56)は「たまに外食をしたくても、近くの仮設商店街まで行くにはタクシーで往復5000円もかかる」と話す。

 

 仮設商店街の設置費用は国費で賄われ、独立行政法人「中小企業基盤整備機構」が建物を整備する。同機構は「住宅と商店街を併設できないという制限はない」としており、どこに建てるのかは市町村の判断だ。

 

 仮設住宅と仮設商店街を離ればなれにしたことについて、気仙沼市は用地確保の難しさを理由にあげる。市の担当者は「山と海に囲まれ、平地が限られる中では、仮設住宅の用地確保が最優先。商店街の敷地は沿岸の更地しかなかった」と説明する。

 

 岩手県宮古市では、仮設住宅と同じ敷地に仮設商店街が整備された。同市の担当者は「遠くまで買い物に行けない高齢者のためにも、市主導で住宅と商店を一体で計画した」という。

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02

2月

2012

宮城県女川町 「女川原発、緊急電源の運用開始 海抜52メートルに3台設置」

女川原発、緊急電源の運用開始 海抜52メートルに3台設置

女川原発に設置された大容量電源装置
女川原発に設置された大容量電源装置

河北新報120203】東北電力は2日、運転停止が続く女川原発(宮城県女川町、石巻市)の緊急安全対策として設置した大容量電源装置(出力4000キロワット)3台の運用を始めた。大地震や大津波で全ての電源が失われた場合に稼働させ、1~3号機の原子炉などの冷却機能を維持する。

 東日本大震災で全電源が失われて起きた東京電力福島第1原発事故を受けた対応。敷地内の高台の海抜52メートル地点に昨年9月から設置工事を進めていた。

 装置は軽油を燃料とする空冷ディーゼルエンジンを備えた発電機。非常時に動かして原子炉建屋に送電し、残留熱除去系の大型ポンプなどを駆動させ原子炉や使用済み燃料プールを冷却する。

 装置の地下に設けたタンクには燃料となる軽油90キロリットルが入り、連続29時間運転できる。発電所内に前からあるタンクの軽油も使えば、さらに最長26日間の運転も可能という。

 東北電は同日、試運転の状況を報道陣に公開した。女川原発の担当者は「将来は、より耐震性の高い別の非常用発電機を配置する計画もある。電源装置の運転訓練も継続的に行い、安全性を高めたい」と説明した。

 東北電は女川原発で海抜13.8メートルの敷地に高さ約3メートルの防潮堤を建設するなどの安全対策を進めている。

 女川原発は国の指示に基づくストレステスト(耐性評価)などを実施中で、再稼働の見通しは立っていない。

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01

2月

2012

宮城県塩竃市 「塩釜の災害住宅建設始動 市と都市機構、協定締結」

塩釜の災害住宅建設始動 市と都市機構、協定締結

協定書を取り交わす佐藤市長(左)と小川理事長(右)
協定書を取り交わす佐藤市長(左)と小川理事長(右)

河北新報120202】宮城県塩釜市と都市再生機構(都市機構)は1日、災害公営住宅の建設に関する基本協定を取り交わした。東日本大震災の被災自治体で災害公営住宅の建設が始まるのは初めて。

 建設の着手式で佐藤昭塩釜市長は「連携を密にして市民に安心してもらえる住宅の建設を目指したい」とあいさつ。都市機構の小川忠男理事長は阪神大震災などでも住宅整備を手掛けた実績を強調し「全力で協力する」と述べた。

 塩釜市は2015年度までに、全壊世帯のおよそ半数に相当する約300戸を整備する。このうち錦町、伊保石、石堂の各地区と浦戸諸島に建設する約200戸は、都市機構が設計、用地取得、建設の一切を代行し、13年度の完成を目指す。

 完成後に被災自治体が復興交付金を活用して買い取る方式を採用することで、工期短縮や住宅の大量供給が見込める。

 残る約100戸は市街地の沿岸部に建設を予定しており、地盤沈下対策を施した上で着手する。

 宮城県では約1万2000戸の災害公営住宅の建設が予定されている。

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31

1月

2012

宮地県仙台市 「どうなる地域再建-仙台・集団移転をめぐって(上)荒浜の選択/生活見据え住民三様」

どうなる地域再建-仙台・集団移転をめぐって(上)荒浜の選択/生活見据え住民三様

河北新報120131】東日本大震災で津波被害を受けた沿岸部1214ヘクタールが災害危険区域に指定され、最大2000世帯が移転を迫られる仙台市。まちづくりの組織が結成され、集団移転に向けた準備が進む一方、移転先が決まらない地域や現地残留を望む住民もいる。地域の再建はどうなるのか。地元の動きを追った。(報道部・亀山貴裕、佐々木絵里香)

<自分たちの手で>

 「移転して良かったと思える街を自分たちの手でつくっていきたい」

 仙台市若林区のサンピア仙台で29日開かれた「荒浜移転まちづくり協議会」の設立総会。200世帯余りが参加し、仙台東部道路西側の荒井地区への集団移転を目指す新団体の代表に就いた末永薫さん(44)は総会後、決意を語った。

 市内で最初にまちづくり協議会ができた同区荒浜地区(約750世帯)は、住宅の大半を占める県道塩釜亘理線の東側一帯が危険区域。歴史ある集落だが、犠牲者186人という状況に住民の多くは移転の意志を固める。

 海が好きで約20年前に移住した末永さんもその一人。昨年6月、住民の生活再建を考える「荒浜復興まちづくり実行委員会」に入り、「移転分科会」ができるとメンバーの中心の一人になった。

 「避難所生活で、役所はこちらが動かないと何もしないと分かった。多くの住民が関わる形で移転を進めたい」と語る。

<「線引き再考を」>

 ただ、荒浜でも移転費用への不安や愛着の強さから、現地再建を望む住民もいる。もう一つの分科会「現地再建分科会」の住民だ。

 分科会長の二瓶寿浩さん(44)は、震災直前に建てた2世帯住宅を津波で失い、ローンだけが残った。「勝手に線引きして住民は移れ、というやり方は理解できない。津波の危険は分かるが、現行の支援制度では移転は困難だ」と二瓶さん。現地再建を可能にする線引きの見直しを求める。

 ただ、市は否定的だ。今月16日の分科会の会合に出席した市幹部は「荒浜は予想される津波の浸水深が2メートル超。安全を守る責任から、市として危険区域の再検討はしない」と要望をはねつけた。

 それでも、「盛り土で高台を造る選択肢もあるはず」と現地派の気持ちは収まらない。「危険区域指定は居住権の侵害だ」と行政訴訟もやむなしとの声さえ上がる。

 一方、農家を中心に「第三の道」を模索する動きも。当初、移転候補地になかった石場地区の農地への宅地造成で集団移転先の確保を目指す。住所は荒浜だが、盛り土する県道の西側にある。

 代表格の佐藤長良さん(75)は「農地に近い仙台東部道路の東側でなければ農業が続けられない。荒井では地価も高過ぎる」と説明する。

 佐藤さんら有志は既に地権者の理解を得て作った計画図を市に提出。実施中の住民意向調査で移転検討地区にも挙げた市の幹部も「前向きに捉えている」とし、移転実現の可能性が出てきた。

 震災さえなければ、迫られなかった住民の選択。今、荒浜の住宅跡地に黄色い旗とメッセージが書かれた看板が立つ。

 「荒浜の再生を心から願う。移転を希望するものも、住み続けることを希望するものもふるさと荒浜が大好きです」

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31

1月

2012

宮城県仙台市 「災害危険区域指定取り消しを 仙台の住民、質問状提出へ」

災害危険区域指定取り消しを 仙台の住民、質問状提出へ

河北新報120131】東日本大震災で津波被害を受け、移転を前提とした「災害危険区域」に住宅地の大半が指定された仙台市若林区の荒浜地区で、現地再建を望む住民有志が31日までに、区域指定の判断などについて市に対し、公開質問状を出すことを決めた。今後の対応によっては、行政訴訟も視野に入れる。

 住民有志は、市が新築や増改築を禁止する区域指定について「憲法が保障する居住権の侵害に当たる。住民の生命を守る方法は移転以外にもある」と主張。質問状では区域指定などについて見直す余地があるかどうかなど、市の考えをただす。

 質問状は2月中に提出予定。回答次第では、住民の一部が区域指定の取り消しを求めて仙台地裁に行政訴訟を起こす方向で検討を進めている。

 質問状を提出する住民の一人、無職高梨哲彦さん(65)は「災害危険区域の指定解除を再三求めてきたが、市は全く聞く耳を持たない。市側の対応を見極めたい」と話している。

 これに対し、奥山恵美子市長は31日の定例会見で「でき得る防災の手だてを講じた上でも居住環境としては厳しいと判断し、危険区域を指定した。趣旨を理解してもらうよう話し合いを重ねていきたい」と述べた。

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30

1月

2012

宮城県女川町 「女川再生へ独自の復興計画」

女川再生へ独自の復興計画

三陸河北新報120131】女川町の企業、団体などで組織する女川復興連絡協議会(高橋正典会長、30団体加盟)は30日、町と町議会に、独自にまとめた女川町復興計画を提出した。町が策定した復興計画を基に、商工業者が連携しながら復興を目指す法人「町づくり事業組合(仮称)」の設立や、冷凍冷蔵事業の共同事業化などを提案している。今後、実施時期などを明示した工程表作成などに取りかかる。

 復興計画は町民アンケート、専門家の助言などを参考にし、民間ができる復興への提言としてまとめた。「100年後も人々が住み残る、住み戻る、住み来る町」を理念に掲げ、産業面の復興を主眼に、生活再建などを提案している。

 商工業については、壊滅した中心街区(モール)について町が土地を買い上げるか収用し、モールの運営を「町づくり事業組合」が行う公設民営化を提案。飲食店など各種商店主、旅館などは事業組合から店舗、施設を借りて営業する。

 3~5年後の本格復興時、行政の支援がないと事業再開の資金調達が経営の障害となることから公設民営化とした。

 基幹産業の水産業は当面、漁業再開と魚市場を中心とした流通・加工の着実な再開を目指す。個々の企業にとって負担が大きくなる冷凍・冷蔵庫や、汚水処理プラントは共同、あるいは広域下水道などで進める。

 消費者ニーズに沿った食材の開発、食品の安全・安心をさらに高める情報公開を進めながら、女川ブランドの再確立も目指していく。

 観光面については観光協会を発展的に解散し、水産と商工が連携した観光産業の育成、インターネットショップ管理運営など、観光を一元的に管理するマリンステーション女川観光局事業組合(仮称)に改組する。

 高橋会長は「住居の高台移転はイメージできるが、産業再生の具体案は描けていない。町民が力を合わせ、産業を軸とした町の再生を進めていきたい」と話した。須田善明町長は「官民の協力で復興の歩みを強めたい」との考えを示した。

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30

1月

2012

宮城県 「復興交付金要求2000億円超 宮城県と22市町、第1弾分」

復興交付金要求2000億円超 宮城県と22市町、第1弾分

河北新報120131】宮城県と県内22市町が政府に第1弾として配分要求する「復興交付金」の総額が2000億円を超えることが30日、分かった。交付金の使途を示した事業計画を31日、政府の復興対策本部の宮城現地本部に提出し、年度内の交付決定を目指す。

 復興交付金は、被災自治体の防災集団移転や災害公営住宅整備、造成宅地滑動崩落緊急対策(地滑り対策)など40の基幹事業の実施費用に充てられるほか、関連する「効果促進事業」にも事業費相当額が交付される。

 県と22市町は基幹と効果促進を合わせ、500以上の事業実施を計画した。効果促進事業は検討作業が間に合わなかった自治体が多く、第1弾の事業計画では数十億円程度にとどまっている。

 2000億円超の要求額のうち、県事業は400億円前後。津波被害を後世に伝えるため、浸水した場所や高さを示す表示板を設置する「3.11伝承・減災プロジェクト」事業などに活用する。

 政府は復興交付金として2011年度第3次補正予算で1兆9000億円、12年度当初予算案で3600億円を確保した。事業計画の提出は31日でいったん締め切り、早ければ3月にも交付決定する。

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24

1月

2012

宮城県仙台市 「次世代型都市「スマートシティ」 仙台・荒井東で事業構想」

次世代型都市「スマートシティ」 仙台・荒井東で事業構想

スマートシティー構想の本格的な検討が始まる仙台市若林区荒井東地区
スマートシティー構想の本格的な検討が始まる仙台市若林区荒井東地区

河北新報120124】日立製作所とNTTグループ4社は、東日本大震災の津波被災地の移転候補先になっている仙台市若林区荒井東地区で、環境負荷の小さい次世代型都市「スマートシティー」の実現に向けた検討を本格的に始める。地元の推進団体と連携し、2015年度開業予定の市地下鉄東西線の荒井駅(仮称)南側の区画整理事業用地内に、メガソーラー(大規模太陽光発電所)を設け、公的施設などに電気を供給する構想。地下鉄開業時をめどに実現したい考えだ。

 グループ4社はエネルギー事業などを手掛けるNTTファシリティーズ、NTT東日本、NTTドコモ、持ち株会社のNTT(いずれも東京)。

 

地元の推進団体は荒井東土地区画整理組合の関係者らでつくる「アライグリーンシティ構想委員会」で、元東北大大学院教授の建築家大村虔一氏が委員長を務める。仙台市や東北大も協力するほか、地元企業などにも参加を呼び掛ける。

 構想はメガソーラーのほか、ガスエンジンなどによるコージェネレーション(熱電併給)施設を整備し、電気や熱を地区内で賄うようにする。木質バイオマスの導入も検討する。総事業費は数百億円規模の見通しという。

 荒井東地区の区画整理事業は約34ヘクタールに1600戸の住宅が建つ計画。土地区画整理組合は病院などの誘致を目指しており、発電した電気を供給する。現行法では供給が認められていない一般家庭に供給する方策も探る。

 組合は震災前から大村氏の助言を受け、スマートシティーの可能性を検討。震災後、市沿岸部の津波被災地の移転候補先にもなり、災害に強いまちづくりを目指す構想が一気に具体化した。昨年秋には構想委員会を設立。呼び掛けに応じた日立、NTTグループと実現可能性の下交渉を重ねた。

 日立は「参加企業の得意分野を生かし、復興に貢献したい」と説明。NTTファシリティーズも「より良いまちづくりを進めたい」と言う。各社は今月25日、構想委員会と本格的な協議に入る。

 大村氏は「3月をめどに実現に向けた協力体制を構築したい。(メガソーラーなど)インフラ完成後の運営に、住民が参加する仕組みも検討していく」と話す。

 太陽光など再生可能エネルギーを活用するスマートシティー構想は、被災地などで検討が相次いでいる。宮城県内では三井物産などが東松島市で、トヨタ自動車グループが大衡村での実現を目指している。

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22

1月

2012

宮城県石巻市 「石巻・大川小で保護者説明会「危機意識不足」と謝罪」

石巻・大川小で保護者説明会 「危機意識不足」と謝罪

大川小の保護者らに対して行われた3回目の説明会
大川小の保護者らに対して行われた3回目の説明会

河北新報120123】東日本大震災の津波で全校児童の7割に当たる74人が死亡、行方不明になった宮城県石巻市大川小の被災状況について、市教委は22日、3回目の保護者説明会を開き、追加調査の結果を報告した。市教委は多くの犠牲者が出た要因について、学校の災害マニュアルの不備や教職員の津波への危機意識の低さ、津波が来ないという思い込みの3点に整理。対応に問題があったことを認め、謝罪した。

 説明会は大川小が間借りする同市飯野川一小で行われ、父母ら約70人が出席した。

 市教委は高台避難ができなかった点について「マニュアルで津波時の避難場所を定めていなかったことにより、迅速に判断できなかった」とあらためて説明。市教委がマニュアルを点検指導しなかった責任を認めた。

 防災無線などの津波情報が適切な避難行動に結びつかなかったことについては「教職員の津波に対する危機意識が低かった」と分析。校庭に津波到達の直前までとどまった点は「指定避難所だから安心、という思い込みが避難の妨げになった」などと説明した。

 市教委の境直彦教育長は冒頭、「津波に対する危機意識を高めておくべきだったと悔やまれる。本当に申し訳ありませんでした」と陳謝。柏葉照幸校長も「心からおわび申し上げる」と謝罪した。

 市教委は昨年6月、当時現場にいた教職員の中で唯一助かった男性教師や児童らに行った調査結果を基に、遺族らに事実関係を報告。遺族らからさらに検証を求める声が上がり、市教委が保護者ら関係者を対象に追加の聞き取り調査を行い、報告をまとめた。

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20

1月

2012

宮城県 「「宮城でも汚染対策を」 村井知事と19市町長が国へ要望」

「宮城でも汚染対策を」 村井知事と19市町長が国へ要望

原発事故の被害対応をめぐり記者会見する村井知事(中央)と県内19市町長
原発事故の被害対応をめぐり記者会見する村井知事(中央)と県内19市町長

河北新報120121】福島第1原発事故を受けた政府の被害対策が福島県などと大きく異なっているとして、宮城県の村井嘉浩知事と県内19市町長は20日、民主党と関係省庁を訪れ、健康影響調査の実施に関して統一基準を明示することなど、20項目を要望した。

 このうち農林水産省では村井知事が「県民は非常に不満に思っている。県境ではなく、放射能レベルで区切るべき問題だと思う」と指摘。(1)森林や農地の除染(2)県内産品の風評被害対策(3)放射性物質を含む汚染水の再放出防止―を求めた。

 井口経明岩沼市長も「震災対応はよくやってもらっているが、原子力関係は非常に悪い」と抗議。村上英人蔵王町長は「一番の心配はまだ処理が決まっていない牧草だ」と述べ、農家への財政支援を訴えた。

 鹿野道彦農相は「多大な迷惑を掛け、あらためておわびをする」と謝罪し、「福島県だけという思いはない。関係閣僚と連絡を取り、予算措置も除染も国が責任を持って懸命に取り組む」と応じた。

◎「県境による対応の差おかしい」 知事ら都内で会見

 宮城県の村井嘉浩知事と県内19市町長が20日、都内で記者会見し、福島第1原発事故を受けた健康対策や風評被害への賠償などをめぐって「県境によって対応に差があるのはおかしい。放射能のレベルに応じた対策を講じるべきだ」と政府の姿勢を強く批判した。

 村井知事は「放射能対策は福島だけに偏り過ぎている。県内にも放射線量の高い地域があるのに対応は不十分で、強い憤りを感じる」と訴えた。

 各府省への要望行動について県市長会副会長の井口経明岩沼市長は「政府対応のまずさに対する怒り、抗議だ」とし、「健康影響調査や風評被害への賠償などが県境を挟んで違うのは解せない」と疑問を呈した。

 独自の健康調査を実施する保科郷雄丸森町長は「福島と同じ対応をしてほしい」と強調。放射性物質で汚染された稲わらなどの問題を抱える佐藤勇栗原市長は「住民に一時保管への理解を求めているが、このまま置かれるのではないかと不安を持っている。出口の対策が大切だ」と指摘した。

 

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18

1月

2012

宮城県石巻市 「「再生の空間を」日仏連帯 被災者集会所を石巻に建設へ」

「再生の空間を」日仏連帯 被災者集会所を石巻に建設へ

集会所の完成予想図
集会所の完成予想図

河北新報120118】フランスと日本に拠点を置き、両国の国際交流を支援する財団法人「フェール城桜協会」(千玄室理事長)が、宮城県石巻市鹿妻南地区に、東日本大震災で被災した住民が集まれるコミュニティーハウス(集会所)を建設する。

 集会所は平屋建て約280平方メートル。登米市の登米町森林組合が提供する地場産の木材を使って造る。光熱費を抑えるために太陽光発電設備を備え、建設費は約6300万円。ことし3月末に完成予定で、財団から寄贈を受けて市が管理運営を行う。
 集会所の建設は、財団副理事長を務める日本在住の建築家リシャール・ブリア氏が発案。フランス国内で寄付を募ったほか、日本の企業などから資材提供の協力を得た。震災で集会施設が使えなくなった鹿妻南地区を建設場所に選んだ。
 財団や地元住民、フランス大使館関係者ら約30人が11日、建設場所近くの神社で安全祈願祭を行った。
 ブリア氏は「コミュニティー再生のための空間を造りたかった。多くのフランス人が日本人との連帯意識を持っている。完成後もイベント開催などを通し復興を応援したい」と語った。

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17

1月

2012

宮城県 「被災土地価格の算定 宮城県も一括委託 沿岸15市町調査」

河北新報120118】宮城県は17日、東日本大震災で被災した沿岸部の土地の標準的な価格について、宮城県不動産鑑定士協会に評価を一括して委託し、算定する方針を決めた。評価期間は3月末までを予定。結果は復興事業の用地取得などに役立てる。
 県用地課によると、調査地点は、県の災害復旧事業や復興事業で用地取得が予定されている沿岸15市町から約100カ所を選定する。宅地や農地が中心になる見通し。
 被災した土地の一括評価は、復興事業に必要な土地の迅速な確保のため、適正価格を統一的な基準で定めるのが狙い。被災による影響を見極めるためには、不動産鑑定士による専門的な評価が必要と判断した。
 県は近く、県不動産鑑定士協会と契約を結ぶ。県に提出される不動産鑑定評価書は、県内の被災市町や鉄道、電力などの公共、公益事業者らでつくる「土地価格の情報連絡会議」で共有する。結果は公表しない方針。
 県用地課は「土地評価を一括して委託することで、公平性が確保される」と話している。
 不動産鑑定士協会による一括評価は、岩手県が16日、沿岸12市町の60カ所程度を対象に実施することを発表。東北地方整備局は土地価格に関する情報連絡部会を昨年12月に新設し、両県など関係機関による情報共有の方針を確認している。

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14

1月

2012

宮城県石巻市 「仮設住宅 安眠できない」

仮設住宅 安眠できない

【三浦さん方の寝室天井に発生している結露=石巻市鹿又、役場前地区応急仮設住宅団地】
【三浦さん方の寝室天井に発生している結露=石巻市鹿又、役場前地区応急仮設住宅団地】

三陸河北新報】石巻市鹿又の役場前地区応急仮設住宅団地(35世帯)の一部で連日、天井や壁の表面の結露がひどく、住民を悩ませている。結露は5棟あるうちの複数の棟で発生、ひどい世帯では寝室の天井からしずくが落ちてくるため、布団の上にビニールシートを掛けて就寝しているほど。管理者の市から連絡を受けた施工業者は換気などの対策を呼び掛けているが、同じ棟でもほとんど結露がない世帯もある。天井の断熱材設置が不十分だったケースもあり、住民は根本的な対策を求めている。

 結露は12月に入ったころからひどくなり、天井からしずくが垂れるなどしていた4世帯について施工業者が同月、点検・改善措置を行った。しかし、完全には収まっていない世帯があるほか、湿気で畳などにカビが発生した世帯もある。台所の配電盤近くの壁が結露する世帯では漏電を心配する。

 これとは別に、今でも寝室の天井からしずくが垂れるほどの結露に悩まされている世帯もある。妻と2人で8月から住んでいる無職三浦忠夫さん(81)は、「換気には気を使い、毎晩就寝前には寝室の天井を2回入念にふき取っているが、しずくが垂れてくる。しょうがないのでビニールシートをかぶって寝ている」と訴える。

 一方、業者の改善措置で以前よりは良くなったものの、今も若干の結露がある男性(63)は「昨年12月、3回ほど業者に来てもらった。天井の断熱材がずれているとして棒のようなもので引っ張っていた。それでもまた結露し、業者が屋根をはがして上から見たら、断熱材がない部分があった」と、工事の不備を証言する。

 住民たちは10日、施工業者に結露のある部屋をあらためて見てもらい、改善措置を要望。天井からしずくが垂れるなど結露が著しい世帯については、天井裏を住民代表立ち合いで点検、改善することを求め、業者側も対応を約束したという。

 仮設住宅は県がプレハブ建築協会に発注、協会加盟の業者が建設工事を行ってきた。管理は県の委託で市が行っている。

 市仮設住宅運営管理室は「昨年12月からほかにも同様のクレームが毎日1件はあり、その都度、プレハブ建築協会を通じて、業者に対応してもらっている」と話している。

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14

1月

2012

宮城県丸森町 「内部被爆検査開始 丸森・2地区の子ども受検」

内部被爆検査開始 丸森・2地区の子ども受検

河北新報120115】福島第1原発事故を受け、宮城県は14日、丸森町筆甫、耕野両地区に住む子どもを対象に、全身の内部被ばく量を測定できるホールボディーカウンターを使った健康調査を始めた。15日も行われる。
 機器を手配できなかったなどの理由から、県は昨年12月、空間放射線量が比較的高い2地区の子どもを対象に甲状腺の超音波検査のみ実施した。今回は検査を委託された日本原子力研究開発機構(原子力機構)が、車載式のホールボディーカウンターを用意した。
 両地区の0歳児から小学6年生までの83人から検査の希望を募った。専用の機器に入って測定するため、3歳以下の子どもは保護者が代理で、4~7歳は子どもと保護者の両方、8歳以上は子どもが検査を受けた。
 14、15の両日で子ども43人、保護者28人の計71人が申し込んだ。
 初日は町保健センターで、37人が検査を受けた。測定は数分程度で終わり、生涯に受ける内部被ばく量を短時間に算出できる。検査後、原子力機構の職員が数値を示しながら結果を説明した。
 小学6年の長男(12)が検査を受けた耕野地区の母親(41)は「健康に影響はないと言われ、ひとまず安心した。1回だけでなく生涯にわたって継続的に調べてほしい」と話した。
 健康調査の必要性を検討していた県の有識者会議は今月下旬に会合を開く。前回の甲状腺検査も含めて結果を分析し、今後の方針を決める。

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13

1月

2012

宮城県亘理町 「仮設住民の“実家”に/「亘理いちごっこ」代表・馬場照子さん」

仮設住民の“実家”に/「亘理いちごっこ」代表・馬場照子

カフェレストランを訪れた被災者に食事を提供する馬場さん(中央)=亘理町下小路
カフェレストランを訪れた被災者に食事を提供する馬場さん(中央)=亘理町下小路

河北新報120113

「お待たせ。仮設住宅は寒くて大変でしょう。たくさん食べていってちょうだいね」
 1月上旬、亘理町中心部にあるプレハブ店舗のカフェレストラン。店内の座敷には家庭的な雰囲気が漂う。店を運営するNPO法人「亘理いちごっこ」代表の馬場照子さん(50)は、仮設住宅から来た女性客を気遣いながら、ご飯とみそ汁をテーブルに並べた。

プレートにサケの焼き浸し、きんぴらごぼう、煮豆、サラダなどが盛られた。デザートはヨーグルト。罹災(りさい)証明書を持参した人に、昨年11月末まで食事を無料で提供していた。一般 

の人も500円で利用できる。1日に30~40人が来店する。 

 震災から半年ほどたったころ、被災者から「いつまでも無料だと足を運びにくい。少しは払いたい」といった声が出始めた。仮設店舗で自立を目指す飲食店の営業を妨げてはいけないとの思いもあり、被災者には12月以降、200円で食事してもらうことにした。

震災直後に炊き出し支援を手伝った経験から、カフェ設立を思い付いた。避難所の食事はパンやおにぎり。主婦の目に映ったのは、被災者の栄養の偏りだった。「支援物資は必要とする人になかなか届かない。支援する側、受ける側の顔が互いに見えるようにしたかった」と振り返る。
 宮城学院女子大食品栄養学科の学生でもある馬場さんは昨年5月、町の集会所を借りてカフェを開店させ、約1カ月半、食事を振る舞った。7月下旬に現在のプレハブ店舗に移転し、活動を続ける。新年度には本格的な店舗建設を計画している。
 町に来るボランティアも食事に店を訪れ、交流を深めた。ボランティアの口コミなどで、全国から支援物資が集まるようになった。「単なる物資配布では心を通わせられない」と、買い物形式を取り入れ、被災者に日用品などを選んでもらうイベントも実現させた。
 震災前から、住民のコミュニケーションの場が必要と感じていた。いちごっこの活動も一方通行ではなく、被災住民の気持ちに寄り添った支援を目指す。「大きすぎる犠牲だったけれど、町外の人も加わりながら、地域住民が結束するチャンスに変えていかなければ」と願う。
 被災者が仮設住宅に引っ越したころ、町内には「いちごっこの支援はもう不要ではないか」という意見もあったという。「でもね、実家のように過ごせる場所が町にあってもいいじゃない」。子どもの帰りを待っていた母親のように、馬場さんは顔をほころばせた。(角田支局・高田瑞輝)

<ひとこと/友人誘い、食事に行きたい>
 避難所にいたころにカフェの存在を知りましたが、実際に利用したのは仮設住宅に移った後でした。仮設住宅の台所は狭く、食材を保管する場所も足りないので困っています。なかなか料理する気持ちになれません。この店を訪れれば、家庭的な懐かしい味を楽しめます。これからも友人たちを誘って、食事に行きたいと思います。(亘理町東郷・主婦鈴木フジ子さん)

<メモ>カフェは火、木、土、日曜の午前11時半~午後5時に開店。日替わりメニューとご飯、汁物、デザートのセットのほか、コーヒーまたは紅茶とケーキのセットなどもある。亘理いちごっこのスタッフ約15人がカフェ運営のほか、傾聴ボランティアなどに携わり、仮設住宅内外の被災者支援に当たる。連絡先は亘理いちごっこ070(6952)4517。

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13

1月

2012

宮城県 「震災復興費9千億円 宮城県新年度予算 「生活再建優先」」

震災復興費9千億円 宮城県新年度予算 「生活再建優先」

河北新報120114】宮城県議会は13日、予算特別委員会を開き、2012年度当初予算の編成方針を審議した。県は一般会計に計上する震災復興費に関し、閣議決定された政府の12年度当初予算案を踏まえると、9000億円程度になるとの見通しを明らかにした。
 村井嘉浩知事は12年度政策財政運営の基本方針を説明し、主要7政策のうち「被災者の生活再建と生活環境の確保」に最優先で取り組むと表明。「通常事業は復興効果を補完、増進するものだけ予算化する」と語った。
 今野純一総務部長は予算編成状況を報告。復興特別交付税など国の財政支援が決定し、一般会計の総額は昨年10月時点の見込み通り、11年度当初の2倍の1兆7000億円前後に達すると話した。県税は300億円減収となる見通し。
 質疑では、県総合計画「宮城の将来ビジョン」(07~16年度)に掲げる数値目標「県内総生産10兆円達成」に関し、議員が「震災後も10兆円に挑戦する姿勢は民意に合致しない。膨大な復興予算で達成しても誰も喜ばない」と見直しを迫った。
 村井知事は「08年秋のリーマン・ショックと大震災で、16年度の10兆円達成は厳しくなったが、富県宮城の推進は県政運営の基本理念であり、曲げずに進める」と目標を堅持する考えを示した。
 当初予算フレームによると、復興費のうち県震災復興計画を実現する事業費は422億円。復興費を除く通常ベースの予算規模は7968億円で、08年度以来、4年ぶりに7000億円台となる見込みで、実質は緊縮型予算になるとみられる。県議会の当初予算編成方針の審議はことしが3回目の試行実施となった。

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12

1月

2012

宮城県石巻市 「「支援活動の拠点に」…石巻市中心部にシェアオフィス」

「支援活動の拠点に」…石巻市中心部にシェアオフィス

 【写真】 オープニングセレモニーには大勢の人が訪れた
 【写真】 オープニングセレモニーには大勢の人が訪れた

石巻日日120116】石巻市の若手商店主を中心に復興に取り組む「石巻2・0」が同市中央2丁目の新田屋ビル1、3階にシェアオフィス(貸事務所)を開いた。12日はオープニングセレモニーが開催され、大勢の人が地域の将来について語り合う姿がみられた。オフィスは、復興にかかわる個人や団体の拠点としてスペースを提供していく。
 施設は、石巻2・0がサポートする「石巻工房」が運営。同工房は地域住民の建物修繕などの支援をしようと建築デザイナーらが設立した団体。石巻ブランドの製品を創作し、将来も存続する地域のものづくりの場を目指している。
 工房の代表は、東京の建築設計事務所の芦沢啓治社長。震災前に市内の旅館の改装を手がけた縁で復興にかかわるようになった。工房長は津波で職を失った石巻市立町1丁目の元すし職人の千葉隆博さんが務めるほか、石巻2・0実行委で構成している。これまではオリジナルデザインのいすやベンチを製作し、東京などで販売してきた。
 オープンしたシェアオフィスは元々、同工房が作業場として使用していた。石巻で復興をサポートしている団体が仮事務所として活用してもらう。使用者それぞれが横の連携を深めることも目的の一つだ。
 1階はオープンスペースとしてインターネットとプリンター、FAXなどを完備。会議やイベントにも対応できる。3階はシェアオフィススペースやロッカーなどを備えている。
 使用料は今後、詳細を詰めていく。ほとんどの設備を使用できる正会員、1階のみの準会員、さらに1日限定利用のビジターなどでそれぞれ料金設定を行う。
 芦沢代表は「使い方を含め、地域の皆さんと一緒に考えていきたい」と呼び掛けていた。

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10

1月

2012

宮城県 「宅地復旧策、内陸は手薄 補助要件限定的、測量遅れ」

宅地復旧策、内陸は手薄 補助要件限定的、測量遅れ

仙台市が開催した宅地復旧説明会。参加者から不満が相次いだ=昨年12月17日、泉区役所
仙台市が開催した宅地復旧説明会。参加者から不満が相次いだ=昨年12月17日、泉区役所

河北新報120110】東日本大震災で地盤沈下や地割れが起きた造成宅地の復旧について、今なお多くの住民が悩みを抱える。国は「公共事業」として補助金を出す仕組みを新設し、独自策を展開する市町村もあるが、救済されない宅地も少なくないとみられる。支援の拡充に加え、きめ細かく相談に応じる態勢が求められている。
 宮城県富谷町とちの木。会社員佐藤さくらさん(58)の自宅は、西側の斜面下にある公園に向かって傾く。床にペンを置くと、ひとりでに転がっていく。
 「気持ち悪くなる。もう住めない」と佐藤さん。昨年3月に自宅を離れ、現在は家族3人で仙台市泉区のアパートで暮らす。
 調査の結果、宅地が約10センチ沈み、建物基礎部分の鉄筋に亀裂が入っている可能性があるという。
 国の補助事業は「被災家屋が5戸以上」など要件が限定されている。佐藤さん方の周辺に大きな被害は見当たらず、対象から漏れる恐れがある。だが、補修をすべて自前で手掛けると、支出は1000万円近くになるという。
 富谷町は、独自の住宅修繕支援金制度を創設したが、助成額は最大10万円にとどまる。「新たな支援策は現段階はない」と同町。「新たなローンを抱えるのは厳しい」と佐藤さんは頭を抱える。
 仙台市泉区加茂の女性(77)宅は、宅地斜面が崩れ家屋が傾く。宅地や建物の修繕費は2000万円近く掛かると見込まれる。
 女性宅には避難勧告も出ている。女性は「他に行く所がない。不安で仕方ない」と漏らす。
 女性宅周辺は、国の公共事業の「候補地」として仙台市が測量に入る予定だが、「国から測量の手続きが示されない。工事着手がいつになるか分からない」(市開発調整課)と見通しが立たない。
 仙台市は、津波被害を除く被災宅地約4000カ所の8割が国の事業対象になると見積もる。残り2割について、助成額上限1000万円の独自の支援対策を講じる。斜面の擁壁の復旧工事が中心で、家屋下の地盤補強や建物のジャッキアップなどは対象とならない。
 そのため先月17日に泉区役所で開かれた住民説明会では「不十分な救済策だ」と、不満の声が相次いだ。
 市の担当者は「助成制度を拡充するには財源が足らない。津波被災地の復旧だけでも支出は膨大だ。金融機関の無利子の融資制度なども活用してほしい」と話す。
 県の対応は市町村任せだ。「市町村には、復興事業に使える基金や交付金が、国や県からなされている。状況に応じた支援策を促したい」(県建築住宅課)。
 被災宅地の調査を行っているNPO法人リビングコンサルジェ(泉区)の江頭昌広代表理事は「宅地の支援策をまったく知らない被災者も多い。行政はきめ細かい情報発信が必要だ。県内どこでも同じように救済される仕組みも整えるべきだ」と指摘している。

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10

1月

2012

宮城県東松島市 「集団移転跡地買い取り価格 震災前の3~20%減」

集団移転跡地買い取り価格 震災前の3~20%減

河北新報120111】宮城県東松島市は10日、東日本大震災で被害が大きかった市内7地区で進める集団移転の跡地買い取り価格について、震災前から約3~20%の減価を見込んでいることを明らかにした。再生可能エネルギーの発電所を誘致する市の構想で跡地活用に一定のめどが立ったことから、減価率が小幅に抑えられたとみられる。
 集団移転対象者にとって、土地の買い取り価格は最大の関心事の一つ。30~40%の減価を想定する仙台市などと比べ東松島市の減価率は小さく、集団移転を進めるほかの自治体の事業進行に影響を与える可能性もある。
 国の防災集団移転促進事業を活用した場合、市は買い取り価格を1平方メートル当たり6730円~2万500円と見込んだ。価格は、市の委託する不動産鑑定士が今月1日付で「目安」として算定。実際の買い取り価格は、契約時に正式決定する。
 同市は昨年12月、政府の環境未来都市に選ばれ、野蒜地区などへのメガソーラー(大規模太陽光発電所)など再生可能エネルギー施設の誘致に弾みがついた。他の浸水地域も公園用地などとして活用される見通しで、将来価値が織り込まれたとみられる。
 市の試算では、約260平方メートルの土地を持っていた住民が、集団移転に参加し同じ面積の宅地を借りて130平方メートルの自宅を再建した場合、生活再建支援金や市の利子補給などを活用すれば自己負担額は1000万円程度になる見込みという。
 市は10日、集団移転に関する地区別の住民説明会を開始した。2月下旬には集団移転対象地区の住民の個別面談を実施。住民アンケートなども踏まえ、年度内に移転戸数など具体的な事業計画を作成する。

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29

12月

2011

宮城県仙台市 「一戸建て 希望と不安 仙台市・復興公営住宅供給計画」

一戸建て 希望と不安 仙台市・復興公営住宅供給計画

市が整備した鶴ケ谷第一市営住宅。集合住宅型の復興公営住宅の家賃モデルの一つとして、住民説明会で提示している=仙台市宮城野区
市が整備した鶴ケ谷第一市営住宅。集合住宅型の復興公営住宅の家賃モデルの一つとして、住民説明会で提示している=仙台市宮城野区

河北新報111229仙台市は、東日本大震災の被災者向けに整備する復興公営住宅の供給計画で、集合住宅タイプに加え一戸建ても建設する方針だ。一戸建てに住み慣れた人が多い地域事情や再建費用への不安から、被災者の間で高まる要望に応えた形になった。ただ建設場所や家賃、間取りなどは不確定で、希望はあっても決めかねている人が少なくない。
 「仕事道具も置けそうだし、庭があるのも魅力」。若林区荒浜地区で自宅を失った左官業庄子正さん(68)は、妻千枝子さん(67)とともに一戸建ての公営住宅への入居を望む。ただ「希望した土地に行けるか」と不安も残る。場合によっては、長男家族と家を建てることも考えている。
 公営住宅への入居は、経済的負担が少ないのがメリット。市が集合住宅タイプのモデルとして示す鶴ケ谷第一市営住宅の場合、家賃は2人世帯の2DK・3Kで月2万4100円~3万7500円。一戸建ての場合、やや高くなると見込まれるが、それでも住宅ローンを組まないで済む。
 若林区の仮設住宅で暮らす斎藤宏さん(60)も一戸建ての賃貸を望む。個人タクシーを営んでおり、家族5人で車4台を所有する。集合住宅タイプで発生する駐車場代の負担が重い。
 一戸建てにも心配はある。自力再建の場合に最低50坪(165平方メートル)の土地が確保されるのに対し、公営の一戸建ては50坪が上限。斎藤さんは「5人で住める間取りか、十分な駐車スペースが確保できるか」と言う。
 市が11月末にまとめた沿岸の住民アンケートによると、98%近くが震災前は一戸建てに居住。公営住宅に一戸建ての選択肢を示していなかったアンケート時は、一戸建ての新築希望が6割ほどで、公営住宅希望は2割にとどまった。
 今後、一戸建て公営住宅の希望者が増えると見込まれる。自力での住宅再建も公営住宅整備も原則的には同じ場所で行われる。市は「一戸建ての公営住宅の希望数には応えられると思う。ただ移転の希望地が集中した場合は、自力再建希望の住宅を優先させることになるだろう」(市営住宅課)と説明する。

<メモ>仙台市の計画では最低でも2000戸分の復興公営住宅を供給する予定。まず、2013年度をめどに集合住宅型で約610戸分を整備。供給場所は集団移転候補地の宮城野区田子西地区など5カ所。次に約560戸分を、15年度に開業する地下鉄東西線沿線など5カ所に予定する。残る約800戸分は市の建設に加え、民間からの買い取りなどでも確保する予定。

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24

12月

2011

宮城県南三陸町 「宮城大、南三陸に復興ステーション設置へ 支援活動の拠点に」

宮城大、南三陸に復興ステーション設置へ 支援拠点に

河北新報111224】宮城大は、東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた宮城県南三陸町に、支援活動の拠点となる「復興ステーション」を設置する。大学の知的資源を生かし地域産業の再生や地域づくりを支え、住民への移動講座を開くなどして、復興に向けた人材育成にも取り組む。

 復興ステーションは本年度内に、同町入谷の廃校を利用した施設「校舎の宿さんさん館」に置く。町出身者から採用予定の職員3人が常駐し、大学の活動拠点とする。
 宮城大は昨年、同町と地域連携協定を締結した。町の震災復興計画の実現に向け、地域で継続的に支援するには、住民が学び合う場や専門家、ボランティアらと連携する拠点が必要だと判断した。
 事業は本年度から5年間。「町復興まちづくり支援事業」「サテライト・キャンパス事業」「学生ボランティアによる地域復興支援」の三つを柱に掲げる。
 まちづくり支援事業では、間伐材を活用する仕組みづくりや、外部からの支援者に対する農家民宿などの機能拡充を支援する。震災の語り部を育成し、「復興ビエンナーレ」など芸術イベントも企画する。
 サテライト・キャンパス事業では、住民を対象にした講座やミーティングを開く。学生ボランティアは清掃、防災、見回り支援など、現地のニーズに応じて派遣する。
 全国の専門家らと被災地とをつなぐ連携拠点をJR仙台駅周辺に置き、資料映像の上映会やセミナーなどを開催する。
 宮城大の西垣克学長は「大学の持ち味を生かし、現地でビジネスを始める後押しをする。住民と同じ目線で意見を聞きながら、着実に事業を進めたい」と話している。

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24

12月

2011

宮城県気仙沼市 「気仙沼復興の起爆剤に 仮設商店街が開業」

気仙沼復興の起爆剤に 仮設商店街が開業

みこしが練り歩き、オープンを祝った南町紫市場
みこしが練り歩き、オープンを祝った南町紫市場

河北新報111225】東日本大震災で被災した宮城県気仙沼市南町に24日、仮設の「気仙沼復興商店街 南町紫市場」がオープンした。プレハブ7棟に51店舗が入る。市によると、仮設整備事業での商業施設としては店舗数で全国最大規模という。
 南町の2カ所の計約2500平方メートルの敷地に、中小企業基盤整備機構の事業を活用して建設を進めた。すし店やトンカツ店、衣料品店、理容店などが軒を連ねる。大半がもともと南町周辺で営業していた店の経営者で、再開を模索してきた。商店街近くにある紫神社にあやかって命名した。
 開店セレモニーでは、地元の八幡太鼓保存会が勇壮な音を響かせたほか、みこしが商店街を練り歩いて盛り上げた。
 商店主らでつくる「南町紫市場」の村上力男会長(70)は「待ちに待ったオープン。被災地最大の仮設商店街として、復興の起爆剤となるよう頑張りたい」と話した。
 年末は31日まで営業し、来年1月2日に初売りをする予定。

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23

12月

2011

宮城県亘理町 「味わい・ふれあい・大にぎわい 亘理・鳥の海の産直、仮設で再開」

味わい・ふれあい・大にぎわい 亘理・鳥の海の産直、仮設で再開

仮設店舗で営業を再開し、買い物客でにぎわった「鳥の海ふれあい市場」=23日、亘理町荒浜
仮設店舗で営業を再開し、買い物客でにぎわった「鳥の海ふれあい市場」=23日、亘理町荒浜

河北新報111224】東日本大震災の津波で被災した宮城県亘理町荒浜の町営温泉宿泊施設「わたり温泉鳥の海」1階にあった産直施設「鳥の海ふれあい市場」が23日、同町荒浜築港通りの仮設店舗で営業を再開し、大勢の買い物客でにぎわった。再開イベントは25日まで。
 約150平方メートルの売り場には、カレイ、ヒラメなどの魚介類や特産のイチゴをはじめ、野菜や加工品、総菜、菓子が並び、目当ての品を手にした買い物客がレジの前に列を作った。
 同町の姉妹都市になっている北海道伊達市産のホタテ焼きなどが、無料で振る舞われた。和太鼓演奏やすずめ踊りも披露され、再開を祝った。
 ふれあい市場は2008年にオープンし、出荷する農家や漁業者、加工食品業者らによる協同組合が運営してきた。年間売上高は2億数千万円で、年間約17万人が訪れる町の観光拠点だった。
 震災前に110人いた組合員は、津波で亡くなったり、生産ができなくなったりして約100人に減った。菊地一男理事長(64)は「一歩でも前に進もうと、組合員が団結した。年内に再開できてほっとしている」と話した。
 県漁協亘理支所の隣に、中小企業基盤整備機構がプレハブ平屋の仮設店舗を建設した。弁当店や魚介類下処理業者も入居し、近く業務を始める予定という。
 当面は土日曜、祝日だけの営業で、時間は午前10時~午後4時。年内は29、30日も開く。年明けは1月7~9日に営業する。連絡先は鳥の海ふれあい市場協同組合0223(35)2228。

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22

12月

2011

宮城県 「5年間で公営1万2000戸 コミュニティ維持念頭に 県復興住宅計画」

5年間で公営1万2000戸 コミュニティ維持念頭に 県復興住宅計画

毎日新聞111223】県は22日、東日本大震災で住居を失った被災者が入居する復興住宅を巡り、20年度までの10年間の整備方針をまとめた「県復興住宅計画」を発表した。7万2000戸の整備が必要と試算し、15年度までに災害公営住宅を約1万2000戸整備する計画を明記。コミュニティーの維持を念頭に置いた集合住宅や、県産材を活用した木造住宅の整備を促進する方針も盛り込んだ。

 災害公営住宅については、12年度300戸▽13年度3100戸▽14年度4500戸▽15年度4100戸--で、5年間で計1万2000戸を整備する計画。市町から委託を受けて県が建設を支援するのは5000戸と想定している。

 震災前から少子高齢化が進んでいた沿岸部では震災でさらに人口流出が進むことが懸念されることから、集落維持の取り組みも明記。集合住宅などで高齢者らが共同生活を送る「コレクティブハウジング」や、集会所など多世代が暮らせる空間の整備を推進する方針も示した。

 それでも人口減少が進むと見込み、計画では将来的に復興住宅を福祉施設や民宿などに転用することも検討するとしている。入居者やNPOへの譲渡も視野に入れるという。【宇多川はるか】

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20

12月

2011

宮城県石巻市 「中心街復興へ「街なか協」」

中心街復興へ「街なか協」

三陸河北新報111222】石巻中心市街地の復興に向け、新しいまちづくりを官民で目指す「コンパクトシティいしのまき・街なか創生協議会」(通称・街なか協議会)が20日発会した。持続可能な最先端モデルとなる石巻らしい景観・歴史・文化の薫るまちづくりを推進。まちづくりの提言などを通して新しい中心市街地の在り方を探り、今後懸念される人口減少、少子高齢化に対応していく。

 石巻商工会議所であった発会式には、中心市街地の復興整備に関与する地権者、大学教授や都市計画家の学識経験者、市、会議所、街づくりまんぼうの担当者ら約60人が出席した。会長には浅野亨・石巻商工会議所会頭が就き、事務局を街づくりまんぼう内に置いた。

 冒頭、発起人代表の西条允敏・街づくりまんぼう社長が「復興のまちづくりに向けて多くの人から賛同を得るアイデアを提案し、実行していきたい。皆さんの智恵を借りながら取り組みたい」とあいさつした。

 協議会の企画調整会議の中に、街並み、事業推進、ライフスタイルブランド化の3部会を組織。街並みは「石巻らしいデザイン」、事業推進は「街づくり事業手法の検討」、ブランド化部会は「地域の誇りを産業に」をテーマに取り組む。

 この中でもブランド化部会は「石巻の暮らしや地場産品の中から石巻らしさについて協議、発掘、磨き上げでクールなものとして全国、全世界へ発信する」(事務局)という役割も担う。

 浅野会長は「住んでいる人が本気にならないと、まちは絶対に良くならない。きょうは本気を示すスタートだ」と意欲を示した。

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13

12月

2011

宮城県 「にぎわい復活 仮設商店街」

にぎわい復活 仮設商店街

開店した仮設店舗。看板は地元の中学生や町民が作った=七ケ浜町
開店した仮設店舗。看板は地元の中学生や町民が作った=七ケ浜町

朝日新聞111213

◆七ケ浜に7店

 東日本大震災で津波の大きな被害を受けた七ケ浜町吉田浜に11日、7店の仮設店舗が開店した。「七の市商店街」として、にぎわいの場を目指していく。

 開店したのは青果店や魚屋、理容店などで仮設住宅にも近い。セレモニーで渡辺善夫町長は「地域の絆づくりや復興の足がかりにみなさんと一緒に利用したい」とあいさつした。初日は記念品や目玉商品が用意され、多くの利用者が訪れた。

 同町菖蒲田浜で海の家を営んでいた岩本喜治さん(53)は、

大勢の客でにぎわう仮設商店街=石巻市立町2丁目
大勢の客でにぎわう仮設商店街=石巻市立町2丁目

震災で店舗を失い、ラーメン店を開店予定。ノリやワカメなどは地元産を用意する。「みんなが気軽に来られて元気が出るような場所にしたい」と話した。

 

◆石巻駅前に21店

 石巻市のJR石巻駅前に10日、仮設商店街がオープンした。震災で閉店せざるを得なかった海産物店や電器店、理容店、飲食店など21店舗が一斉に開店し、朝から大勢の客でにぎわった。

 看板には「石巻立町復興ふれあい商店街」。一帯が浸水した石巻市中心部の立町通りの駐車場に、中小企業基盤整備機構の支援事業で仮設店舗を設置。出店者は公募された。

 理容店では、4台の鏡を被災した4店舗がひとつずつ使って共同で開店。同市門脇町の店が流された藤井浩治さん(46)は「9カ月ぶりに鏡の前ではさみが持てる。うれしいですね」。

 商店街ではカキ汁がふるまわれ、地元の小学生による合奏や懐かしいチンドン屋も登場して開店を盛り上げた。

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13

12月

2011

宮城県 「復興の足掛かり開店 南三陸、七ヶ浜に仮設商店街」

復興の足掛かり開店 南三陸、七ヶ浜に仮設商店街

オープン初日から大勢の買い物客らが訪れた伊里前福幸商店街
オープン初日から大勢の買い物客らが訪れた伊里前福幸商店街

河北新報111215

◎南三陸・福幸商店街/語らいの場を提供

 東日本大震災による津波で約30店あった店舗のほとんどが流された宮城県南三陸町歌津の伊里前地区に13日、仮設の伊里前福幸商店街がオープンした。
 オープニングセレモニーで、同商店街運営組合の高橋武一組合長は「商店街を語らいの場として利用してもらい、歌津復興の足掛かりにしたい」とあいさつ。関係者がテープカットした。
 同商店街には食料品店や衣料品店、美容店など7店が入居する。売り場面積25平方メートル、50平方メートルのコンテナ

七ケ浜町に完成した仮設店舗のオープニングセレモニー
七ケ浜町に完成した仮設店舗のオープニングセレモニー

を店舗に使う。中小企業基盤整備機構の事業を活用し、整備した。
 商店街の敷地は約1700平方メートルの町有地で、震災前にあった商店街に隣接している。商店街近くにある伊里前小の仮設住宅で暮らす主婦牧野真弓さん(42)は「震災後は町外に買い物に出ることが多かった。歩いて買い物に来られるようになり、助かる」と話した。

◎七ケ浜・七の市商店街/仮設から徒歩5分

 東日本大震災で被災した宮城県七ケ浜町に仮設店舗「七の市商店街」が完成し、11日にオープンした。仮設店舗はプレハブ平屋で、地元の要請を受けて中小企業基盤整備機構が整備した。今後2年間、町が管理・運営する。
 渡辺善夫町長が「震災から9カ月の節目の日にオープンにこぎ着けた。多くの人に商店を利用してもらい、復興の足掛かりとしたい」とあいさつ。汐見小の子どもたちがソーラン節に合わせた踊りを披露して開店を祝った。
 生涯学習センターの敷地内に完成した仮設店舗は、6区画に生花店、青果店、鮮魚店、美容院、理容院、整体院、ラーメン店の7店が入居する。町内の各仮設住宅から歩いて5分前後のほぼ等距離にあり、災害ボランティアセンターにも隣接している。

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10

12月

2011

宮城県石巻市 「市中心部活気戻る 石巻・立町に仮設商店街」

市中心部活気戻る 石巻・立町に仮設商店街

石巻市中心部にオープンした仮設商店街
石巻市中心部にオープンした仮設商店街

河北新報111211】東日本大震災で被害を受けた店舗が入る仮設商店街「石巻立町復興ふれあい商店街」が10日、宮城県石巻市立町2丁目にオープンした。多くの買い物客が訪れ、市中心部ににぎわいが戻った。
 仮設商店街は、延べ床面積約670平方メートルの1階建てプレハブ。JR石巻駅近くの一角に、石巻商工会議所と石巻市が中小企業基盤整備機構の制度を活用して整備した。津波で全壊するなどした弁当店や居酒屋、電気店など21店が軒を連ねた。
 理容店「理容石巻」は、県理容生活衛生同業組合石巻支部の呼び掛けに応じた4店が共同運営する。門脇町の店舗「マーク」が津波で流された藤井浩治さん(46)は「仕事場ができてうれしい。店が集まって営業するのも楽しいですよ」と笑顔で話した。
 同日はオープニングセレモニーがあり、テープカットや石巻小児童による吹奏楽の演奏などで開店を祝った。
 入居店でつくる仮設店舗会の会長でスポーツ用品店「ウメシンスポーツ」の梅雅弘社長(57)は「先を考えると不安もあるが、きょうはステップの段階まで来たので、全員でジャンプできるよう元気にやりたい」と意気込んだ。

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08

12月

2011

宮城県 「災害公営住宅5000戸整備 宮城県知事受託表明」

災害公営住宅5000戸整備 宮城県知事受託表明

河北新報111209】宮城県議会11月定例会は8日、本会議を開き、一般質問を続けた。村井嘉浩知事は東日本大震災の被災市町が1万2000戸を整備する計画の災害公営住宅について、5000戸は県が整備を受託し、このうち1000戸を県営住宅とする考えを明らかにした。
 県土木部によると、1万2000戸のうち2000戸は仙台市が建設する。1万戸の半分は県が市町から整備を受託し、残りは被災地の特性に合わせて市町が建設するほか、民間住宅の買い取りや借り上げで確保する。
 村井知事は「災害公営住宅は市町による整備が基本だが、震災で行政機能が低下しマンパワーも不足している」と受託の理由を説明し、「早期の完成を図る」と述べた。
 家賃に関し、橋本潔土木部長は65歳以上の夫婦世帯を例に「おおむね(月額)1万円以内」との見通しを示した。通常は2万円以上だが、国の補助事業の活用で半額に抑えられるとした。
 県道路公社が管理する仙台松島道路の松島北インターチェンジ(IC)―鳴瀬奥松島IC間の4車線化は、2012年中の着工を目指し「事業計画変更へ国や公社と調整している」と説明した。
 千葉宇京農林水産部長は環太平洋連携協定(TPP)に参加した場合の最新の影響額を公表。1824億円の農業産出額(09年)は1060億円(58.1%)減少し、209億円の林業は24億円(11.5%)、791億円の水産業は250億円(31.6%)、それぞれ減り、「第1次産業への影響は大きい」と指摘した。
 石橋信勝(公明党県議団)、渥美巌、石川利一(自民党・県民会議)、三浦一敏(共産党県議団)の4氏が質問した。

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08

12月

2011

宮城県 「宮城、60拠点漁港に集約 「水産業集積」整備を優先」

宮城、60拠点漁港に集約 「水産業集積」整備を優先

宮城県内漁港の再編方針
宮城県内漁港の再編方針

河北新報111209】宮城県は8日、東日本大震災で被害を受けた県内の142漁港について、拠点漁港60港と拠点以外の漁港に再編する方針を決めた。2013年度までに加工場や海産物の処理場を拠点港に集約する一方、それ以外の港は必要最小限の復旧に限定する。

<関連施設と一体>
 県内142漁港の再編方針は表の通り。気仙沼、志津川、石巻、女川、塩釜の県営主要5港は「水産業集積拠点漁港」に位置付け、他漁港より優先して整備。魚市場など流通施設や水産加工施設を漁港内に一体化させる。
 「沿岸拠点漁港」の55港は、被災市町の意見を反映させ、県営漁港と市町営漁港の一部を選んだ。沿岸漁業の生産性と効率性を高めるため、地域の拠点機能を持たせる。漁港ごとにあった加工場やカキ処理場などを集約。流通・直販機能を備え、6次産業化を視野に入れた整備を行う。
 拠点化以外の港は市町営の82港。港内のがれきを撤去し、防波堤や臨港道路、船をつなぐための岸壁を必要最小限で復旧させる。原則として新たな加工施設などは整備しないが、魚市場に陸送する水産物の水揚げは従来通り行う。

<機能分担目指す>
 本格的な復旧工事は、拠点港を最優先に実施する。年明けにも、主要5漁港と離島の沿岸拠点漁港の工事に着手。その後、他の沿岸拠点漁港を復旧させる。県は13年度までに復旧工事を終え、施設の集約化など新たな基盤整備に取り掛かる。
 拠点以外の漁港は、12年度以降、5年かけて順次復旧させる。
 今回の再編方針について、県は8日、県漁協の組合員らに説明した。
 漁港の復興をめぐり、村井嘉浩知事は震災直後の4月、「漁港を3分の1から5分の1に集約する」と表明。県の復興計画にも集約方針を盛り込んでおり、機能を漁港間で分担させて、拠点港に集中投資する姿勢を打ち出している。

<「限られた財源」>
 県は従来の漁港漁場整備長期計画に代わり、計画期間10年の地区計画を漁港ごとに策定し、来年3月までに水産庁に提出する。
 県農林水産部は「住民にとって地域の漁港は重要。県経済再生にも沿岸水産業復興は不可欠で、小さな港も基本的な機能は復活させる。限られた財源を投入し、水産県宮城の復活を目指したい」としている。

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30

11月

2011

仙台市復興計画決定

読売新聞111201】仙台市の震災復興計画が30日、市議会本会議で可決、成立した。津波被害を受けた沿岸地域からの集団移転を進めるとともに、地滑り被害が発生した丘陵部の宅地復旧など、防災、安全や生活基盤の再建に主眼を置いた。計画期間は2011~15年度の5年間。計画実施による総事業費は1兆500億円を見込む。市は今後、計画に盛り込まれた事業を具体化する実施計画を年度内に策定する。

 「100万人の復興プロジェクト」と題した復興計画には、地震や津波防災、住宅再建、農業の再生、エネルギー供給源の多様化などのプロジェクトを掲げた。

 津波被害を受けた市東部の沿岸地域については、海岸に高さ7・2メートルの防潮堤を整備。さらに、海岸に沿って伸びる県道塩釜亘理線などを6メートルかさ上げし、「第2の防波堤」としての役割を持たせる。その上で、県道より海側を中心とする地域を災害危険区域に指定。住宅の建設を禁止して、区域内の約2000世帯の集団移転を進める。

 集団移転では、独自の支援策も盛り込んだ。市有地に住宅を建設する場合、30~40年間、1000万円を限度に借地料を免除。移転対象地区以外から移転する場合にも、再建資金の借り入れ利子に対し、最長10年間助成金を支給する。

 地滑り被害を受けた宅地の復旧にも独自の支援を行う。国の補助対象外となった800世帯の宅地復旧に、工事費用のうち100万円を超える費用の9割を助成する。

 このほか、津波被害を受けた農地は、集約化や大規模化を推し進め、生産から販売までを農家自らが担う「6次産業化」を促進する。

 また、宮城野区の南蒲生浄化センターでは、東北大や筑波大とともに、藻類から炭化水素を取り出す実証実験に取り組み、生物を使って石油を生み出す夢のプロジェクトに乗り出す。大規模太陽光発電の誘致も推進。多様なエネルギー源の確保を目指すエコモデルタウン事業に取り組む。

 復興計画の決定を受け、奥山恵美子市長は「これから集団移転や宅地復旧の具体的な作業に移っていく。市民と二人三脚で、スピード感を持って取り組みたい」と述べた。

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23

11月

2011

宮城県石巻市 「工学院大学の東日本震災支援「東北の美しい「村」再生プロジェクト」―復興住宅がまもなく竣工、11月23日に入村式」

工学院大学の東日本震災支援「美しい「村」再生プロジェクト」―復興住宅がまもなく竣工、11月23日に入村式

大学プレスセンター111110】工学院大学が東日本大震災支援として行なってきた、宮城県石巻市の恒久的復興住宅の完成が近づき、入村式が行われることとなった。11月23日(水)には、入村される被災者の皆様および関係者を招き、式典と住宅の内覧会を行う。

 

 工学院大学では工科系大学ならではのノウハウを活かし、東日本大震災の復興へのさまざまな取組みを実施。東日本大震災支援事業・工学院大学学園創立125周年記念事業の一つとして、「恒久復興住宅プロジェクト(K-engine Project)」を建築学部の後藤教授の主導のもと、鋭意進めてきた。

 このプロジェクトは、「仮設住宅と常設復興住宅のバランスのよい供給こそが被災者の生活再建と地域復興に必要」との信念のもと、被災地における応急的仮設住宅に替わる『恒久的復興住宅の建設』を主旨として発足した。大学が、被災地支援で復興住宅そのものの提供を行うことは他に例を見ないことで、自治体や業界関係者からも注目を集めている。

 これまで集中豪雨や台風上陸など、作業を妨げる困難も多々あったが、多くの方々からの支援と協力を得て、このたび被災者の方々の入居が可能となる状況にたどり着いた。

 11月23日(祝・水)には、現地にて入村式が執り行われる。当日は、後藤教授をはじめ入居予定の皆様、関係者が列席し、恒久復興住宅の内覧会も予定している。
 三陸の海を望む美しい景観の高台から、「村」再生の第2章が始まる。

◆石巻市北上町白浜復興住宅入村式 式典概要
【日時】
 2011年11月23日(水・祝)13時30分~15時00分  
 ※前日午後・当日午前中に現地にて取材を承ります
【場所】
 宮城県石巻市北上町大字十三浜字下山15-2
 ※宮城県石巻市北上町大字十三浜字下山45付近(カーナビ活用の場合)
【式典参加者】
 復興住宅の住居者(約20名)、土地所有者(熊谷産業株式会社)、工事会社(株式会社芽ぐみ等)、施主(学校法人工学院大学 理事長・学長)、CSR協力者、寄付金提供者、設計関係者、自治体関係者 など

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23

11月

2011

宮城県石巻市 「復興住宅が一部完成 工学院大など石巻で建設」

復興住宅が一部完成 工学院大など石巻で建設

完成した復興住宅の室内を眺める入居予定者ら=23日、石巻市北上町十三浜
完成した復興住宅の室内を眺める入居予定者ら=23日、石巻市北上町十三浜

111124河北新報】東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県石巻市北上町十三浜に工学院大(東京)が地元企業グループなどと連携して建設した被災者用の復興住宅が一部完成し、引き渡し式が23日、現地で行われた。
 主に十三浜の白浜地区の住民が暮らす予定で、コミュニティーを保ちながら、集落再生を目指す。
 復興住宅の建設は、地元企業が無償貸与した高台の別荘予定地に、いずれも木造の平屋(43平方メートル)と2階建て(63平方メートル)の個人用計10棟、2階建ての高齢者らの共同利用住宅1棟(109平方メートル)を計画。事業費1億7000万円は大学が集めた寄付金を充てた。
 4棟が完成し、残り7棟も年内をめどに完成させる。個人用10棟は全て入居が決まり、白浜地区などの約40人が暮らす予定。賃貸料は平屋が月額2万円、2階建てが2万7000円となっている。
 23日は復興住宅の鍵の引き渡し式があった。家族5人で入居する漁業佐々木克弥さん(54)は「自宅近くに住めるのはうれしい。親戚の家を転々としながら暮らしていたので、心身ともに安心できる」と語った。
 復興住宅整備の責任者で、工学院大建築学部の後藤治教授(建築学)は「ここで集落の再生を手助けし、三陸の小さな漁村は小さな単位で立ち直れることを証明したい」と話した。

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19

11月

2011

宮城県石巻市 「石巻・雄勝に仮設商店街開設 スーパーなど11店舗」

石巻・雄勝に仮設商店街開設 スーパーなど11店舗

開店を祝う復興市も行われ、多くの客でにぎわった仮設商店街=19日午前、石巻市雄勝町
開店を祝う復興市も行われ、多くの客でにぎわった仮設商店街=19日午前、石巻市雄勝町

111120河北新報】震災で被災した店舗が入る仮設商店街「おがつ店こ屋街(たなこやがい)」が19日、宮城県石巻市雄勝町の旧雄勝総合支所前に開設された。石巻かほく商工会が、中小企業基盤整備機構の支援を受けて整備を進めた。
 仮設商店街は、軽量鉄骨2階建ての延べ床面積約620平方メートル。雄勝地区の店舗が津波で流失するなどしたスーパーやすし店、八百屋などの11店舗が入居した。
 みうら海産物店を営む三浦慶市さん(59)は、地区内の店舗が流された。「雄勝で店を再建するのが、生かしてもらった人の役目。ここで頑張って生活していきたい」と気を引き締めた。
 雄勝町の自宅が流失し、涌谷町に避難する主婦千葉富美恵さん(62)は車で1時間かけて訪れた。「拠点ができて知人に会えるのがうれしい。何度も来たい」と話した。
 開店を祝う「おがつ復興市」が開かれ、商店街の出店者も含めて計20店舗が石巻焼きそば、野菜などを販売した。雄勝中の生徒が復興輪太鼓を演奏し、再出発に花を添えた。復興市は20日も行われる。
 商工会によると、雄勝地区には約200の会員がいたが、7、8割が被災したという。

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18

11月

2011

宮城県石巻市 「石巻・鮎川浜に仮設商店街オープン 鮮魚店など16店」

石巻・鮎川浜に仮設商店街オープン 鮮魚店など16店

オープンと同時に大勢の町民らが訪れたおしかのれん街
オープンと同時に大勢の町民らが訪れたおしかのれん街

111119河北新報】東日本大震災で壊滅的被害を受けた宮城県石巻市鮎川浜に18日、鮮魚店や飲食店など16軒が入居する仮設商店街「おしかのれん街」がオープンした。テープカットやもちまきで開店を祝い、大勢の住民でにぎわった。
 開店に先立ち現地で式典が行われ、入居者代表の沼倉憲一さん(64)が「地域に愛される店づくりを目指す。一日も早くここを巣立つことが恩返しになると信じている」とあいさつした。
 のれん街は、木造平屋の2棟で構成し、1店舗の広さは約20平方メートル。震災前まで同市鮎川地区で店を構えていたすし店や青果店、理美容店などが営業する。
 NPO法人「JEN(ジェン)」(本部東京)が、ドイツの慈善団体「HELP」から約8000万円の資金援助を受けて建物や空調を整備。敷地は市が提供した。入居者は今後2年間、無償で建物を借り営業する。
 鮎川港近くの店を流され、のれん街に入居したラーメン店「上海楼」の経営者高橋紀美子さん(71)は「店は生活のすべてだった。営業再開はものすごくうれしく、以前と同様にお客さんと笑顔で接したい」と話した。
 石巻市牡鹿稲井商工会によると、牡鹿地区には約120の会員がいたが、震災でほとんどが営業できなくなった。

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12

11月

2011

宮城県 「気仙沼に復興屋台村 女川ではテント市場」

気仙沼に復興屋台村 女川にはテント市場

多くの客でにぎわう「復興屋台村 気仙沼横丁」(宮城県気仙沼市で)
多くの客でにぎわう「復興屋台村 気仙沼横丁」(宮城県気仙沼市で)

読売新聞111113】宮城県で12日、仮設商店街や市場が相次いでオープンした。

 気仙沼市に新設されたのは「復興屋台村 気仙沼横丁」。地元商店主の復興を支援しようと、有志6人で4月から計画。市が借り上げた土地に、中小企業基盤整備機構が22店舗のプレハブ店舗を建てた。各店舗の広さは約20平方メートル。

 この日は、居酒屋やうどん屋、八百屋など19店舗が開店。26日に残り3店舗も営業を始める。

 郷土料理居酒屋を営む畠山仁義さん(55)は「心配してくれたお客さんたちに、震災に負けない姿を見せたい」と話した。

 女川町の町民野球場には、音楽家の坂本龍一さんが資金を提供して設けたテント張りの市場「坂本龍一マルシェ」が開かれた。

 広さ約400平方メートルで、衣類や野菜、海産物などを売る約20店が出店。球場にある3階建ての仮設住宅に暮らす人たちが早速買い物を楽しんだ。

 買い物をした原田ますえさん(49)は「便利なのと同時に、住民が集まるので、人間関係が深まります」と話していた。

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11

11月

2011

被災地支援 建築家の提案

完成直前の3階建て仮設住宅。色が塗られた部分がコンテナ(10月27日、宮城県女川町)
完成直前の3階建て仮設住宅。色が塗られた部分がコンテナ(10月27日、宮城県女川町)

読売新聞111111】被災地に建築家が設計した集会施設や、仮設住宅の完成が相次いでいる。被災者の立場を考えた造り、質の高いデザインは、今後の災害支援で求められる建築のモデルとなりそうだ。三つの事例を紹介する。(文化部 高野清見)

 

海上輸送コンテナ活用

坂(ばん)茂氏「多層コンテナ仮設住宅」

宮城県女川町の町民野球場で6日、3階建てコンテナ仮設住宅の入居が始まった。避難所の間仕切りや、紙管による建築で国内外の災害救援を行う坂茂氏が、平地が少なく用地が足りない同町に提案した。坂氏の仮設住宅案が、日本で実現したのは初めてだ。

 海上輸送用コンテナ(長さ6メートル、幅2・5メートル)を重ねた2階建て3棟45戸、3階建て6棟144戸を設計。前もって製造工場で窓などを開けたコンテナと、フレームを互い違いに積み、フレーム部分も部屋にするなど、合理化を図った。

 10月中旬から2階建てコンテナ仮設住宅に住む被災者は「住み心地は快適。鉄骨も見えないし、音も気にならない。普通のアパートみたい」。坂氏は「仮設住宅はあまりにも質が悪い。もっと質を上げる必要がある」と語り、これを一つのモデルとしたい考えだ。

「KAMAISHIの箱」。左後方のプレハブ店舗と好対照を見せる。仮設住宅に暮らす母子連れが立ち寄った(3日、釜石市の大只越公園)
「KAMAISHIの箱」。左後方のプレハブ店舗と好対照を見せる。仮設住宅に暮らす母子連れが立ち寄った(3日、釜石市の大只越公園)

組み立て簡単 量産可能

難波和彦氏「KAMAISHIの箱」

岩手県釜石市の鈴子公園と大只越(おおただごえ)公園に、難波和彦氏(東大名誉教授)が設計した2棟がほぼ完成した。箱のように単純な形。表面を焼き、ブラシでこすった杉材の外壁は簡素な美を備える。中は一室だけの空間で、カフェやイベント会場などに使えそうだ。

 「箱の家」と呼ばれるシンプルな住宅設計で知られるが、今回は木造の在来工法を用いながら、規格化したパネルに分解して設計。工場で加工して現地に運び、簡単に組み立てられる。プレハブと同じく量産可能な建物となった。

 災害時に復興支援の建物を手がけるのはプレハブメーカーやハウスメーカー、ゼネコン、工務店など。難波氏はたまたま建築関係者との個人的つながりから、設計を頼まれたという。

 「生産現場のシステムから建築家は疎外されてきた。お呼びじゃないのは当然です。でも僕は、依頼があれば全力を挙げてやろうと思った。良い建築と思ってもらえ、自分の所にも、となればいい」と語る。

伊東豊雄氏(左から4人目)らが共同設計した「みんなの家」。右奥のプレハブ集会所と、縁側を兼ねた廊下でつなげた(10月26日、仙台市宮城野区)
伊東豊雄氏(左から4人目)らが共同設計した「みんなの家」。右奥のプレハブ集会所と、縁側を兼ねた廊下でつなげた(10月26日、仙台市宮城野区)

住民希望で縁側設置

伊東豊雄氏「みんなの家」

 仙台市宮城野区の仮設住宅地に10月26日、伊東豊雄氏が中心になって設計した集会施設が完成した。被災者が安らぎ、復興を語り合う「みんなの家」を各地に建てよう、という伊東氏の提案に熊本県が協力。約1000万円をかけ、熊本県産の木材で建設した。

 現代建築をリードする人とは思えない、素朴なまでの木造家屋。住民から「仮設にはないひさしが欲しい」「縁側があれば将棋も指せる」といった希望を聞いて設計した。「表現者として、今まで造ってきたものと、無名性に近い今回の建築との間をどう埋めるのか葛藤はあった。でも、多くの人が関わって造るプロセスは楽しかった」と伊東氏は振り返る。

 本当に必要とされる建築とは何なのか、建築家それぞれに自問自答が続く。

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10

11月

2011

焦点/復興見据え新制限移行/宮城県の建築制限きょう解除

被災市街地復興推進地域に指定された石巻市の門脇町、南浜町地区=9日
被災市街地復興推進地域に指定された石巻市の門脇町、南浜町地区=9日

河北新報111110】東日本大震災の津波被害を受けた気仙沼市や名取市など、宮城県内の6市町の市街地を対象にした建築制限が10日、解除される。制限は被災地の乱開発を防ぐため、最大約1850ヘクタールにかけられた。対象となった自治体は解除後、街区の早期形成や危険地域への住宅建設禁止を盛り込んだ各市町の復興計画に基づき、新たな制限を継続させる方針だ。

◎5市町、推進地域選択/山元町は危険区域指定へ

<最大8ヵ月>
 県が建築基準法84条に基づく制限をかけたのは気仙沼市、東松島市、名取市、南三陸町、女川町、山元町。仮設の建築物や県が許可した建物以外、全ての建築行為を禁止した。人口が多く建築主事を置く石巻市は市の権限で制限をかけることができるため、区域を市独自で指定した。
 制限期間は災害発生日から最大2カ月だったが、震災後に特例法が制定され、最大8カ月まで延長可能になった。6市町のうち東松島市は10月31日に全面解除、5市町が11月10日まで延長した。

<石巻市先行>
 ただ石巻市は半島部の一部(94ヘクタール)で延長したものの、9月11日には市内3地区計約449ヘクタールの建築制限を解除。翌12日、解除地域を国の被災市街地復興特別措置法に基づく「被災市街地復興推進地域」に指定した。
 復興推進地域では2階建て以下、敷地面積300平方メートル未満でしか建物を建てられない。しかも区画整理などを見据え「容易に移転が可能なこと」という条件が付く。制限期間は2年間で、石巻市の場合、2013年3月11日までとなる。
 震災半年での地域指定は、国の事業の具体的な内容も財源も分からない段階での早いタイミング。石巻市は「街づくりを前向きに進める姿勢を早期に市民に示すとともに、政府に事業の具体化や財源確保を促す狙いがあった」(基盤整備課)と話す。
 復興特別措置法は阪神大震災を受け、1995年に制定された。神戸市などは石巻市と同様、建築制限から復興推進地域の指定に移行し、幹線道路や公園の位置などを決め、街区形成を進めた。
 東松島市も11月1日に復興推進地域を指定。山元町を除く4市町も同様の措置を取る。

<39条を適用>
 198ヘクタールが建築制限を受けた山元町は、解除後の11日から建築基準法39条に基づく町の「災害危険区域条例」によって、町の3分の1に当たる約1900ヘクタールを危険区域に指定し、住宅の建築を禁止する。危険区域は集団移転の対象地域だ。
 建築基準法の84条と39条はそもそも目的が異なる。84条は被災後の街づくりが目的であるのに対し、39条は住民の安全確保が主眼。岩手県は宮城県と異なり、39条による制限をかけている。
 山元町は39条による制限を活用する理由について「39条だと制限期間に限りがない。街づくりと同時並行で、危険区域への住宅建設を防ぐ必要があった」(震災復興推進課)と説明する。
 建築制限をかけていなかった仙台市も、山元町と同様に39条に基づく条例で建築制限する方向で調整している。

◎石巻・東松島、自宅再建急ぐ動き/被災者「くつろぎの場早く」/自治体「復興事業で移転要請も」

 先行して被災市街地復興推進地域に指定された石巻市や東松島市の一部地域では、住宅の新築や改築を計画する動きが出始めている。今後固まる街づくり事業の内容によっては、移転などを求められるリスクもあるが、さまざまな理由で再建を急ぐ被災者がいる。

 東松島市では11月1日付で、野蒜、大曲両地区の一部計163ヘクタールが復興推進地域に移行。津波で市内の自宅が全壊した男性(76)は、自分が所有する野蒜地区の畑を造成し、自宅を新築しようと決めた。
 震災前は妻(71)と長女(48)夫婦、孫2人との6人暮らしだったが、全員で入居できる住まいは見つからず、現在は市内のアパートで妻と2人暮らし。家族はばらばらだ。
 「移転を求められる不安はある。それでも一日も早く家を建て、家族6人のくつろぎの場所にしたい」と言う。
 既に2世帯住宅を建てる契約を工務店と結んだ。資金は自宅被害で出た共済金などを充てる。
 復興推進地域での建物の新築、改築などには、建築許可が必要で市町村を通じて申請する。
 東松島市は、申請を受け付ける際に「復興事業に支障がないかどうか判断し、支障が出る可能性があれば、相談させてもらう」(復興都市計画課)と言う。
 9月12日付で449ヘクタールを復興推進地域に指定した石巻市では9日現在、地域内での建築許可申請が5件あり、うち2件が許可された。
 市は「市民から申請の相談があれば、将来、道路などにかかって移転をお願いすることもあり得ると説明している」(基盤整備課)という。

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06

11月

2011

宮城県女川町 「宮城県最後の仮設住宅、入居始まる=土地少なく初の3階建て」

宮城県最後の仮設住宅、入居始まる=土地少なく初の3階建て

朝日新聞111106】宮城県女川町で6日、県内最後となる仮設住宅への入居が始まった。リアス式海岸が続き、平らな土地が少ないことから、同住宅としては日本初の3階建て。貨物用コンテナを組み合わせたもので、計144世帯、356人が避難所や親戚宅から生活の拠点を移す。

 同町女川浜の総合運動公園野球場には既に、コンテナ製2階建て仮設住宅が完成し、45世帯が入居済み。3階建てと合わせると全部で9棟に計189世帯、464人が暮らすことになる。

 震災以降、避難所などを転々としてきたという阿部敏子さん(54)は、最後の抽選で3階の部屋に当選。「仮設の3階は耐震性などに不安があったが、入居してみると造りも頑丈で快適。見晴らしも良いし、やっと気を使わずにゆっくり眠れます」と笑顔を見せた。

 設計した建築家の坂茂さんは、ニューヨークや東京でコンテナを使った美術館を建設した経験があり、「土地を有効活用できる上、中国で組み立てたコンテナを輸入したので工期も短く、価格も安く済んだ」とコメント。防音上の観点から上下の階で居間の位置もずらしたという。

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31

10月

2011

宮城県 「災害公営住宅1万2000戸 事業費2000億円」

災害公営住宅1万2000戸 事業費2000億円

河北新報111101】宮城県は31日、東日本大震災の被災者向けに整備する災害公営住宅の建設戸数が、県内15市町で1万2000戸になるとの試算結果をまとめた。建設用地費用を除く事業費は約2000億円を見込んだ。2015年度までの全戸完成を目指す。

 県が年内に策定する復興住宅計画の骨子案の中で示した。仮設住宅の入居世帯数などを基に算出した。各市町は被災者を対象に住居に関する意向調査を進めており、戸数は増える可能性がある。
 骨子案では、建設期間を県震災復興計画で示した15年度までの5年間とした。県の11年度補正予算には150戸分、1億円の設計費用が計上されており、県は建設用地が決まり次第、本年度中にも設計に着手する。
 主な整備方針として、(1)地域コミュニティーの維持(2)地元業者、県産木材の活用など地域産業振興への貢献(3)地域の少子高齢化への対応―などを掲げた。高齢者、障害者に配慮し、地域の特性に合った住宅供給を図る。
 災害公営住宅は各市町による整備を基本とした。一部は県営住宅として建設する。事業推進が困難な被災市町では、県が設計、建設を代行する。民間企業による整備も積極的に受け入れ、早期の全戸完成を目指す。
 現段階で整備を予定するのは仙台、石巻、塩釜、気仙沼、名取、多賀城、岩沼、東松島、大崎の9市と、亘理、山元、松島、七ケ浜、女川、南三陸の6町。
 災害公営住宅は震災で住居を失い、自力再建が難しい被災者が入居対象。収入基準などが問われない入居資格の特例期間は現行法で3年間とされている。政府は特例期間を最長10年間とする復興特区法案を開会中の臨時国会に提出している。

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28

10月

2011

宮城県女川町 「原子力防災重点地域の拡大案 女川原発、揺れる再稼働」

原子力防災重点地域の拡大案 女川原発、揺れる再稼働

河北新報111028】国の原子力安全委員会事務局が作業部会に示した原子力防災の重点地域見直し案が、東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)の再稼働の行方に影響を与えそうだ。原案通り決定されれば、重点地域は原発の半径8~10キロ圏から約30キロ圏に拡大し、新たに5市町が区域内に入る。関係自治体には「単純には運転再開に同意できない」との意見もあり、再稼働のハードルが高くなるのは必至だ。

 見直し案の是非は、11月1日に開かれる原子力安全委の作業部会で決まる見通し。女川原発の30キロ圏には、立地2市町に加え、東松島、登米両市と、宮城県南三陸、美里、涌谷の3町が加わることになる。
 このうち涌谷町の安部周治町長は「稲作地帯でもあり、原発事故への懸念は大きい」と強調。早期の運転再開については「事故時の町内の避難路確保などができていない状態では認めるべきではない」との認識を示す。
 美里町の佐々木功悦町長は「福島の事故の被害の広がりをみると、重点地域は広げるべきだ」と見直し案に賛意を示す。その上で運転再開の協議の在り方に触れ「立地自治体だけが関わってきた状況を改め、周辺市町村が意見を述べる場も必要」と注文を付ける。
 女川原発は全3基が停止しており、現在は全てが定期検査中。震災では一部設備に浸水被害などがあった。東北電は運転再開に向けて安全対策工事や地震の影響の解析作業を続けている。
 東北電は見直し案の影響について「具体的にコメントできる段階ではないが、再稼働に地元の理解が重要という考えは変わらない」と説明。新たに対象となる市町を含め「各自治体の要望を聞いていきたい」としている。


<自治体の防災計画 事故想定が不可欠>

 原子力防災の重点地域が約30キロ圏に拡大した場合、女川原発周辺で新たに対象区域となる自治体は原発事故を想定した防災計画策定が必要となるなど、さまざまな対応が求められることになる。
 防災計画の策定に関しては、福島原発事故の影響の大きさを踏まえ、いずれの市町も前向き。登米市は「国や県と協議し策定したい」と説明する。東松島市、南三陸町も既存の防災計画の見直しを検討する方針だ。
 対象市町は放射線測定機器や防護服の準備などのための予算確保も必要となる。広範囲に及ぶ地域で、原子力防災訓練をどう実施するかなども課題になる。
 各市町の指針となる県地域防災計画の修正も必至で、県原子力安全対策課は「関係自治体との調整が欠かせず、修正作業を終えるのは来年度以降になる」と言う。
 一方、東北電力は「正式に決まった場合は事業者としての防災業務計画を見直し、自治体との連係も深めたい」としている。

[原子力防災の見直し案] 原子力安全委員会事務局が20日に提示。あらかじめ防災対策を重点的に実施する地域として、これまで「EPZ」の呼称で示した原発の半径8~10キロ圏を約30キロ圏まで拡大し、緊急防護措置区域(UPZ)とする。ほかに5キロ圏を直ちに避難する予防的防護措置区域(PAZ)、50キロ圏を安定ヨウ素剤を配備するなど放射性ヨウ素対策区域(PPZ)に設定した。

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25

10月

2011

宮城県丸森町 「丸森で健康調査実施へ 宮城県、不安解消に向け方針」

宮城県は25日、同県丸森町筆甫、耕野両地区で、福島第1原発事故に伴う住民対象の健康調査を実施する方針を決めた。同日あった健康調査の必要性を検討する県の有識者会議は「健康に影響はない」との見解をまとめたが、住民の不安解消に向けて「調査は必要」と判断した。(16面に関連記事)
 対象は調査を希望する子どもを想定。甲状腺の超音波検査のほか、内部被ばく量を測定するホールボディーカウンターの使用も検討する。今後、対象年齢や調査項目、方法など詳細を決める。対象は数十人規模となる見通し。
 岡部敦保健福祉部長は会議後の取材に対し「(健康への影響がない)確認のための調査で、項目は絞り込む。できるだけ早い時期に実施したい」と述べた。
 県の推計によると、県南地域の年間被ばく線量は丸森町の耕野、筆甫両小では年1ミリシーベルトを超え、それぞれ4.1ミリシーベルト、2.8ミリシーベルトとなっている。
 県庁であった有識者会議の協議は非公開で行われた。県によると、5人の委員は「科学的、医学的な観点から健康への影響はなく、健康調査の必要性はない」との見解で一致した。県の調査方針には理解を示したという。
 県は調査を実施した上で、分析結果を次回の有識者会議に報告する。開催時期は未定。調査後のフォローの在り方について委員の意見を聞く。

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25

10月

2011

宮城県仙台市 「仙台に仮設住宅「みんなの家」完成 被災者の共有スペースに」

仙台に仮設住宅「みんなの家」完成 被災者の共有スペースに

関係者に公開された「みんなの家」=仙台市宮城野区
関係者に公開された「みんなの家」=仙台市宮城野区

河北新報111026】仙台市宮城野区の福田町南1丁目公園仮設住宅の共有スペース「みんなの家」が25日完成し、関係者向けの内覧会が開かれた。26日には住民も参加して落成式を行う。
 建物は熊本県産スギなどを使った切り妻の木造平屋約40平方メートルで、せんだいメディアテーク(青葉区)を手掛けた建築家伊東豊雄さんが設計。縁側を兼ねた渡り廊下で仮設住宅の集会場と行き来できる。まきストーブが置ける土間付きで、畳敷きの小上がりも設けた。
 伊東さんがコミッショナーを務める熊本県の建設・文化事業「くまもとアートポリス」の一環で建設。伊東さんは「住民や熊本の方々の協力で良いものができた」と満足そうに話した。
 仮設住宅に住む無職瀬戸昭三さん(66)は「花壇の設置や内装に住民の意見を採り入れてくれた。素晴らしい建物を提供してもらった」と喜んでいた。
 内覧会に合わせ、宮城野区のサンフェスタでは伊東さんら建築家5人でつくる「帰心の会」によるトークセッションも開かれた。伊東さんは約220人の参加者を前に「現代建築を手掛けてきたので、切り妻の家作りには悩んだ。縁側などを望む住民の声を直接聞き、みんなで造ろうという気持ちになれた」と打ち明けた。

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18

10月

2011

宮城県 「予期せぬ流れ、意外な大差 水産特区撤回請願不採択」

予期せぬ流れ、意外な大差 水産特区撤回請願不採択

記名投票で実施された「水産業復興特区」構想の撤回を求める請願の採決=18日、県議会
記名投票で実施された「水産業復興特区」構想の撤回を求める請願の採決=18日、県議会

河北新報111019】宮城県議会9月定例会は18日、「水産業復興特区」構想の撤回を求める請願を賛成少数で不採択とした。定数61(欠員1)の6割を占める最大会派「自民党・県民会議」は自主投票で臨み、議長を除く37人が採択6、不採択30、棄権1に割れた。採否は拮抗(きっこう)するとみられたが、結果は大差。議員を不採択へ動かしたのは、外から転がり込んだ意外な大義名分だった。
 自民会派の議論は6日に本格化した。会派総会で沿岸部議員が採択を求めたのに対し、内陸部議員は任期満了に伴う廃案か不採択を主張。双方は真っ向から対立した。
 県議選(11月4日告示、13日投票)を目前に控えた議員心理も交錯した。「漁協の願いを無視すれば沿岸部は選挙を戦えない」「採択は与党会派が村井嘉浩知事にノーを突き付けるのと同じ」
 会派幹部によると、産業経済委員会が採決を先送りした7日時点で、3分の1の議員が採否を決めかねていた。
 空気が一変したのは、3連休後の11日。共産党現職が県議選向けに作成したチラシが、会派議員の目に留まった。
 チラシに記されたのは、活動報告と数人の応援メッセージ。その中に、県漁協幹部が寄せた「親身になって話し合っていただいたのが共産党」という文面があり波紋を広げた。
 県漁協の上部団体の全漁連は自民党の強力な支持団体。漁協幹部の「共産寄り」とも取れる発言に、自民会派は神経をとがらせ、保留としていた議員も硬化した。
 沿岸部議員は12日、巻き返しに出た。知事に気兼ねする議員を取り込もうと、産経委の採決で特区構想を否定しない付帯意見を提案し「撤回請願をマイルドにする」(ベテラン)ことを狙った。実際、14日の産経委は付帯意見を添えた請願が賛成多数で採択された。
 それでも、会派内に芽生えた県漁協への不信感は一掃できず、多くの議員が不採択に回った。採択派は「チラシが大義名分にされてしまった」と悔しがった。
 18日の本会議。会派の2議員が両極に分かれて討論した。採択派の須田善明氏は「県漁協の合意がない以上、いったん撤回すべきだ」と主張。不採択派の安藤俊威氏は「合意を得るために協議を見守るべきだ」と強調した。結論は違えど、目指す方向は同じだった。
 会派の佐々木喜蔵会長は「水産業への思いは一緒だけに、採否の判断は感情面に左右された。合意形成が大事との指摘は会派の総意と言える。知事には重く受け止めてもらいたい」と語った。

◎民主系会派3人が方針に反旗/県議選後勢力維持に不安

 「水産業復興特区」構想の撤回を求める請願をめぐり、民主党系の第2会派「改革みやぎ」(11人)は、「採択」の方針で本会議に臨んだが、3人が不採択に回った。会派幹部は「知事側に懐柔されたとも受け取られかねない」と危機感を募らせ、県議選(11月4日告示、13日投票)後の勢力維持に不安定材料を残した。
 同会派は、本会議前の会派総会で「漁協や漁業者の現場サイドと県の意思疎通が欠けている」と県の姿勢をあらためて批判し、請願を採択する方針を確認した。「記名投票でもあり、それぞれの判断に任せる」(藤原範典会長)として会派拘束は掛けなかった。
 採決では民主党県連幹事長代理の菅原敏秋氏、無所属の袋正氏と菅間進氏の計3人が「特区の基本的な考え方には賛同できる」などと判断し、不採択の意思を示した。
 藤原会長は「それぞれの考えに従ったということだろう」と語る。別の議員は「会派拘束を掛け、会派としての立場を鮮明にすべきだった」と悔やむ。
 会派内には、民主党政権が水産業復興特区の実現に向けた関連法案を次期臨時国会に提出する方針であることを踏まえ、「政権与党の中央と地方で整合性がないのはおかしい」と会派の方針をいぶかる声もあった。
 ベテランの一人は「(民主党と無所属の議員が混在する)会派内のひずみが表面化したということ。県議選後は、これまで通りにはいかないのではないか」と会派流動化の可能性を示唆した。

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14

10月

2011

宮城県 「水産特区の撤回請願を採択 宮城県議会産経委」

水産特区の撤回請願を採択 宮城県議会産経委

河北新報111015】宮城県議会9月定例会の産業経済委員会は14日、宮城県漁協が提出した県の「水産業復興特区」構想の撤回を求める請願を賛成多数で採択した。村井嘉浩知事が提唱した特区構想に議会が異を唱えた形だが、県政与党の最大会派「自民党・県民会議」内は賛否が割れており、18日に開かれる本会議での採否の行方は流動的だ。自民会派は自主投票で臨む方針。

 請願には「県と県漁協、漁業者で協議し、将来の水産業の在り方について合意形成に努めるよう求める」とする付帯意見が付けられた。
 委員会採決では中山耕一委員長を除く委員9人のうち、自民会派の2人と、いずれも県政野党で民主党系会派「改革みやぎ」の2人、社民党県議団、共産党県会議員団の各1人の計6人が採択に賛成した。反対した3人は全員自民会派だった。
 採決に先立ち、委員会には請願提出者の菊地伸悦県漁協会長が参考人として出席。「漁協が機関決定し、約1万4000人の署名簿も提出した」と述べ、あらためて採択を求める一方、「(復興に向けて)今後もろもろ県と話し合いをしなくてはならない」と県との連携の必要性も強調した。
 委員会終了後、中山委員長は取材に対し「視察や意見聴取を繰り返し、採否の判断材料を共有してきた。県と漁協の対立が解消した中で判断したかった」と話した。
 請願は今年6月に提出され、付託された経済産業委員会は6、7月の2回、「県と漁協の話し合いを見守るべきだ」と継続審査にしてきた。

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12

10月

2011

宮城県女川町 「2階建て仮設に入居 3階建ても月内に」

2階建て仮設に入居 3階建ても月内に

宮城県女川町で2、3階建て仮設住宅の整備が進む総合運動公園町民野球場
宮城県女川町で2、3階建て仮設住宅の整備が進む総合運動公園町民野球場

河北新報111013】宮城県女川町が建設を進める2、3階建て仮設住宅のうち、2階建て45戸が完成し、12日までに入居が始まった。
 次男(45)と2階への入居が決まった木村トク子さん(72)は「隣部屋との間にちゃんとドアが付いていて、今まで見た仮設住宅の中では一番住みやすそう」と話し、待望の「新居」に満足そうだった。
 県内で2階建て以上の仮設住宅が整備されるのは女川町だけ。平地が少なく、適地が見つからなかったため、町が総合運動公園町民野球場への整備を決めた。
 2階建て、3階建てともに海外製の輸送用コンテナを複数組み合わせる工法で、間取りは1DK~3K。計12億4200万円かけ、合わせて189戸の建設を進める。10月初旬に全189戸の入居が完了する予定だったが、県の建築許可に時間が掛り、完成がずれ込んだ。
 3階建ては今月末に完成予定。階段の上り下りや階下への騒音対策のため、体が不自由な人や子どものいる家族が優先して1階に入居できるよう配慮するという。

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30

9月

2011

宮城県 「JR仙石線東名-野蒜駅周辺 内陸に移設復旧へ」

JR仙石線東名-野蒜駅周辺 内陸に移設復旧へ

【写真】 仙石線や野蒜駅の復興方針を調整した会議
【写真】 仙石線や野蒜駅の復興方針を調整した会議

石巻日日新聞111001】JR仙石線・石巻線復興調整会議が9月30日、仙台第3合同庁舎で開かれ、津波により大きな被害を受けた東松島市の仙石線東名―野蒜駅間について、沿線自治体とJRの担当者が内陸部の丘陵地に線路や駅を移設する復旧方針に合意した。石巻線の不通区間である石巻―浦宿駅間(14・5キロ)は現ルートでの復旧となり、その先の終点女川駅は移設する。ただし、再開の時期や費用は今後の話し合いに持ち越された。
 仙石線のルート変更は、再開の見通しが立っていない高城町駅(松島町)―陸前小野駅(東松島市)の15・9キロのうち、東名―野蒜駅(1・6キロ)とその前後。現況から500メートルほど内陸の丘陵地に線路を引き、東名、野蒜駅を移す。
 同区間は2メートル以上の津波をかぶり、駅舎やレールに著しい被害を受けた。JRは安全確保ができないとの理由で、現ルートでの復旧を考えていない。
 人口流出やまちづくりへの影響を懸念する東松島市は、JRに早期の再開を要望。JR側は国による費用負担を求め、話し合いに折り合いがつかないまま。調整会議では事務局の東北運輸局鉄道局が、両者を仲介する形でルートの変更案を提示し、了承を得た。
 東松島市は野蒜地区で市街地の集団移転を構想しており、現在の市街地の背後にある丘陵地に新市街地を造成する考え。仙石線の変更ルート案は新たなまちづくりの構想に合わせたものになっている。ただし、現ルートでの早期復旧を望む住民もおり、東松島市は調整会議で、JRによる住民への説明や代替交通機関の充実を要望している。
 調整会議では今後、東松島市が12月にまとめる復興計画に間に合うよう具体的なルートを決め、運行再開までのスケジュールを策定する。用地の買収から造成、鉄道設備整備まで、運行の再開には少なくとも3年はかかる見通し。東名―野蒜駅間以外の不通区間は現行ルートのまま復旧させ、駅も生かす。
 一方の石巻線の不通区間は、地盤沈下による冠水被害が出ている万石浦沿いの護岸整備や排水対策を講じた上、浦宿駅まで早期に復旧させる方針。流失した女川駅は、安全な場所への移設を検討していく。

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30

9月

2011

宮城県 「保安員、女川原発でも動員 原発シンポ「やらせ」」

保安員、女川原発でも動員 原発シンポ「やらせ」

緊急の記者会見で動員問題について説明する海輪社長=30日午後6時30分ごろ、仙台市青葉区の東北電力本店
緊急の記者会見で動員問題について説明する海輪社長=30日午後6時30分ごろ、仙台市青葉区の東北電力本店

河北新報111001】原発に関するシンポジウムなどで国が電力会社に「やらせ」を要請したとされる問題で、経済産業省が設置した第三者委員会(委員長・大泉隆史弁護士)は30日、東北電力女川原発(宮城県女川町、石巻市)でも原子力安全・保安院の職員が動員などを働き掛けていたとする最終報告書を枝野幸男経産相に提出した。

 最終報告によると、保安院などが2006年、女川原発の耐震安全性を住民に説明するため開いたシンポで、保安院の元課長が東北電の担当者に「東北電力の関係者もどんどん参加して、意見を言いなさい」と動員や賛成意見の表明を求めた。
 北海道電力泊原発でも資源エネルギー庁の働きかけがあったと認定。08年の泊原発プルサーマル計画に関するエネ庁主催のシンポジウムでは、北海道電の担当者にエネ庁職員が「推進の側で発言いただくことも準備をお願いしたい」と依頼した。
 最終報告は中間報告と同様に九州電力玄海原発、四国電力伊方原発、中部電力浜岡原発をめぐるシンポも国の関与を認め、不適切な働き掛けが常態化していたことを浮き彫りにした。
 最終報告は「電力会社とエネ庁、保安院との間に相互にもたれ合う関係があったことが一因」と分析。地元首長の同意を得るためのプロセスとしてシンポなどが開かれ、住民理解を深めるという本来の目的より、空席を減らすなどの「外観」が重視されたと指摘した。
 国側に、公正性や透明性が不可欠だという認識が希薄で、シンポ運営に関する規範が不明確なまま放置されていたとして、組織改革に取り組むよう求めた。

◎シンポジウム3回、25人参加 東北電力謝罪

 経済産業省の第三者調査委員会による最終報告書で、女川原発でも原子力安全・保安院から東北電力への動員要請があったと指摘されたことを受け、東北電の海輪誠社長は30日、仙台市青葉区の同社で緊急の記者会見を開き、「透明性、中立性をゆがめかねない行為だった」と謝罪した。
 海輪社長は「当時は(参加要請が)常態化していたと推認される。住民に疑念を抱かせた責任を感じている」と述べた。その上で幹部社員教育の徹底や社外の有識者による専門会議設置などで再発防止を図る方針を示した。
 最終報告書が問題視したのは2006年10月に経産省原子力安全・保安院が石巻、女川町で開いた計3回のシンポジウム。同社の調査では関連会社などを含め少なくとも延べ25人が実際に参加していた。
 東北電側が原発に理解のある地域住民に意見表明するよう依頼した事実も調査で判明。ただ要請の規模や実際の参加人数は、ともに「記録が残っておらず分からない」(総務部)という。
 海輪社長は、社員、地域住民に対する出席の強制は「ともになかった」と語った。
 保安院側からの要請に応じたことについて、海輪社長は「もともとシンポを円滑に進めたいという(東北電の)担当者の意思もあり、行き過ぎた行為をしてしまった」と説明した。

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29

9月

2011

宮城県 「浸水地域での市街地形成 宮城知事「安全確認」なら許容」

浸水地域での市街地形成 宮城知事「安全確認」なら許容

河北新報110930】村井嘉浩宮城県知事は29日、県議会9月定例会本会議で、被災地の復興まちづくりに関し「津波で浸水した地域であっても、安全性が確認された場合、市街地の形成は許容できる」との考えを示した。
 県震災復興計画案は浸水地域から高台、内陸への移転を基本方針としているが、移転に難色を示す被災者は少なくなく、国の制度改正や財源措置の遅れで、自治体が二の足を踏むケースもある。
 村井知事は高台移転を「譲れない一線」と主張してきたが、防潮堤の強化や道路のかさ上げなどの対策を講じ、津波シミュレーションで安全と判断されれば、居住区として認める方針に転じた。
 小泉保環境生活部長は、女川原発(女川町、石巻市)について「福島第1原発事故を踏まえ、発電所内で発生した事象は幅広く、詳細に把握する必要性が認められた」として、東北電力に建屋内の全事象の報告を求める考えを明らかにした。
 河端章好経済商工観光部長は震災に伴う風評被害対策で、11月に首都圏へ大キャラバン隊を派遣し、食と観光の安全を訴えるほか、プロスポーツチームと連携したPR活動を行う考えを示した。
 また、みやぎ夢大使の俳優中村雅俊さん(女川町出身)の協力を得て、観光地の復興を訴えるメッセージはがきを全国に送る「おはがきプロジェクト」にも乗りだす。
 岡部敦保健福祉部長は被災者が仮設住宅として借り上げた民間賃貸住宅の家賃振り込みを加速させるため、職員をさらに増強し「臨時職員の採用も検討する」と述べた。
 質問したのは小野寺初正(公明党県議団)、本木忠一、佐々木征治(自民党・県民会議)、遊佐美由紀(改革みやぎ)の4氏。

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28

9月

2011

宮城県石巻市北上町 「被災地復興で恒久木造住宅、工学院大学らがモデル棟」

被災地復興で恒久木造住宅、工学院大学らがモデル棟

朝日新聞110928】東日本大震災により甚大な被害を受けた宮城県石巻市北上町で、工学院大学の教授らによる恒久的に住み続けられる木造住宅モデルの建設プロジェクトが進んでいる。個人住宅10棟(平屋建て3棟と2階建て7棟)と共同住宅1棟を建てる計画。6月に工事に着手し、9月15日に上棟式を迎えた。個人住宅は10月中にも完成し、震災で家をなくした地元の漁民らが入居する予定。プロジェクトを主導する工学院大学の後藤治教授は、「漁業の人に早く生活再建してもらうことで、地域再生の早道にもなる」と話す。

 建設地は、沿岸部ながら津波被害を逃れた標高40メートル程度の高台。住宅は国産材を利用し、施工は地元の工務店が行う。約5000平方メートルの用地は、地元企業から低額で借りたもの。初期の土地造成費を含む建設費用約1億7000万円は、住生活グループを中心にした民間の寄付でまかなっている。今後、外構や家具などの費用も、寄付を募りたい考えだ。

 建物は、工学院大学が管理運営を行うNPOに無償貸与。NPOが居住者に転貸する。入居者の負担は、月額2万円(平屋)~2万7000円(2階建て)以内になる予定。建物の維持管理などを行う管理費として徴収する。

 今回のプロジェクトは、歴史的な建物の研究などで震災以前から現地を訪れていた後藤教授が発案。「用地が少ない中、仮設住宅に時間を費やすより、恒久住宅を作るべきではないか」(後藤教授)という考えからスタートした。

 実際、恒久住宅へのニーズは地元でも強い模様。プロジェクトの現場管理を行う、地元建築事務所の熊谷喜彦さんは「仮設住宅は防音の面など住みにくさがある。早く快適な住宅にという声は多い」と話している。

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26

9月

2011

宮城県 「焦点/借り上げ仮設家賃/宮城県の「滞納」深刻化」

焦点/借り上げ仮設家賃/宮城県の「滞納」深刻化

河北新報110926】東日本大震災の被災者向けに民間賃貸住宅を仮設住宅として借り上げ、公費で家賃を負担する制度で、借り主となる宮城県の家賃「滞納」が深刻化している。支払い済みの件数は全体の1割未満。入居した被災者らは長期の立て替えを余儀なくされており、「このままでは貯金が底を突く」と悲鳴を上げている。

◎被災者、立て替え限界/家主、収入途絶え悲鳴

 「立て替えが半年も続き、家計は限界。いつまで自己負担が続くのか」
 仙台市内の自宅が津波で流され、宮城野区鶴ケ谷の借家に移り住んだ女性(53)は、いら立ちと不安を募らせる。家族5人で4月に入居して以来、月4万5000円の家賃を払い続ける。負担額は敷金と礼金を含め約50万円に上るという。
 豆腐店を営んでいたが再建の見通しは立たず、失業状態にある。「これ以上の出費は厳しい。蓄えもなくなりそう」と頭を抱える。
 宮城県の借り上げ仮設の入居決定件数は、16日現在で2万3360件。このうち家賃の支払いを終えたのは2172件と9.3%にとどまる。
 貸主が県に直接家賃を請求する場合、県の「未納」は即減収につながる。仙台市内の不動産業者は「家主側から『行政に協力して貸したのに、いつになったら入金するのか』との苦情が殺到している」と明かす。
 「大家から退去を迫られた」。借り上げ仮設に住む被災者から14日、仙台市に深刻な相談が寄せられた。家賃が滞り、貸主が資金難に陥ったためとみられる。同市震災復興室は「本当に退去させられるようなことがあってはならない」と重大視し、県に対応を催促したという。
 大幅な支払いの遅れについて、県は手続きの煩雑さや件数の急増を原因に挙げるが、2万1860件(20日現在)を扱った福島県では「ほぼ100%終了した」(建築住宅課)。岩手県でも3898件(15日現在)の大半で支払いが終わり、宮城の遅れが際立つ。
 ある不動産業者は「宮城は他県に比べ書類審査が厳しすぎるなど、しゃくし定規な対応が遅れに拍車を掛けている」との見方を示す。
 宮城県は支払いの迅速化を図るため、12日に手続きの一部民間委託に着手した。「スピードアップを図り、10月中旬にかけて集中的に振り込みを進めたい」(震災援護室)としている。

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23

9月

2011

宮城県登米市 「栗原のNPOにモンベル協力、登米に復興住宅 年度内に開所」

栗原のNPOにモンベル協力、登米に復興住宅 年度内開所

復興共同住宅のイメージ(模型)
復興共同住宅のイメージ(模型)

河北新報110923】宮城県栗原市のNPO法人「日本の森バイオマスネットワーク」(佐々木豊志理事長)が、アウトドア用品大手モンベル(大阪市)の協力を得て、被災者向けの復興共同住宅を登米市に開設する。10月に造成工事を始め、年度内の開所を予定している。プレハブ仮設住宅の不便さを解消すると同時に、県産材の利用や自然エネルギーの導入で自然との共生も目指すという。

 モンベルは8月、登米総合支所西側の宅地約1700平方メートルを購入した。同社は地元業者に発注し、この土地に8世帯が入居できる平屋の共同住宅(建築面積約360平方メートル)を県産材で建設。完成後はバイオマスネットが運営する。
 事業は「手のひらに太陽の家」プロジェクトと名付けられ、人と自然、地域の共生を基本理念に据える。断熱性の低さや結露など不便も多く、原則2年で取り壊されるプレハブ仮設住宅の課題を解消。木質ペレットによる給湯・暖房ボイラーや太陽光発電も導入するという。
 計画では、入居は周囲の支援が必要な震災遺児や母子家庭、原発事故で避難せざるを得ない親子に限定。入居者同士が自然にコミュニケーションを図れるように、台所と食堂、リビングを共用とする。
 入居者の負担は原則、光熱費と食費だけとし、自立を支える。年間の運営費約1000万円を行政の助成や企業・個人の寄付で賄いたいという。
 入居者の自立、退去が進めば、自然体験学習の拠点として活用する。
 モンベルは「恒久的な被災地支援になると考え趣旨に賛同した。自然や環境との共生など共鳴する部分が多かった」と説明。バイオマスネットは「被災者の住環境の改善や心の支援に加え、経済復興、地域活性化にも寄与したい」と言う。
 バイオマスネットは入居希望者や資金協力者を募集している。連絡先は0228(22)6721。

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19

9月

2011

宮城県気仙沼市 「浸水程度で居住制限 気仙沼市復興計画案」

浸水程度で居住制限 気仙沼市復興計画案

河北新報110920】宮城県気仙沼市は19日、震災復興会議の第5回会合で復興計画案を示した。復興目標の第一に「津波死ゼロのまちづくり」を掲げ、悲劇を繰り返さないための防災・減災の基本的考え方を提示。沿岸域を計画高5.0~11.8メートルの防潮堤で囲い、数十年から百数十年に1度の津波に対応するとともに、職住分離を基本とする土地利用計画案を明らかにした。
 土地区画整理事業などを導入し面的整備を行う予定の鹿折・南町・魚町、南気仙沼の両地区などのゾーニング案=図=によると、浸水の深さによって居住を制限する低地ゾーンと、盛り土して住居地にするゾーンなどに分ける。
 鹿折地区は水産加工場などを湾に面した南側の低地ゾーンに集積。北側の盛り土ゾーンとの間に約140メートル幅の緩衝緑地帯を設け、防潮堤との二重防護式にした。大規模な津波の際は西の山側に避難する。
 旧来の商店街だった魚町・南町の低地ゾーンは、住居・商業の混在エリアとしたが、地元では景観上の問題などから内湾沿いに防潮堤を巡らすことへの異論もある。沿岸部を親水広場として居住を制限し、背後地をかさ上げし職住を分ける案も併記した。地元住民と協議し調整する。
 魚市場などを含む南気仙沼地区は、臨港地域の低地を産業エリアとし、加工場などを集積する。低層住宅の立地は制限する。南気仙沼駅を含む幸町周辺は盛り土し、住宅、小売店などの居住ゾーンとする。大川左岸の一部はスポーツ施設用地などのエリアとして緩衝帯・緑地とする。
 委員からは「水に漬かる低地で居住を認める場合は、耐浪性の高い建物にするなどの条件を付けるべきだ」「ゾーニングの決定は避難計画も考え詳細な検討が必要」「各地域が独自に考えているプランを計画決定までに検討してほしい」などの意見が出された。
 復興会議は30日の次回会合で計画を決定する見通しだが、詳細なゾーニングは、市が被災市街地復興推進地域の指定をする11月に最終決定されるという。

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16

9月

2011

宮城県 「自治体復興でコンサル-野村総研、被災地に提案」

自治体復興でコンサル-野村総研、被災地に提案

朝日新聞110916】野村総合研究所(NRI)などのシンクタンクが東日本大震災で被災した自治体へのコンサルティング活動を積極化する。自治体にとって復興計画の策定は震災から本格的に立ち直る第一歩。だが、計画をすべて自力で策定し、実行する余裕がない自治体もある。そこに商機を見いだし、シンクタンクとしてのノウハウ蓄積と、宮城県をはじめとして復興を提言してきたことを生かそうとしている。(戸村智幸)

 

 NRIは4月中旬に震災復興計画の策定を無償支援することで宮城県と合意した。3月15日に立ち上げた「震災復興支援プロジェクト」のメンバーが中心になり、宮城県に数人のコンサルタントを常駐させ、「時代の変化に対応した未来志向の復興計画」(山田澤明監査役)を目指した。

 

 宮城県は農林水産業や製造業など甚大な被害を受けた産業再生に加え、少子高齢化など以前からの課題への対策を打ち出すなど、先進的な地域への再構築に向けた復興計画案を8月26日に公表。目標期間を10年間に設定し、復旧期の3年間、再生期の4年間、発展期の3年間に区切った。震災から復旧するだけでなく、新しい宮城県に生まれ変わる決意を込めている。

 

 NRIは災害対策や老朽化した社会インフラのITを活用した再設計などについて以前から提言しており、そのノウハウを提供。また、震災復興支援プロジェクトチームが4月上旬、産業再生や雇用の確保・創出、防災対策など複数のテーマに分けて提言した内容を生かした。NRIの嶋本正社長は「事務局のまとめ役でいわゆる裏方」とし、復興計画案の公表で一段落ついたと達成感をにじませる。

 

 宮城県の次にNRIが狙いを定めるのは被災した市町村。同社のコンサルタントは自治体を回って聞き取りやアドバイスをしている。嶋本社長は「自治体に予算が付いて復興計画を実行に移そうとするとき、我々がコンサルティングという形で支援できる」とし、有償で復興計画を策定する商機ととらえる。

 

 東日本大震災から半年が過ぎ、自治体は長期的な視野で復興に乗り出そうとしている。市町村の職員や地元企業などその地域に根付いた人材が復興計画の中心にいることはもちろんだが、外部の視点を採り入れることで、その地域特有の課題の解決策が見えることもある。シンクタンクが持つ構想力や知見が自治体の復興計画の実効性を高めると期待される。

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15

9月

2011

宮城県仙台市 「県道塩釜亘理線の東側など災害危険区域に 仙台市方針」

県道塩釜亘理線の東側など災害危険区域に 仙台市方針

河北新報110916】仙台市は15日、震災で津波被害を受けた東部沿岸地域について、宮城野、若林両区の海岸沿いを南北に走る県道塩釜亘理線の東側を住宅の新築や増改築ができない「災害危険区域」に指定し、集団移転を進める方針を固めた。16日に開催される市の震災復興検討会議で協議する。
 指定区域は、塩釜亘理線の東側全域と、西側のうち今回と同規模の津波が襲来した場合に深さ2メートル以上の浸水が予想される若林区井土、種次の一部の計約1500ヘクタールを想定する。宮城野区の白鳥団地も深さ2~4メートルの浸水が見込まれる地区があり、新築や増改築の際には2階建て以上とするなどの緩やかな建築制限を設ける見通し。
 移転対象は、最大約2400世帯。移転先は、これまで示してきた若林区の荒井(地下鉄東西線駅周辺)と下飯田、宮城野区田子の3地区に加え、地元から要望がある宮城野区岡田地区の塩釜亘理線西側や、若林区荒井の仙台東部道路東側なども候補にする。
 市は沿岸地域の減災に向けて、東北大や米IBMと「津波浸水シミュレーション」を共同開発している。その過程で国と県がそれぞれ整備する堤防に加え、塩釜亘理線を盛り土で6メートルかさ上げし、「二線堤」とすることで内陸部の浸水被害を軽減できることが分かり、検討を進めていた。
 国の防災集団移転促進事業を活用する方針で、現行制度では10戸以上の移転が条件。市が用意した土地を被災者が買ったり、賃借したりして自費で住宅を建てる。建設費借入金の利子補給や、移転費用の補助がある一方、被災地の地価は大幅に下落しており、市は要件緩和や補助増額などの救済策を国に求めている。
 市は24日から宮城野、若林両区沿岸部の28町内会を対象に、まちづくりの検討状況を報告する地元説明会を開き、今後の対応を話し合う。

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12

9月

2011

宮城県 「女川原発プルサーマル意見募集 宮城県が「動員」調査」

女川原発プルサーマル意見募集 宮城県が「動員」調査

河北新報110913】東北電力女川原発3号機(宮城県女川町、石巻市)のプルサーマル計画に関して、宮城県が2009年12月~10年2月に行った意見募集で、市民団体が「『動員』があった」と指摘していることを受け、県は12日、当時の担当職員らを対象に事実関係の調査を始めたことを明らかにした。結果は公表する方針。
 県は意見募集を所管した原子力安全対策室の当時の職員から事情を聴くほか、東北電力にも調査への協力を求める方針。
 村井嘉浩知事は12日の定例記者会見で、同計画を受け入れた経緯について「意見募集の結果は参考にはしたが、最終的には地元首長と相談して判断した」と述べ、賛成の多さは必ずしも判断に影響しなかったとの認識を示した。
 意見募集には330通の応募があった。締め切り前日までは計75通で、締め切り日だけで255通が届いた。大半が推進意見だったという。「原子力発電を考える石巻市民の会」は今月5日、「意図的に賛成を表明させた疑いがある」として県に実態調査を求めていた。
 同会が県に情報公開請求して入手した資料によると、県に寄せられた意見には「動員」をうかがわせる記述が1件あったが、県が公表した意見の一覧ではこの記述が掲載されていなかった。

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11

9月

2011

被災3県、復興計画急ぐ 震災から半年

河北新報110911】東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城、岩手、福島3県は、復興計画を策定し、生活基盤の再構築、産業の再興などを目指す。県議会9月定例会に計画案を出す宮城、既に計画を策定した岩手両県は津波の再来に備えた減災対策を盛り込んだほか、漁業の拠点を整備する。福島第1原発事故の収束のめどが立たない福島県は年内の策定を見込む。復興ビジョンに「脱原発」を掲げ、自然エネルギーによる産業振興を図る。

◎宮城 漁業拠点集約化へ/宅地移転、堤防強化 9月定例会提出

 宮城県は15日開会の県議会9月定例会に県震災復興計画案を提出する。「壊滅的被害からの復興モデル構築」を基本理念に掲げ、エコタウン形成や漁業拠点の集約再編を明記。津波避難タワーの建設など342の復旧・復興事業を盛り込んだ。
 復興期間は2020年度までの10年間。「復旧期」(3年)「再生期」(4年)「発展期」(3年)に区分し、段階的に復興事業に取り組む。
 まちづくりは、住宅や公共施設の「高台移転」と「職住分離」、沿岸の道路や鉄道を盛り土構造に変え、堤防機能を持たせる「多重防御」の3本柱で津波再来に備える。
 気仙沼市など三陸地域は高台移転と職住分離を基本に据え、港に津波避難ビルを整備する。名取市など仙台湾南部地域は多重防御を図り、住宅地は内陸側へ移転する。石巻・松島地域は高台移転と多重防御を併用する。
 壊滅的被害を受けた水産業復興は142漁港を3分の1程度に集約し、背後地に水産関連産業を集積させて拠点化する。沿岸漁業の漁業権を法人にも与える「水産業復興特区」構想の検討も進め、13年度以降の導入を目指す。
 被災した農地は「水稲団地」「野菜団地」などに集約し、生産の大規模化を図る。地盤沈下などで復旧困難な農地は緩衝地帯「千年希望の杜国営公園」として整備する。
 エコタウン形成では、復興住宅の全戸に太陽光発電設備を設置する。燃料電池や蓄電池を導入した「省エネ住宅」の普及も促し、再生可能エネルギーの比重を高める。
 福島第1原発事故の長期化を予想し、農水産物の放射能検査体制を強化する。東北電力女川原発(女川町、石巻市)周辺の監視態勢や県の原子力災害対応も再構築する。
 大震災の教訓を後世に語り継ぐため、津波災害の記録や研究、学習を行う「震災・津波博物館」を核とした「東日本大震災メモリアルパーク」の整備を国に提言する。
 復興計画を確実に実行するため、財源確保では「災害対策税」創設を求めた。法人税の10年間免除、集団移転の補助率引き上げなど8分野で規制緩和を図る「東日本復興特区」創設も提言した。

◎岩手 生活基盤を再構築/策定済み 三陸鉄道復旧も推進

 岩手県の復興基本計画は、計画案が6月7日に公表され、8月11日の県議会8月臨時会で原案通り可決された。
 2011~18年度の8年間が対象。復興に向けた原則やグランドデザインを示し、個々の事業や工程表は復興実施計画を策定し具体化した。
 基本計画は「安全の確保」「暮らしの再建」「なりわいの再生」を3原則とし、防災のまちづくりや生活・雇用、経済産業など10分野で計273の取り組むべき項目を掲げた。
 まちづくりでは、海岸保全施設とソフト対策を組み合わせた「減災」の考え方に基づき、復興モデルを提示。津波対策の方向性として「おおむね百数十年程度で起こりえる津波の高さを海岸保全施設の整備目標とする」と明記した。
 8年間の計画期間は3期に分け、第1期「基盤復興期間」(3年)、2期「本格復興期間」(3年)、3期「さらなる展開への連結期間」(2年)とし、それぞれの実施計画を策定する。
 このうち第1期の実施計画は8月2日に公表された。それによると、11~13年度で早期に着手する地域づくりや雇用、産業の再生などの事業354項目を列挙。被災した県立学校や特別支援学校など計73校の正常化や三陸鉄道の不通区間の復旧、県が代行するがれき約380万トンの撤去は13年度までに実施する。
 被災者向け公営住宅は16年度、三陸縦貫自動車道の整備は18年度までを見込む。漁業では13年度までに共同利用の漁船6152隻と定置網108基を導入し、水産加工処理施設148カ所などを整備する。

◎福島 年内策定 脱原発探る

 福島県は8月11日の県復旧・復興本部会議で、基本理念に「原子力に依存しない、安全・安心で持続的に発展可能な社会づくり」を据えた県復興ビジョンを決定した。
 「脱原発」の考えの下、再生可能エネルギー産業や放射線医療の研究機関などの拠点を設け、経済的活力と環境とが共生する社会づくりを進めるとしている。基本理念にはほかに「ふくしまを愛し、心を寄せるすべての人々の力を結集した復興」「誇りあるふるさと再生の実現」を掲げた。
 佐藤雄平知事はビジョン決定後、「自然エネルギーを産業に結び付ける計画が今日からスタートする」として実現に意欲を示した。
 復興計画では「原発に代わる雇用の場」(ビジョン)となる新たな産業について、どこまで具体化できるかが焦点になる。福島第1原発事故が収束しない中、インフラ整備などにどう取り組んでいくのかも注目される。
 復興計画の計画期間は、2011~20年度の10年間。近く発足する検討委員会で策定していく。委員は学識経験者や各産業の代表ら20人前後。計画には主要な事業の工程表を盛り込み、地域別でもまとめる。
 委員会は10月末に計画素案をまとめ、最終案を12月に県議会に報告。年内にも最終決定される見込み。決定後も、原発事故の状況に変化があれば計画は見直される。

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11

9月

2011

宮城県石巻市 「石巻の仮設 60歳男性自殺」

石巻の仮設 60歳男性自殺

読売新聞110917】石巻市の仮設住宅「開成団地」で9月11日、入居者の男性(60)が死後1週間程経過したとみられる遺体で発見されていたことがわかった。遺体の状況から自殺とみられる。

 石巻署などによると、11日午後、仮設住宅を訪れた男性の親族が、室内で倒れている男性を発見。腹部に自分で刃物を刺したような傷があったことなどから、自殺の可能性が高いという。

 市によると、この仮設住宅団地は、6月に入居が始まり、男性は8月頃に1人で入居した。

 隣の部屋に住む女性会社員(21)は、「隣に入居者がいたことも知らなかった。すごい臭いがしていたが、まさか人が死んでいるとは思わなかった」と驚いていた。

 別の棟に住む無職男性(62)によると、死亡した男性は震災以前、漁業関係の仕事をしていたが、最近はがれきの撤去作業に従事していたという。無職男性は「顔を見ると、明るく声をかけてくれていたので、自殺するようには見えなかった」と話していた。

 同団地には現在、約1100世帯が入居しているが、住民の自治組織などはないという。同市仮設住宅運営管理室の金子敬室長は「自治組織を作るよう促しており、入居者のケアについてさまざまな対策を取っている。同じ事が起きないよう予防策を考えたい」と話した。

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07

9月

2011

宮城県 「借り上げ仮設住宅2万3359件 プレハブ着工戸数上回る」

借り上げ仮設住宅2万3359件 プレハブ着工戸数上回る

河北新報110908】東日本大震災の被災者向けに民間賃貸住宅を借り上げて仮設住宅とみなす制度で、宮城県内の入居決定件数が2万3359件(2日現在)に上り、プレハブ仮設の着工戸数(2万2042戸)を上回ったことが7日、分かった。
 県震災援護室は「立地条件を優先し、都市部のアパートを選ぶ例が増えている」とみている。プレハブ仮設は、用地確保の問題から市街地から遠い地域に建設されることもあり、敬遠する被災者も少なくないという。
 借り上げ仮設の入居は仙台市(7886件)と石巻市(6170件)が突出して多く、両市で全体の6割を占める。次いで気仙沼市1457件、東松島市1250件、多賀城市1195件、名取市1039件など、市部に集中している。
 県が4月上旬、一定の条件を満たせば、既存の民間賃貸住宅を仮設住宅扱いとする方針を示したのを機に、入居希望者が急増。入居決定は6月中旬で9359件だったが、7月中旬には2万257件に倍増した。
 借り上げ仮設の需要拡大に伴い、プレハブ仮設住宅に余剰が出る事態が生じている。
 既に完成したプレハブ仮設住宅は2万764戸。実際の入居は1万7137戸にとどまり、2割近い3627戸が空き室になっている。
 借り上げ仮設をめぐっては、件数の急増に県の事務が追い付かず、契約手続きが停滞。入居決定件数のうち、契約に至ったのは7333件(31.4%)、家賃の支払いを終えたのは1605件(6.9%)にとどまっている。

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05

9月

2011

宮城県女川町 「女川プルサーマル意見募集 市民団体が県に調査を要請」

女川プルサーマル意見募集 市民団体が県に調査を要請

河北新報110906】東北電力女川原発3号機(宮城県女川町、石巻市)のプルサーマル計画に関して宮城県などが2009年12月~10年2月に行った意見募集で、意図的に賛成を表明させた疑いがあるとして、「原子力発電を考える石巻市民の会」(石巻市)などが5日、県に実態調査を要請した。同会が情報公開請求で入手した具体的な意見に「動員」を示す記述があった。

 意見募集は県が女川町、石巻市とともに実施した。動員の疑いがあるのは締め切り日の10年2月5日に県ホームページを通じて寄せられた1件。市民の会が石巻市から入手した資料によると、「『反対意見が多くて大変だから…』と動員をかけられ、『えっ今日が締め切りじゃないですか!』と慌てながらも仕事の合間を縫って『消極的賛成』と書き込むぐらい賛成です」とあった。
 氏名と居住市町村名は開示されなかった。他に全ての意見337件のうち8割近くが締め切り日に集中し、最終日の反対意見は1件だけだったことも判明したという。
 県庁で記者会見した市民の会は「最終日の反対意見の少なさも含め、動員があったとしか考えられない。徹底的に調査すべきだ」と強調した。
 県原子力安全対策室は「(市民団体から)指摘のあった意見が県に寄せられたのは事実だが、調査するかどうかは今後検討する」としている。

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02

9月

2011

宮城県石巻市 「石巻の避難所生活1900人、仮設空き室1200戸」

石巻の避難所生活1900人、仮設空き室1200戸

石巻市旧河北町内の仮設住宅。夜になっても明かりがともらず、空き室と思われる部屋が並ぶ=1日
石巻市旧河北町内の仮設住宅。夜になっても明かりがともらず、空き室と思われる部屋が並ぶ=1日

河北新報110902】東日本大震災の被災者約1900人が市立小中学校などの避難所60カ所に身を寄せる石巻市で、河北、河南、桃生地区など市内陸部の仮設住宅約1200戸が空き室となっている。避難者の間で通勤や通学に便利な市中心部の仮設住宅の人気が高く、震災前の生活圏から離れた土地への転居には強い抵抗感があるためとみられる。
 市によると、完成した仮設住宅5314戸(8月12日現在)のうち入居したのは4075戸。市が必要戸数とした7300戸が今月中旬にも完成予定だが「市中心部の仮設住宅の当選を待っている人が多く、今のペースでは全戸完成後も空き室が出る可能性が高い」(市建築課)という。
 合併前の旧市から数十キロ離れた河北、河南、桃生地区では、計720戸が空き室となっている。門脇中で妻と同校に通う孫娘の3人で身を寄せる無職男性(73)は河北地区の仮設住宅への入居を勧められたが辞退した。
 男性は「孫が部活や勉強、友人関係を大切にしたい多感な時期を迎えている。孫の生活を変えてまで入りたいとは思わない」と話す。
 一方、市中心部から内陸へ車で10分ほどの同市南境の仮設住宅は、旧市内にもかかわらず、交通事情が悪いことなどから避難者が入居を断るケースが少なくない。
 門脇中で生活する無職女性(54)は同地区の仮設住宅に2度当選したが、入居を見合わせた。
 女性は「市中心部の会社に勤める息子は車を持たず、勤務時間はまちまち。バスなど限られた交通機関の時間に合わせて仕事を切り上げるわけにもいかない」と話す。
 市は今後、合併前の旧町地区に巡回バスを配備するなどして入居を促す考えだ。市は「震災前の生活圏から離れた地域に抵抗感があるのは分かるが、仮設住宅を立地できる場所は限られている。現状を何とか理解してほしい」と話している。

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01

9月

2011

宮城県石巻市 「疲弊商店街、津波追い討ち 石巻中心部、再建に踏み出せず」

疲弊商店街、津波追い討ち 石巻中心部、再建踏み出せず

震災後、さらにシャッター通り化が進む中心商店街=石巻市立町
震災後、さらにシャッター通り化が進む中心商店街=石巻市立町

河北新報110901】東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城県石巻市の中心商店街に、さらなる空洞化が懸念されている。復興需要で活況を呈す郊外の大型店に対し、中心商店街では既に廃業した店が出ている。震災から6カ月近くたった今も市の具体的な事業計画が見えず、再建に踏み出せない店主は多い。

 「店を閉めるという決断しかなかった」。石巻市中央2丁目で履物店を営んでいた藤沼信夫さん(81)は、市内の仮設住宅で寂しそうな表情を見せた。
 先代から90年以上続いた店は、1階が天井近くまで浸水した。シャッターはひしゃげて壁紙ははがれ落ち、修理用具や商品はすべて水に漬かって使い物にならなくなった。
 藤沼さんに、後継者はいない。「体が動くうちは続けたかった。ほかの商売仲間もつらい立場だと思う。商店街の行く末が心配だ」と話す。
 店舗・駐車場賃貸業「本家秋田屋」が中心商店街で貸し出す約20の物件のうち、震災後、半数以上が退去した。浅野仁一郎社長(60)は「行政の青写真も明確に出ていない。高齢の店主らは、再建を諦めざるを得なかったのだろう」と話す。
 中心商店街は2000年ごろから閉店が目立ち始めた。09年6月に県が実施した調査では、立町や駅前大通りなど8商店会に所属する266店のうち82店が空き店舗だった。
 市商工会議所とタウンマネジメント機関「街づくりまんぼう」などは07年、中心地のにぎわいを取り戻そうと協議会を発足。10年2月には「彩り豊かな食と萬画のまち」を掲げた中心市街地活性化基本計画が、県内で初めて内閣府に認定された。新たな街づくりの胎動が始まった直後に津波が襲い、疲弊する商店街に追い打ちを掛けた。
 一方、中心市街地から約3キロ内陸にある同市蛇田地区は津波の被害が小規模にとどまり、今は震災前以上のにぎわいを見せる。来春には、飲食や美容院などのテナント10店を連ねた複合施設がオープンする予定だ。
 市内の不動産業者は「復興需要で、大型店などは活況だ。車で行動する若い家族層は、確実に蛇田側に買い物行動の軸足を置いている」とみる。
 街づくりまんぼうの西条允敏社長は「中心地は、旧北上川沿いのロケーションなど替え難い魅力がある。市の復興計画とうまく連動して商店の新規参入を促すなどし、何とかにぎわいを取り戻したい」と話している。

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01

9月

2011

宮城県亘理町 「名簿作りで知り合いづくり、仮設での孤独死防ごう」

名簿作りで知り合いづくり、仮設での孤独死防ごう

住まいるカードの作成に携わる富沢理事長(右)と仮設住宅の担当職員=亘理町の宮前仮設住宅
住まいるカードの作成に携わる富沢理事長(右)と仮設住宅の担当職員=亘理町の宮前仮設住宅

河北新報110901】宮城県亘理町は、町内の仮設住宅団地で、阪神大震災の経験を生かした独自のコミュニティーづくりに乗り出した。阪神大震災で支援にかかわった専門家の協力を仰ぎ、自治組織づくりや居住環境の向上を目指す。手始めとして、個人情報保護の観点から行政が公表できない名簿カードを住民に手作りしてもらっている。
 作成を進めるのが「住まいるカード」と名付けた名簿カード。棟ごとに世帯主と連絡先が分かる様式で、棟ごとに配る。カードの記入は強制ではないが、既に大半が集まり、近く配布予定という。
 町内の仮設住宅は7カ所1126戸で、200戸を超す団地もあるが、地区単位の入居にはなっていない。町総務課の森忠則課長は「居住者名簿は個人情報のため公表できないが、顔見知りになることはコミュニティーづくりに不可欠。カードを住民が自分たちの手で作ることで、その第一歩にしたい」と話す。
 住民からも「同じ棟の人でも両隣しか知らない。名前が分かれば声を掛けやすい」(宮前団地の無職男性・69歳)とカードに期待する声もある。
 最初は棟単位で、次に3~4棟で班を作り、班内カードを共有できるようにした後、団地全体に広げる。これに合わせ、班長や自治会長も決め、自治組織の活動を活発にしてもらいたい考えだ。
 阪神大震災の被災者支援に取り組み、今回のカードの導入を促した神戸市の都市プランナー石東直子さんは「阪神での反省を踏まえ、住民の最小限の関係づくりに役立つものとして提案した」と話す。
 町は、震災後から町内で支援物資の支給などをしてきた仙台市のNPO「生活習慣改善センター」(富沢伊勢雄理事長)を介し、石東さんら5人に仮設生活のアドバイザーを依頼している。
 兵庫県内の仮設住宅では、4年半で約250人が孤独死した。石東さんは「町やボランティア任せでなく、住民が自分たちで生活を快適にしようと思う自治を育むことが大事。名前を呼べる関係は孤独死の防止につながる」と強調する。
 生活習慣改善センターの富沢理事長は「カード作りから始め、亘理方式の仮設のまちづくりを手伝いたい」と意欲的。石東さんらと共に、住民の特技を生かし団地内で大工仕事をする「とんかち隊」や、仮設ブランドの加工品づくりといったプログラムも提案している。

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25

8月

2011

宮城県石巻市 「山仕事の技で復興推進」

山仕事の技で復興推進

【移動式製材機を使い、流木を材木に加工する「水守の郷・七ケ宿」の海藤理事長(右)ら=石巻市北上町相川】
【移動式製材機を使い、流木を材木に加工する「水守の郷・七ケ宿」の海藤理事長(右)ら=石巻市北上町相川】

三陸河北新報110825】七ケ宿町のNPO法人「水守の郷・七ケ宿」が、得意とする山仕事の技術を生かしたボランティア活動で、石巻市北上町十三浜相川地区の復興に一役買っている。17日には海藤節生理事長(53)ら4人が相川沢川沿いの山林近くに移動式の製材機を搬入し、流木や立ち枯れの木を木材として活用するための「試しびき」を行った。

 相川地区では膨大な量の流木がいまだに放置されたままで、津波による塩害で立ち枯れた杉も多い。

 「住民のみなさんから、生活の復旧に使う木材が足りず、買いに行くのも大変だと聞き、流木を製材して使えば片付けも兼ねて一石二鳥と思った」と海藤理事長。塩水に浸かった木は、家屋の建材としては使えないが、小屋の材料や補強材としては十分だという。

 製材機はレールの間に木を固定し、台車がついたチェーンソーを一定の高さで走らせる。4メートル前後の木まで製材が可能。

 数分で流木を「木材」に変える製材機の実力に、相川で漁業を営む小山清さん(62)は「仮設住宅に棚や物置が必要になってきている。雨の日に洗濯物を干せる物干し場も作りたい」と話し、「今後は製材機の使い方を教わり、みんなで集材と使用のルールを決めて、活用していきたい」と期待を込めた。

 「水守の郷・七ケ宿」は震災直後から、NPO法人日本エコツーリズムセンターが中心となり発足した「RQ市民災害支援センター」(登米市東和町)で支援物資の配送などを行っていた。

 より密着した活動の在り方を模索していた時、相川に住む知人から、がれきを片付けるためにチェーンソーを貸して欲しいと依頼された。

 「チェーンソーの扱いは難しい。いっそ山仕事に慣れている七ケ宿の有志で切ってあげようと思い、3月末に3人で相川に来たのが最初」と振り返る。

 以来、ほぼ毎週数人のチームで相川を訪問。いつ倒れるか分からない危険な立ち木や、住宅の玄関をふさぐ流木などを伐採し、処理した木は炊き出し用の薪にした。

 活動は一軒一軒の片付けや、津波が相川沢川を逆流して残した膨大ながれきの撤去へと広がっていった。ボランティアの窓口にもなって、七ケ宿町に隣接する山形県高畠町や東京の有志など、多くのスタッフを相川地区に案内。時には地区に滞在して汗を流し、晩酌の輪に入りながら、コニュニケーションを深めたという。

 「状況に応じて変わっていく被災地の細かなニーズは、続けて支援することで初めて見えてきた」と海藤理事長。「目指すのは一過性でない支援」と力を込めた。

 製材機を設置するとともに、「水守の郷」メンバーの支援で整地した畑「小指の郷」には七ケ宿特産のソバをまいた。「津波で冠水した土地なので、無事に収穫までたどりつけるかどうか分からない。でも、11月にちゃんと実ったら、七ケ宿のそば打ち名人を連れてきます」と笑顔で抱負を語った。

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24

8月

2011

宮城県大衡村 「宮城にメガソーラー構想 トヨタ、大衡の工業団地に」

宮城にメガソーラー構想 トヨタ、大衡の工業団地に

河北新報110825】トヨタ自動車が、宮城県内の工業団地で大規模な次世代送電システム「スマートグリッド」の構想を検討していることが24日、関係者への取材で分かった。大規模太陽光発電所(メガソーラー)から近隣の工場などに電気を供給することで、地域の製造業の競争力向上を図るのが狙い。
 近く県や東北大を交えた検討組織を設け、構想の詳細を詰めるとみられる。
 構想は、セントラル自動車などトヨタの関連会社が立地する大衡村の工業団地での実現を念頭に置いている。関連企業のコスト削減を図るだけでなく、二酸化炭素(CO2)の排出量削減、震災など不測の事態でも稼働できる環境づくりを目指し、トヨタ系以外の工場への供給も検討する。地域の住宅にも電力を供給し、大衡村を中心に工場を核とした環境都市づくりの推進を図る考え。
 関係者によると、7月にトヨタ側から県や東北電力に事業構想の説明があった。ニーズの有無や技術的な課題などについては、今後トヨタ側が調査を進めるとみられる。
 トヨタの豊田章男社長は7月、東北の復興支援策として自然エネルギーの活用策を探る考えを表明しており、宮城県内でのスマートグリッド構想がその具体例となる。

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22

8月

2011

宮城県 「証言/後方支援・東北大病院/無条件に転院受け入れ」

証言/後方支援・東北大病院/無条件に転院受け入れ

里見院長(右)を中心に、被災地支援の活動方針を確認した災害対策本部のミーティング=3月14日、東北大病院
里見院長(右)を中心に、被災地支援の活動方針を確認した災害対策本部のミーティング=3月14日、東北大病院

河北新報110822】「東日本大震災では津波で沿岸部の多数の医療機関が被災し、被害を免れた病院に患者が殺到した。東北大病院は震災後、医師らを沿岸部に派遣するとともに、被災地の病院が収容しきれなかった患者300人以上の入院を受け入れ、パンク寸前だった医療を支えた。災害下、大学病院に求められる役割とは何か―。突き付けられた命題に、後方支援の現場はどんな答えを出したのか。(菊池春子)

<決意>
 「沿岸の病院は壊滅状態」「残された石巻赤十字病院には患者が殺到。修羅場になっている」「水や食料、医療スタッフも足りない」
 震災翌日の3月12日。東北大病院の災害対策本部には災害派遣医療チーム(DMAT)の隊員や現地の医師らを通じ、沿岸部の被災情報が刻々と入り始めていた。
 免震構造の東北大病院の病棟に大きな被害はなく、入院患者や医療スタッフも無事だった。救急搬送される患者も想定よりは少ない。電気や水も非常用に切り替わり、一定程度の診療機能は維持できていた。医師の数は大学院生なども含めると一般の病院と比較して圧倒的に多い。
 自分たちが今、すべきことは何か。「地域医療の最後のとりでとして、被災地の病院を支えなければならない。最前線の病院を絶対に疲弊させてはならない」。里見進院長(63)は態勢づくりを急いだ。県の防災計画などで災害時の「大学病院」の役割が規定されているわけではなく、独自の判断が必要だった。

震災翌日、沿岸部の病院からヘリコプターで搬送される患者=3月12日、東北大病院(東北大病院提供)
震災翌日、沿岸部の病院からヘリコプターで搬送される患者=3月12日、東北大病院(東北大病院提供)

<切迫>
 東北大の他学部の協力も得てマイクロバス2台を確保。15日朝、石巻赤十字病院や気仙沼市立病院など診療を続ける基幹病院に向けて、医師らの派遣を開始した。
 現地の混乱は想定以上だった。ほとんどの医療機関が診療不能となった石巻地域は、特にひどかった。精神疾患の患者が、かかりつけの病院の被災で症状を悪化させ、精神科のない石巻赤十字病院に駆け込む事態も続いていた。派遣された東北大病院の精神科医らは連日、患者を診療した。松本和紀医師(44)は「とにかく急場をしのぐための支援が必要だった」と振り返る。
 被災地の病院ではもう一つ、深刻な事態が進行していた。寒さや避難生活の衛生環境の問題から肺炎が多発。次々に患者が搬送され、402床の石巻赤十字病院は臨時のベッドを使用して450床を超える非常事態となっていた。「このままでは患者を受け入れきれなくなる」。現場は切迫した。

<使命>
 東北大病院のスタッフも危機感は同じだった。里見院長は一つの決断を下す。16日から17日にかけて沿岸部の病院に伝えた。「患者の転院は無条件で受け入れる。遠慮なく依頼してほしい」。現地への応援医師らの派遣から、患者の受け入れに力点を移した。
 17日から毎日夕方、翌日搬送予定の患者数十人のリストがファクスで各病院から届けられた。全ての患者を診療科の枠を超えて一括して受け入れ、下瀬川徹副院長(57)が主治医などを選定。早期に退院できる患者には協力を求め、看護部門の担当者が連日、症状や性別に応じて翌日の病床を調整した。
 「現地に駆け付け、救護活動に当たりたい」と考えるスタッフも少なくなかった。門間典子看護部副部長(55)=現看護部長=は看護師らに呼び掛けた。
 「被災地に行くだけが看護ではない。来た患者さんをしっかりと受け止め、患者さんや最前線の病院に安心感を与えるのが、今の私たちの使命ではないか」

◎透析患者、北海道へ移送/「空輸作戦」調整役に/沿岸部の診療機能守る

 東日本大震災の後、沿岸部の患者を全面的に受け入れ始めた東北大病院には連日、ヘリコプターや救急車で多数の患者が運ばれてきた。病院は懸命な診療、看護に当たる一方、大勢の人工透析患者を北海道に移送する前例のない「空輸作戦」の調整や眼科、皮膚科の専門医による被災地医療を担った。

 「温かいタオルで体を拭くと患者さんが涙を流し、看護師も思わず泣いてしまうこともあった」
 門間典子看護部長(55)が振り返る。体はすっかり冷え、所々に泥がついたままの患者たち。大半は70代から80代の高齢者だった。認知症患者のため、医学部保健学科の学生らもボランティアで見守りに当たった。
 石巻赤十字病院救命救急センターの小林道生医師(34)は「石巻を離れたくないと言う患者も多く、それぞれに理解を求めた。(東北大病院の)支援がなければ病院が満杯になり、他の患者を受け入れられなくなった。医療現場としては本当に支えられた」と語る。
 受け入れがピークに達したのは震災発生8日後の3月19日。人工透析を受けられなくなった気仙沼市立病院の患者78人を北海道の病院に移送するため、22、23日の出発まで一時的に入院させ、同時に移送手段の調整を急いだ。患者の状態を確認して受け入れ先の病院に伝え、航空自衛隊松島基地(東松島市)から送り出した。
 担当した血液浄化療法部副部長の宮崎真理子医師(51)は「裏方を務めることで最前線の病院の機能、ひいては被災地全体の命を守りたいという一心だった」と話す。
 眼科と耳鼻科、皮膚科の医師らは合同チームを結成し、4月1日から週1回、南三陸町と女川町を訪問して診療。「コンタクトレンズが津波で流された」「ストレスでアトピー性皮膚炎が悪化した」と訴える被災者に対応した。
 全国から来る救護チームは内科や外科が中心だった。眼科の中沢徹医師(41)は「マンパワーのある大学病院として、専門医による診療で、行き届きにくいニーズに応えることを目指した」と話す。延べ千人以上の患者が訪れ、診療は5月末まで継続した。
 震災から5カ月余り。被災地の医療機関も少しずつ診療を再開させ、東北大病院も通常体制に戻ったが、沿岸部から搬送された患者のうち重症者約30人の入院は7月以降も続いた。精神科チームは、仮設住宅などの巡回や自治体職員の心のケアを継続する。
 以前から医師不足が深刻だった三陸沿岸部の医療を、どう再構築していくのかという課題も立ちはだかる。里見進院長は「遠隔医療システムの導入や福祉との連携など、被災地の街づくりを見据え、積極的に提言していかなければならない」と強調している。

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22

8月

2011

宮城県石巻市 「石巻市で震災復興計画素案、図案」

石巻市で震災復興計画素案、図案

三陸河北新報110824】石巻市は、震災復興基本計画素案の骨子をまとめ、22日の市議会東日本大震災対策特別委員会に初めて示した。計画期間は2011年度から復旧期、再生期、発展期を経た20年度までの10年間。「最大の被災都市から世界の復興モデル都市石巻を目指して」をスローガンに、四つの施策大綱や大綱別の施策、地区別の整備方針、重点プロジェクトを盛り込んだ。また、都市基盤復興基本計画図案も同特別委に示した。

 施策大綱1の「みんなで築く災害に強い街づくり」では、避難ビルの整備や防災行政無線のデジタル化への移行、避難路の設定を進める。

 集会所コミュニティー施設の復旧・復興にかかる新補助制度の検討や、旧北上川河口に震災復興のシンボルとなる鎮魂の森公園(メモリアルパーク)を整備する。

 再生可能エネルギーの利用効率を高めるスマートシティーの構築など、モデル的事業の実施と活用地域の拡充も進める。

 大綱2の「市民の不安を解消し、これまでの暮らしを取り戻す」では、復興公営住宅の整備や地元雇用保全策の検討、消防施設等の復旧・再編、納骨堂と遺留品保管施設の整備を盛り込んだ。

 大綱3の「自然への畏敬(いけい)の念を持ち、自然とともに生きる」では、石巻港の復旧整備をはじめ、漁港・魚市場の復旧・復興、各種産業の再建・復興施策を挙げた。

 大綱4の「未来のために伝統・文化を守り、人・新たな産業を育てる」では、給食センターの整備や、被災した子どもへの経済的支援や継続的な心のケアを進める。

 「安心安全再生」「住宅再生復興」など七つの重点プロジェクト項目を設け、高盛土道路整備事業、防災集団移転事業、市街地再開発事業、石巻魚市場整備事業などを列挙している。

 復興の実現に向け、国・県への財源確保の要請や、各部門の実施計画を策定し、事業の執行状況を市民に明らかにする。

 議員からは「基本計画素案の骨子とはいえ、あいまいな点が多い」という指摘があった。市は9月末ごろ、主な事業の実施時期を入れた基本計画素案を策定する。

推進地域指定し事業
建築制限を来月、解除/


 石巻市は、都市基盤復興基本計画図案を22日の市議会東日本大震災対策特別委員会に示した。津波対策として旧市街地に海岸防潮堤(石巻港?石巻漁港?長浜海岸?万石浦)や、河川堤防(旧北上川河口部)を整備。さらに幹線道路(都市計画道路)を高盛土道路に整備し、高台への避難路や避難ビルを確保して「多重防御」を進める。

 9月11日で建築制限が解除される地域は、12日から被災市街地復興推進地域に指定される。その後、地域ごとに土地区画整理や市街地再開発などの事業が行われる。

 同案によると、渡波地区は、長浜海岸防潮堤の機能強化と背後地の盛り土や緑化で津波の減勢を図る。半島部は津波や高潮被害を受けていない安全な高台への集落移転を基本とする。

 釜・大街道地区は、土地区画整理事業を主体に住居・工業地域を配置し、道路・公園等を整備する。

 住吉、中央地区は、旧北上川の河川堤防整備に併せて土地区画整理事業、市街地再開発事業を実施し、街中居住などを進める。

 門脇地区は、日和山丘陵地から裾野にかけて土地区画整理事業等で居住地として整備し、高台への避難路を確保する。

 南浜地区は、シンボル公園、中瀬地区は観光スポットとして整備する。

 不動町~湊地区も土地区画整理事業で住居・工業地域を適正に配置する。

 内海橋架け替えや新橋架設、日和大橋・石巻大橋の4車線化、渡波、井内両地区を結ぶ都市計画道路の新設も推進する。

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22

8月

2011

応援宣言「宮城から日本再生」 宮城県震災復興会議

河北新報110823】宮城県震災復興会議が22日に発表した「復興応援宣言」には、「宮城から日本の再生を目指す」との理念の下、新産業育成や復興計画の実行組織に関する具体的な提言が盛り込まれた。県は復興計画に準じる提案として実現を目指す方針。
 宣言は目指すべき社会像として(1)世界を先導するエコロジー拠点(2)住み慣れた地域での雇用創出と、絆が根差したコミュニティー(3)幅広い市民や企業などの参加と連帯―を掲げ、3分野の具体的施策を示した。
 新産業育成の分野では、復興対象の全ての住宅と商業施設に太陽光発電設備や燃料電池の設置を提案。交付金の新設による関連産業の集積と雇用創出を求めた。バイオマスなどによる「自然エネルギー移出基地」も目指すとした。
 農水産業の再生では、大規模化などを通した競争力のある生産体制の構築と高付加価値化の必要性を唱えた。
 復興の推進組織の提案では、民間企業の提案と資金の活用を重視。新産業育成や地域企業の経営支援に当たる組織として、官民出資による「宮城県産業発展機構」の設立を求めた。全国から公募した若者が支援業務を担う「復興プロジェクト推進隊」も提案した。
 仙台港や仙台空港など交通インフラの復興・整備には、経済成長が著しいアジア地域の活力を取り込む視点が不可欠と強調。山形県との連携など広域構想の重要性を指摘した。
 宣言について三菱総研理事長の小宮山宏議長は「会議としては異例だが、メッセージ性の強いものを出したかった」と述べた。村井嘉浩知事は「行政計画の枠を超えた貴重な意見だ。県の復興計画と同じ位置付けで、実現に向けて努力していきたい」と話した。

<復興応援宣言で提唱された主なプロジェクト>
◇最先端エコロジー産業の育成と「グリーン産業育成交付金」の創設
◇農水産業の6次産業化推進と復興住宅需要を取り込む林業の育成
◇幅広い人材の参画を促す「地域再生プラットホーム」「復興プロジェクト推進隊」の創設
◇民間企業などの提案を受け入れ、取り組みを支援する「震災復興推進センター」の設置
◇官民の投資と経営支援機能を備えた「宮城県産業発展機構」の設立

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22

8月

2011

宮城県 「宮城県の借り上げ仮設 契約成立23%止まり」

宮城県の借り上げ仮設 契約成立23%止まり

河北新報110823】東日本大震災の被災者向けに民間賃貸住宅を借り上げて仮設住宅とみなす制度をめぐり、宮城県内の2万1537件(16日現在)の入居決定件数に対し、契約に至ったのは5011件(23%)にとどまることが22日、分かった。このうち家賃の支払い手続きを終えたのは1206件で、3805件が未納状態になっている。

 入居が決まっても県と家主の契約が完了するまで、被災者は原則として入居できない。制度開始前に既に入居した被災者もいるが、県との契約に切り替えが済むまで自己負担を強いられる。両者は合わせて1万7000件近くに上っている。
 県によると、1件の契約を成立させるには家主との契約に加え、生活必需品として支給されるエアコンや照明など物品の納入業者、火災保険を扱う損保業者との契約も必要。借り上げ契約1件当たり、4件程度の契約を伴うケースもあるという。
 県の人員体制の問題もあり、事務処理が追い付かない状態が続いている。県震災援護室は「契約書に不備がある例も多く、手続きは滞りがちになる」と説明する。
 県は今月8日、応援職員を含む約60人態勢に増強し、事務処理に全力を挙げている。今後は事務手続きの民間委託も検討する方針。
 民間借り上げ仮設住宅の入居決定件数は、県が整備するプレハブ仮設住宅の戸数(約2万2000戸)とほぼ同数となっている。

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21

8月

2011

宮城県丸森町 「通学路を住民が除染 丸森・筆甫 放射線量、数値半減」

通学路を住民が除染 丸森・筆甫 放射線量、数値半減

通学路にたまった汚泥などを取り除く住民
通学路にたまった汚泥などを取り除く住民

河北新報110822】宮城県丸森町筆甫の住民自治組織「筆甫地区振興連絡協議会」は21日、比較的高い空間放射線量を示している筆甫小の通学路で除染作業を行った。
 協議会の呼び掛けで、住民約20人が作業に参加した。児童の通学路になっている県道約700メートルで、側溝や歩道の隅にたまった汚泥や土砂、雑草をスコップで除去。消防用のホースを使って放水し、デッキブラシで路面を磨いた。
 地区内137地点の空間放射線量を調べたマップを作るなど、協議会は独自に放射線対策に取り組んでいる。マップ作製の際に測定したところ、毎時1マイクロシーベルト前後を示した場所があったため、通学路の除染を決めた。
 作業は放射線量を測定しながら行われ、除染後には数値が半分程度まで下がった。取り除いた汚泥は袋詰めにして、協議会が管理する地区内の広場に保管する。
 協議会の吉沢武志事務局長は「線量計を汚泥に近づけると、8マイクロシーベルトの高い数値を観測したケースもあった。子どもは地面に座るなど、通学路をスムーズに歩くとは限らないので対策が必要」と話している。

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20

8月

2011

宮城県仙台市 「浸水深い地域は集団移転 東部地域で説明会」

浸水深い地域は集団移転 東部地域で説明会

仙台市が東部沿岸地域の復興策の検討状況を報告したまちづくり説明会=20日午前10時10分ごろ、若林区の六郷中体育館
仙台市が東部沿岸地域の復興策の検討状況を報告したまちづくり説明会=20日午前10時10分ごろ、若林区の六郷中体育館

河北新報110821】仙台市は20日、東日本大震災の津波で大きな被害を受けた東部沿岸地域で、町内会ごとに復興施策の検討状況を報告する「東部地域まちづくり説明会」を始めた。安全性が確保できる浸水の深さを設定し、それを超えた地域について集団移転を進める考えを示した。
 若林区の六郷中体育館で開いた説明会には、藤塚町内会の約150人が参加。市は、津波浸水シミュレーションによる分析状況を解説した。
 今後の土地利用と建築制限の基本的な考え方については「学術的には、浸水の深さが2メートル以下なら安全性が格段に高まるとされる。市内の目安は今後、検討する」と述べるにとどまった。
 市が念頭に置く防災集団移転促進事業の概要や、2013年度に供給を始める災害公営住宅の整備方針も説明。質疑応答では「また住宅を建てれば、前の家の残債と農機具との三重ローンになる」「被災前の価格で土地を買い取ってほしい」といった意見があった。
 宮城野区の宮城野体育館でも同日、港町内会の約90人が参加した説明会があった。住民は「仙台港背後地を代替地としてほしい」などと指摘した。
 市は当初、今月中に建築制限の具体案を住民に示す予定だったが、津波浸水シミュレーションの作成が遅れ、9月中旬以降に先送りした。説明会は31日までに計21町内会を対象に開催する。

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18

8月

2011

岩手県 「仮設 障害者泣かせ 車いす、段差 個別対応できず」

仮設 障害者泣かせ 車いす、段差 個別対応できず

視覚障害があるため、仮設住宅の入り口で転倒する不安がある志田さん(中央)(10日、大船渡市で)
視覚障害があるため、仮設住宅の入り口で転倒する不安がある志田さん(中央)(10日、大船渡市で)

読売新聞110818】東日本大震災で被災した身体障害者が入居した仮設住宅を巡り、車いすで玄関から出入りできなかったり、段差で転倒したりするなどのトラブルが起きている。障害者や高齢者など「災害弱者」に配慮した仮設住宅の必要性は1995年の阪神大震災から指摘されているが、教訓は生かされていない。国もこうした状況を把握し、仮設住宅で障害者らがどのような問題を抱えているか実態調査に乗りだした。

(石坂麻子、坂田元司)

 低酸素脳症で重度の障害があり、車いす生活を送る宮城県石巻市の新田綾女さん(12)は、外出する際、母の理恵さん(41)に抱えられて縁側から出入りしている。7月に入居した仮設住宅は、入り口に段差解消のスロープが設置されているが、玄関の幅が狭く、幅が約60センチの車いすでは家の中に入れないからだ。

 津波で全壊した自宅は、車いす生活のために、広い間口や介助できる風呂を備えていた。仮設住宅応募の際、車いす使用を伝えていたが、スロープ以外は健常者と同じ設備。市に頼み、縁側にスロープが新設されることになったが「なぜ車いすを考慮しなかったのか」と語る。

 ダウン症の影響で視覚障害がある大船渡市の志田名津紀さん(27)は今月上旬、玄関の段差で転倒し、脳しんとうを起こした。一人で入浴できないため、母の由紀さん(48)の介助を受けているが、浴室が狭く、無理な体勢で由紀さんがバランスを崩して足をひねったことも。2人は「毎日が不安」と訴える。

 厚生省(当時)の97年の指針では、都道府県に対し、災害弱者に配慮して「多様なタイプの住宅を提供すること」とした。日本赤十字社が2008年に発行した仮設住宅の運用指針でも、障害者や高齢者への配慮を求めている。

 しかし、今回の震災では、菅首相が、被災者の仮設住宅入居を「遅くともお盆の頃までに」と指示したこともあり、建設は“スピード重視”。宮城、福島両県では仮設住宅の約1割にスロープを設置したが、室内での車いすの利用は想定していないケースがほとんどだ。被災3県の担当者は「短時間で大量に供給する必要があり、個別ニーズに応じる余裕はなかった」と語る。

 このため、「玄関前が砂利敷きで車いすで外出できない」などの指摘が出るたびに、各自治体が敷地内を舗装したり、スロープ、手すりを追加するなど対応に追われている。厚生労働省社会・援護局は「自治体に具体的な指導をしていなかった」と認め、仮設住宅の実態把握に乗り出した。

 障害者を支援するNPO法人「ゆめ風基金」理事、八幡隆司さん(53)は、「技術的に可能なはずで、事前に想定すべきことだった」と指摘している。

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17

8月

2011

介護施設は満杯 仮設で世話困難、家族の心折れ

産経新聞110817】東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城両県の被災地で、介護保険施設の定員オーバーが続いている。仮設住宅での高齢者の介護が困難になったり、家族の被災で引き取り手がいなくなるなどの理由で施設への入所者が増加しているためだ。こうした事態を受けて厚生労働省は仮設の特別養護老人ホームや老人保健施設の建設を容認したが、定員オーバー問題に歯止めがかかるかは不透明だ。(渡辺陽子)

 厚労省によると、応急仮設施設は平屋建てで、耐火基準をクリアしていることが条件。スプリンクラーの設置も義務づけるが、入所者に差し障りのない範囲で廊下の幅などの基準は緩和した。それでも、社会的弱者の置かれた現実は厳しい。

 宮城県多賀城市の特別養護老人ホーム「多賀城苑」では震災直後、別の施設などから一時的に利用者が避難。短期・長期入所の定員70人に対し、ピーク時には85人に達した。内陸施設への転所や家族の引き取りなどで人数は一時的に減ったものの、家族の被災や心労で老老介護が困難になるなど、引き取り手がいなくなる事態が相次ぎ、いまでも約80人が入所している。1人部屋を2人で、4人部屋を5人で分け合っている。

 デイサービスや短期入所の利用者らが長期入所に切り替えるケースも。岩手県陸前高田市の医療法人「勝久会」では震災で利用者20人以上が死亡。仮設入居や自宅損壊などで在宅介護の需要は半分以下にまで激減したが、逆に長期入所移行者が約40人になった。

介護を続けてきた家族が震災のショックで心が折れてしまったり、経済的に在宅サービスが受けられなくなった利用者も多いとみられ、同会は「在宅を希望する入所者の心の問題も無視できない」と指摘する。

 厚労省によると、利用者負担の「免除証明書」により、入所料や食費などが免除されるのは来年2月まで。受け入れ側も現在は災害救助法で定員オーバーが認められているが、ある施設の担当者は「定員に戻せといわれたときに、入所者の行き場が確保できるのか」と不安そうに話す。

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17

8月

2011

10年後の姿を具体化 宮城県復興計画最終案

河北新報110818】宮城県は17日に決定した県震災復興計画最終案で、被災した沿岸15市町を3地域に分けた広域的な復興イメージを示した。

◎原発対策/不安解消へ測定と検査

 福島第1原発事故による風評被害の払拭(ふっしょく)や県民の不安解消に向け、大気中の放射線量測定、農林水産物の放射性物質検査の体制強化を緊急重点事項として新たに盛り込んだ。
 事業は復旧期に集中させる。測定機器を整備し、県産牛を含む農林畜産物の検査を徹底。食品関連などの輸出品も測定し、輸出産業を支える。
 全壊した女川町の県原子力センター、県原子力防災対策センターの再整備も進め、女川原発周辺での放射能監視機能、災害対応機能を回復、拡充を図る。原子力災害時の迅速な対応を図るため、全庁的な組織体制を構築する。放射線関連の情報発信にも力を入れる。

◎農林業/共同作業に支援金交付

 復旧期を中心に、早期の営農再開を重点的に支援する。被災農家経営再開支援事業(11~15年度)では被災した農地のほか園芸施設、畜舎の復旧に向け、農業者の共同作業に支援金を交付する。
 被災した林業・木材産業の施設再開に向けた支援事業を11年度に実施。合板製造業者や製材所に製造機械などの再整備、修理の経費を補助する。
 再生期から発展期にかけては、先進的な農林業の構築を目指す。国の事業などを活用し、15年度までに農地の面的集約を進める。農業参入推進事業として、民間資本を活用した生産力の向上や地域農業の活性化を図るため、今後10年間で企業の農業参入を促す。

◎水産業/漁港は3分の1に集約

 水産業の拠点の再構築を目指し、県内漁港を3分の1程度に集約する。再編に伴い、県は9月以降、漁業集落の復旧復興計画策定に着手。被災市町を通じ、住民の意向を調べ方向性を探る。
 主な漁港と一部漁場では、がれき撤去を7月中に終え、沿岸漁業や養殖業の再開に道筋を付けた。共同利用する冷凍・冷蔵施設などの整備費を15年度まで補助し、流通加工業の復旧も進める。
 漁業経営改善支援事業では11~20年度、県が漁船や漁具を調達し、漁協や県水産公社を通じてリースする。零細な経営体が多い漁業者に対し、施設の共同利用や作業の協業化を促し、経営の安定化を図る。

◎環境・生活/再生エネでエコタウン

 福島第1原発事故後、エネルギー不安が深刻化している事態を踏まえ、太陽光や小水力、風力などの再生可能エネルギーを積極活用する「エコタウン」の形成を掲げた。
 太陽光、バイオマス発電などを「分散型電源」と位置付けた。原発や火力など既存の電源に頼らない災害時の電力確保と、環境配慮の街づくりの両立を目指す。被災者が再建する住宅や新たに建設する復興住宅の全戸で、太陽光発電設備を整備することを盛り込んだ。
 災害公営住宅建設の円滑化を図るため、用地確保を含めた民間企業からの事業提案を活用。被災者の住宅再建では、県産木材使用への支援も打ち出した。

◎沿岸15市町3分割し対応

 県は17日決定した県復興計画の最終案に、今後10年間で取り組む計341事業を盛り込んだ。2011~13年度を復旧期、14~17年度を再生期、18~20年度を発展期と位置付けた。最終案には「原子力災害への対応」を緊急重点事項に追加。競争力強化に向けた農林水産業の再構築、再生可能エネルギーを活用した先進的な街づくりも重点項目に設定した。

<仙台湾南部地域/交通網活用、物流拠点に>
 大津波を第一線で防ぐ海岸堤防、防災緑地の整備と平行し、高盛り土構造の道路と鉄道で多重的な防御を目指す。産業面では仙台港、仙台空港の広域交通拠点と常磐、三陸自動車道の高速道路網を活用し、高度電子機械産業などの立地と物流拠点の形成を促す。
 平地部の農地は集約し、施設園芸や露地野菜の振興、水田の大規模化、畜産の生産拡大を図る。

<石巻・松島地域/高盛り土で多重に防御>
 大津波対策は、入り江の地域と平地を分ける。高台移転と職住分離に取り組む一方、高台確保が難しい平地では高盛り土構造の道路や鉄道で多重に防御する。
 石巻地域では製紙業、木材加工業など重要産業の再興を図る。漁港は集約し再編。漁業地域を中心に食品加工業、高度電子機械産業の集積を目指す。松島や牡鹿半島では観光振興を加速させる。

<三陸地域/高台移転と職住を分離>
 大津波による再度の被害や地盤沈下による冠水を防ぐため、高台移転と職住分離を推進する。海辺に避難路や避難ビルを確保した上で、漁業地域を中心に産業・観光・公園ゾーンを整備。三陸縦貫自動車道を気仙沼市まで延ばし、沿岸部の高速交通網の完成を急ぐ。
 水産業を中心に産業集積を図り、水産加工品のブランド化を目指す。漁港は集約、再編する。

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17

8月

2011

宮城県仙台市 「仙台市が「津波浸水シミュレーション」の進行状況を公表」

仙台市が「津波浸水シミュレーション」の進行状況を公表

河北新報110818仙台市は17日、東日本大震災で被災した東部沿岸地域の津波対策を検討するため、東北大や米IBMと共同開発する「津波浸水シミュレーション」の進行状況を公表した。海岸の堤防と盛り土構造の県道による「二線堤」を整備して今回と同規模の津波が襲来した場合、県道より内陸部で浸水被害が大幅に抑えられる半面、仙台港周辺を中心に浸水の範囲や深さが増すことが分かった。
 東北大災害制御研究センターがモデル化したシミュレーションは、浸水状況の再現にほぼ成功。今後起こり得る最大の津波として、震災と同規模の巨大津波が当時より潮位が約1.2メートル高い大潮で押し寄せたとの想定で計算し、浸水マップ=地図(上)=を作製した。
 その上で市が有望視する津波防御策が、大潮時の巨大津波をどの程度防ぐか検証した。海岸に堤防を整備し、県道塩釜亘理線(七北田川―名取川間、約9.2キロ)を現在の位置で6メートルかさ上げした場合、津波の流れが北上し、宮城野区の蒲生、中野両地区などで浸水深が増すほか、仙台港背後地で浸水域が一部広がることが判明した=地図(下)=。
 市はシミュレーション作業を続け、県道の位置や盛り土の高さ、防災林や築山といった防災施設の最適な配置を検討。名取市閖上や多賀城市にも影響が及ぶことから宮城県との連携も図る。
 市震災復興本部は「県道のかさ上げで住宅地の浸水域が広がるのは、想定外だった。シミュレーションは実体験だけでなく、科学的な分析に基づき適正な投資で減災を図る効果があり、住民に説明する上でも重要な手段」と話している。
 市は20日から津波で被災した21町内会を対象に、シミュレーションを含めたまちづくりの検討状況を報告する地元説明会をスタートさせ、9月中に東部沿岸地域の具体的な再建策をまとめる方針。

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17

8月

2011

宮城県 「高台移転など341事業 県震災復興計画最終案が決定」

高台移転など314事業 県震災復興計画最終案が決定

河北新報110818】宮城県は17日、幹部職員による震災復興本部会議を開き、県震災復興計画の最終案を決定した。2020年度までの10年間を復興期間とし、住宅の高台移転や漁港の集約再編、エコタウン形成など341の復興事業に取り組む。決定を受け、村井嘉浩知事は「重厚な内容になった」と語った。

 最終案は基本理念に「NPOとの連携」「女性の参画推進」「世界に開かれた復興」を追加。福島第1原発事故を踏まえ、農林水産物の放射能検査体制の強化など「原子力災害への対応」を緊急重点事項に明記した。
 高台移転や職住分離の方針は、パブリックコメントで県民の賛否が割れたが、「被災者のコンセンサスは得られた」(村井知事)として最後まで堅持した。ただ、被災地に強要はせず、地域事情を尊重することにした。
 養殖漁業に民間参入を促す「水産業復興特区」構想は、政府の復興基本方針にも創設が明記されたが、県漁協などの反発を考慮し、最終案も検討すべき課題にとどめた。
 「若者の復興活動への参加促進」を新たに盛り込んだほか、復興祈念施設は震災・津波博物館(仮称)を中心とした「東日本大震災メモリアルパーク」(同)として、整備を国に提言していく。
 10年間に取り組む「主な事業」は、2次案の316事業のうち16事業を取りやめ、放射線量測定機器の整備事業など41事業を新たに加えた。
 村井知事は「国の方針を書き連ねた復興計画でなく、提案型なのが宮城県らしさ。財源確保と規制緩和が実現の鍵を握る。『絵に描いた餅』にならぬよう341事業全て実現させる」と述べた。
 最終案は22日の県震災復興会議に示し、一部文言を微修正した後、県議会9月定例会に行政計画議案として提出される。

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17

8月

2011

震災直後 42%避難せず 東北3県 被災者調査

東京新聞110817】政府が岩手、宮城、福島三県で避難している東日本大震災の被災者八百七十人を対象に実施した面接調査で、震災の発生直後に避難した人は57%にとどまり、42%の人は家族を捜したり自宅に戻ったりした後に避難していたことが十六日、分かった。大津波警報を見聞きしなかったと回答した人も58%に上った。半数以上が車を使って避難し、うち三人に一人は渋滞に巻き込まれていたことも判明。政府は調査結果を踏まえ、避難対策の見直しを検討する。

 調査は、内閣府と消防庁、気象庁が七月、三県の沿岸地域にある仮設住宅や避難所で実施し、十六日の中央防災会議専門調査会で示した。

 それによると、直ちに避難した人のうち、津波に巻き込まれて流されたり、津波が迫ってきたりしたケースは5%にとどまった半面、ぎりぎりまで避難しなかった人では49%に上った。内閣府は「家族を捜すといった行動は迅速な避難を妨げる」と指摘した。

 大津波警報を見聞きしたと答えた人は42%にとどまり、そのうち79%が「避難しようと思った」と回答。警報を確実に伝達する必要性があらためて浮き彫りになった。

 車による避難は渋滞するので控えるべきだと指摘されてきたが、今回の調査では半数以上が車を使用。「間に合わないと思った」「家族で逃げようと思った」といった理由が目立った。専門調査会の河田恵昭座長(関西大教授)は会合後、「現実を無視するわけにはいかない。高齢化で徒歩による避難が困難な人が増えており、ルールづくりをしなければいけない」と述べた。

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17

8月

2011

宮城県南三陸町 「漁再開の拠点に 滋賀の大学生が南三陸番屋建設」

漁再会の拠点に 滋賀の大学生が南三陸町番屋建設

学生が建築した番屋=17日、宮城県南三陸町歌津の田の浦漁港
学生が建築した番屋=17日、宮城県南三陸町歌津の田の浦漁港

河北新報110820】東日本大震災で壊滅的被害を受けた宮城県南三陸町の漁業再開を支援しようと、滋賀県立大の学生が「番屋」と呼ばれる作業小屋を歌津地区にある田の浦漁港に建設した。漁港付近はホヤ養殖が盛んで、漁業者は「漁再開の弾みになる」と活動拠点の完成を喜んでいる。
 建築したのは、建築やデザインを学ぶ学生でつくる「木興プロジェクト」のメンバー30人。6月に住民と話し合って建築を決めた。学生は8月8日に現地入りし、交代で作業。地元の大工から工具を借り、時折指導を受けながら17日に完成した。
 番屋は木造平屋で約15平方メートル。津波で流された事務所跡に設置した。ホヤとワカメ養殖を営む千葉吉之さん(73)は「学生さんが一生懸命で本当にありがたい。私たちも一日も早い復興を目指して頑張りたい」と感謝した。
 木興プロジェクト代表の上西慎也さん(22)は「もんもんと日々を過ごす漁業者の方々を見ていて、何とか力になりたかった。どんな使い方でもいいので、地域の復興に役立ててもらえれば」と話した。

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13

8月

2011

宮城県石巻市 「見えぬ生活再建 在宅避難者、住宅修繕踏み切れず」

見えぬ生活再建 自他買う避難者、住宅修繕踏み切れず

夕暮れ時、懐中電灯の明かりを頼りに家計簿を付ける杉山さん=10日夕、石巻市中央1丁目
夕暮れ時、懐中電灯の明かりを頼りに家計簿を付ける杉山さん=10日夕、石巻市中央1丁目

河北新報110813】1階が津波で被災した自宅の2階などで生活する「在宅避難者」が多い宮城県石巻市では、東日本大震災の発生から5カ月がたった今も、台所や風呂が使えない厳しい環境で暮らす被災者も目立つ。被災規模が大きいことに加え、仮設住宅への入居や、自治体の復興計画づくりが遅れていることなどが背景にある。

<ガスも電気もなく>
 旧石巻市役所に近い中央1丁目の会社員杉山創さん(62)は、1階天井まで水に漬かり、ガスも電気もない自宅で暮らす。夜は懐中電灯で明かりを採り、携帯式ラジオを聞く。食事は、地区の配給所に市から届く弁当やおにぎり、パンだ。
 妻の愛子さん(59)は震災当日、外出先から「渋滞に巻き込まれている」とのメールを送ってきたのを最後に行方不明。「妻を迎える準備をしたい」と6月の百か日に合わせ、近所の避難所から自宅に戻った。
 仮設住宅を申し込んでおり、台所も風呂も改修しないつもりだ。自宅はいずれ取り壊すしかないと考えている。泥を払った仏壇の近くに妻の写真を飾ったが、葬式を出す気にはまだなれない。「仮設住宅が当たるまで今の生活を続ける」と話す。
 店舗兼自宅が立ち並ぶ中央地区では、現地での住宅再建を目指す人も多い。ただ、建築基準法による建築制限が掛かる区域で新築や改築は困難。土地利用の方針を示す復興計画がなかなか見えず、住宅再建にも影響を与えている。
<建築制限が障壁に>
 中央1丁目の菓子製造販売の西條稔さん(70)は、1階が浸水した鉄骨3階の店舗兼自宅の壁がはがれて工事用の足場が組めず、都市ガスを自宅に引き込めない。ガス復旧には改築が必要だが見通しは立たない。西條さんは「建築制限が外れないと前に進めない」と嘆く。
 「復興計画の内容次第では移転を求められる」として、自宅の本格修繕に踏み切れない被災者も少なくない。
 1階が浸水した全壊状態の住宅が広範囲に広がる大街道地区。大街道南3丁目の自宅の一部を、住民向けの食料配給所として提供している会社社長佐々木公男さん(65)は「費用を掛けて直していいものか、多くの住民が迷っている」と明かす。周辺では約180人が食料配給を受け生活する。
 石巻市によると、3食相当分の配食を受けている在宅避難者は約1万人。車がなければ日常の買い物が難しい地域の市民も含まれており、避難生活の解消には時間がかかりそうだ。

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12

8月

2011

宮城県仙台市 「自治会続々、交流着々 仙台・プレハブ仮設住宅団地」

自治会続々、交流着々 仙台・プレハブ仮設住宅団地

七夕会の打ち合わせをする岡田西町公園仮設住宅の自治会役員ら=7月31日、仙台市宮城野区
七夕会の打ち合わせをする岡田西町公園仮設住宅の自治会役員ら=7月31日、仙台市宮城野区

河北新報110812】仙台市内18カ所のプレハブ仮設住宅団地で、八つの自治組織が相次いで発足した。今のところ被災前の地域のつながりが存続する仮設団地が中心だが、自治組織が誕生した団地では外部の支援も入りやすくなり、住民活動が活発になっている。

◎震災前の縁生かす/外部支援の窓口機能も

 宮城野区の岡田西町公園の仮設団地(82戸)には7月末、「岡田西町仮設住宅自治会」が誕生した。住宅棟ごとに1カ月交代の班長を置き、支援物資の配布やイベント予定を知らせる文書の配布などを担っている。
 仮設住宅の自治組織も普通の町内会と同様に、住民の親睦を図るのが主な目的。芳賀正副会長(61)は「多くの住民が役割を持つことで、顔が見える関係を築いていきたい」と説明する。
 6日には団地内で七夕会を開催した。もともとは主婦たちが竹飾りを出したり、ゲームをしたりして楽しもうと企画した催しだったが、直前にできた自治会がボランティアなどとの調整や竹の搬入、会場設営などを担ったことで、プログラムも充実し、一大イベントになった。
 若林区内最大の177戸が入居する若林区の「荒井小建設用地」の仮設住宅は規模が大きい上に、市内で最も早く7月に自治会が結成されたこともあって、阿波おどりやお笑いのイベントなどが頻繁に開かれている。自治会が活動を希望するNPOやボランティアの窓口になっている効果が大きいという。
 これまでのところ、自治組織の設立が進んでいるのは、被災前に同じ地域に住んでいた住民が、まとまって入居している仮設団地が中心だ。
 入居戸数が少なすぎたり、多くの地域から見ず知らずの住民が集まったりした仮設住宅では設立が遅れがち。自治組織がまだない仮設住宅の住民からは「自治会がある団地の方が外部からの支援が多く、被災住民の生活環境にも差が出てきているように感じる」との声も聞かれる。

仮設住宅の自治会長になった大久保さんのカレンダーには、予定がぎっしり書き込まれている=仙台市若林区のJR東日本南小泉社宅
仮設住宅の自治会長になった大久保さんのカレンダーには、予定がぎっしり書き込まれている=仙台市若林区のJR東日本南小泉社宅

◎町内会役員、光る存在感/「培った経験、役に立てば」

 仮設住宅で自治組織を発足させる上で鍵になるのが人材だ。仙台市内で発足した仮設住宅の自治組織では、被災前にも町内会役員を務めていた経験者が会長に就くケースが多い。経験者ならではの運営ノウハウや行政とのパイプが頼りにされているようだ。
 JR東日本が仮設住宅に開放した同社南小泉社宅(若林区)で7日、「JR南小泉アパート自治会」が発足した。若林区荒浜地区の住民が中心だが、他地域からの入居者もいるため、新たに自治会を作ることにした。
 会長に就任したのは、荒浜東町内会の大久保勝彦会長(70)。荒浜復興まちづくり実行委員、交通安全協会荒浜支部長も務めている。
 8月第2週は、アパート自治会総会(7日)、七郷市民まつり打ち合わせと懇親会(9日)、荒浜復興まちづくり実行委の住民アンケート集計(13日)と会合がめじろ押し。28日投票の市議選では荒浜地区の投票所で立会人も務める。
 「今日は何の会合なのか混乱することもしばしば」と大久保さん。今後はアパート自治会会長としての仕事も加わる。
 このほか、若林日辺グラウンド仮設住宅(若林区)の自治会では二木町内会(同)の阿部東悦会長(64)が、福田町南1丁目公園仮設住宅(宮城野区)の自治会でも新浜町内会(同)の平山一男副会長(63)が、それぞれ会長に選ばれた。2人は「これまでのつながりがあるから、役所に行っても話が早い。役に立つのであれば仮設住宅でも経験を生かしたい」と話している。

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10

8月

2011

宮城県石巻市 「仮設住宅に自治会発足 東松島・大曲10地区から208世帯 訪問活動に力 孤独死を防止」

仮設住宅に自治会発足 東松島・大曲10地区から208世帯 訪問活動に力 孤独死を防止

三陸河北新報110812】大規模仮設住宅が一つの地域を形成する中で、東松島市大曲地区の仮設住宅で10日夜、自治会となる「矢本運動公園仮設住宅西コミュニティー」が発足した。東日本大震災で石巻地方に設置された仮設住宅では初の組織。自治意識を高め入居者間の絆を強めるだけでなく、高齢者世帯の訪問活動にも力を入れ、懸念される孤独死の未然防止にもつなげたい考えだ。

 仮設住宅では、違う被災地から来た入居者間の連携が課題の一つ。西コミュニティーでも地元の大曲浜をはじめ、鳴瀬の野蒜など計10地区から208世帯、約500人が入居。新たな自治会の創設に向けて7月から準備を進めていた。

 今月下旬までに、隣接する同公園仮設住宅東棟(184世帯)でも自治会を設立する予定だ。

 同公園の西集会所であった設立総会には入居者や市関係者ら50人が出席。会長に遠藤克己・下浜二区行政区長を選出。役員をはじめ、住宅を11班に分けて各班長や運営委員も決めた。

 入院中の遠藤会長に代わり、大江貞徳副会長が「さまざまな地域から入居し不安があるのも事実だが、現実を見据えて課題や問題に話し合いを重ねて、より良い仮設住宅にしたい」とあいさつ。阿部秀保市長も「仮設住宅については12日に全1753世帯が確定する。各家庭で今後の計画もあるだろうが、仮設住宅では隣近所を大切にしながら過ごしてほしい」と期待した。

 会費は徴収せず、活動費は市の助成金などを充てる方針。生活環境整備、防災・防犯、住民の触れ合い?を柱に活動する。

 阪神大震災など過去の災害では仮設住宅で孤独死が相次いだことを踏まえ、独り暮らし世帯や高齢者宅の訪問を強化。各種行事を積極的に企画し、安否確認や交流を促す。

 各家庭から出されるごみの管理や、指定場所への駐車の徹底といった生活マナーの向上も呼び掛けていく。

 仮設住宅の自治組織化について、担当する市の市民協働課の小山修課長は「自主的な組織運営は、被災者の自立に向けた一歩にもなる。市としてもバックアップしていく」としている。

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09

8月

2011

宮城県 「宮城、住宅被害3兆円超 被災総額6.7兆円に倍増」

宮城、住宅被害3兆円超 被災総額6.7兆円に倍増

河北新報110810】東日本大震災による宮城県内の住宅被害総額は3兆2578億円に上ることが9日、県の推計で分かった。住宅被害の算出は初めて。これまで公表されている宮城県全体の被害額(3日現在)3兆4595億円に、ほぼ匹敵する規模となった。
 住宅被害を加えた県内全体の被害総額は、6兆7000億円を突破した。住宅関連の被害調査は各市町村で継続中で、被害総額はさらに膨らむ見通し。
 住宅被害額の内訳は全壊が7万819棟で1兆7582億円、半壊が7万218棟で8716億円、一部損壊は12万6429棟で6278億円だった。
 1棟当たりの平均建築費用を2482万円に設定。半壊は5割の1241万円、一部損壊は2割の496万円で計算した。住宅は一戸建てのほかマンション、アパート、社宅なども1棟として算出した。
 算定方法は阪神・淡路大震災の際の推計手法を用いた。平均建築費用は国土交通省の「建築着工統計調査報告」を基に、2008~10年度の3年間の平均額を算出。市町村から報告があった今月8日現在の被害棟数を掛け合わせた。
 県がこれまで公表してきた被害額は、鉄道など交通関連や農地、漁港など農林水産関連などで算出していた。

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02

8月

2011

石巻市の復興を総合支援 日本IBMと合意文書 新エネルギー活用

【亀山市長と合意文書を取り交わす北城最高顧問(右)=石巻市役所市長室】
【亀山市長と合意文書を取り交わす北城最高顧問(右)=石巻市役所市長室】

三陸河北新報10803】震災で甚大な被害を受けた石巻市の復興に向け、市と日本IBM(本社東京、橋本孝之社長)は2日、新エネルギーを活用した循環型社会の実現を目指し、具体的な計画の検討・作成を日本IBMが総合的に支援することで合意した。日本IBMの北城恪太郎最高顧問(経済同友会終身幹事)が同日、市役所を訪れ、亀山紘市長と合意文書を交わした。

 復興事業のテーマは(1)新エネルギーを活用した中心市街地の活性化(2)バイオマス等を活用した循環型エネルギー社会の構築(3)効率的なエネルギーを活用した次世代水産業の構築-の三つ。

 (1)は、太陽光や風力などの新エネルギーを活用し、次世代送電網「スマートグリッド」の構築により、中心市街地で災害に強いまちづくりを進め、住環境の整備と併せて市民が安心して快適に暮らせるコンパクトシティーの実現を目指す。

 (2)は、地域資源である木質バイオマスや工場の余剰エネルギー、下水汚泥、ガスコジェネシステムなどを統合的に組み合わせ、エネルギーを循環的に供給・利用する無駄のない仕組みを構築する。

 (3)は、震災で大きな被害を受けた基幹産業の水産業を情報通信技術(ICT)を活用して、水産業の6次産業化や設備・工場の共同利用を進め、より効率的なエネルギー活用と高収益のビジネスモデルを目指す。

 今回の総合支援は、米国コンピューター大手IBMが世界100都市で5000万ドル(約40億円)相当の技術やサービスを提供する都市運営支援プログラムの一環。国内では札幌市、仙台市に次いで3例目となる。

 北城最高顧問は「未来志向型の新しいまちづくりを支援する。石巻発の新しい環境都市、省エネ、水産業の6次産業化などの実現に向け、当社の情報技術や事業構想の立案能力を生かす。さらに世界のIBMの知識を集めて石巻の復興に貢献したい。新しいことに挑戦するイノベーションは必要だ」と述べた。

 亀山市長は「石巻の将来を見据え、世界のモデルとなる都市を目指している。IBMの支援によって構想は現実味を帯びる。次世代型の農業・水産業はマーケティング、衛生管理、物流を考えてシステム化することが必要だ。自然エネルギーを取り込み、1次産業と連携したまちづくりも進めたい」と話した。

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31

7月

2011

宮城県 「(4)エコタウン/自然エネの活用推進」

(4)エコタウン/自然エネの活用推進

仮設住宅が並ぶ沿岸の被災地。自然エネルギーを活用したエコタウンの形成が模索されている=気仙沼市内
仮設住宅が並ぶ沿岸の被災地。自然エネルギーを活用したエコタウンの形成が模索されている=気仙沼市内

河北新報110731

<東松島から開始>
 電力の地産地消を目指すエコタウンの社会実験が8月中旬、被災地でスタートする。
 舞台は東松島市の仮設住宅周辺で、風力発電用のプロペラと太陽光パネルを導入、蓄電池を装備した発光ダイオード(LED)照明の街灯数基を設置する。
 事業主体は、研究者や中小企業でつくる「持続可能で安心安全な社会をめざす新エネルギー活用推進協議会」。副会長の内海康雄仙台高専副校長は「将来は住宅の電源を賄うことも可能。発電した電力を防災情報の発信に使えば、災害にも強いエコタウンになる」と意気込む。
 福島第1原発事故後、脱原発の機運が高まり、自然エネルギーに追い風が吹く。宮城県震災復興計画2次案に明記されたエコタウン構想では太陽光やバイオマス、地熱の活用を掲げ、環境先進地域づくりを打ち出した。

<地域全体で導入>
 構想のスケールは壮大だ。クリーンエネルギーの発電設備を設け、生み出した電気をスマートグリッド(次世代送電網)で域内に供給する。復興住宅での太陽光発電の全戸整備も明記した。
 「自然エネルギーは次世代のインフラ。地域全体で導入することが重要となる」。東北大大学院環境科学研究科長の田路和幸教授(環境共生機能学)は、エコタウンを時代の必然とみる。
 昨年整備した環境科学研究科の研究棟「エコハウス」で、電力の自給に取り組む。主に太陽光で発電し、リチウムイオン電池に蓄電、LED照明を使う。震災で大学が停電した際も蓄電機能が働き、自活を支えた。
 発電量の不安定さが弱点だが、田路教授は「蓄電池の技術革新を進め、各家庭に配備するような施策が必要だ」と語る。

<企業の参画必要>
 エコタウンに期待されるのは、エネルギーの有効活用だけではない。
 「万単位の太陽光パネルやリチウム電池を10年間継続発注することになれば、工場誘致も可能で、雇用にもつながる」。6月の県震災復興会議で、委員を務める会社会長の神蔵孝之氏は、独自の見解を披露した。環境への投資は経済効果を生むとみる。
 多くの関係者が企業の参画を重視するが、東北の金融機関幹部は「再生可能エネルギーを重視するという県の方針が企業に伝わっていない」と指摘。実現への工程表を示し、投資意欲を刺激すべきだと提案する。
 復興計画は復旧にとどまらず、先進的な地域づくりをうたう。東松島市を皮切りに、石巻市や名取市でも同様の社会実験を目指す。
 「現行法の規制が壁となり、このままでは前に進まない。特区などの環境整備を急ぐべきだ」。協議会の内海副会長は、復興の象徴となるエコタウン具現化に向けて、国の後押しに期待を掛ける。

◇主な事業と実施年度
・新エネルギー設備導入支援事業(2011~15)
・住宅用太陽光発電促進事業(2011~15)
・ソーラーハウス促進事業(2014~20)
・分散型エネルギー設備導入促進事業(2014~20)
・ガスコージェネレーション(熱電供給)・バイオマス利活用推進事業(2014~20)

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31

7月

2011

東日本大震災:惨事招いた大渋滞 宮城県名取市閖上地区

震災後も多くの車が行き交う閖上地区の五差路。津波は渋滞の車列ものみ込んだ=宮城県名取市で、安高晋撮影
震災後も多くの車が行き交う閖上地区の五差路。津波は渋滞の車列ものみ込んだ=宮城県名取市で、安高晋撮影

毎日新聞110731】仙台湾沿いに平野が広がる宮城県名取市。3月11日の震災で、多くの住民は付近に高台がないため、避難に車を使った。海辺の閖上(ゆりあげ)地区では人口の1割を超える約600人が遺体で見つかった。助かった住民が津波の直前に見ていたのは、避難する車の大渋滞だった。多くの住民が車ごと波にのまれた惨事は、二つの要因が重なって広がった。【安高晋】

 ■渦を巻く車

 「歩道橋へ急げ」。閖上郵便局を飛び出した局長の小平利則さん(52)は周りの人に絶叫した。午後3時50分過ぎ。約1キロ離れた閖上港を襲った津波が迫っていた。歩道橋が架かる500メートル先の五差路へ夢中で走った。車道では車が渋滞。車を捨てて逃げようとする人たちが目に入る。子供を抱えて転倒する母親もいた。だが助けられなかった。歩道橋に上った2、3秒後、津波は五差路を一気にのみ込んだ。「まるで洗濯機だ」。渋滞は五差路の先にも延びていた。身動きできなかった多くの車が、歩道橋の真下にできた渦に巻き込まれていった。

 ■事故で封鎖

 「事故で人が亡くなった。救急車を呼んでほしい」。五差路脇の「橋浦精麦倉庫」事務所に男性が駆け込んできたのは地震直後だった。社員の庄司明さん(54)が現場へ向かうと、閖上大橋の中央でトレーラーから長さ20メートルのコンクリート製支柱5本が落ち、乗用車を押しつぶしていた。橋の入り口には約10台の車が立ち往生し、五差路の信号も停止。庄司さんは、車を身ぶり手ぶりで市街方向へ誘導した。地震から30分が経過。まだ渋滞はなかった。

 五差路では2本の県道が交差する。特に、仙台空港と仙台港を南北に結ぶ10号は大型トラックが昼夜を問わず行き交う主要道路だ。片側1車線で「普段からよく渋滞していた」(地元住民)という。

 市の津波ハザードマップは、避難で自動車を利用しないよう呼び掛けている。しかし、平たんで高台のない閖上地区は「車を使うしかない」(地元住民)。市も「地形的にやむを得ない」と認める。

 事故で橋が封鎖された後、渋滞が始まった。五差路から約1キロ離れた有料道路「仙台東部道路」の料金所入り口付近にいた人たちは、午後3時半ごろから「車が全く動かなくなった」と口をそろえる。渋滞はその後、五差路まで延びた。津波は有料道路の下を通る道をくぐり、その先まで達した。

閖上地区の五差路
閖上地区の五差路

 ■直前の指示

 渋滞を拡大した二つ目の要因は、ある呼び掛けが発端だった。「ここは危険です。閖上中学校へ向かってください」

 閖上公民館長の恵美雅信さん(63)が声を聞いたのは有料道路付近で渋滞が始まった午後3時半ごろだった。地震後、約45分が経過。50台以上の車が集まり、館内に多くの避難者がいた。呼び掛けたのは消防署員か団員だったと記憶する。

 公民館は中学校と同じく市の指定避難所。なぜ移動が必要なのか尋ねる恵美さんに「大津波が来たら公民館では対応できない」と答えたという。恵美さんも約500メートル離れた中学校への誘導を手伝った。出口は車で埋まり、中学校へ向かう道路はすぐ渋滞になった。

 多くの避難者がこの移動中、車ごと波にのまれた。公民館の2階から動かなかった人や、津波を見て引き返した人は、助かった。市は「ラジオは6メートル以上の津波が来ると伝えていた。移動を求めた判断は正しかった」と振り返る。

 市の落ち度もあった。昨年2月のチリ津波後、市は地域防災計画で想定した2.6メートルを大きく超える津波が予測される場合は3階以上に逃げるよう各町内会の避難訓練の際に要請したという。公民館は避難先に適さなかったことになる。しかし、閖上地区の複数の町内会長は、要請を「記憶にない」と反論する。市は「周知が甘かった」と認めた。

 妻や母ら家族4人を亡くした町内会長の一人、高橋善夫さん(68)。昨年9月の町内会の訓練でも、避難先を公民館にしていた。「公民館に逃げれば安全と思ってきた。きちんと説明があれば、最初から別の場所に逃げることもできた。もっと多くの命が助かった」

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30

7月

2011

宮城県 「(3)ものづくり/企業流出防ぐ施策を」

(3)ものづくり/企業流出防ぐ施策を

豊田社長(右奥)と会談する手前左から村井宮城県知事、達増拓也岩手県知事=19日、宮城県庁
豊田社長(右奥)と会談する手前左から村井宮城県知事、達増拓也岩手県知事=19日、宮城県庁

河北新報110730

<「大きなお土産」>
 「ものづくりを通し、被災地の方々と一緒に東北の未来をつくりたい」
 仙台市のホテルの記者会見場で今月19日、トヨタ自動車の豊田章男社長が高らかに宣言した。
 豊田社長は「東北復興支援策」と銘打ち、宮城県内でのエンジン工場新設や企業内訓練校開設などのプロジェクトを発表。復興の道を歩み始めた被災地は「大きなお土産」(村井嘉浩宮城県知事)と受け止めた。
 県震災復興計画2次案で、県は「ものづくり産業の早期復興」を産業施策の柱に位置付けた。被災中小企業の復旧支援とともに自動車、電子機械を軸とした産業集積を前面に出す。トヨタの取り組みは、2次案の実現を後押しすると期待が高まる。

<見通し立たない>
 震災から4カ月が過ぎ、製造業の復旧のスピードと復興への意欲は、県の想定を上回っている。県内148社を対象に実施した県の調査によると、津波に見舞われなかった内陸部を中心に64%の企業が、震災前の受注水準を回復した。
 中小企業グループに施設や設備の復旧費用を助成する県などの制度には、65億3000万円の予算枠に対し、製造業を中心に217件1249億9600万円分もの申請があった。
 内陸部を中心に県内製造業の復興への足取りは、力強さを増す。一方で壊滅的な被害を受けた沿岸部は、生産再開の見通しすら立たない企業も多い。大規模な地盤沈下に加え、被災市街地での建築制限も企業活動再開の足かせとなっている。

<スピードが勝負>
 沿岸部のある工場は設備が完全に水没、被害は数十億円規模に上った。同社幹部は「地震や津波の再来の恐れもある中、操業を続ける意味をどう考えるか。(県外に)出るか出ないかの議論になるのも当然だ」と言う。現状認識は厳しい。
 ものづくり産業の復活は、村井知事が掲げる「富県戦略」の大前提となる。「企業は5年も10年も待ってくれない。この半年、1年が勝負だ」とみる県幹部の表情には焦りの色が浮かぶ。
 県は2次案で復旧期とした最初の3年間に、設備の復旧支援や融資制度の充実を盛り込んだ。迅速な施策展開はもちろん、県外移転しかねない被災企業を踏みとどまらせる力強いメッセージ性も、復興計画に欠かせない要素になっている。
 日本政策投資銀行東北支店(仙台市)の深井勝美東北復興支援室長は「(2次案は)平時の延長にすぎない印象がある。未曽有の震災を経験した県だからこそ、今アピールすべきことがあるはずだ」と注文を付ける。
(加藤健太郎)

◇主な事業と実施年度
・中小企業等施設設備復旧支援事業   (2011~13)
・相談助言事業            (2011~13)
・被災中小企業者対策資金利子補給事業 (2011~15)
・中小企業者販路開拓・取引拡大支援事業(2011~15)
・自動車関連産業特別支援事業     (2011~20)

 

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